グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
 閲覧者様のイメージを壊す可能性があります。
 それでもOKという方は、よろしくお願いします。



第51話 マリオネットの棺

ある日の教室。

良介と誠はクエストの話をしていた。

 

「古い洋館?」

 

良介は首を傾げた。

 

「ああ、汐浜の丘の上に建っているらしい。

昔、有名な人形収集家が住んでたとか。」

 

「へえ・・・それで、その収集家どうしたんだ?」

 

「ある日、突然気が狂って死んだらしい。

不思議なことに死体から人形の手足が出てきたらしい。」

 

「それが今回のクエストの場所か。

ちなみに、その話本当か?」

 

「さあ、わからん。

千佳の奴から聞いただけだから。

案外、ただの都市伝説なのかもな。」

 

「まぁ、クエストが出てる時点で魔物の仕業だと考えた方がいいな。」

 

良介はため息をついた。

 

「それで、誠。

クエスト請けるのか?」

 

「もちろん、良介も行くだろ?」

 

「当たり前だ。

それじゃ、申請しに行くか。」

 

良介と誠はクエストを請けることにした。

 

   ***

 

洋館の中、ゆかりと聖奈がいた。

 

「もー、どこ行っちゃったのよう音無さん・・・」

 

「フン、普段威勢がいい割には逃げ足は速いのだな。

戦場では常に冷静でいられるようにしてほしいものだが・・・」

 

ゆかりが何かに気付いた。

 

「あっ、あれ良介くんじゃない?

なんだあっち側にいたのね。」

 

ゆかりが良介のところに向かう。

 

「おーいっ!

良介くーん!

神凪さん、ありすちゃんも!」

 

「ん?

ゆかりさんと聖奈か。」

 

良介は2人に気付いた。

 

「2人とも、会えてよかった。」

 

怜は2人を見て安心した。

 

「すまん。

音無が先行してしまったから、追おうとしたのだが・・・」

 

「すごい悲鳴あげて奥へ走ってちゃったのよ。

怖いの苦手だったのね。

シャルロットさんと誠くんが追っかけてくれたんだけど、見失っちゃって。」

 

「この洋館、結構入り組んでいるみたいだな。」

 

良介が辺りを見渡した。

 

「まあ広いと言っても洋館の中だ。

すぐ会えるさ。

音無はともかく、あのシスターと誠がいれば心配はいらないだろう。」

 

「そうなの?

シャルロットさん、いつも優しくて、おっとりした感じだけど・・・」

 

「ヴィアンネ教司会は魔物退治の先駆け。

そこから派遣された【使徒】だ。

彼女らは魔物を神の敵であるとしてえ、絶対に容赦はしない。

性格がどうあれ使徒である以上、あのシスターも例外ではないだろう。」

 

「へえ・・・すごいのねえ。

歓談部でおせんべ食べて勧誘してるイメージしか・・・」

 

すると、ゆかりがあることに気付いた。

 

「あれ?

良介くんは?」

 

「奴ならたった今、私の後ろを歩いていたはずだが。」

 

「そこのドアに入ったりしたのかな?」

 

「いや、なにも物音は・・・椎名?

神凪と楠木はどうした。」

 

聖奈は怜とありすもいなくなっていることに気付いた。

 

「え?

あれ・・・いない、なんで・・・?」

 

「これは・・・単独行動にならんよう気をつけろ。

私の側から離れるなよ。」

 

聖奈とゆかりはできるだけ引っ付きながら奥へと進んだ。

 

   ***

 

良介と怜とありすの3人は周りを気にしながら歩いていた。

 

「ありす、足元に気をつけろよ。

もしもだったら手貸そうか?」

 

ありすは不安そうな顔をしていた。

 

「・・・ゆかりさんと聖奈のことが心配なのか?」

 

「気にすんなぃ。

あいつらだって強いんだ。

大丈夫さね。」

 

「そうだな。

2人ともしっかりしている。

わかっているじゃないか楠木。」

 

怜は人形に話しかける。

 

「いやオレっちはありすじゃねーよ?」

 

「ああ、なんだったか、名前があるのだったな。」

 

「おうさ!

【狂った姫様】と書いて、クレイジープリンセスと読む!

姫様でもクレプリでも好きなように呼・・・んぁっ!?」

 

突然ありすは走り出した。

 

「ありす、その人形は・・・」

 

良介も後を追いかけた。

 

「心配ないさね。

もうこのマリオネットは動かねえ。」

 

「ぅ・・・」

 

ありすは悲しそうな顔をした。

 

「だが相手は魔物だ。

動かないからといって不用意に近寄るな。」

 

怜がありすに注意した。

 

「神凪よう、あんまりありすを叱らねえでやってくれ。

ただでさえ人形達が無残な姿になってハートが傷ついてるんさ。」

 

クレプリが怜に話しかけた。

 

「む・・・楠木は人形が好きなのだったな。

しかしこの館のは・・・愛らしいとはいいがたいが・・・」

 

怜は人形を見つめた。

 

「ありすにとっちゃみんな可愛いお友達さね。

なあありす。

こいつらは霧で操られてるだけなんだよな?」

 

「ぅん・・・かわ・・・ぃ、そ・・・」

 

ありすは悲しそうな目で人形を見つめる。

 

「けど手を抜けばこっちがやられる。」

 

良介は人形に背を向けた。

 

「でも・・・ぁ・・・!!」

 

ありすが何かに気付き、走り始めた。

 

「あっ!

おいっ、そっちは強そうなのが・・・

ダメ!

ダメだってありす!

良介、ありすを止めてくれぇ!」

 

ありすはクレプリを振り切って走っていってしまった。

 

「はぐれたらまずい!

行くぞ、怜!」

 

「ああ!」

 

良介と怜もその後を追いかけた。

 

   ***

 

ありすは敵の人形に魔法をかけ、動かし始めた。

 

「ぅご・・・ぃ・・・た・・・

いぃ、子。」

 

ありすは人形を見て安心した。

 

「凄いな、敵の人形も操れるのか?」

 

良介がありすに質問する。

 

「正確には物を動かす魔法さね。

ありすは特に人形を操るのが得意ってわけさ。」

 

質問にクレプリが答えた。

 

「ぅ。

で、でも・・・た、くさん・・・は・・・」

 

「10体ぐらいいけるよな?

良介が手伝ってくれれば多分もっといける。」

 

「もしかして館中の人形を全て操るつもりか?」

 

今度は怜が聞いてきた。

 

「全部はさすがに無理さね。

バラバラに壊れているやつらもいるし。

物を動かす魔法に加えて、霧の魔物からイニシアチブを奪うわけだからな。

霧だけドバーッと払えりゃいいんだがね・・・うまい方法がないもんか。」

 

「なるほど・・・ありす、無理はするなよ。

怪我したら元も子もないからな。

今はなるべく霧を払うことを優先するんだ。」

 

良介の言葉を聞いてありすは哀しそうな表情になった。

 

「良介のいう通りさね、ありす。

あいつらを救いたいのはわかる。

オレっちだってそうさ。

だが1人でどうにかしようとすんな。

霧の魔物はエグいぞ。

油断したらすぐ殺されちまう。」

 

「でも・・・ほ・・・っとけ、な・・・」

 

「だーっもう、わからず屋さね!

良介、なんとか言ってやってくれよ!

 

「なんとかと言われてもな・・・」

 

良介が考え始めると怜がありすに話しかけた。

 

「楠木、私からの提案だ。

襲ってくるマリオネット以外は極力壊さないようにする。」

 

ありすは怜の言葉に驚いた。

 

「だが、お前の身に危険が及ぶようなら倒す。

その上でお前が救えそうな奴がいたら一緒に助けよう。

良介もそれでいいか?」

 

「まぁ、ありすがOKなら俺はそれでいいけど。」

 

「は・・・ぃ!」

 

ありすは嬉しそうに返事をした。

 

「よし、では約束だ。」

 

すると、怜は良介の方を向いた。

 

「良介、少しいいか?」

 

「ん?

どうした怜。」

 

怜と良介は少しありすから離れた。

 

「くれいじー・・・なんだったか。

楠木の人形だが。」

 

「ああ、クレイジープリンセスね。

それがどうかしたか?」

 

「あれは腹話術で動かしているのではないのか?

自分を制したり、文句を言ったり、とてもそうは思えないのだが・・・

あの人形は一体なんなんだ?

お前は知っているのか?」

 

良介は少し沈黙した後、口を開いた。

 

「わからん。

少なくとも腹話術らしきものでしゃべっているとは思えない。

人形自体に人格があるとしか・・・」

 

「そうか・・・」

 

少ししたあと、怜はありすのところに向かい始めた。

 

「これ以上話していると変な疑いをかけられそうだ。

戻ろう。」

 

「ああ、そうだな。」

 

良介と怜はありすのところも向かった。


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