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それでもOKという方は、よろしくお願いします。
紗妃は一人で見回りをしていた。
「違反者は・・・いませんね。」
すると、純がやってきた。
「おっす氷川さん。
まーだ風紀委員してるの?」
「ああ・・・鳴海さん。
もちろん、私は風紀委員ですから。」
「まま、そんなカタいこと言わないで。」
純は紗妃に近づこうとする。
「え、あ、あの・・・なにを・・・」
「実はプレゼントがあるんだー。」
「な、なぜそんなに近寄る必要が・・・」
「だってつけてあげないとね。
手渡すだけじゃつけないでしょ?」
「つ、つける?
なにを・・・」
純はなにか取り出すと、紗妃の髪に取り付け始めた。
「ちょ、ちょっと鳴海さん!
いったい何を・・・!」
***
紗妃は純から離れ、走っていると、沙那と会った。
「おや、氷川さんではありませんか。
そんなに急いでどちらへ?」
「い、いえ、特に目的があるわけでは・・・」
「かわいらしいシュシュですね。
よくお似合いですよ。」
「あっ・・・こ、これは自分で着けたわけでなく・・・
す、すぐに取らなければ!」
紗妃はシュシュを外そうとした。
「そんなに乱暴にしては御髪が乱れてしまいます。
お任せ下さい。」
沙那は紗妃に近づいた。
「ひゃっ!?
・・・あ、す、すいません・・・」
「いえ、それでは少し、じっとしててくださいね。」
すこし経って、沙那は紗妃のシュシュを外さず綺麗に留めた。
「あの、これは一体・・・」
「しっかり留めておきましたから、もう大丈夫です。」
「えっ!?
ち、ちがっ・・・私は外そうと・・・!」
「校則違反ではないでしょう?」
「確かにそうですがっ!」
「お綺麗ですよ。
羨ましいです。」
「そ、そうではなく・・・」
「申し訳ありませんが、私は初音様をお探ししなければなりません。
ごきげんよう。」
沙那は去っていった。
「あっ!
つ、月宮さん!」
紗妃は沙那の後を追いかけようとした。
***
紗妃は一人で歩いていた。
「な、なんだか落ち着かない・・・みんなに見られてる気がする。
私のようなものがこんな可愛らしいシュシュなど似合わないというのに・・・
ああ、やはり返した方が・・・で、ですが一度着けてしまったら・・・」
紗妃が右往左往しているとすぐ近くに絢香がやってきた。
「(ああ、やっぱり困ってる・・・)」
すると、絢香は紗妃に話しかけた。
「氷川さん。」
「はっ!
す、皇さん!
ちょうどよかった!
あ、あの私はどうしたらよいでしょうか!
理由もなくこんなものをいただいて、しかも私には到底・・・」
「似合ってるよ?」
「えっ・・・あ、あの、そうではなくて・・・」
「ゴメンね。
純ちゃん強引だから・・・
でもイタズラなんかじゃなくて、純ちゃん、15分くらいかけて選んだから。
1番似合うものをって。
制服だとちょっと浮いちゃうかもだけどね。
帰ったら1度、私服と合わせてみて?
絶対気に入ってもらえるはずだから。」
「え・・・ええと・・・はあ・・・」
「あっ。
ほら、今見つかったら着せ替え人形にされちゃうから・・・
純ちゃんがこっちに来る前に、行った方がいいかも。」
「あ、わ、わかりました。
そ、それでは・・・」
「うん、また後でね。」
紗妃が離れると純がやってきた。
「あれ?
誰かと話してたの?」
「え?
あ、ううん。
少し景色を眺めてただけ。」
「ふーん・・・なんだ。
じゃあもっといいとこあるよ。
ちょっと高い所。
あそこ、見える?」
「うーん・・・あそこ?」
絢香は純が指差した方を見た。
「そうそう、そろそろ夕焼け近くなるし、夜は園内のネオンが綺麗なの。
10分かからないし、行ってみよ?」
「うん。
じゃあ行ってみよっかな。
あ、途中でアイス買っていい?」
すると、純が不安そうな顔をした。
「だ、大丈夫だよ、今日は歩き続けてるから!」
「ふうん?
ま、いいんじゃない?」
純は先に歩いて行った。
「あ、ちょっとなにそれ!
待ってよ~っ!」
絢香は純の後を追いかけていった。
その頃、紗妃は一人で歩いていた。
「選んでくれたんですね・・・
本当に似合ってるのかしら・・・?」
***
生徒たちは帰る時間になったのでバスの前に集まっていた。
「帰るまでが課外授業ですっ!
さあみなさん!
きりきりと整列してください!
だらけているとその分帰るのが遅くなりますよ!」
紗妃が生徒に指示を出していると、純がやってきた。
「おおー、ずっとつけてくれてたんだ。
よかった。」
「あ、いえっ!
そ、それは・・・」
「普段使いにはちょっと派手だけど、余所行きの時は可愛いからヨロシクね。」
「あっ、あの・・・わかりましたから、整列してください!」
良介と誠も戻ってきた。
「おい、誠。
迷路だけで時間半分以上食ったじゃねえか。」
「そんなの俺に言われても知らねえよ。」
紗妃が2人のところにやってきた。
「さあ、早く整列してください!」
「へいへい、わかりましたよ。」
誠がため息をつきながら整列した。
「はぁ・・・ん?」
良介は紗妃の髪のシュシュに気がついた。
「ん?
良介さん、どうかしましたか?」
「そのシュシュ、似合ってるよ。」
「え・・・!」
紗妃の顔が赤くなった。
「は、早く整列してください!」
「わかったよ。」
良介は整列した後、バスに乗り込んだ。
紗妃は学園に着くまで、終始顔が赤くなったままだった。