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つかさと合流した良介たちは地下に来ていた。
「ふむ・・・地下か。
こんなところがあるとはな。」
チトセはつかさを見ていた。
「本当に強いわね。
この子・・・見くびってたわ・・・
ブルイヤールを肉体強化だけで倒すなんて意味わかんない。
まぁ、それよりも・・・」
チトセは良介たちの方を見た。
「ふーん・・・言うほど強くないな。
まだ第1封印解いてないんだけどな。」
「良介・・・お前また強くなってないか?」
「さぁ、どうだかね。
てか、お前もなんやかんやで魔神化せずにいるじゃねぇか。」
「ほとんどお前が倒すからな。」
チトセはため息をついた。
「剣も使わず、肉体強化も使わずに素手で倒すなんて・・・
一体どうなっているのかしら、彼。」
チトセは再びつかさの方を向き、話しかけた。
「それで、この地下になにかあると思うの?」
「なにかではなく魔物だ。
いる・・・息をひそめた強者が。
殺気までは隠せんようだな。
天敵がいないと油断しているな。」
それを聞いて誠は良介に聞いた。
「て言ってるけど、わかったか?
いることに。」
「なんとなくだが、気配みたいなものは感じるな。」
「よくわかるな。
俺はまったくわからんぞ。」
チトセは地下の先の方を見た。
「野生のカン、というべきかしらね?
まぁ、いいわ。
確かにいるわ。
それもこれまでに比べて遥かに強い魔物が・・・」
誠はそれを聞いて唖然とした。
「・・・あれ?
わからないの俺だけ?」
「しっかりしろよ誠・・・」
良介はため息をついた。
「まず間違いなくタイコンデロガね。
さすがにこれ以上は危険よ。
一度戻って、報告しましょう。」
チトセは帰ろうしたが、つかさは構わず進もうとした。
「勝手に行け。
私はこのまま進む。
貴様の命令に従う理由はない。」
つかさは止めようとするチトセを睨んだ。
だが、チトセは微笑んでいた。
「会長さんから無理をさせるなと言われてるの。
あくまで進むというなら力ずくでも止めるわよ。」
「ん?
やる気になったのか。
ならば・・・始めるか?」
黙って聞いていた良介が口を開いた。
「・・・ここで始めるつもりなら2人とも俺が止めなきゃならんな。」
「なんだ、貴様もやる気になったか?」
つかさが嬉しそうに笑った。
「良介君は下がってて。
ここは私が・・・」
「いや、俺がやる。
ここまでわからず屋なら徹底的にやらなきゃダメだからな。」
「うわ~、良介の奴、久々にイラついてやがる。
まぁ、ここまで我儘だったら当たり前か。」
誠は呆れた。
良介はつかさの前に立ち、つかさを見上げ睨みつけた。
「・・・いい殺気だ。
お前は中々楽しめそうだ。」
「・・・今に笑えなくしてやるよ。」
と、良介が何かに気付いた。
「ん?」
チトセが2人を止めに入った。
「待って・・・遅かったわね。」
「ククク、地下の深くから魔物がやってくる・・・
邪魔するなよ。」
つかさは笑みを浮かべた。
「1体じゃないわ。
さすがにそれは聞けないわね。
地上に出すわけにはいかない。
私も戦うわ。」
誠も前に出てきた。
「ここまで来て俺にもようやくわかったぜ!」
「かなりの数だな。
4人でも骨が折れそうだな。」
良介は剣を抜いた。
「不要だ!
私から離れないのなら見ているだけにしろ!」
つかさは1人で進もうとした。
が、チトセに止められた。
「そうはいかないわよ。
いくらなんでもあなた・・・
私たちを止めながら、この強さの魔物と戦うことができて?」
その頃、地上。
姫たちがいた。
姫が何かに気付いた。
続いて隣にいた刀子も何かに気付いた。
「む・・・今の音は・・・」
と、突然地面が崩落し、姫が下に落ちた。
「きゃあっ!?」
「な、なんだとっ!?」
その様子を自由が少し離れたところから見ていた。
「あ、お嬢が落ちた・・・
えっ!?
な、なんで!?」
自由はその場に走って向かった。
刀子が穴に向かって名前を呼んでいた。
「ひ、姫殿っ!」
「刀子先輩!
今のいったい・・・ゲッ。
なんすかこの穴。」
「なんということだ、崩落してしまった・・・姫殿が・・・
ぬ、ぬおおっ!
自由、人を呼んで来い!
拙者は行くぞっ!」
「ちょタンマ!
魔法使わずに飛び降りちゃダメでしょ!
自分、国軍の人と立華氏呼んで来るっすから!
ちゃんと肉体強化してから飛び降りるんですよ!」
自由は人を呼びに向かった。
***
少し前、地下。
良介たちが魔物と戦っていた。
「邪魔だぁっ!」
良介がゼロ距離から魔物に魔法を放ち、魔物は魔法の爆発に巻き込まれて消滅した。
と、その衝撃で天井の一部分が崩れ落ちた。
「む、崩落が起きたか。」
つかさが崩れ落ちたところを見た。
「気をつけて戦っていたつもりだけど、予想以上に地盤が脆いみたいね。」
「危ねー、崩れ落ちたか。」
崩落部分の近くにいた良介のところにチトセがやってきた。
「良介君、大丈夫?
怪我しなかった?」
「ああ、俺は大丈夫だ。
・・・ん?」
良介が何かに気付き、上を見上げた。
刀子が降ってきた。
「姫殿ーっ!」
「あら・・・あの子・・・」
刀子は着地すると、良介たちに聞いてきた。
「ハァ、ハァ・・・お、お主ら姫殿見なんだか!?」
「姫・・・野薔薇さんのこと?」
「姫がどうかしたのか?」
良介の表情が少し険しくなった。
「左様!
崩落に巻き込まれて落ちてしまわれた!」
つかさが崩落部分の方を見た。
「この先が岩と土砂でふさがった。
このあたりにいないなら向こう側だな。」
「なんだと!
い、今すぐっ!」
急いで向かおうとする刀子をつかさが止めた。
「待て、小娘・・・ククク、朱鷺坂といったか。
これでも止めるか?」
「私も行くわ。
野薔薇さん1人では、長くはもたないでしょう。
気絶してる可能性が高いわね。
瓦礫を魔法で吹き飛ばすのは得策じゃない。」
「なら、別の道から行くしかないか。
行くぞ!」
良介は脇道から回っていくことにした。
その頃、地上。
自由が卯衣を呼びに向かっていた。
「立華氏ーっ!
あ、あれ?
立華氏はどこっすか?」
卯衣はおらず、結希と天しかいなかった。
「調査に出してるわ・・・どうしたの?
急いでいるようだけど。」
「あ、あああのですねっ!
地面が突然崩れてお嬢が落ちて・・・」
「さっきの地響き、それ?」
天はため息をついた。
「たぶんそれっす!
刀子先輩が飛び降りて、引き上げるために立華氏が・・・
空飛べるじゃないっすか!」
結希は手元の時計を見た。
「崩落から5分も経ってないわね。
落ちた場所は見えた?」
「え?
い、いや、自分たちからは・・・」
「卯衣を呼び戻すには時間がかかるわ。
結構遠くに行かせてるから。
ここは南条さんにお願いしましょう。」
結希はデバイスを取り出した。
「な、南条?
あのお子様っすか?」
自由は唖然とした。
その頃、恋は智花と一緒に行動していた。
デバイスが鳴ったので取り出した。
「む、またミナ・・・ではない。
智花。
宍戸からじゃ。
ちと待っとってくれ。」
「うん、いいよ。」
恋はデバイスに出た。
「もしもし・・・ふむ。
ああ、さっきの・・・わかった。
わっちの魔法が役に立つのう。
ではすぐに行こう。」
恋はデバイスを消した。
「智花、さっきの崩落場所に行こうぞ。
野薔薇が巻き込まれた。」
「え、ええっ!?
野薔薇さんが!?」
2人は崩落場所に向かった。
***
崩落場所。
梓がいた。
「これはまた、とっても深いッスな・・・
しかしこんなとこに地下洞窟があったとは。
生天目先輩も野生のカンっすなぁ・・・
見たとこ良介先輩に誠先輩、生天目先輩と朱鷺坂先輩、支倉先輩・・・
自分が率先していかなくてもだいじょーぶだとは思いますが・・・」
梓のところに恋がやってきた。
「おおい、梓ーっ!」
「おや、ふくぶちょー。
この辺危ないッスよ。
避難した方が・・・」
「宍戸からのお達しでな。
わっちがここに階段を作る。」
「おおっ。
なるほど。
ナイスアイデア!」
遅れてやってきた智花がその会話聞いて首を傾げた。
「恋ちゃんの魔法?
階段を作る?」
「フフフ、まぁ下の者が戻ってきたら見ておれ。
わっちの魔法は特別製よ。」
その頃、地下。
良介たちは姫を探していた。
「姫殿ーっ!
どこにおられるかーっ!」
「おい、刀子!
あまり声出すな!
魔物が寄ってくるだろうが!」
良介が寄ってくる魔物を殴りながら刀子に注意した。
「はぁ、これだけ大声で騒がれると魔物がどんどん寄ってくるわね。
その分、彼女の元に向かう魔物が減るのはいいことだけれど・・・」
チトセはため息をついた。
「構わん。
もっと騒げ。
私も腕の振るいがいがある。」
つかさは嬉しそうに笑った。
「はぁ・・・結局こうなるのね。」
チトセは再びをため息をついた。
今度は良介の方を向いた。
「良介君、あなたは気をつけてね。
明かりをともしてるけど、影が多いから。
死角から突然、魔物が飛び出してくるかもしれないわよ。」
「ああ、わかってる。
まぁ、死角から来ても、誠が倒してくれるよ。
そうだろ、誠。」
良介は誠の方を向いた。
「ああ、良介が対応できない部分は俺が補う。
そのためについて来てるんだからな。」
「フフ、いいコンビね。」
チトセは静かに笑った。
その頃、地上。
梓が何かに気付いた。
「ん?
ちょっとここ、お願いしていいッスか?」
「あ、うん・・・どうしたの?」
「怪しいもの・・・あ、いやいや、お花摘みに。」
その場を智花に任せると気になったところに向かった。
「よいしょっ。」
梓は何かを拾った。
「えーと・・・えーと・・・なんじゃこりゃ。
と、とりあえず報告しなきゃ。
ええと、だ、誰にだっけ。
総領、じゃなかった、長官、でもない。
ぶちょーは来てない。
あっ、かいちょーッスわ!
いかんいかん、取り乱したッス。」
梓は恋たちの方を見た。
「ふくぶちょーたちは・・・ま、だいじょぶッスかね。
しからば、にんにん。」
梓は静かにその場から離れた。
その頃、地下。
良介たちは姫のところにたどり着いた。
「ひ、姫殿っ!
刀子が参りましたぞ!」
「う・・・・・うぅ・・・・・」
姫の足が岩に挟まっていた。
「いかん、足が岩に・・・くっ!」
岩をどけようとする刀子のところにチトセがやってきた。
「どいて・・・土砂に巻き込まれてこれなら運がいいわ。
死んじゃったらさすがに治せないものね。
生天目さん、岩、動かせる?」
「よかろう。
貴様が手当する間、私が魔物を近づけさせん。」
つかさは魔物と戦う気マンマンだった。
「っていって、戦えればそれでいいのよね・・・しかたないわ。
さすがにこれが終わったら戻るから。
あなたもいっしょよ。」
「ふん、好きにしろ。」
「それじゃ、岩をどけるか。
離れててくれるか?」
良介は肉体強化をかけると岩を軽々と持ち上げ、放り投げた。
「よし、これでいいな。」
「さあ、良介君。
野薔薇さんの足はすぐに治療しないと危ない。
支倉さん、あなたは見ない方がいいわ。
無いとは思うけど・・・
魔物が生天目さんと誠くんを抜けてこないか、見張っててちょうだい。」
「し、しかし姫殿をこのままにしては・・・!」
「あなた、回復魔法使える?」
「・・・むぐ・・・」
「治療中は戦う余裕もない。
あなたが頼りなの。
それに彼女のケガを見て、卒倒でもされたら運ぶ荷物が増えるから。」
「あ、あいわかった・・・助けて下され・・・」
「大丈夫よ。
命に別状はないし、ケガも治るわ。
彼の魔力があるからね。」
チトセは良介の方を見た。
「そういうことだ。
刀子、自分のすることに集中してろ。」
良介たちは治療を始めた。
その頃、つかさと誠は魔物と戦っていた。
「ぐはっ!
つ、強ぇ・・・!」
「足手まといだ!
失せろ!」
魔物の攻撃を受け、膝をつく誠に魔物と戦うつかさ。
「ふざけんな!
この数、お前1人で倒せるわけないだろ!」
2人の前には尋常ではない数の魔物が押し寄せてきていた。
「ふん、私にとってはちょうどいいぐらいだ。
そこで見ていろ!」
「ぐっ・・・くそっ!」
誠は弓を直し、双剣を取り出し魔神化を使おうとした。
が、以前裏世界で起きた自分の異変を思い出し、そのまま止まってしまった。
「うっ・・・!」
「何をしている!
前を見ろ!」
誠は気がつくと目の前に魔物が来ていた。
誠は攻撃を受け、吹き飛ばされた。
「がはっ!」
「バカが!
敵を目の前にして立ち尽くす者がいるか!」
つかさは魔物と戦っていたが少しずつ押され始めていた。
「(マズイ、このままじゃつかさの奴が鯨沈を・・・!)」
誠は意を決して立ち上がり魔神化を使うことにした。
「おおおおおおっ!」
と、突然誠の紫のオーラに混じり、紫の電撃が迸り始めた。
「ぐっ、ぐうううっ!?」
誠は胸の辺りを抑え、膝をついた。
明らかに苦しそうにしていた。
「何をしている!」
つかさが戦いながら声をかけてきた。
誠はつかさの方を見ながら立ち上がる。
「ぐ、クソっ・・・はぁ、はぁ・・・」
誠は苦しそうにしながら魔物に斬りかかった。
「おおおっ!」
一撃で魔物を倒したが、後方の壁が崩壊するほどの斬撃が飛び出た。
「ほう、中々やるではないか。」
つかさは笑みを浮かべたが、誠が苦しんでいるのに気付いた。
「・・・力が制御できてないのか?」
「ぐぅ・・・いい・・・加減にしろよ・・・この野郎・・・!」
誠は歯ぎしりしながら双剣を強く握った。
「俺の・・・言うことを・・・聞きやがれっ!」
誠は飛びかかって来た魔物を双剣の柄で殴り飛ばすと、強く目を瞑った。
「はぁあああっ!」
誠の体から無数の紫の電撃が迸り、突然誠のオーラの色が変わった。
「はぁ・・・はぁ・・・ようやく・・・俺のものになったか。」
誠は自分の手を見て笑みを浮かべた。
オーラの色は紫から赤紫に変わっていた。
同時に誠の目も赤紫に光っていた。
「・・・よし、行くぞ!」
誠は魔物に向かっていった。
つかさはその姿を見て笑った。
「クハハハ、また強くなったか、新海 誠!
それでこそ私の獲物の1人だ!」
つかさも魔物に向かっていった。
***
その頃、地上。
梓が虎千代のところに来ていた。
「それで・・・見つけたものはなんだ?」
「えーと、イタズラでもなんでもないってことをですね・・・」
「そんときは蜂の巣にしてやっから心配すんな。」
虎千代の隣にいたメアリーが笑みを浮かべながら話してきた。
「えぇ・・・ま、まぁ、とりあえず状況から報告しますと・・・
生天目先輩たちが地下の洞窟で派手にやらかしたじゃないッスか。」
「あれはやはりつかさたちだったのか・・・」
虎千代は呆れた。
「それで瓦礫が崩れたんで、試しに見に行ってみたら・・・これが・・・」
梓は拾ったものを虎千代に渡した。
「な、なんだこれは・・・!」
虎千代は驚愕した。
メアリーも隣からそれを見た。
「私立グリモワール魔法学園・・・
おい、どーゆーことだよこれは。」
それには魔法学園の名前が刻まれていた。
「ええと・・・その、自分でもよくわからなくて・・・」
「バカな・・・ここが風飛市だというのか?」
「その、そうッスね。
そういうことになります。
・・・なにが起きてるんでしょ?」
「・・・くそ、遊佐のところに行くぞ。」
虎千代は鳴子のところに向かった。
その頃、結希と天。
こちらも驚愕していた。
「なによこれ、ここ・・・地球じゃない・・・」
「冬の大三角形が見えるわ。
それを構成するオリオン座、おおいぬ座、こいぬ座・・・
気候、大気の成分、植物、そして・・・これが空中から撮影した写真。」
結希は写真を取り出す。
「風飛・・・随分変わってるけど、山や川の位置が同じ・・・ね・・・」
「詳しく調べないとわからないけど・・・
ここは正しく、裏側だったのよ。」
「未知の世界でもなんでもない。
ここは地球で、日本で、風飛・・・
けれどグリモアも風飛も、魔物に滅ぼされている・・・この一帯は全て・・・
どういうことなのよ!」
その頃、鳴子は地上に出てきたつかさのところにやってきた。
「お疲れ様、生天目君。
君が満足できるような相手はいたかな?」
「多少は体がほぐれた程度だ。
あの男に獲物をほとんど奪われた。」
つかさは親指で誠を指差した。
「ああ、そうみたいだね・・・でも君たちが派手に暴れてくれたおかげで・・・
ホラ、生徒会長と宍戸君がこっちに来ているよ。」
虎千代と結希が鳴子のところにやってきた。
「遊佐!
なぜ何も言わなかった!」
「ゲートの先にもう1つ風飛があるって言ったところで、信じたかい?
いや、君が信じたとしても取り巻きはどうだい?
国軍は?
説得に時間をかけるほど暇じゃないんでね。
どうせ・・・いつかわかることだ。
自分で気づけた分、感動もひとしおだろ?」
鳴子は笑みを浮かべた。
「少なくとも、お前をこんなに自由に動かしはしなかった。
なにか探すと言っていたな。
そのために黙っていたのか?」
「予想通り、見つからなかったけどね。
運が悪かった。」
「今はそれはいい。
お前がかつて訪れた裏世界とは、ここのことか?」
「【もう一つの地球】。
その通りだ。
僕は事故でここに来た。
霧の嵐に呑みこまれたショックで魔法使いに覚醒・・・
ここである人に拾われて、しばらく魔法使いとしての訓練を受けた。
なにせ、もう表に帰れる保証はなかったからね。」
「それは人間なんだな?」
「もちろん。
こちらには【僕たちと同じ】人間がいる。
ただし、魔物の侵攻を防げず、表よりもずっと数を減らし・・・
細々と生きるしかない、哀れな敗北者たちだ。」
その頃、恋は魔法で階段を作っていた。
「す、すごい・・・階段ができちゃった・・・」
智花は唖然としていた。
「ふぅ・・・いまじねーしょんを形にできるのがわっちの魔法じゃよ。
絵さえ描けば、たいていのものは召喚できる。
といっても原理は他の魔法と同じでな。
魔力を物質に変換しとるだけじゃ。
じゃから穴の底とつなぐ大きさの怪談はそれ相応の魔力を使うし・・・
他の魔法と同じく、短期間で霧散してしまう・・・むぅ・・・」
恋はその場に倒れてしまった。
「あっ!
れ、恋ちゃん!」
ちょうど階段から良介たちが出てきた。
「はぁ・・・しんどかった。
ん、あれ、恋?」
「ふぅ・・・あら、良介君、出番よ。
魔力切れなら回復してあげればすぐ治るわ。
ついでに私が運ぼうかしら?」
「いや、俺が運ぶよ。」
良介は恋に魔力を送った。
続いて刀子と姫が出てきた。
「姫殿、あと少しでござる・・・」
すると、自由がやってきた。
「刀子先輩!
うわっ!
お、お嬢大丈夫っすか!?」
「ああ、朱鷺坂殿と良介・・・あと生天目殿と誠のおかげで助かった。」
「な、生天目先輩?
なんでまたそんな・・・あ、椎名先輩待機してるっすよ!」
「ありがたい。
では行こう。」
刀子は姫を担いでゆかりのところに向かった。
「はぁ・・・死ぬかと思った・・・」
自由は大きく息を吐いた。
その頃、鳴子と虎千代が話をしていた。
「その、お前が世話になった相手と連絡は取れるか?」
「残念ながらデバイスが通じなかったね。
【運が悪かった】よ。」
「では少なくとも、その人間はまだ生きているわけだな。」
「ああ、生きていると思う・・・僕も会いたかった。」
「クソッ!
わかった、撤収の時間だ!
帰ったら詳しく聞かせてもらうぞ。」
「いいよ。
僕に不都合でない範囲ならなんでも話そう。」
「撤収だ!
魔物に気をつけて、順次ゲートをくぐれ!」
虎千代は他の生徒に呼びかけた。
「アタシたちは来月で卒業だ。
どうするんだ?」
「さぁ・・・留年でもしようかな。」
鳴子は笑みを浮かべた。
良介と誠は話をしながらゲートに向かっていた。
「で、誠。
新しい力に目覚めたって?」
「ああ、名付けて、【魔神化第2形態】ってところだな。
なにが原因で強くなったか不明だが。」
「以前、裏世界に来てから魔神化がおかしくなり、そして今回暴走しかけた力を制御し、パワーアップか。」
「ああ、一体なぜ暴走しかけたのか、未だに不明だけどな。」
「・・・霧が関係してんじゃねえのか?」
「霧が?
なんでだ?」
「結構霧が濃かったじゃないか、さっきの地下。
それにこの世界自体も自分たちの世界に比べたら少し濃く感じる。」
誠は少し考えた。
「そういや、魔神化が使えるようになったのも第7次侵攻で霧がかなり濃い場所にいてからだったな。
霧が深く関係してるかもな。」
「まぁ、帰ってからゆっくり考えよう。
それじゃ、帰るぞ。」
良介はゲートをくぐった。
誠もそれに続いた。