グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
 閲覧者様のイメージを壊す可能性があります。
 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第44話 ゲレンデ

ある日、良介と誠は校門前に来ていた。

 

「兎ノ助、話ってなんだ?」

 

良介が兎ノ助に聞いた。

 

「ああ、なんと・・・文科省からのご通達でな。」

 

「文科省・・・文部科学省か。

ん?

魔法学園は防衛省の管轄じゃなかったか?」

 

誠が良介に聞いた。

 

「私立だから複雑とか言ってなかったか?

まあいいや。

で、文科省がなんだって?」

 

「ああ、井端山ゲレンデの見回りしてもらうぞ!

井端山は温泉が近いからな。

ゲレンデの後は温泉旅館とってるらしいぞ。

いちおう温泉のほうも警備って名目だが、体休めてこいよ。」

 

「ほう、温泉か・・・」

 

誠がニヤけ始めた。

 

「お前なぁ・・・」

 

良介は呆れた。

 

「とりあえず去年の海と同じことするみたいだな。

スキーは始めてだな。」

 

「俺も始めてだ。

楽しみだな。

特に温泉・・・」

 

「覗くなよ。」

 

「の、覗かねえよ!」

 

良介と誠は寮にゲレンデに向かう準備をしに向かった。

 

   ***

 

生徒たちはスキー場に来ていた。

 

「ヒャッハ!

こんだけ積もってたらベイルのスキー場思い出すな!」

 

「べいる、ですかぁ?」

 

スキー場を見て興奮しているメアリーにさらが聞いてきた。

 

「コロラド州のベイルっていう場所にあるでかいスキー場のことだよ。」

 

良介がさらに説明した。

 

「へえぇ~。

アメリカにもこんなに綺麗なところがあるんですねぇ。」

 

「アメリカにも、じゃねぇよ。

こんなん序の口だぜ。

でっかくなったら行ってみな。

目ん玉飛び出すぞ。」

 

「ええ、おめめが飛び出しちゃうんですかぁ・・・

こ、怖いですぅ・・・」

 

「いや、そういう表現してるだけで・・・」

 

「おめめ・・・ハハハハ!

オメー笑えるぜ!」

 

さらの反応に爆笑するメアリー。

 

「うぅ~・・・メアリーさん、いじわるです・・・」

 

「あれ?

シローのやつどこいった?」

 

良介はシローがいないことに気付く。

 

「おい、シロー。

どこに・・・痛っ!?

あ、シローそんなとこに・・・わかった見えてるから噛み付くな!」

 

「ぶぁははは!

白くて見えねぇとかベタすぎんだろ・・・!」

 

少し離れたところに誠とエミリアと初音がいた。

 

「メアリーのやつ・・・なんであんな薄着で平気なんだよ・・・」

 

「メ、メアリーさんがあんなに楽しそうに話してるなんて・・・」

 

誠は寒がり、エミリアはメアリーが楽しそうに話している姿に驚愕していた。

 

「せっかくスキー場に来たんだからさあ、そこらへんに穴掘って・・・」

 

「おいおい、俺らは人助けで来てるんだぞ。

そんなことしてどうすんだ。」

 

初音の発言に対し、注意する誠。

 

「あーもー、アタシが人助けってガラかよ・・・」

 

初音はどこかに行ってしまった。

 

「さて・・・それじゃあ私も・・・」

 

エミリアもどこかに歩いて行ってしまった。

 

「・・・・・体動かして体温めるか。」

 

誠も適当に歩くことにした。

 

   ***

 

良介たちはスキー教室に参加していた。

さらとエミリアは話をしていた。

 

「困っている人、たくさんいますねぇ。」

 

「そうですね・・・でも命に関わるような事故などが起きてないのはいいことです。

できれば、スキー教室のまま終わりたいですね。」

 

「(そうなってくれたら嬉しいが・・・どうも嫌な予感がするんだよなぁ・・・)」

 

良介は2人の会話を聞きながら滑っていた。

 

「えみりあさん、とってもお上手なんですねぇ!

びっくりしましたぁ。」

 

「イギリスの魔法学園のときはよくスキーにでかけていましたからね。

スコットランドのほうでは、雪は珍しくありませんし。」

 

「イギリスですかぁ。

行ってみたいですねぇ。」

 

「もちろん歓迎しますよ。

ぜひ遊びに来てください。」

 

すると、エミリアは何かに気付いた。

 

「あら、あちらでも子供たちが・・・あの辺りは・・・」

 

「最初に注意されていたところだな。」

 

滑っていた良介がエミリアの隣で止まった。

 

「あそこ、雪崩が起きやすいから立ち入り禁止じゃなかったか?」

 

「いけません、急いで連れ戻さないと!」

 

良介とエミリアは子供たちのところに向かった。

少し離れたところに初音とメアリーがいた。

 

「・・・おい。」

 

「ひぃっ!?

お、おお、グンジンじゃねーか!」

 

メアリーに話しかけられ驚く初音。

 

「アタイらはここに遊びに来たのかよ。」

 

「何が言いたいんだ?」

 

すぐ近くで滑っていた誠がやってきた。

 

「魔物はどーしたんだよ。

こっちゃヤル気マンマンで来てんだぜ。」

 

「あ、いや、魔物は・・・そんなでないんじゃねぇかな・・・

社会奉仕活動だしな。

はは・・・」

 

初音は少し引き気味に言った。

 

「チッ・・・なんでぇ。

せっかく雪山でバトれると思ったのに。」

 

「こんなところに魔物が出てこられても戦いにくいから嫌だけどな。」

 

誠はため息をつきながら言った。

 

「そ、そーかそーか。

そりゃ残念だ・・・そんじゃアタシは落とし穴彫りに・・・」

 

初音はそこから離れようとしたがすぐにメアリーに呼び止められてしまった。

 

「まー待てよピクシーガール。

テメー、JGJの娘だったな。

せっかくの機会だ。

いっちょ仲良くなっとこーじゃねーか、ん?」

 

「な、なんで仲良くなる必要が・・・」

 

「そりゃオメーよ、アタイが使ってるマシンガンはJGJ製だぜ?

つまりアタイはテメーのお客さんだ。

客と仲良くなるってな商売人の鑑だねぇ。」

 

「い、いいよっ!

別にアタシはJGJに入社するわけじゃねぇしさ!」

 

「まぁまぁ、第6世代デクの話でもしよーじゃねーか。

そーだな・・・いくらで流す?」

 

「だからそーいう話をアタシとやっても意味ねーっての!」

 

「・・・巻き込まれないうちに別の場所に行くか。」

 

誠がそこから離れようとした途端、突然謎の音が聞こえてきた。

 

「・・・ん?

なんだ今の音。」

 

あたりを見渡すメアリー。

 

「音?

なにも聞こえなかったぞ?」

 

「俺にも聞こえた。

たぶんあそこ・・・」

 

誠が音が鳴った方向に振り向いた。

 

「ありゃぁ・・・雪崩だ。」

 

雪崩が起きていた。

 

   ***

 

良介は子供たちを避難させた後、急いでゲレンデに戻ってきた。

 

「良介~っ!

こっちなのだぁ!」

 

里奈が良介を呼んで来た。

 

「すまない、待たせた。」

 

「あ、良介君。

来てくれたんですね。」

 

その場にはエミリアとさらがいた。

 

「あの、あのですね!

男の子が1人、ゆくえふめいなんだそうです!」

 

「行方不明?

・・・雪崩に巻き込まれたか?」

 

「ええと・・・そうとは限らないそうですが・・・」

 

すると、メアリーがやってきた。

 

「おい、雪崩が起きたってのになにボーッとしてやがんだ。

さっさとそこのガキ共、連れて帰りやがれ。」

 

メアリーはまだ残っていた子供たちの方を見て言ってきた。

 

「ま、待ってください!

もしかしたら1人、巻き込まれてるかも・・・」

 

「いま聞いたぜ、イギリスガール。

だから返せっつってんだ。

そこの犬連れもだ。

埋まってんなら雪掘るんだ。

足手まといは帰ってな。」

 

「うぅ・・・」

 

足手まとい呼ばわりされて少し悲しそうにするさら。

 

「オラ、行くぞ良介と・・・えっと、ヨナミネだったな。

アタイは軍で救助もやってんだ。

見つけてやるから黙って言うこと聞きな。」

 

「・・・お、お願いします・・・」

 

メアリーはそのまま捜索に向かおうとしたが、すぐに立ち止まった。

 

「あ、そーだ犬連れ。

オメーよ、JGJのガキ連れてけ。」

 

「・・・はつねちゃんですか?」

 

「ただの迷子かもしれねーんだろ。

探せ。

そのクソガキが見つかったら、さっさと切り上げられるってもんだ。」

 

「は、はい!」

 

「イギリスガール!

テメーはガキども預けたらタンカ持ってこい!」

 

「はい!」

 

メアリーたちは捜索に向かった。

 

「いいか!

小規模な雪崩だが、雪崩ってもんは巻き込まれたら生存率は低い!

ただのガキだ。

ビーコンも持ってねぇし、対処法も知らねぇ。

発生から5分!

ガキの体力だったら残り5分と考えろ!

だが言っておくことはある。

30秒で言うから耳の穴かっぽじって聞け。」

 

メアリーは里奈の方を向いた。

 

「色黒。

テメーは耳がいい。

声を出してないか聞き取れ。」

 

「おうさ。

任せるのだ。」

 

「探す間は魔法を使うな。

なにやっても傷つける恐れがある。

アンダスタン?

手で掘るんだよ。

だが見当は付ける。

ゾンデ棒使え。

使い方のレクチャー受けただろ。

道具は使うもんだ。

いいな。

もしガキが埋まってるんなら、助けなきゃ死ぬ。

覚悟しておけ。」

 

「わかった。

誠、行くぞ!」

 

「おうよ!」

 

良介は誠と向かった。

少し経って、メアリーは1人で掘っていた。

 

「残り1分。

チッ、ここも違ぇ・・・埋まってんならさっさと出てこいっつの。」

 

すると良介の声が聞こえてきた。

 

「いたぞー!」

 

「!!」

 

メアリーはすぐに良介のところに向かった。

 

「掘り出すぞ!

誠、土の強化をお前にもかける!

周りを掘るんだ!」

 

「了解だ!」

 

良介は肉体強化をかけると誠と周りを掘り始める。

 

「オラァ!

よし、抜けたぞ!」

 

良介は子供を引き抜くことに成功した。

と、エミリアがタンカを持ってきた。

 

「お待たせしました!

タンカです!」

 

「Good!

おせーが間に合やどうでもいい!

乗せろ!」

 

良介が子供をタンカに乗せた。

 

「色黒!

後ろ持て!

アタイが前だ!

イギリス、ぼさっとしてんな!

テメーは回復魔法が使えるだろうが!

かけ続けろ!」

 

「エミリア、俺が魔力を流す。

魔力残量考えずにやれ。」

 

「わ、わかりました!」

 

エミリアは良介の魔力を使いながら回復魔法をかけ始めた。

 

   ***

 

「はぁ・・・あの後に遊ぶとさすがに疲れるな・・・」

 

良介は疲れきった様子で戻ってきた。

 

「俺みたいにゆっくりしてりゃいいのに・・・」

 

誠が近くの売店から出てきた。

 

「お前、どこ行ってたんだ?」

 

「暖かいもん飲んでゆっくりしてた。

さすがに遊ぶ気にはなれないからな。」

 

と、里奈の声が聞こえてきた。

 

「おーい、帰りの電車、もうすぐだぞー。」

 

「あ?

・・・もうそんな時間か。

雪くらいゆっくり見せやがれってんだ。」

 

メアリーはため息をついた。

良介がその言葉を聞いて、メアリーに聞いてみた。

 

「・・・雪国の生まれなのか?」

 

「はっ。

雪見てたら雪国生まれってのかよ。

いくらなんでも単細胞すぎんだろ。」

 

「単細胞はないだろ。

まったく・・・」

 

「さて、次はフロか。

ロクに体動かしてねえ。

バカンスみたいなもんだな。」

 

メアリーは向こうに行ってしまった。

 

「あんなに懐かしそうに雪見てたんだ。

隠すことないだろ。」

 

「ま、そう言うなよ良介。」

 

「さ、お前たちも帰るぞー。」

 

「ああ、わかったよ。」

 

良介と誠も帰る準備をしに向かった。


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