グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
 閲覧者様のイメージを壊す可能性があります。
 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第3話 生徒会

「それでは気を取り直して、学校案内をしますね!」

 

夏海と別れた二人は、学校案内に行こうとした。

 

「あれ?」

 

その途端、二人のデバイスが鳴った。

 

「なんだ?」

 

二人共デバイスを取り出した。

 

「良介さんにもメッセージが?

宍戸さんからでしょうか?

ええと・・・」

 

二人共、内容を確認する。

 

「せ、生徒会!

会長から呼び出しが!」

 

智花が大声をあげる。

良介は愕然とする。

 

「俺たち、何かしたっけ?」

 

智花は肩を落とした。

 

「学校案内、できるのかなあ?」

 

   ***

 

二人は、生徒会室の前にまで来た。

良介は軽くノックをする。

 

「入れ。

鍵はいつでも開いているぞ。」

 

中から声がしたので、静かにドアを開ける。

 

「ようこそ、私立グリモワール魔法学園へ。

あたしが生徒会長の武田 虎千代(たけだ とらちよ)だ。」

 

白い服を来た女性が椅子に座っていた。

 

「こ、こんにちわ、会長!」

 

智花が元気よく挨拶をする。

声で緊張しているのがわかる。

 

「二人共すまないな。

クエストから戻っていると聞いた。

時間は取らせないから、少しだけ彼と話をさせてくれ。」

 

「あ、はい・・・わかりました。

それでは、外で待ってます。」

 

そう言って、智花は先に廊下に出た。

 

「・・・さて、改めて、グリモアへようこそ。」

 

「は、初めまして、早田 良介です。」

 

明らかに他の生徒とは違う雰囲気を纏っていた。

さすがは生徒会長といったところか。

 

「良介か、いい名前だな。

とりあえず、座るといい。」

 

良介は近くの椅子に腰を掛ける。

 

「まずはこの学校について説明しようと思う。

このグリモアは生徒自治を行っている。

普通の学校にはないシステムだな。」

 

「確かに、生徒自治なんて聞いたことがないですね。」

 

恐らく、やっているのは魔法学園ぐらいだろう。

 

「簡単に、自分たちのことは自分たちでなんとかすると考えてくれ。

教師も運営者も、あたしたちの学園生活に口を出さない。

そのかわり、あたしたちは魔法使いとして正しく生きる義務がある。

その範囲内なら、生徒会の責任において何をするのも自由というわけだ。」

 

「なるほど・・・」

 

かなり普通の学校よりも変わっているようだ。

 

「おいおいいろんな生徒と知り合うと思うが、皆いろんな事情を抱えている。

君と同じような事情を持っている者もいるだろう。」

 

「俺と・・・同じような・・・」

 

良介すぐに誠のことを思い出した。

 

「年齢も幅広い。

それらをまとめるのがあたしたち生徒会だ。」

 

どうやら、生徒会が学園の中心にいるようだ。

 

「特に伝えておきたいのは・・・お前のその体質、能力のせいで、

とても注目されている。」

 

「無尽蔵の魔力と、七属性の魔法か・・・」

 

「学園の大人から、身柄を預かるとか言われるかもしれん。

だがそれに応じる必要はない。

そのための生徒自治だ。」

 

確かに、この能力目当てで学園の大人が寄ってきてもおかしくはない。

 

「困ったら生徒会を頼れ。

必ず守ってやる。

お前も、学園の生徒だからな。」

 

「(できれば、あまり他人に頼りたくないんだがなぁ・・・)」

 

「この生徒自治は少し複雑でな。

慣れるまで時間がかかると思う

わからないことがあったら、他の生徒にいつでも聞いてくれ。

もちろん、側にいるのがあたしのときはあたしでも構わない。

有意義な学園生活を送れるように、バックアップするからな。」

 

夏海のような生徒がいたら送れないようなと思ったが、声に出さないことにした。

 

「よし、今回は簡単だが、これで済ませよう。

行くといい。」

 

「ありがとうございました。」

 

良介は席を立ち、外に出ようとした。

 

「クエストの魔物は弱い魔物だったろうが、

魔法使いに覚醒したばかりでは恐ろしかったはずだ。

だが、南は5年目でベテランの部類に入る。

安心だったろう。

魔物を倒すのは、気持ちがよかっただろ?」

 

「ええ・・・まぁ・・・」

 

良介は苦笑しながら返事をする。

言えない。

5年目のベテランが覚醒したばかりの魔法使いの足を引っ張っていたなんて。

 

   ***

 

良介は廊下に出た。

 

「あ、お話は終わりました。」

 

智花はドアの横に立っていた。

どうやらずっと待っていてくれていたらしい。

するとすぐ近くに二人の女性が立っていた。

 

「こんにちは。」

 

長い髪をした女性が挨拶してきた。

 

「ど、どうも・・・」

 

「貴様が新しい転校生か。

私たちは生徒会役員だ。」

 

どうやら生徒会の役員のようだ。

 

「副会長の水瀬 薫子(みなせ かおるこ)です。」

 

長い髪をした女性が自己紹介をする。

 

「会計の結城 聖奈(ゆうき せな)だ。」

 

眼鏡をかけた女性も名乗った。

 

「早田 良介です。

よろしくお願いします。」

 

良介も同様に自己紹介をする。

 

「用事を終えて戻ってきたら、南さんが立っていて驚きましたよ。

クエストに出ていたはずでしたから。」

 

すると、あわてて智花が謝る。

 

「す、すみません。

終わったので戻ってきて、そしたら会長に呼ばれて・・・」

 

すると聖奈は目を鋭くする。

 

「終わったのなら言うことではないかもしれんが、クエストの遂行は学園生の義務だ。

忘れたりしないように気をつけろ。」

 

「はい、わかってます。」

 

智花が返事を返すと二人は生徒会室に入ろうとした。

 

「では、またいずれ。

あなたの【体質】・・・見せていただきますよ。

じっくりと。」

 

薫子は笑みを浮かべながら中に入っていった。

 

「他の生徒はどうか知らないが、私は怠け者を学園生とは認めない。

そのかわり会計として、働きに応じた妥当な報酬を用意する。

魔物討伐のクエスト遂行ももちろん対象だ。

よく励むように。

・・・忘れるな、労働には対価、だ。」

 

説教じみたようなことを言って聖奈も中に入っていった。

 

「あ、あはは・・・ちょっと怖いですけど、頼もしい人たちですよ。」

 

「いや・・・今のはさすがに嫌味にしか聞こえねぇよ。」

 

そういって良介はため息をつく。

 

「そうでしょうけど、結城さんなんか、私より年下なのにとっても威厳があって・・・」

 

そう言っていると、突然ドアの中から声がした。

 

「無駄話か?」

 

「う・・・!?」

 

良介はへんな声を上げてしまった。

 

「い、行きましょう!

学校案内にです!」

 

   ***

 

そこから話をしながら良介は智花に案内をしてもらっていた。

 

「あ、そういえばですね、さっき会った夏海ちゃんは報道部なんですが、

報道部と生徒会って仲がよくないので、注意してください。」

 

良介は夏海が言っていた言葉を思い出す。

 

「ああ、そういえばさっき夏海がなんか言ってたな。」

 

「はい、あともう1つ、怜ちゃんの所属してる風紀委員とも対立してて・・・

こう、三角形になってるんです。」

 

智花が手で三角形を作って、関係を表現する。

 

「なるほどねぇ・・・(報道部ってどんだけヤバイ部活なんだよ・・・)」

 

「あんまり詰め込んでもしかたがないんで、そんな話もあった、と。」

 

そういっていると、良介はある疑問に気がついた。

 

「あれ、風紀委員と報道部も対立してるわりには、怜と夏海って仲良くないか?」

 

「ええ。

怜ちゃんと夏海ちゃんは仲良しですよ!

たまに夏海ちゃんが校則違反して、叱られてたりしますけど・・・」

 

どうやら犬猿の仲というわけではないらしい。

そうやって話をしていると、一人の生徒が突っ込んできた。

 

「あっ!」

 

「きゃっ!」

 

その生徒は智花とぶつかってしまった。

 

「おいおい、大丈夫か二人共。」

 

良介が二人に話しかける。

 

「あいたた・・・ん?

ちょっと智花、気をつけてよね!」

 

ぶつかってきた生徒が怒ってきた。

 

「あ、ご、ごめんね、月詠ちゃん。」

 

とっさに謝る智花。

 

「あっ!

こんなことしてる場合じゃないの!

早く行かなきゃ訓練に遅れちゃう・・・ん?」

 

月詠が良介の方を見る。

 

「アンタ・・・もしかして・・・」

 

「新しい転校生の人。

良介さん、こちら、精鋭部隊の守谷 月詠(もりや つくよ)ちゃん。」

 

「はぁ、精鋭部隊・・・」

 

名前からしていかにも強そうな感じの名前の部隊である。

 

「ふーん・・・噂はずっと聞いてたけど・・・

ふつーじゃん。

むしろ弱そうじゃない?」

 

「・・・あっ?」

 

突然喧嘩を売ってきたも当然のようなことを言われた。




人物紹介

武田 虎千代(たけだ とらちよ)17歳
5年連続生徒会長という快挙を成し遂げた前代未聞のカリスマ。
在学生の中で総合的な戦闘力がトップであり、非常識なまでに強い。
知名度は世界クラス。
一癖も二癖もある学園をまとめ上げる人望もさることながら、
自ら前線に赴くバトルマニアの面も併せ持つ。

水瀬 薫子(みなせ かおるこ)17歳
生徒会副会長として実務を取り仕切る才女。
カリスマと戦闘に特化しすぎてなかなか事務ができない生徒会長、
武田虎千代を完璧にサポートする。
黒いものでも虎千代が白と言えば白に変えてしまうほど心酔し、
彼女以外の人間を基本的に見下している。

結城 聖奈(ゆうき せな)15歳
生徒会会計。
金の管理ならとにかく彼女に任せておけば安心。
【労働には対価、与えられた仕事は完璧に】がモットーで、
仕事ができない人に対して恐ろしく冷たい。
彼女とまともに話したかったら、どんな些細な仕事でもいい、
きちんとこなしてからにしよう。

守谷 月詠(もりや つくよ)13歳
軍師という言葉に並々ならぬ執着を見せる少女で、
諸葛亮をも超える天才軍師を目指している。
負けん気が強く努力家だが、いかんせん貧弱すぎる体と経験のなさが目立つ。
同じ指揮官タイプの主人公に対してやたら突っかかってくることが多い。

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