グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。



第31話 聖夜協奏曲(後編)

学園で行われていたクリスマスパーティは次の出し物をしようとノエルと智花が準備していた。

 

「ともちゃん、そろそろ出番だよ!」

 

「こんな大勢の前に立つの、久々で緊張しちゃうなぁ。」

 

「イベントは多いけど、こんなに生徒が集まるのって珍しいもんね。」

 

「そうそう、それこそ入学式とか卒業式の時ぐらいで。」

 

「ともちゃんも長いスピーチやってみる?

30分ぐらいするやつ。」

 

「ええっ!?

そんなにもたないよ~。」

 

と、兎ノ助がやってきた。

 

「おい、やべえことになった!

聞いてくれ、2人とも!」

 

「どうしたの?

まさか、またお食事が足りなくなっちゃったとか!?」

 

「いや、そうじゃねーんだが・・・ビンゴ1等の学内ギフトカード、あれな。

執行部の方からダメって言われて、出せなくなっちまってさ。

どうやら【景品に金券】ってのがNGだったみたいでなぁ・・・」

 

「ええっ!?

そ、そう言われても・・・もう、ビンゴ始まっちゃうよ?」

 

「悪い、上が決めたことだからな・・・別の景品にしてくれ・・・」

 

「そうだよね・・・どうしよう、ノエルちゃん。」

 

「あたしが用意するよ。

ともちゃんは司会だし、ウノっちも裏でお手伝いだし。」

 

「わかった!

じゃあ、わたしもそれに合わせて司会進行にするね。」

 

「【プレゼントは最後のお楽しみに】ってすりゃいいワケだな。」

 

「他のスタッフの子にはなんて伝えたらいいかな?」

 

「別々に行動して、何かピンときたら連絡するってことで!」

 

「うん!

いいものが見つかったら、すぐノエルちゃんに連絡してもらうね!」

 

「よろしく!

それじゃ、ともちゃんにウノっちも頑張ってね!」

 

「おう!

任せな!」

 

「ノエルちゃんも頑張ってね!」

 

   ***

 

その頃、良介と誠。

 

「ビンゴねぇ。

何かいい景品あるのか?」

 

「誰かとの1日デート券とかあったりして?」

 

誠が変な笑みを見せる。

 

「・・・そんなもんがあるか。

俺は・・・んー、日用品ねぇかな?」

 

「・・・えらく健全な欲だな。

なんか俺みたいな欲はないのか?」

 

「俺はお前みたいに欲望にまみれてないんだよ。」

 

「つまんねぇなぁ・・・お、始まるみたいだ。」

 

智花が前に出てきた。

 

「お待たせしました!

これからビンゴ大会を始めます!

皆さん、スタッフの方に配られたカードを用意して下さい。

やりかたは分かっていると思いますが、念のため説明しますね。

ええと、このガラガラ・・・でしたっけ?

を回していきますので・・・

カードの数字をミシン目通りに開けて下さい。

一列揃った人は、元気な声で【ビンゴ!】と叫んでくださいね。

素敵な景品を用意しています。

早い者勝ちですよ!」

 

その頃、学園の廊下。

ノエルがいた。

 

「さて、ともちゃんも頑張ってるし、あたしも頑張らないと!

でも何にすればいいかなぁ。

今から街に出ても間に合わないし・・・

他のスタッフのみんなに聞いてみよっかな・・・なになに・・・?」

 

ノエルはもあっとで他のスタッフと連絡をとってみた。

 

「えーと、最新式パソコン、高級アクセサリーにライブチケット・・・

うーん、今すぐ探して買えるかなぁ・・・?

購買で買うとしたら・・・チョコ?

シャンプー?

アロマ?

いくつか買っておけば、後で調整は利くから・・・この辺でいいよね。」

 

ノエルは購買に向かった。

 

「あちゃー、だいぶ減ってるよぉ・・・

考えてみればそうだよね、みんなだってプレゼント買うんだから。

でも・・・今から街に行く時間はないし・・・

・・・よし!

ひとまず買っちゃおう!

派手なのは無いけど、2位以下の人のも必要だもんね!」

 

ノエルはひとまず買うことにした。

 

「えーと、じゃあこのアメと、お茶の素と・・・んー、あと鏡餅も持って・・・

店員さん!

これ全部プレゼント包装で下さいっ!」

 

すこし経って会場。

良介と誠は・・・

 

「んー、なかなかならねぇな。

2つほどリーチにはなってるんだが・・・」

 

「・・・俺なんで一個も合う数字がないの?」

 

良介のカードは2つほどリーチができていたが、誠はまだ1つも開いていなかった。

 

「逆にすごいなお前。

1つも合わないなんて相当だぞ。」

 

「・・・もしかしてこのまま1つも開けられないまま終わったり?」

 

「もしそうなったら伝説だな。

よかったな誠。」

 

「よくねぇよ!

ああ・・・1個でもいいから開けさせてくれぇ・・・」

 

その頃、あやせたち。

 

「あら~?

どこの行っちゃったんでしょうか~。」

 

「今度は22番、と・・・どうしました?

あやせさん。」

 

何かを探すあやせにエミリアが聞いてきた。

 

「それが、うっかりビンゴのカードを落としてしまいまして・・・」

 

「どちらへ行ったか見当はつきませんか?」

 

シャルロットもあやせに聞いてきた。

 

「足元を見たときにはもう、見当たらなくなっていました・・・」

 

「もう1枚、スタッフの人にもらったらどうでしょう?」

 

「そうですねぇ。

見つからないようでしたら、そうした方がよさそうです~。」

 

と、荷物を持ったノエルがあやせのところにやってきた。

 

「やっほー!

その落としものって、コレだったりしない?」

 

ノエルはカードをあやせに見せる。

 

「ノエルちゃん・・・ええと・・・ああっ、これだわ!

 

「どーぞ!

今度は落とさないでね♪」

 

「はい、ありがとうございます~。

ところでノエルちゃん、荷物いっぱいですけど、どうしたんですか~?」

 

あやせはノエルの荷物を見て聞いてきた。

 

「あー、これのこと?

えーとねー・・・

(・・・おっと!

みんなには黙っておかないと)」

 

「あら?

そういえばさっき、誰かが【景品どうしよう】って言ってたような・・・」

 

「あやせさん、しーっ!

それは言っちゃダメ・・・!」

 

「あら、ごめんなさい・・・やっぱり本当だったんですか~。」

 

「あ、いけなっ・・・ひ、秘密にしててね・・・」

 

「それは構いませんけど・・・ノエルちゃん、大丈夫そう?」

 

「うーん・・・正直、ちょっと困ってるかな。」

 

「そうでしたか~・・・困りましたね~、なにかできればいいんですが~・・・」

 

と、ノエルはあやせの持っていた編みぐるみを見た。

 

「・・・あっ、編みぐるみ・・・ねえ、あやせさんって編み物するの?」

 

「ええ、しますけど・・・ほんの趣味程度ですよ~?」

 

「あ、あのさ・・・!

編み物・・・余ったり、してないかな・・・!?」

 

「ええと・・・1つだけなら余っていますけど~・・・」

 

「・・・お願いっ!

それ、景品としてもらうこと・・・できないかな!?」

 

「ええっ、景品ですか~・・・?

う~ん、大丈夫でしょうか~・・・」

 

「お願いっ!

今度スイーツ食べ放題おごるから!」

 

「そこまで頼まれたら、断れませんね~。

どうぞ、こちらを受け取ってください~。」

 

あやせはノエルに編み物を渡した。

 

「こ、これは・・・・・」

 

誠はその状況をたまたま目撃した。

 

「・・・ん?

今、あやせさん、ノエルに何か渡さなかったか?」

 

「どうした誠。

まだ開けられないのか?」

 

「それもそうだが・・・今、あやせさんがノエルに何か渡していたような・・・」

 

「プレゼントか何かだろう。

おい、もうすぐで終わるかもしれないぞ。」

 

「マジかよ・・・俺、何も開けて・・・あっ!」

 

「おっ、やったじゃないか。

やっと1つ開いたな。」

 

「ああ、やっと・・・あっ、まただ。」

 

「後半に来てようやくか。」

 

「このままいけば景品あたるかも・・・!」

 

「よかったな誠。

・・・それにしても俺はリーチのままから進展なしか・・・

何か当たればいいんだがなぁ・・・」

 

   ***

 

ビンゴはどんどん進んでいた。

その頃、初音は愚痴を言っていた。

 

「ちぇー、ついてねーなぁ。

2マスしか当たってねーじゃん・・・」

 

「私のカードと交換しましょうか?」

 

沙那が交換を持ちかけてきた。

 

「いんや、どーせ交換してもツキが回ってねー気がするし。

ビンゴ飽きたし、お姉さまんとこ行ってくる!」

 

初音は走り去っていった。

 

「さあ、リーチの方は多いようですが、いまだにビンゴが出ていません!

果たして、1等賞は誰のものとなるでしょうか?

運命を決める次の番号は・・・58番です!」

 

「ありましたね・・・あら。

南さん、ビンゴです。」

 

沙那がビンゴになり1等賞になった。

 

「月宮さん、1等賞おめでとう!」

 

ノエルが祝いにきた。

 

「ありがとうございます。」

 

「ええと・・・い、1等賞は、こちらでーす!」

 

ノエルはマフラーを沙那に手渡した。

 

「・・・手作り感あふれるマフラーですね。

こちらの模様は?」

 

「ウノっちなんだって!」

 

「そ、そうですか・・・兎ノ助さんでしたか・・・」

 

「その・・・グリモアならではって感じでいいでしょ!」

 

「クスッ・・・言われてみればそうですね。

ありがたく頂戴します。」

 

「それと、お料理の手伝いの件、ホントにありがとね!」

 

「初音様のご希望に従ったまでのことです。」

 

「じゃあ、初音ちゃんにもお礼言わないと!」

 

「ぜひ。

きっとお慶びになるでしょう。」

 

あやせはその様子を見ていた。

 

「うふふふ♪

マフラー、気に入っていただけたみたいですね~。」

 

「うーむ、結局ビンゴは当たらずじまいか・・・残念じゃ。

アメちゃんの1個でも当たれば嬉しかったんだがのう。」

 

いつの間にか隣にアイラが来ていた。

 

「あら~?

アイラちゃん、来ていたんですか~。」

 

「おう、海老名か。

今夜はすまんの、色々あってな。」

 

「事情があるなら仕方ないですよ~。

それよりも・・・」

 

あやせはマフラーを取り出した。

 

「うおっ!

こ、これはあの兎ノ助マフラー・・・あやせのものじゃったか。」

 

「ええ。

もともとは、歓談部の皆さんにと思って編んでいたんですよ~。

ただ、編み始めたら楽しくなって、人数ぶん以上できちゃいました~♪」

 

「うーむ、よくできとる。

兎ノ助ってトコがなんともアレじゃが・・・」

 

「よく似合ってますよ~。

皆さんにもお見せしに行きませんか~?

シャルロットさん、アイラちゃんに会おうと探し回っていましたし~。」

 

「それじゃが、シャルロットには手紙を渡しといたぞい。」

 

「直接お話しないんですか~?」

 

「あー、なんだ・・・あれじゃ、積もる話もあるじゃろ、長くなると思うてな。

妾、そろそろ寝るつもりなんじゃ。

ちぃとダルくてな。」

 

「具合が悪いんですか~?

でしたら、一緒に寮に行きましょうか~。」

 

「いやいや構わん構わんって。

みんな待っとるじゃろ。」

 

「御遠慮なさらず~。

アイラちゃんが誰と会ってたのかも聞きたいですし~。」

 

「【誰と】って言われてものう・・・せいぜい良介と会っとったぐらいじゃぞ?」

 

「そうなんですか~、良介さんと~♪」

 

「おうとも、良介と甘酸っぱ~い青春の1ページを作っとったんじゃよ。」

 

「あら、素敵ですね~。

なにかプレゼントをもらったりしました~?」

 

「そりゃあもう、熱くてイキのいいのを・・・ぶえっくしゅん!」

 

「あらあら大変、早く温かくしてぐっすり寝ないといけませんよ~?」

 

「いや、だから1人で帰れるって言うとるのに・・・」

 

「ほら、マフラーもちゃんと巻いて~・・・」

 

あやせはアイラにマフラーを巻いた。

 

「(ううっ・・・周囲の視線が痛いわ・・・)」

 

誠はその様子を見ていた。

 

「ははっ、まるで嫌がる子供と母親だな。」

 

「ま、そんな風にも見えるな。

・・・で、結果はどうだ。」

 

「2つしか開けられませんでした。」

 

「・・・酷い有様だな。

まぁ、俺もリーチのまま終わったし人のこと言えないか。」

 

「リーチだっただけまだマシじゃねえか。

ああ、もうこうなったら、残ってる料理食べるか。

食い直しだ。」

 

「よく食べるなぁ。

まぁ、俺も少しもらうか。」

 

2人はまた料理を食べ始めた。

その頃、あやせはエミリアとシャルロットにマフラーを渡していた。

 

「うふふ、実はお2人にもマフラーを用意してきたんです~♪」

 

「う、うわぁ・・・あ、ありがとうございます、あやせさん!」

 

「この温もりもまた、主の賜った有難い恵み・・・大切にしますね。」

 

「お揃いのマフラーで初詣というのも楽しそうですね~♪」

 

「(ど、どうしよう・・・このマフラー、正直恥ずかしい・・・!)」

 

沙那のところには初音が戻ってきていた。

 

「ちぇーっ。」

 

「お帰りなさいませ。

薫子様には渡して来られましたか?」

「アワビなら渡せたんだけどよ、すぐ追い返されちまったんだ。

忙しいって。

つまんねーのー。

せっかくのクリスマスだってのによー。」

 

「こちら、どうぞお受け取り下さい。」

 

沙那はマフラーを渡した。

 

「ん?

マフラー・・・うわ、なんだこの子供っぽいデザイン・・・いらねー、返す。」

 

初音は沙那に返した。

 

「そう言うと思っていました。

では、私が使いましょう。」

 

「恥ずかしくね?

それ。」

 

「慣れればそれほどでも。

それに、とても暖かいですよ。」

 

同じ頃、ノエルと智花。

 

「いやっほーう!

やったー!

無事に終わったよーっ!」

 

「色々あったけど、なんとか終わってよかったね。」

 

「終わりよければ全てよし!

これでオッケーオッケー!」

 

「の、ノエルちゃん、テンション高いね・・・もう遅いよ?」

 

「サンタさんとトナカイさんは、今からが本番だからねっ!」

 

「クスッ・・・ノエルちゃん、面白い。」

 

「・・・ホントのこと言うと、ちょっといいことあったんだ。」

 

「どんなこと?」

 

「プレゼントしてきたんだ・・・とても、大切な人に。」

 

「いい思い出になった?」

 

「うん!

すっごく!」

 

こうしてクリスマスパーティは幕を閉じた。


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