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学園で行われていたクリスマスパーティは次の出し物をしようとノエルと智花が準備していた。
「ともちゃん、そろそろ出番だよ!」
「こんな大勢の前に立つの、久々で緊張しちゃうなぁ。」
「イベントは多いけど、こんなに生徒が集まるのって珍しいもんね。」
「そうそう、それこそ入学式とか卒業式の時ぐらいで。」
「ともちゃんも長いスピーチやってみる?
30分ぐらいするやつ。」
「ええっ!?
そんなにもたないよ~。」
と、兎ノ助がやってきた。
「おい、やべえことになった!
聞いてくれ、2人とも!」
「どうしたの?
まさか、またお食事が足りなくなっちゃったとか!?」
「いや、そうじゃねーんだが・・・ビンゴ1等の学内ギフトカード、あれな。
執行部の方からダメって言われて、出せなくなっちまってさ。
どうやら【景品に金券】ってのがNGだったみたいでなぁ・・・」
「ええっ!?
そ、そう言われても・・・もう、ビンゴ始まっちゃうよ?」
「悪い、上が決めたことだからな・・・別の景品にしてくれ・・・」
「そうだよね・・・どうしよう、ノエルちゃん。」
「あたしが用意するよ。
ともちゃんは司会だし、ウノっちも裏でお手伝いだし。」
「わかった!
じゃあ、わたしもそれに合わせて司会進行にするね。」
「【プレゼントは最後のお楽しみに】ってすりゃいいワケだな。」
「他のスタッフの子にはなんて伝えたらいいかな?」
「別々に行動して、何かピンときたら連絡するってことで!」
「うん!
いいものが見つかったら、すぐノエルちゃんに連絡してもらうね!」
「よろしく!
それじゃ、ともちゃんにウノっちも頑張ってね!」
「おう!
任せな!」
「ノエルちゃんも頑張ってね!」
***
その頃、良介と誠。
「ビンゴねぇ。
何かいい景品あるのか?」
「誰かとの1日デート券とかあったりして?」
誠が変な笑みを見せる。
「・・・そんなもんがあるか。
俺は・・・んー、日用品ねぇかな?」
「・・・えらく健全な欲だな。
なんか俺みたいな欲はないのか?」
「俺はお前みたいに欲望にまみれてないんだよ。」
「つまんねぇなぁ・・・お、始まるみたいだ。」
智花が前に出てきた。
「お待たせしました!
これからビンゴ大会を始めます!
皆さん、スタッフの方に配られたカードを用意して下さい。
やりかたは分かっていると思いますが、念のため説明しますね。
ええと、このガラガラ・・・でしたっけ?
を回していきますので・・・
カードの数字をミシン目通りに開けて下さい。
一列揃った人は、元気な声で【ビンゴ!】と叫んでくださいね。
素敵な景品を用意しています。
早い者勝ちですよ!」
その頃、学園の廊下。
ノエルがいた。
「さて、ともちゃんも頑張ってるし、あたしも頑張らないと!
でも何にすればいいかなぁ。
今から街に出ても間に合わないし・・・
他のスタッフのみんなに聞いてみよっかな・・・なになに・・・?」
ノエルはもあっとで他のスタッフと連絡をとってみた。
「えーと、最新式パソコン、高級アクセサリーにライブチケット・・・
うーん、今すぐ探して買えるかなぁ・・・?
購買で買うとしたら・・・チョコ?
シャンプー?
アロマ?
いくつか買っておけば、後で調整は利くから・・・この辺でいいよね。」
ノエルは購買に向かった。
「あちゃー、だいぶ減ってるよぉ・・・
考えてみればそうだよね、みんなだってプレゼント買うんだから。
でも・・・今から街に行く時間はないし・・・
・・・よし!
ひとまず買っちゃおう!
派手なのは無いけど、2位以下の人のも必要だもんね!」
ノエルはひとまず買うことにした。
「えーと、じゃあこのアメと、お茶の素と・・・んー、あと鏡餅も持って・・・
店員さん!
これ全部プレゼント包装で下さいっ!」
すこし経って会場。
良介と誠は・・・
「んー、なかなかならねぇな。
2つほどリーチにはなってるんだが・・・」
「・・・俺なんで一個も合う数字がないの?」
良介のカードは2つほどリーチができていたが、誠はまだ1つも開いていなかった。
「逆にすごいなお前。
1つも合わないなんて相当だぞ。」
「・・・もしかしてこのまま1つも開けられないまま終わったり?」
「もしそうなったら伝説だな。
よかったな誠。」
「よくねぇよ!
ああ・・・1個でもいいから開けさせてくれぇ・・・」
その頃、あやせたち。
「あら~?
どこの行っちゃったんでしょうか~。」
「今度は22番、と・・・どうしました?
あやせさん。」
何かを探すあやせにエミリアが聞いてきた。
「それが、うっかりビンゴのカードを落としてしまいまして・・・」
「どちらへ行ったか見当はつきませんか?」
シャルロットもあやせに聞いてきた。
「足元を見たときにはもう、見当たらなくなっていました・・・」
「もう1枚、スタッフの人にもらったらどうでしょう?」
「そうですねぇ。
見つからないようでしたら、そうした方がよさそうです~。」
と、荷物を持ったノエルがあやせのところにやってきた。
「やっほー!
その落としものって、コレだったりしない?」
ノエルはカードをあやせに見せる。
「ノエルちゃん・・・ええと・・・ああっ、これだわ!
「どーぞ!
今度は落とさないでね♪」
「はい、ありがとうございます~。
ところでノエルちゃん、荷物いっぱいですけど、どうしたんですか~?」
あやせはノエルの荷物を見て聞いてきた。
「あー、これのこと?
えーとねー・・・
(・・・おっと!
みんなには黙っておかないと)」
「あら?
そういえばさっき、誰かが【景品どうしよう】って言ってたような・・・」
「あやせさん、しーっ!
それは言っちゃダメ・・・!」
「あら、ごめんなさい・・・やっぱり本当だったんですか~。」
「あ、いけなっ・・・ひ、秘密にしててね・・・」
「それは構いませんけど・・・ノエルちゃん、大丈夫そう?」
「うーん・・・正直、ちょっと困ってるかな。」
「そうでしたか~・・・困りましたね~、なにかできればいいんですが~・・・」
と、ノエルはあやせの持っていた編みぐるみを見た。
「・・・あっ、編みぐるみ・・・ねえ、あやせさんって編み物するの?」
「ええ、しますけど・・・ほんの趣味程度ですよ~?」
「あ、あのさ・・・!
編み物・・・余ったり、してないかな・・・!?」
「ええと・・・1つだけなら余っていますけど~・・・」
「・・・お願いっ!
それ、景品としてもらうこと・・・できないかな!?」
「ええっ、景品ですか~・・・?
う~ん、大丈夫でしょうか~・・・」
「お願いっ!
今度スイーツ食べ放題おごるから!」
「そこまで頼まれたら、断れませんね~。
どうぞ、こちらを受け取ってください~。」
あやせはノエルに編み物を渡した。
「こ、これは・・・・・」
誠はその状況をたまたま目撃した。
「・・・ん?
今、あやせさん、ノエルに何か渡さなかったか?」
「どうした誠。
まだ開けられないのか?」
「それもそうだが・・・今、あやせさんがノエルに何か渡していたような・・・」
「プレゼントか何かだろう。
おい、もうすぐで終わるかもしれないぞ。」
「マジかよ・・・俺、何も開けて・・・あっ!」
「おっ、やったじゃないか。
やっと1つ開いたな。」
「ああ、やっと・・・あっ、まただ。」
「後半に来てようやくか。」
「このままいけば景品あたるかも・・・!」
「よかったな誠。
・・・それにしても俺はリーチのままから進展なしか・・・
何か当たればいいんだがなぁ・・・」
***
ビンゴはどんどん進んでいた。
その頃、初音は愚痴を言っていた。
「ちぇー、ついてねーなぁ。
2マスしか当たってねーじゃん・・・」
「私のカードと交換しましょうか?」
沙那が交換を持ちかけてきた。
「いんや、どーせ交換してもツキが回ってねー気がするし。
ビンゴ飽きたし、お姉さまんとこ行ってくる!」
初音は走り去っていった。
「さあ、リーチの方は多いようですが、いまだにビンゴが出ていません!
果たして、1等賞は誰のものとなるでしょうか?
運命を決める次の番号は・・・58番です!」
「ありましたね・・・あら。
南さん、ビンゴです。」
沙那がビンゴになり1等賞になった。
「月宮さん、1等賞おめでとう!」
ノエルが祝いにきた。
「ありがとうございます。」
「ええと・・・い、1等賞は、こちらでーす!」
ノエルはマフラーを沙那に手渡した。
「・・・手作り感あふれるマフラーですね。
こちらの模様は?」
「ウノっちなんだって!」
「そ、そうですか・・・兎ノ助さんでしたか・・・」
「その・・・グリモアならではって感じでいいでしょ!」
「クスッ・・・言われてみればそうですね。
ありがたく頂戴します。」
「それと、お料理の手伝いの件、ホントにありがとね!」
「初音様のご希望に従ったまでのことです。」
「じゃあ、初音ちゃんにもお礼言わないと!」
「ぜひ。
きっとお慶びになるでしょう。」
あやせはその様子を見ていた。
「うふふふ♪
マフラー、気に入っていただけたみたいですね~。」
「うーむ、結局ビンゴは当たらずじまいか・・・残念じゃ。
アメちゃんの1個でも当たれば嬉しかったんだがのう。」
いつの間にか隣にアイラが来ていた。
「あら~?
アイラちゃん、来ていたんですか~。」
「おう、海老名か。
今夜はすまんの、色々あってな。」
「事情があるなら仕方ないですよ~。
それよりも・・・」
あやせはマフラーを取り出した。
「うおっ!
こ、これはあの兎ノ助マフラー・・・あやせのものじゃったか。」
「ええ。
もともとは、歓談部の皆さんにと思って編んでいたんですよ~。
ただ、編み始めたら楽しくなって、人数ぶん以上できちゃいました~♪」
「うーむ、よくできとる。
兎ノ助ってトコがなんともアレじゃが・・・」
「よく似合ってますよ~。
皆さんにもお見せしに行きませんか~?
シャルロットさん、アイラちゃんに会おうと探し回っていましたし~。」
「それじゃが、シャルロットには手紙を渡しといたぞい。」
「直接お話しないんですか~?」
「あー、なんだ・・・あれじゃ、積もる話もあるじゃろ、長くなると思うてな。
妾、そろそろ寝るつもりなんじゃ。
ちぃとダルくてな。」
「具合が悪いんですか~?
でしたら、一緒に寮に行きましょうか~。」
「いやいや構わん構わんって。
みんな待っとるじゃろ。」
「御遠慮なさらず~。
アイラちゃんが誰と会ってたのかも聞きたいですし~。」
「【誰と】って言われてものう・・・せいぜい良介と会っとったぐらいじゃぞ?」
「そうなんですか~、良介さんと~♪」
「おうとも、良介と甘酸っぱ~い青春の1ページを作っとったんじゃよ。」
「あら、素敵ですね~。
なにかプレゼントをもらったりしました~?」
「そりゃあもう、熱くてイキのいいのを・・・ぶえっくしゅん!」
「あらあら大変、早く温かくしてぐっすり寝ないといけませんよ~?」
「いや、だから1人で帰れるって言うとるのに・・・」
「ほら、マフラーもちゃんと巻いて~・・・」
あやせはアイラにマフラーを巻いた。
「(ううっ・・・周囲の視線が痛いわ・・・)」
誠はその様子を見ていた。
「ははっ、まるで嫌がる子供と母親だな。」
「ま、そんな風にも見えるな。
・・・で、結果はどうだ。」
「2つしか開けられませんでした。」
「・・・酷い有様だな。
まぁ、俺もリーチのまま終わったし人のこと言えないか。」
「リーチだっただけまだマシじゃねえか。
ああ、もうこうなったら、残ってる料理食べるか。
食い直しだ。」
「よく食べるなぁ。
まぁ、俺も少しもらうか。」
2人はまた料理を食べ始めた。
その頃、あやせはエミリアとシャルロットにマフラーを渡していた。
「うふふ、実はお2人にもマフラーを用意してきたんです~♪」
「う、うわぁ・・・あ、ありがとうございます、あやせさん!」
「この温もりもまた、主の賜った有難い恵み・・・大切にしますね。」
「お揃いのマフラーで初詣というのも楽しそうですね~♪」
「(ど、どうしよう・・・このマフラー、正直恥ずかしい・・・!)」
沙那のところには初音が戻ってきていた。
「ちぇーっ。」
「お帰りなさいませ。
薫子様には渡して来られましたか?」
「アワビなら渡せたんだけどよ、すぐ追い返されちまったんだ。
忙しいって。
つまんねーのー。
せっかくのクリスマスだってのによー。」
「こちら、どうぞお受け取り下さい。」
沙那はマフラーを渡した。
「ん?
マフラー・・・うわ、なんだこの子供っぽいデザイン・・・いらねー、返す。」
初音は沙那に返した。
「そう言うと思っていました。
では、私が使いましょう。」
「恥ずかしくね?
それ。」
「慣れればそれほどでも。
それに、とても暖かいですよ。」
同じ頃、ノエルと智花。
「いやっほーう!
やったー!
無事に終わったよーっ!」
「色々あったけど、なんとか終わってよかったね。」
「終わりよければ全てよし!
これでオッケーオッケー!」
「の、ノエルちゃん、テンション高いね・・・もう遅いよ?」
「サンタさんとトナカイさんは、今からが本番だからねっ!」
「クスッ・・・ノエルちゃん、面白い。」
「・・・ホントのこと言うと、ちょっといいことあったんだ。」
「どんなこと?」
「プレゼントしてきたんだ・・・とても、大切な人に。」
「いい思い出になった?」
「うん!
すっごく!」
こうしてクリスマスパーティは幕を閉じた。