グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
 閲覧者様のイメージを壊す可能性があります。
 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第2話 クエスト

智花に突然クエストに誘われた良介は、クエストを受け、

智花と共にクエストが発令された場所にいた。

 

「本当に突然すいません。」

 

いきなり智花が謝ってきた。

 

「いや、別にいいよ。

今の自分がどれくらいの魔法が扱えるか確かめるにはちょうどいいし。」

 

「そう言ってくれると助かります。

そういえば、良介さんの能力って確か、自分の魔力を他人に渡すことができるんですよね?」

 

「ああ、どうも自分の魔力は無尽蔵みたいだからな。」

 

歩きながらお互いの能力について話をすることにした。

智花はそこまで強力ではないが、そこそこの魔法が使えるらしい。

 

「良介さんの使える魔法の属性はなんですか?

私は火と雷が少し使えますけど・・・」

 

「んー、どれだけかはまだわからないけど、

今のところ、わかってるのは七属性かな?」

 

「七属性!?」

 

突然、智花が大声をあげる。

 

「ど、どうしたんだ?」

 

「あ、すいません。

あまりにも多くの属性を扱えることを知って驚いてしまいました。」

 

「そんなに珍しいのか?」

 

「珍しいというよりかは、七属性も扱える魔法使いは今まで現れたことがないんですよ。

三属性でも多いぐらいなんで・・・」

 

「へー、初めて知ったよ。」

 

「同じクラスにいる新海くんが四属性使えるんですよ。

学園で四属性以上使える魔法使いは彼ぐらいだったんですけど・・・」

 

良介でどうやら二人になったということらしい。

 

「主にどんな属性が使えるんですか?」

 

「火、風、土、水、雷、光、闇が、今のところ使えることがわかってる属性かな?」

 

「五属性のうちどれかならよく聞きますけど、

光と闇の属性の魔法使いというのはあまり聞かないですね。

特に、両方持ってる方となると一度も聞いたことがないです。」

 

どうやら良介はかなり特別な魔法使いらしい。

 

   ***

 

そんなこんな話しているうちに、魔物が出現した箇所に到着する。

 

「それじゃ、変身しましょう!」

 

そういって、智花は戦闘服に変身する。

 

「んじゃ、俺も。」

 

良介も戦闘服に変身する。

 

「・・・おお~。」

 

「・・・どうした?」

 

良介が変身し、青いマントをはためかすと、智花は感嘆の声をあげた。

 

「いえ、結構かっこよかったので、つい声が・・・」

 

どうやらマントをはためかす動作がかっこよく見えたらしい。

変身し終えた二人は早速、魔物を探しに入る。

 

「ん?あれじゃないのか?」

 

良介が何かを見つけた。

ミノタウロスのような格好をした魔物だ。

 

「間違いありません。霧の魔物です。

ここは私が行くので、良介さんはサポートお願いできますか?」

 

「魔力の補充と、魔物の位置だろ?

まかせてくれ。」

 

「はい!お願いします!」

 

智花は早速、魔物に立ち向かった。

 

「これで・・・えいっ!!」

 

小さな火の玉を作り出し、魔物にぶつける。

魔物は瞬く間に、倒された。

 

「やりました!」

 

「いや、まだだ。

他にも何体かいるらしい。」

 

良介は剣を抜きながら、周りを見渡す。

少し離れたところにさっきと同じ姿をした魔物を見つける。

 

「今度は俺がやる。

サポートを頼む!」

 

良介は剣を構え、魔物に突撃する。

 

「(剣に魔力を込めて・・・!)」

 

良介の剣から火があがり、刀身を火で覆う。

 

「せぇぇぇぇい!!」

 

渾身の一撃を魔物にあたえる。

魔物は一瞬にして消え去った。

 

「さすがですね。

来て間もないのに、そういうことができるなんて!」

 

智花の目がキラキラと輝いていた。

 

「いや、まだまださ。

さて、どうやら魔物はまだ一体いるようだな。」

 

少し先に、残り一体の魔物がいた。

 

「それじゃ、ここは私が・・・」

 

智花が魔物に向かおうとした途端、動きが止まる。

 

「・・・どうした?」

 

「け・・・毛虫~~!!??」

 

近くの木の枝に毛虫がいたようで、それに驚いて見当違いの方向に走っていってしまった。

 

「ちょっ・・・嘘だろ!?」

 

走っていってしまった智花を追いかけようとしたところ、魔物が襲撃してきた。

 

「うおっ!危ねぇ!?」

 

紙一重で避ける良介。

すぐに体勢を立て直し、攻撃を行う。

 

「これで・・・どうだっ!」

 

今度は刀身に風属性の魔法をかけて斬りにかかる。

魔物は一刀両断にされ消えた。

 

「ふぅ・・・終わったか。」

 

ちょうど倒したところで智花が帰ってきた。

 

「す、すいません。

取り乱してしまいました・・・」

 

「あ~、まぁ、仕方がないよ。

次、気をつければいいだけだしな。」

 

とりあえず、クエストを完了したことを報告しに学園に戻ることにした。

 

   ***

 

「はい、良介さん。

飲み物どうぞ!」

 

クエストを終えた二人は、購買の前にいた。

すると、黒いロングの髪に、腰に日本刀を持った女生徒がやってきた。

 

「初めましてだな。私は神凪 怜(かんなぎ れい)。

風紀委員のもので、智花の友人だ。」

 

「ああ、これはどうも。

早田 良介です。よろしく。」

 

「敬語はいい。

お互いに同い年だからな。」

 

そういって怜は優しく微笑む。

 

「それで、智花。

彼とクエストに行ったんだろ?

どうだった?」

 

「うん、魔力の受け渡しっていうのがすごくいいね。

魔力の量を気にせず撃てるから。

ただ、今回は良介さんに迷惑かけちゃったけど・・・」

 

「ん?何かしたのか?」

 

「魔物の目の前で毛虫に驚いちゃって、逃げ出しちゃったんだ。

戻ってきたら、良介さんがもう魔物倒してたし・・・」

 

智花そういってため息をつく。

 

「さっきも言ったけど、次驚かなければいいだけだから気にする必要はないって。」

 

「あう・・・ありがとうございます。」

 

良介はジュースを飲み干し、ゴミ箱に捨てる。

 

「あ、ジュースのおかわり、入ります?」

 

「あー、そうだな。

もう一本貰おうかな。」

 

「わかりました。

ももちゃーん!」

 

智花が購買のレジで誰かの名前を呼んだ。

 

「はーい!」

 

元気のいい返事と共に、一人の女の子がやってきた。

 

「智花先輩、神凪先輩!いらっしゃいませ!」

 

どうやら購買部の子らしい。

 

「あれ?そちらの方は?」

 

「新しい転校生だ。」

 

「ああ、なるほど!

初めまして!購買部でバイトをしている桃世 もも(ももせ もも)です!

何かお探しのものがあったら御遠慮なく声をかけてくださいね。」

 

「初めまして。早田 良介です。よろしく。」

 

どうやらももは、良介たちよりも一つ年下らしい。

 

「あ、そうだ。

夏海先輩、見てませんか?」

 

「夏海ちゃん?今日はまだ見てないけど・・・」

 

どうやら夏海という生徒を探しているらしい。

 

「新しいフィルムが入荷したので、もうすぐ取りに来ると思うんですけど・・・」

 

「なら、もし見かけたら言っておくとしよう。」

 

   ***

 

「それじゃ、私は仕事に戻るとしよう。」

 

怜は風紀委員の仕事に戻っていった。

 

「えーと、それじゃ、私たちは・・・

あ、そうだ!クエストを受けるとその日の授業は免除になるんですよ。

なので、これを利用して学校の案内をしますね!」

 

「あー、そうだな。

朝、そういう話だったな。

完全に忘れてた。」

 

「それじゃ、まず・・・」

 

智花は先に歩き出したのでそれに付いていこうとした時だった。

 

「ちょっとちょっと!」

 

誰かに呼び止められた。

振り向くとツインテールの女の子がいた。

 

「ふふふ、やっと見つけた!

どこにいるのかと思えばクエストに行ってたのね!

智花が教えてくれないから走り回っちゃったじゃない。」

 

「えーと・・・俺に何か用?」

 

カメラを持った女の子が何か独り言のようなことを言っている。

 

「あれ?良介さーん?」

 

智花が良介を探しに来たようだ。

 

「やばっ!こっち来て!いいから!

あたしと智花は親友だから!

だからちょっとくらいは大丈夫なの!ほらこっち!」

 

「えっ!?ちょ、ちょっと!?」

 

その女の子に手を引っ張られて良介は連れ去られてしまった。

 

   ***

 

女の子に連れてこられた場所は報道部の部室だった。

 

「ふぅ・・・報道部にようこそ!

噂の転校生!」

 

「は、はぁ・・・」

 

一体今から何をされるのか、良介はおおよそ予想がついていた。

 

「さっそくなんだけど、

初めてクエストに出かけた感想を聞かせてくれない?

あ、あとなんか珍しい体質なんだってね!

その詳細もよろしく!」

 

やっぱりインタビューだった。

 

「あの~、俺、今から学校案内・・・」

 

「そうそう、一緒にいた智花、かわいいでしょ?

どう?どう?」

 

まったく話を聞いていない

 

「・・・あ、ごめん。」

 

「(よかった、ようやく話を・・・)」

 

「取材するときは最初に名乗るのがマナーよね。」

 

まったく聞いていなかった。

 

「あたし、岸田 夏海(きしだ なつみ)!

報道部所属のジャーナリスト・・・の卵よ。」

 

ジャーナリストの卵というより、パパラッチの卵といった方が過言ではないような気がする。

カメラ持ってるし。

 

「あのね、今度、最近入学した転校生の特集やるのよ。」

 

「え?ということは、俺以外にも最近入学したやついるの?」

 

誠は良介が来る一か月前に入学したので、最近には恐らく入らないだろう。

 

「え?知らないの?

何人かいるのよ。

グリモアって【魔法使いに覚醒したら入学】だからね。」

 

「(そういやそうだったな。忘れてた。)」

 

「ほぼ100%転校生なのよ。

で、最近では2、3人くらい転校してきてるの。」

 

「結構いるんだな・・・」

 

「その中でも一番注目されてるあんたに、インタビューするの!」

 

それはあんただけだろう、と心の中でツッコミをいれた。

 

「ふっふっふ。

【転校生の謎!その身に秘められた超魔法力!

果たして彼は世界を救うことができるのか!?】

どう?インタビューの見出し!完璧じゃない!?」

 

勝手にテンションを上げて舞い上がっている夏海を見て、

呆れる良介。

 

「(アホらし・・・)」

 

「・・・そ、そんな顔しなくたっていいじゃない。」

 

   ***

 

「夏海。あんまり人を困らせちゃいけないよ。」

 

気がつくと後ろに誰か立っていた。

 

「あ、あれ?部長!?

なんでいるんですか!?」

 

どうやらこの人が報道部の部長らしい。

 

「部長が報道部部室にいてなにがおかしい・・・

やあ、良介くん。」

 

突然自分の名前を呼ばれ、驚く良介。

 

「報道部部長の遊佐 鳴子(ゆさ なるこ)だ。

お見知りおきを。」

 

「は、早田 良介です・・・よ、よろしく・・・」

 

良介は自分のことをどこで知ったのかが気になって仕方がなかった。

 

「ぶ、部長!転校生のインタビューはあたしが・・・!」

 

「それは構わないけどね。

彼は今学校案内の最中だ。

しかもしてもらう直前だった。

そこを無断で連れてくるのは感心できることじゃないね?」

 

「う・・・い、1日でも早く・・・って・・・」

 

「まだ締切までは時間があるし、彼は今日から完全なグリモアの生徒だ。

焦る必要なんてない。

悪かったね、夏海はたまに突っ走ることがあってね。」

 

「いや、そんなに迷惑はしてないですけど・・・」

 

「さ、南君が探している。

連れいていってあげるんだ。」

 

ようやく戻れるようで安心する良介。

 

「は、はい。」

 

「僕たち報道部は、真実を追い求めるジャーナリストだ。

もし報道に興味があれば歓迎するよ。」

 

「そうですね・・・考えときます。」

 

そういって報道部を後にした。

 

   ***

 

「ちぇー、スクープ独り占めできると思ったのに・・・」

 

やはり、考え方がパパラッチだ。

 

「ま、しょーがないか。切り替え切り替え。」

 

「(立ち直り速いな・・・)」

 

「学校案内が終わったら、改めてインタビューするから。」

 

「まぁ、終わってからだったら別にいいけど・・・」

 

「よろしくねん。

・・・あ、いた。

智花ー!連れてきたわよー!」

 

「良介さん!よかった、迷子になったのかと・・・」

 

「いやいや、この歳で迷子はさすがにねーよ。」

 

即座にツッコミを入れる良介。

 

「夏海ちゃんが連れてったんだね。」

 

「や、やだなぁ、怒らないでよ。友達じゃん。」

 

いくら友達でも怒るのは当たり前だろう。

 

「それに部長から言われて、すぐに返しに来たんだからさ。」

 

「(すぐではないような気がするんだが・・・)」

 

「部長?報道部の部長って・・・遊佐先輩?」

 

どうやらあの人は結構有名な人らしい。

 

「そーよ。」

 

「そ、そうなんだ・・・良介さん、何かその、

変なことされたり・・・」

 

「へ、変なことってなによ!」

 

「だって私、遊佐先輩のことはよく知らないけど・・・

ほら、生徒会と争ったり、いろんな人を脅したりって噂があるから。」

 

「(なんかとんでもない人と知り合ってしまった気がする・・・)」

 

「そんなのデタラメよ!

報道部が反生徒会だから圧力かけてるの!

あたしたち報道部は、正々堂々とペンで勝負するんだから!」

 

「・・・・ん?」

 

良介が何か見つけた。

 

「・・・良介さん、どうかしました?」

 

「・・・なぁ、これ・・・」

 

「・・・これは・・・小型マイク!?」

 

良介の上着のポケットに小型マイクが入っていた。

 

「・・・ぴ~ぴぴぴ~。」

 

「夏海ちゃん!も~!」

 

「(この先、大丈夫なのか?

俺の学園生活・・・)」




人物紹介
神凪 怜(かんなぎ れい)17歳
学園にほど近い神凪神社の見習い巫女。
学業の傍ら、休みの日には神社の手伝いをしている。
まじめで誠実、カタブツを体現したかのような生徒だが、それだけに頼もしさは学園屈指。
魔物との戦いでは家に伝わる神戯一刀流を用い、仲間を守る。


桃世 もも(ももせ もも)15歳
朝起きて新聞配達、放課後は曜日変わりでゲーム屋、
ファミレスをかけ持ちする生粋のアルバイター。
お金の心配がほとんどないこの学園で、なぜここまで稼ぐのか、
理由を知るものは少ない。
ちょっと周りが見えなくなることがある。


岸田 夏海(きしだ なつみ)16歳
報道部ゴシップ記事担当。
あらゆる三面記事をかき集めるべく走り回っている。
その性質上、彼女自身がトラブルの原因となることが多く、
たまに窓枠に引っかかっていたりも。
ジャーナリストとしての腕はまだまだ未熟だが、決してメゲない根性は本物。


遊佐 鳴子(ゆさ なるこ)17歳
壁に耳あり障子に目ありを体現する報道部部長。
秘密のノートには学友のご飯から政治家のスキャンダルまでありとあらゆる情報が
詰まっているという。
気味が悪いほどなんでも知っているが、まともに教えてくれはしない。
嘘まみれな彼女の言葉から真実を探せ。

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