グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
 閲覧者様のイメージを壊す可能性があります。
 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第28話 心機一転

旧科研のクエストから数日後・・・

良介は訓練所にいた。

主に魔法の感覚を確かめる程度で終わらせた。

 

「んー・・・ま、こんなもんか。」

 

荷物をまとめ、校門に向かった。

校門にエミリアがいた。

 

「あ、良介君。

第7次侵攻、お疲れ様でした。」

 

「ああ、エミリア。

お疲れ。

そっちは第7次侵攻は大丈夫だったか?」

 

「現役学園生にとって初めての大規模な作戦・・・学ぶことが多かったです。

良介君がやったこと、聞きましたよ。

あんなに頑張ったことを聞いて、私も頑張らなきゃって思ったんです。

勝ってカブトのヲを締めよ、とあやせさんから教えてもらいました。

ですから日本のことわざにならい、油断することなく訓練するつもりです!」

 

「それはいい心がけだな。

まぁ、俺がやったことはマネしないように。」

 

「わかりました。

・・・そうだ!

良介君、よかったら一緒に訓練しませんか?

何度か歓談部には来てもらってるけど、訓練やクエストはまだですもんね。」

 

「えっ、もしかして今から?」

 

「あ、もちろん今日じゃなくて大丈夫ですよ。

時間のあるときに・・・」

 

と、2人のデバイスが鳴った。

 

「ん?

これは・・・」

 

「・・・ああ、ちょうどクエストですね!

明日・・・一緒にどうです?」

 

「そうだな。

明日、行こうか。」

 

その頃、研究室。

虎千代と結希がいた。

 

「・・・今さら検査するのか?

あの後はゆっくり休んだから、体調は万全だぞ。」

 

「ただの洞窟ならあれほど疲弊はしなかったわ。

あなたならね。」

 

「・・・・・?

なにが言いたい。」

 

「【霧】が入り込んでいないか、確認する必要がある。」

 

「馬鹿な。

制服が結界になって、霧が入り込むことはないはずだろ?」

 

「ええ、でもタイコンデロガを倒したでしょう。

魔物は倒すと霧に戻る。

タイコンデロガ級の霧は相当な量よ。

誤算は2つ。

洞窟の入り口がふさがれ、もう片方の入り口が遠かったこと。

もう1つは、あなたがそこで一晩過ごさなければならなかったこと。」

 

「つまり、霧の濃さが尋常でなければ、体に入り込む可能性があるのか?」

 

「考えられるわ。

極度の疲労は濃い霧にあてられたからなのに間違いない。

・・・でも、私はあまり心配してないわ。

良介君がいたから。

魔力の充実は制服よりも信頼できる結界になる。

彼のおかげで、あなたの魔力は常に最大容量だった。

だから、念のための検査。」

 

「待て。

と言うことは良介の魔力は減っていた訳だろ?

アタシより良介の方が危ないんじゃないか?」

 

「問題ないわ。

彼の魔力量は桁違いよ。

多少減ったところで、霧が入り込めるような隙にはならない。」

 

「・・・そんなにか。

今さらながら、どこもアイツを欲しがるのがわかるな。」

 

「ええ、そうね・・・

この後、第7次侵攻でタイコンデロガと戦った人が来るから、早速検査を開始するわ。

服を脱いでちょうだい。」

 

虎千代が服を脱ぎ始めた。

と、

 

「おーい、結希。

言われた通りに来たぞ。」

 

研究室のドアが開き、誠が入ってきた。

 

「あ・・・今入ったら・・・」

 

「・・・っ!?」

 

「・・・え?」

 

その後、研究室から爆発音が鳴り響いた。

 

   ***

 

翌日、良介とエミリアは校門前に来ていた。

 

「おはようございます。

良介君。

今日は無理なお誘いを受けていただいてありがとうございました。」

 

「おはよう。

別に構わないけど、なんで俺と?」

 

「ええと、男性のお友達が良介君だけ、というのもあるのですが・・・

なにより、先日のドラゴン型を倒したというお噂を伺いまして。」

 

「ああ、侵攻の前に倒したあのタイコンデロガか。」

 

「最近、良介君に対するみんなの評価が上がってるんですよ。

だから、引っ張りだこになる前に、是非ご一緒したくて・・・」

 

「ふーん・・・そうなのか。

まぁ、とりあえず今回はよろしく。」

 

「ええ、よろしくお願いします。

それで、今回の討伐対象なんですが、洞窟の奥にすむ・・・

コウモリ、のようです・・・あまり被害は出ていませんね。」

 

「コウモリか・・・また洞窟か・・・」

 

良介はため息をつく。

 

「私たちが転校間もないから、難度の低いクエストを、ということでしょうか。

まあ・・・腕試しにはちょうどいい相手、と考えましょう。」

 

「そうだな・・・とりあえず、クエストの場所に向かうか。」

 

良介とエミリアはクエストの場所に向かった。

その頃、教室。

智花、夏海、怜の3人がいた。

 

「さあ、反省会だ。」

 

「第7次侵攻のとき、あんまり役に立たなかったもんね。

はぁ・・・自信なくなっちゃうなぁ・・・」

 

「なーに言ってんのよ。

規格外と比べてもしょうがないじゃない。

あたしたちはあたしたちのやり方で戦えばいいの。」

 

「その通りだ、智花。

あんな風に強くなろうとしてもなれるものじゃない。

個人の力量で追い付かなければ別の手段を模索すればいい。

そのための反省会だぞ。」

 

「・・・そうだね!

うん!」

 

「じゃ最初の議題。

智花、あんた最近良介と距離置いてない?」

 

「あ、そうだね。

最近はあまり・・・ええっ!?

きゅ、急になに言い出すの!?」

 

「お、おい夏海!」

 

「いやさ、アイツが転校してきた時はすごーく親密そうにしてたのに・・・」

 

「あ、あれはわたしが学園を案内してあげて・・・!」

 

「いつの間にかいち友達だもんねー。

面白くないよ。」

 

「な、なんで夏海ちゃんが面白がるの!?」

 

「・・・ゴホン。

夏海。

今は第7次侵攻の振り返りだ。

マジメにやるぞ。」

 

「ほいほい。」

 

怜は咳払いすると話を戻した。

 

「正直なところ、私は甘かったと思っている。」

 

「え?

だって怜ちゃん、わたしたちの中じゃ1番強いのに・・・」

 

「討伐対象クラスの魔物が3体出た時の対処法に手が回ってなかった。」

 

「でもそれってあれでしょ?

国軍が食い止めるって言ったから・・・

本当なら、あたしたちは時々くる漏れを倒していけばいいって・・・」

 

「戦いが予想通りに進んだら、人間はとっくに勝っているよ、夏海。

国軍は1度戦線を崩した。

私たちがほとんど無傷だったのは良介と誠のおかげだ。」

 

「・・・確かに、あのとき良介さんたちが来てくれなかったら・・・」

 

「・・・むー。」

 

「ようするに、私たちは運がよかった。

そこから学ぶことは多いはずだ。」

 

「・・・良介にこれからも守ってってお願いするとか。」

 

「・・・・・」

 

怜は夏海を睨みつける。

 

「や、やだな、冗談じゃない。

ようするに、あたしたちじゃどうしようもできない状態でしょ?

逃げるしかないんじゃない?」

 

「た、例えばだけど、魔法を撃って目を眩ましたら安全に逃げられるかも・・・」

 

「退路の確認ももちろんだが、とっさに逃げ込める空間は確保すべきだと思う。」

 

「さっきのは半分冗談だけど、助けてくれる人材はいた方がいいわよ。

部長がいつも言ってるもの。」

 

「なんだか・・・やらなきゃいけないこと、いっぱいあるね。

頑張らなきゃ!」

 

   ***

 

良介とエミリアは廃墟に来ていた。

 

「良介君の体質は伺ってましたけど、実際に体験すると凄いですね。

魔法をどれだけ使っても全然疲れませんし、それに・・・

常に全力で放てる、というのが初めてのことで。

南さんの言ったやみつきになりそう、といのもわかる気がします。」

 

「やみつきって・・・」

 

「・・・決して、変な意味ではないんですよ?

私たちの魔力は一般の人々を凌駕していますが、それでも多いとは言えません。

ですから、全力で魔法を使っているとすぐに枯渇してしまうんです。

ですが良介君から魔力を分けてもらうことで、何度でも使うことができます。

制限から解き放たれた、と言うのがいいでしょうか。

なので、みんな気持ちよく魔法を使えるんですよ、一緒にいると。」

 

「・・・そうなのか。

俺にはわからない感じだな。

・・・ん、何だ?」

 

良介は立ち止まる。

エミリアも立ち止まった。

 

「・・・待ってください。

この気配は・・・」

 

と、向こうに魔物らしき姿が見えた。

 

「・・・おい、冗談だろ。」

 

「嘘、あれは・・・きますっ!」

 

魔物は良介たちに突っ込んできた。

良介は剣で攻撃を受け止める。

エミリアはすかさず魔物に攻撃した。

 

「はぁっ!」

 

魔物はエミリアの攻撃を受け、怯んだ。

その隙を逃さず、良介は剣に魔力を込め、斬り裂いた。

 

「・・・まったく、なんだったんだ。

騎士みたいな姿をした魔物だというのはわかるが・・・」

 

「とりあえず、先を急ぎましょう。」

 

「ああ、そうだな。」

 

良介とエミリアは先を急いだ。

その頃、学園掲示板前。

アイラとチトセがいた。

 

「ええい犬川のクソジジイめ!

せっかく妾が忠告してやったのに!

学園長だか何だか知らんが、妾に比べたら生まれる前の赤ん坊じゃろが!」

 

「・・・・・」

 

「むっ。

貴様は朱鷺坂。

妾になんの用じゃ。

妾にはないぞ。

じゃあな。」

 

「・・・嫌われちゃったわねぇ。」

 

「当たり前じゃ!

なんか知っておる風だが、言わなければ意味がないわ!

チクチクもったいぶっておるのは言いたいからじゃろ?

わかっておるぞ。

ホレ、言え、言ってしまえ。

楽になるぞう?」

 

「・・・やっぱりあなた、察しがいいのね。

でも違うわ。

私は【言えない】の。

肝心なことは言えないまま・・・

でも、言わなければいけないことがある。

助けなければならない人もいる。」

 

「・・・ようわからんが、それはアレか。

侵攻前のタイコンデロガ討伐のことか。

精鋭部隊に別の入り口の情報をリークしたのはお主じゃな。

崩落前、宍戸にそれを伝えたのもお主。

ふふん、わかる、妾にはわかるぞ。」

 

「あら・・・いい情報筋を持っているのね。

誰かしら・・・まさか遊佐 鳴子?」

 

「ふふーん、まぁ敵の敵は味方と言うしな。

多少協力してもらったわ。」

 

「・・・あなたと、遊佐さんが協力・・・フフフ・・・そういうこともあるのね。」

 

チトセは不敵な笑みを見せる。

 

「・・・なんじゃまた訳知りか。

ここまで引っ張ったんじゃから、一つくらい話せ。」

 

「じゃあ1つ。

私とあなたは知り合いよ。」

 

「・・・なんじゃと?」

 

「あなたの秘密・・・【吸血鬼などではない】という秘密を知っているのは・・・

あなたがアイザックのおかげで長らえているという秘密を知っているのは・・・

親友でもなければおかしいと思わない?」

 

「アイザック!

お主、そいつが何者か・・・知っておるな、その言い方は・・・」

 

「私には話してはいけないことが多すぎる。

でも伝えたいことがあるの。」

 

「じゃからそれをはよ言えというとる!

あ!

妾のこと信用しとらんな?」

 

「いいえ、信用してるわ。

他の誰よりもね・・・だからこそ、もう少し待って。

今の私には、あなたたちが【生きながらえるよう】助言することしかできない。」

 

「生きながらえるよう・・・?

な、なんじゃと・・・!

お主、まさか・・・あのときリークが無ければ・・・!」

 

「いいえ、武田 虎千代は死ななかったでしょうね。

けれど【霧】が体内に侵入、重態で侵攻に参加できず・・・」

 

「ま、待て待て!

なにを言っとる!

そりゃまるで・・・」

 

「体内に【霧】が入り込んだ人間・・・ロクな最期は迎えられないわ。」

 

「・・・お、おい、おかしいぞ!

霧が入らなかったのは良介がおったからじゃろが!」

 

「ええ、そうよ。

私もそれが不思議なのよ。

私の知っている範囲では、彼は武田さんに同行しないはずだったもの。」

 

「お主・・・なんじゃ、予知の魔法使いか!?」

 

「ごめんなさい。

言えないわ・・・でも私は、この学園の歒じゃない。

今は、あなたの歒でもない・・・ただ、正体を明かせないだけ。」

 

チトセはそう言うと去っていった。

 

「・・・ぐぅっ。

なんじゃアイツ・・・!

なにを言うておる・・・!」

 

掲示板の後ろに誠がいた。

 

「・・・たまたま通りすがっただけだったのに変な会話聞いちまったな。

朱鷺坂 チトセ・・・俺が思った以上に謎なヤツだな。

そしてアイラも。

アイザックって言ったら、アイザック・ニュートンのことだな。

だが、問題はチトセだな。」

 

誠はその場で少し考え込む。

 

「・・・あの出来事を知っていた。

だが予知の魔法使いじゃない。

となると・・・未来から来た・・・なわけないか。」

 

誠は掲示板の後ろから少し顔を出す。

 

「・・・チトセ、少し注意して接した方がいいな。」

 

誠はその場から離れた。


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