グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第27話 旧科研

第7次侵攻が終わって3週間が過ぎた。

そんなある日、旧魔導科学研究所に向かうクエストが出された。

 

「旧魔導科学研究所・・・か。

名前からして嫌な感じがする場所だな。

・・・ん?」

 

良介が校門に向かっていると、校門前で兎ノ助が1人の生徒と話をしていた。

 

「お、お前ホントに行くのか?

・・・転校してすぐだぞ・・・」

 

「アンタが言いたいのは【魔法使いじゃないから】でしょ?

旧科研の話は知ってるわ。

【部外者】に荒らされないよう、私が来たんだから。」

 

「ああ、科研の隠ぺい体質はそのままか・・・自分たちで始末できねぇくせに。」

 

「かつて旧科研では魔物を洗脳し、人類側の兵器として運用する計画があった。

けれどもちろん失敗・・・魔物は暴走し、施設を放棄せざるを得なくなった。

残されたのは【人類の兵器を装備させられた魔物だけ】・・・哀れね。」

 

「ああ、魔物とはいえ、なんか可哀想・・・」

 

「違うわよ。

理解できないまま危険なものを運用しようとした哀れな科学者よ。

こんな話が外に全然漏れてないなんてありえないわ。

きっと第7次侵攻が無ければ、爆発するまで放置されてたでしょうね。」

 

「研究所が密閉されていたおかげで、年数の割に強さは控えめだそうだ。

とはいえ、タイコンデロガに育ってるやつがいないとも限らない。

特にお前は慎重に行けよ。」

 

「余計なお世話よ。

科学者の始末は科学者の私がつける。

愚かな先人の廃棄物は、このデウス・エクスで焼却処分してやるわ。」

 

その生徒は兎ノ助と話を終えると行ってしまった。

 

「・・・今のは確か新しく来た・・・如月 天(きさらぎ そら)・・・だったか。

あいつも旧科研のクエストを請けてるのか。」

 

良介はさっきの兎ノ助の会話のことを思い出す。

 

「・・・【魔法使いじゃない】?

なら、なんでここに・・・」

 

良介は少し考え込む。

 

「・・・まぁ、いいか。

とりあえず、クエストに向かうか。」

 

良介は旧科研に向かった。

 

   ***

 

良介は旧科研に到着した。

先に来ていた生徒たちがいた。

天も来たばかりのようで、結希と会話していた。

 

「・・・久しぶりね。

最後に会ったのは半年前・・・かしら・・・?」

 

「ちょうど200日よ。

アンタが科研を出て行ってからね。

再開してすぐ旧科研だなんて皮肉なものね。」

 

「・・・あなたは出向扱いになってると聞いたわ。

正確には学園生ではない・・・

クエストを請ける義務はないのだけど。」

 

「アンタね、そんなに私を戦闘させたくないのね。」

 

「あなたの才能は素晴らしいわ。

覚醒してない状態で魔法を使えるようにする・・・

でもその代償は大きい。

あなたはまだ戦うべきではないわ。」

 

「余計なお世話よ。

自分の面倒くらい見られるわ。

人工の魔力線を用い、魔力を魔法に変換。

やってみたら大したことなかったわ。」

 

「・・・誰もそれを【実現しようとしなかった】理由はわかってるでしょう?」

 

「人の心配する前に、自分のやるべきことをやりなさい。

科研の汚点ともいえるこの施設。

もし一般市民に被害が出たら・・・

魔法使いの評判は底抜けだものね。」

 

「・・・しかたないわね。

できるだけ私たちが戦うわ。

あなたはまだ魔法学園に来て間もない。

先に私たちのやり方を見て。」

 

「・・・ま、いいわ。

私もようやく魔法使いと接触できる。

データはどんどん取らせてもらうわよ。」

 

「好きにしなさい。

隠すことは何もない。」

 

良介がその会話を眺めていると、誠がやってきた。

 

「ふーん、あれが新しい転校生、如月 天か。

魔法使いじゃないって本当か?」

 

「ああ、どうやらそうらしい。

人工の魔力線で魔力を魔法に変換してるんだとよ。」

 

「・・・どうやって?」

 

「知るか。

あの機械が関係してるのは確かだと思うが。」

 

そんな話をしていると良介の元に風子がやってきた。

 

「ども、りょーすけさん。

お元気そーで何よりです。」

 

「風子か。

お前も来てたんだな。

それで、何か用か?」

 

「ええ、実は・・・こうやってクエスト請けてやるのは久々でして。

そこで、りょーすけさんにお願いがあるんです。」

 

「お願い・・・何だ?」

 

「ウチのフォローに入ってくれませんか?」

 

「フォローね。

まぁ、それは別に構わないけど。」

 

「そですか。

なら、早速行きましょーか。」

 

風子は良介の手を引っ張り進もうとする。

 

「早速かい。

まったく、面倒なことにならなきゃいいが・・・」

 

良介は風子について行った。

誠は良介と風子を見送った。

 

「・・・さて、俺は科学者2名の護衛でもしますか。」

 

誠は結希と天の元に向かった。

 

   ***

 

結希と天と誠は奥へと進んでいた。

と、突然魔物が現れた。

 

「なんだあれ・・・ただの魔物じゃねえな。」

 

魔物には武器のようなものが組み込まれていた。

 

「ああ、ポチね。

ポチだわ・・・資料では見たことあったけど、おぞましい。

Prototype Of Treasonable Impelement.

反攻兵器試作型・・・無理に英字当てて意味わかんなくなってるわ。

馬鹿みたい。

どこのバカが兵器だけつけたのよ?

洗脳はどこに行ったの?」

 

「魔物の【意思】がなにかわかっていないまま強行したのね。

おそらく、この制服と同じもののはず。

【理屈は分からないけど使う】。

その失敗した例がこの場所というわけね・・・」

 

「当然よ。」

 

「・・・あなたのデウス・エクスもまだ成功とはいえない。

未来の希望になるのだから、命を無駄遣いしないで。」

 

「誰かがやらなくちゃいけないじゃない。

なら私がやるわ。」

 

「魔力が活性化していないあなたには、魔法発動の反動が重い負担になる。

安全装置が完成するまでは、あなたに無理はさせないわ。

私の権限で。」

 

「・・・さっきも言ったけど、私より先に自分の心配したらどうなの。

科研じゃアンタの評判は最悪よ。

言うことを聞かないってね。

アンタ、科研も執行部も敵に回して何をやるつもりなの?

ただ【人間を作る】だけなら、他の生徒の世話なんて必要ないじゃない。」

 

「私の目的はあなたと同じよ。

魔物を殲滅し、世界に平和を取り戻す。

それでこそ、これまでの研究が報われるもの。」

 

「フン、なんでもわかった顔していけ好かないところも変わってないわね。

ただし私はデウス・エクスの危険性もわかってるわ。

だからこそ、私がやるのよ。

そこに口を挟まないで。」

 

「・・・なにを言っても無駄ね。

椎名 ゆかりを紹介するわ。

せめて、治療は万全のものを受けなさい。

魔法も使う治療をね。」

 

誠は2人の会話を聞いていた。

 

「・・・魔法を誰でも使えるようにする・・・人間を作る・・・

どっちも俺からしたらただのマッドサイエンティストにしか思えないな。

特に人間を作るなんて神様にでもなるつもりか?」

 

誠はため息をつく。

と、魔物がこっちに襲いかかってきた。

 

「おっと・・・危ない危ない。

とりあえず、この魔物は倒さないといけないな。」

 

誠は魔物を射抜き、一発で仕留める。

 

「(一匹しかいない・・・はないか。

良介のところ、何もなければいいが・・・)」

 

その頃、良介たちは・・・

 

「兵器を取り付けた魔物・・・か。

旧科研はとんでもない禁忌に手を出したもんだ。

魔物を兵器にしようとは。」

 

「まったくですよ。

その後始末するハメになったウチらのことを考えてほしーですね。」

 

良介と風子は魔物を倒しながら進んでいた。

が、魔物は次々と現れる。

 

「ったく・・・一体何体に兵器取り付けたんだ旧科研は。

いや、増えたのか?」

 

「増えたのなら兵器だけ残ったりしねーですよ。

全部旧科研が洗脳しようとした魔物だと考えたほーがいいですね。」

 

2人は愚痴を言いながら魔物を倒していく。

と、風子が何かに気付いた。

 

「・・・!

りょーすけさん。」

 

「どうした風子。」

 

「ウチら・・・とんでもないハズレくじを引いちまったみてーです。」

 

風子の目線の先を見ると、部屋から魔物が大量に出てきていた。

 

「なるほど、あそこが巣ってことか。」

 

「・・・どーします?

誰か呼びに行ったほーがいーんじゃねーですか?」

 

「それができたら苦労はしねぇよ。

後ろを見ろ。」

 

風子は言われた通りに後ろを見ると、魔物が退路を塞いでいた。

 

「・・・絶対ぜつめーですね。」

 

「いや、そうでもない。

俺にとったら、ハズレじゃなくアタリだ。」

 

「・・・どゆことですか?」

 

「派手に暴れるにはちょうどいいってことだよ!」

 

良介は風の肉体強化をかけた。

 

「風子、ちょっと伏せてろ。」

 

「りょーかいです。

それじゃ、おねげーしますね。」

 

「ああ、すぐに終わらせる。」

 

風子は屈むと同時に良介は高速で魔物に斬りにかかる。

次々と魔物を倒し、風子の前で止まった。

 

「・・・ふぅ、こんなものか。」

 

と、その良介の後ろに魔物が迫っていた。

良介が気付いた時点で、攻撃をする寸前だった。

 

「っ!

やばいっ!」

 

良介は剣で防御の体勢に入ったが、攻撃は来なかった。

防御を解いて見てみると魔物の体に水色の鎖が絡みついていた。

 

「これでだいじょーぶですね。」

 

風子の魔法だった。

良介はすかさず魔物を斬った。

 

「・・・すまん、風子。

助かった。」

 

「別にいーですよ。

さっきあのじょーきょーを打破してくれたりょーすけさんに恩返ししただけですから。」

 

「・・・そうか。

それより、魔物の巣は・・・」

 

良介は部屋の方を見る。

 

「・・・一体も出てこねーんでいないかもしれねーですけど、少し入って確認しますか。」

 

「ああ、その方がいい。

また湧かれても困るしな。

風子、離れるなよ。」

 

「りょーかいです。

もういないといーんですがねー・・・」

 

良介と風子は部屋に入っていった。

 

   ***

 

誠たちは奥へと進んでいた。

誠が前で魔物を倒していた。

と、一体の魔物が天のところに向かった。

が、天の目の前で魔物は消滅した。

 

「きゃあっ!?」

 

いきなりのことに悲鳴をあげる天。

 

「・・・ふぅ、よかった。

どうなるかと思ったぜ。」

 

誠は安心した。

天の目の前に梓がいた。

 

「うっす、宍戸先輩、誠先輩、先の方は片付けたッスよ。」

 

「うわ!?

あ、あんた誰よ!?」

 

いきなり現れた梓に驚く天。

 

「おおっ。

あなたが噂の魔法使いじゃない転校生さんッスね。

忍者の服部 梓ッス。

以後お見知りおきを。

ご用向きの際は天文部までッス!」

 

「・・・なんの宣伝だ。」

 

呆れる誠。

 

「にに、忍者!?

馬鹿言ってんじゃないわよ!

この時代にいるわけないわ!」

 

「・・・忍術、見せてあげたら?」

 

「いやー、ウチの特許なんでマネしないでくださいね?」

 

「結希!

あ、あんた科学者のくせにこんな怪しいヤツと・・・!」

 

「やだなー。

忍者は元祖科学者みたいなもんッスよ?

例えば薬の調合って、もともと忍者の薬草から来てるんですから。

昔は【術】だった火遁なんかも、解明してみれば化学変化の応用だったり。

ちなみに今の爆発も火遁です。

本来逃げるための術なんですが・・・

魔法で弱った魔物を倒すくらいならじゅーぶん使えます。」

 

「・・・な・・・なんてこと・・・!」

 

「忍者は今も実在するわ。

術に科学的な説明ができる分・・・

魔法使いより現実的ね。」

 

「・・・ぐぐ・・・」

 

「まー、魔物には魔法が一番ってことで、忍術は補助ッスけどね。

御用の際は服部 梓をヨロシク!

では、物見に行ってくるッス。」

 

梓は先に進んでいった。

 

「・・・・・あなたは純粋な科学者。

科研で生まれて科研で育った。

これからも信じがたいことが起こると思うわ。

けれど、あなたはあなたは。

全部噛み砕いて吸収しなさい。

デウス・エクスの完成はその先。」

 

「・・・わ、わかってるわよ!

科学の発展のためならなんだってするわ!

もう魔法も科学の一分野だってことを教えてあげる!」

 

天は奥に向かった。

 

「・・・さて、魔物はあとどれくらいいるのか。」

 

誠は周りを気にしながら進んだ。

その頃、良介たち。

 

「これは・・・カプセルか?」

 

良介と風子が入った部屋には大量のカプセルがあった。

カプセルはほぼ全て割れていた。

 

「これ、一体何なんですかねー・・・」

 

割れたカプセルに近づく風子。

 

「・・・風子、答えがすぐ近くにあるぞ。」

 

「え?」

 

良介は奥に進む。

風子は後を追いかけた。

すると、魔物が入ったカプセルが一つあった。

 

「これは・・・!」

 

「このカプセルはこの魔物を造るためのものだったってわけだ。

恐らくここにあるカプセル全てがそうだろう。」

 

「・・・それだけ兵器として使うつもりだったってわけですか。」

 

「ああ・・・風子、下がってろ。」

 

「へ?」

 

良介は風子を下がらせた。

と、突然カプセルが割れ、中にいた魔物が良介に襲いかかってきた。

だが、魔物は良介の目の前で静止した。

下から良介の剣が魔物を貫いていた。

良介はそのまま魔物を斬り裂いた。

 

「ふんっ!」

 

魔物はそのまま消滅した。

 

「・・・ここにいる魔物はこれで最後だろ。」

 

「それじゃ、もうこの部屋には用はねーですね。」

 

「ああ、出るぞ。」

 

良介と風子は部屋から出た。

 

   ***

 

良介と風子は奥に進むと、誠たちがいた。

 

「・・・あなたたち、来てたのね。」

 

「ええ。

科研の依頼のくせに、生徒会も精鋭部隊も動かねーのは不自然でしょ。

気になって参加させてもらいました。

いやー、キツいですね。

入学後にすぐに風紀委員長になって、クエスト免除されてましたから。

6年ぶりのクエストはろーたいには堪えましたよ。」

 

「・・・お前ほとんど戦ってないじゃん。」

 

風子は杖で良介の頭を叩いた。

 

「・・・痛いな。」

 

「あんたさんは黙っててくだせー。」

 

「・・・なによ、なんなのよ!」

 

「科研の科学者たちはには、現場が見えていない。

彼らが思っているより、人間は賢いということよ。

目的を話した方がいいわ。」

 

「ウチには学園の風紀を守るとゆー目的があります。

風紀は安全がほしょーされて初めて守られる。

ウチの縄張りで内緒ごとができるとは思わねーことです。」

 

「・・・・・クッ・・・・・わかったわ。

どうせいつか事件になる。

いい?

口外無用よ。

年内は動かないはず。

だけど・・・

【霧の護り手】が近いうちになにかするわ。」

 

「・・・霧の護り手?

意外な名前が出てきましたね。

霧の護り手が科研と何の関係が・・・

・・・まさか、ここの電気が生きているのは・・・」

 

風子は周りを見渡す。

 

「そうよ。

科研はこの施設を封印したまま放置していた。

自分たちの愚かな所業から目を背けるようにね!」

 

「・・・だからこの旧科研を【霧の護り手】が利用していたことも気づかなかったってことか。」

 

良介は眉間に皺をよせる。

 

「・・・ちょっと待て。

話がおかしいぞ。

魔法使いでもない霧の護り手が、こんな魔物だらけの場所でどうやって?」

 

誠は疑問を抱いた。

 

「・・・かつて科学者はポチから身を守る手段としてレジストフィールドを作った。

素材はミストファイバーよ。

私たちの制服と同じ。

幼い魔物なら、これで攻撃をシャットアウトできる。」

 

「まさか・・・あれは希少性が高くて加工のむつかしー素材でしょう。

テロリストが手に入れられるわけがねーじゃねーですか。」

 

「裏切り者がいるんだろう。

科研かJGJか、どこかに。」

 

良介は天の方を見る。

 

「私の役目はここでその痕跡を見つけることよ。」

 

「・・・確かに、使用された形跡はありましたが・・・まさか霧の護り手とは・・・

そんなもんを黙ってたってゆーんですか。

ブチキレますよ。

霧の護り手がここで【何を】してたか知りませんがね!

そんなもん、学園をどーにかすることに決まってるじゃありませんか!」

 

「・・・風子、そうと決まったわけじゃねぇだろ。」

 

良介は風子を睨みつけた。

 

「うっ・・・」

 

風子は少し怯んだ。

 

「第7次侵攻で、魔物はこの封印を破った。

進撃を止めてでもね。

それが無かったら、最悪の時まで気づかなかったでしょうね。」

 

「・・・とにかく、痕跡を探す。

それに異論はないと思うわ。」

 

「そうだな。

まだ魔物も残っているし、殲滅するか。」

 

誠はそう言うと他の魔物を探しに行った。

良介たちも残った魔物を倒しに向かった。

 

   ***

 

誠たちは魔物を全て倒し終え、痕跡を探しに行っていた。

 

「・・・良介たちも終わったみたいだな。」

 

誠はもあっとで良介と連絡をとった後、結希たちと研究所の中心部に向かった。

 

「お、これにHDDが入ってるみたいだ。

・・・て、壊れてんな。」

 

誠が一つの機械にHDDが入っているのを見つけたが、既に壊されていた。

 

「HDDが物理的に破壊されてたら、データの回収は無理ね。」

 

「・・・双美 心。」

 

結希は心を呼び出した。

 

「ひ、ひぃ!

ななな、なんでしょう・・・!」

 

心はオドオドしながらやってきた。

 

「任せたわ。

サルベージをお願い。」

 

「わ、わかりましたぁ!

す、すいませんが少々お待ちください!

・・・・・」

 

心は持っているパソコンでなにかし始めた。

 

「・・・なるほど、そういうことか。」

 

誠は納得したように心の方を見る。

 

「・・・な、なによ。

サルベージをお願いってどういうこと!?

破壊されてんのよ!

魔法で精密機械を直すって言うの!?」

 

「・・・双美 心は・・・遊佐 鳴子の天敵。」

 

「はぁ!?」

 

「ケーブルを繋げばあらゆる物理的、セキュリティ制約を無視することができる。

・・・はず。

今はまだ成長途中。

それが彼女の得意とする魔法よ。

破壊されてようが関係ないわ。

ただ一つ、立華 卯衣の内部情報だけは見られないけれど。

理由は不明。」

 

「な、なに言ってんのよ!

そんなの論理的じゃないわ!」

 

「魔導科学がその論理にたどり着いていないだけだろ。」

 

「【魔法は科学】なんでしょ?」

 

「・・・ぐぐ・・・ぐぅ!」

 

誠と結希の言葉に悔しそうな表情をする天。

 

「・・・お、終わりました・・・あの、こ、これ多分外に出るとまずいものでは・・・

魔物の洗脳方法、更新されて新しい理論が付け加えられてます。」

 

「私が預かるわ・・・まさか、そんな理論がうまくいくはずがないと思うけど・・・」

 

「天。

わかってると思うけれど。」

 

「わかってるわよ!

【破壊されてたから復旧はムリでした】で通すわ!

あんな愚か者たちにこれ以上間違わせたら、人類は滅びるもの・・・!

さあ!

魔物も殲滅したしやることはやった!

帰るわよ!」

 

「ええ・・・霧の護り手の対策を考えましょう。」

 

誠たちは研究所を後にした。




人物紹介

如月 天(きさらぎ そら)16歳
魔導科学研究所より出向してきた科学者。
覚醒していないにも関わらず、自身の発明【デウス・エクス】によって魔法を使用可能にしている。
勝ち気で負けず嫌い。
研究のためなら自分を実験台にすることもためらわないほどの情熱家。

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