グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第2部 裏世界
第26話 秋のデート大作戦


良介と誠が完治して4日が経った。

校門前に香ノ葉と冷泉 葵(れいせん あおい)がいた。

 

「ウフフフ・・・しんどい第7次侵攻も終わって、や~っとお休みの日が来たんよ。

あれだけ頑張ったんやから、そんなウチらに自分でご褒美あげないとなぁ。

下調べもバッチリしたし、ダーリンも皆もバッチリ満足いく1日にするんよ!」

 

「白藤さん、今日は1日よろしくお願いします!

わたくし、初めての【でーと】ということで、大変楽しみにしておりました!」

 

「初めてちゃうやろ。

いつも茶道部の皆で遊んでたやん。」

 

「なるほど・・・あれが【でーと】だったのですね。

勉強になります。」

 

2人が話をしていると、あやせとエミリアがやってきた。

 

「みなさん、おはようございます~。」

 

「おはようございます。

お待たせしてしまったでしょうか?」

 

「ぜんぜん待っておらんで。

望ちゃんもまだやからなぁ。」

 

「望ちゃん、おねぼうさんですからね~。

大丈夫でしょうか~?」

 

と、私服を着た月詠と誠がやってきた。

 

「望って?」

 

月詠はエミリアに質問する。

 

「私も名前ぐらいしか知らない方なんですけれど・・・」

 

「望って確か授業免除されてるヤツじゃなかったっけ?」

 

誠が周りに聞いた。

 

「望ちゃんはね、普段は部屋にこもっとるんやけど、すごいかわええ子なんよ。」

 

「引きこもりなのに外出するの?

よくわからないわね・・・」

 

「あら。

噂をしていたら、2人とも来たみたいですよ~。」

 

私服の良介が望を引っ張りながらやってきた。

 

「ダーリーン!

望ちゃーん!

こっちやよー!」

 

「まったく・・・部屋から出すの苦労した・・・」

 

「お疲れさん、良介。」

 

「ふわぁぁ・・・眠っ。

あと5時間ほど後でもよかったのに。」

 

「今から5時間経ったらお昼過ぎになっちゃうじゃない!」

 

「お前、大声はやめろって・・・頭に響くっての・・・」

 

望は頭を抑える。

 

「お前じゃないわ、ツクは守谷 月詠よ。

あんたは?」

 

「楯野 望・・・まぁよろしく。」

 

「楯野さん、今日はずいぶんおめかししていらっしゃるんですね~。」

 

「これは白藤に言われて着たんだよ。

別にボクの趣味じゃない。

そういえばなんで白藤は制服なんだよ!

ボクにだけ私服着せてさ!」

 

望は香ノ葉に怒り始めた。

 

「ウチもホントはおめかししよう思ったんよ?

・・・でも、迷ってる内に朝になってしもたの。」

 

「そうなんですよねぇ。

わたしも一晩中、迷いに迷ってしまいまして~。

結局、いつも通りが一番、ということで制服にしてしまいました~。」

 

「・・・私服でそんなに迷うか?」

 

良介が2人の発言に対して呆れた。

 

「まぁ、良介。

女ってのはそういうもんだ。

女心ってやつを理解しようぜ。」

 

誠が良介に小声で話しかけた。

 

「わたくしも、うっかり私服をお洗濯に出してしまいまして・・・」

 

「くそう、こんなことになるならボクも制服にしてくればよかった・・・」

 

「まぁまぁ。

これも情報代やということで堪忍してぇな。」

 

「・・・穴場情報、間違ってたら帰るからな。」

 

「大丈夫!

ウチの正宗がしっかり確かめてきた情報やからね。」

 

「ま、正宗ぇ・・・?

よく分かんないけど、頼むぞ。

ホント。」

 

「さて、それじゃあ皆、今日は1日、がっつり遊ぼな!」

 

5人は歩き始めた。

 

「・・・ふぅ、久々の息抜きで遊ぶことになったが大丈夫かな。」

 

「どうしたんだよ、良介。

何か嫌な予感でもするのか?」

 

「いや、葵って子、箱入り娘らしいからさ。

何か問題起こさなきゃいいなぁ・・・と。」

 

「大丈夫だろ。

あの人数にお前がいるんだから。」

 

「・・・なんで俺?」

 

「お前のフォロー力がありゃ、なんとかなるさ!」

 

「・・・なんでもかんでも押し付けるのはやめてくれ。」

 

2人は5人の後に続いた。

 

   ***

 

街に到着するなり香ノ葉は服屋に入り、それぞれグループに分かれた。

 

「まずは服ぅ見よな。

女の子は綺麗に着飾らんと♪」

 

「服はもういいよ・・・ボク単独行動でいい?」

 

「ムリよ、結希ちゃんから言われてんよ。

望ちゃんを1人にしたらだめやって。」

 

「くそっ、宍戸のやつ・・・ボクは1人で平気って言ってんのに・・・」

 

「まぁそう言わんで。

一緒に次の服選ぼ?

ダーリンも手伝ってくれるみたいよ。」

 

「・・・えっ、俺も?」

 

「な、なんでこいつも一緒なんだよっ!

自分の服ぐらい自分で選ぶっての!」

 

望は1人で行ってしまった。

 

「あーあ、言ってしもた・・・一応、グループからは離れないみたいやけど・・・

・・・しゃあないやね。

ダーリン、一緒にウチらの服を選ぼな。

ペアルックにする?」

 

「いや、ペアルックは勘弁してくれ・・・」

 

その頃、別のグループ。

 

「ふうん・・・おしゃれ着ってこんなに沢山あるのね・・・

あっ、この上着ちょっと素敵かも・・・ん?

結構高いわね!

こっちのスカートはどうかしら・・・うわ、やっぱり高いわね。

もうっ・・・良さそうなのに限って高いじゃない・・・!」

 

「・・・服ってそんなもんさ。」

 

月詠と誠が服を見ていると望がやってきた。

 

「全く、服だのオシャレだの、バカみたいだっ・・・!」

 

「・・・ずいぶん機嫌悪いわね。

どうしたの?」

 

「決まってるだろ、服屋の空気に毒されてたんだよ。」

 

「ど、毒って・・・楯野さんだって服ぐらい着るでしょ?」

 

「パジャマと替えの下着さえあればいいし、そんなの通販で事足りるだろ。」

 

「・・・完全に引きこもりの考え方だな。」

 

望の発言に呆れる誠。

 

「おしゃれしないの?」

 

「男に色目使うほどボクはヒマじゃないの!」

 

「でもその服、満更でもないんじゃない?」

 

「別に・・・もらいものだからぞんざいにできないだけだし。」

 

その頃、別の場所。

春乃と鳴子がいた。

 

「さて。

今日は過去最大の買い出しになるわ・・・秋穂、楽しみに待っててね!」

 

「カートとリュックを持ってきてよかった・・・これはいつもの10倍以上になるぞ。

そうだな、帰りはワゴンタクシーを手配しよう。

いいね?

春乃君。」

 

「トラックにして。」

 

「僕は構わないけれど、寮の部屋に入りきるかな?」

 

「あたしと秋穂の部屋を合体させて増築すれば問題ないわ。

ああっ!

でもいっそ新しく家を買えば・・・秋穂とあたしの愛・の・巣!」

 

「・・・ローンは平気かい?」

 

「どうにかするわよ。」

 

「そうか・・・じゃあ、後で近くのモデルハウスを見に行こう。」

 

「調べておいて。」

 

「OK。

家は最後だな・・・次はどこを見るんだい?」

 

「そこの服屋よ。

もっとも、秋穂の可愛さに負けちゃう服のが多いけど。」

 

「・・・おや?

あっちにいるのは・・・」

 

鳴子が何かに気付いた。

その先には良介と香ノ葉が服を選んでいた。

 

「なぁなぁダーリン、これなんてどやろ?

ペアルックのパーカーやって!」

 

「・・・俺はこっちの色のパーカーがいいんだけど。」

 

「そんな恥ずかしがることないんよ?

着るのは休日だけやもん。」

 

鳴子が2人に近づいた。

 

「これはこれは。

夏海が見たら喜びそうなシチュエーションだな。」

 

「えっ・・・あっ。」

 

「ひゃあ!?

ゆ、遊佐さん・・・それに瑠璃川さんやないの。

今日は2人で買い物に来とったん?」

 

「ああ。

僕は春乃君の付き添いでね。

妹さんを祝ってあげるそうだよ。」

 

「秋穂ちゃん、愛されとるなぁ。」

 

「うぇへへへ・・・これなら秋穂に合うかな。

こっちも悪くない感じ・・・うふふふ・・・」

 

春乃は1人で変な笑いをしていた。

 

「・・・相変わらず自分の世界に入っとるなぁ。」

 

「・・・傍から見たらただの変人だな。」

 

2人はその様子を見て呆れた。

 

   ***

 

良介たちはファミレスに来ていた。

 

「さて、一休みしよな、みんな。」

 

「やっと休憩だよ・・・あー疲れた疲れた。」

 

「望ちゃん、まだ最初の場所に行っただけやないか。」

 

「引きこもりにとっては外出だけでも苦痛なの!」

 

「せっかくおめかしして来たんやから、もっと楽しんだ方がええんちゃう?」

 

「ボク、その楽しみの場所だけ行って帰るつもりだったんだけど。」

 

「1人で行ったらイヤよ。

結希ちゃんに怒られてまうから。」

 

「・・・ふん、わかったよ。

とりあえず食事だ。

白藤、メニュー。」

 

「あいよ、受け取っておくんなはれ。」

 

香ノ葉は望にメニューを渡した。

 

「えーと・・・ボク、マルゲリータピザとサラミピザ、あとドリンクバーな。」

 

「相変わらずピザなんやなぁ・・・」

 

「ピザ以外選べよ・・・」

 

良介がため息をついていると、葵が話しかけてきた。

 

「あのー・・・ピザとはそんなに美味なものなのでしょうか?」

 

「え?

ああ、ピザはな・・・」

 

誠が葵に説明しようとした途端、望が話しかけてきた。

 

「ん?

そりゃお前、ピザさえあれば他に何もいらないだろ?」

 

「わたくし、ぴざというものを食べたことがありませんので・・・」

 

「そんなに気になるなら注文すりゃいいじゃないか。」

 

「はい!

そういたしますね!」

 

葵はピザを注文した。

 

「・・・・・」

 

その状況を誠は黙って見ていた。

 

「・・・ま、こういうこともあるさ、誠。」

 

良介は誠を励ました。

注文されたものが運ばれてきた。

 

「あの、楯野さん・・・」

 

「なんだよ今度は・・・」

 

「チーズがこぼれてしまって、上手く食べられないのです・・・」

 

「ちょっとぐらいこぼれても別にいいだろ・・・」

 

「(ピザをこぼさずに食べる・・・その気持ち、わからなくはない。)」

 

誠がドリアを食べながらうなづいていた。

 

「・・・お前、何うなづいてんだ。」

 

良介がチーズハンバーグを食べながら呆れた。

その後、皆でデザートを食べることになった。

 

「・・・おっ、みんな、デザート来たで。」

 

皆が注文したデザートが運ばれてきた。

 

「楽しみにしてました!

ここのパフェは絶品ですからね!」

 

「うふふ・・・ウチはおヨウカンや!」

 

「まあ・・・!

いつのまにおヨウカンを取り扱うようになったのですか?」

 

「ええやろ~。

こないだ追加されたのを聞いたってん。」

 

「そうだったのですか・・・わたくしもおヨウカンにすればよかったです。」

 

「よかったら葵ちゃんも一口どう?」

 

「でしたら、わたくしのパフェもお裾分け致しますね!」

 

「皆で交換し合えば、色々食べられてええやんな♪」

 

その状況を望が見ていた。

 

「なんだ、デザート交換会か?

まるで小学生の遠足だな。

お菓子なんて、1人でのんびり食べるに限るっていうのにさ。

・・・・・・・・・・・」

 

望に月詠が話しかけてきた。

 

「・・・・・あのさ。」

 

「・・・ん?

なんだよ。」

 

「一口、食べなさいよ。」

 

「変に気を遣うなよ、同情なんていらないんだからな。」

 

「ちょっと多いから食べて欲しいだけよ。」

 

「・・・・・まぁ、それでいいってんなら。

遠慮なく食べるか。」

 

良介と誠はデザートを食べながら見ていた。

 

「・・・デザート交換、ね。」

 

「どうした良介。

お前も混じりたいのか?」

 

誠がニヤニヤしながら聞いてきた。

 

「誰が混ざるか。

あんなところに男が混ざったら違和感しかねえだろ。」

 

「ま、確かにそうだな。

ところで・・・」

 

「ん?

どうした?」

 

誠が良介が食べているりんごのパフェを見る。

 

「お前がそんなの食べるって珍しいな。」

 

「ああ、普段風子がよく食べてるからおいしいか気になって頼んでみた。」

 

「・・・え、なんでそんなこと知ってるんだ?」

 

「風子とよく来るから。」

 

「・・・え?」

 

「・・・どうした?」

 

「い、いや、なんでもない・・・

(水無月と・・・よく来る?

噂でよく街で一緒にいるって話を聞いたが・・・まさか本当だったとは・・・)」

 

   ***

 

良介たちはファミレスから出てきた。

 

「だいぶ話し込んでしまいましたね。

次はどこへ向かわれますか?」

 

「この後はー、ゲームセンターに行く予定なんよ♪」

 

「ゲームセンター・・・とは、なんですか?」

 

「ああ、それは・・・」

 

誠が説明しようとすると、望に遮られた。

 

「テレビゲームってあるだろ。

あれが一杯あるところだ。」

 

「他にも、プリントシール機やクレーンゲームもあるで。」

 

「テレビゲーム・・・プリントシール機・・・それにクレーンゲーム・・・?

分からないものだらけです・・・どういうものなのでしょう・・・」

 

「口で聞くより、見て確かめた方が早いと思うぞ。」

 

「そうやね。

面白いことはウチが保障するえ。」

 

「そうですね・・・百聞は一見に如かずと言いますし、そうしましょう!」

 

「・・・・・」

 

また黙って固まる誠。

 

「今日は運が悪い・・・そういうことだろう。」

 

良介がみんなの後についていった。

その頃、少し離れた場所。

 

「・・・・・」

 

卯衣が1人でいた。

その場にあやせとエミリアがやってきた。

 

「あら~?

卯衣ちゃんがいますね~。」

 

「た、立ったまま寝てます・・・!

危ないから起こしてあげないと。」

 

エミリアが卯衣を起こしにいった。

 

「立華さん、立華さん。

起きないと危ないですよ。」

 

「・・・ブルームフィールドさん?

それに海老名さんも。」

 

「卯衣ちゃん、今日は1人でお出かけしてたんですか~?」

 

「いえ・・・天文部で来たの。

でも、いつの間にかこうなった。」

 

「大変じゃないですか!

早く連絡を取らないと。」

 

と、卯衣のデバイスが鳴り始めた。

 

「・・・部長、私です。」

 

しばらくすると、ミナがやってきた。

 

「いたーっ!

全く、どこに行ったのかと思ったぞ!」

 

「ごめんなさい。

魔力の消費を抑えていたら寝てしまっていたの。」

 

「こんな人ごみで寝る奴がいるか!

【組織】の刺客に狙われたらどうする!」

 

「以後、気を付けるわ。」

 

「全く、しようのない奴め・・・行くぞ!

皆が待ちかねておる!

ではさらばだ!

この借りはいずれ返すぞ!」

 

ミナは卯衣を連れて去っていった。

 

「ミナちゃん、しっかり部長しててえらいですね~。」

 

「・・・何があったんだ?」

 

誠は終わった後の状況を見て首を傾げていた。

良介たちはゲームセンターに到着し、中に入った。

 

「これがゲームセンター・・・ずいぶん賑やかな場所なのですね!」

 

「な、楽しそうやろ。

女の子もいっぱい来とるし。」

 

「テレビのようなものが沢山ありますが・・・これで遊ぶのですか?」

 

「そうやよ。

望ちゃんは、ああいうので遊ぶのが好きやんな。」

 

葵はクレーンゲームの方を見る。

 

「大変です白藤さん!

そこの人形が盗まれそうになっております!」

 

「泥棒やないよ。

クレーンゲームや。

うまく撮れたら景品をもらえるんやで。」

 

「あれがクレーンゲーム・・・可愛らしい人形が沢山で、とても楽しそうですね。」

 

「やってみる?」

 

「はい!

わたくし、あの大きなぬいぐるみが欲しいです!」

 

「ええよ、やってみよか♪」

 

その頃、別のグループ。

望と月詠がいた。

 

「さて、何で遊ぶかな・・・目的のアレは既にやっちゃったことだし・・・

そうだな、たまにギャラリーにボクの実力を見せつけてやるか。

となると、STG、TPS・・・いや、音ゲーの裏譜面って手もあるな・・・」

 

「ねえ、楯野さん。」

 

「ん?

・・・どしたの?」

 

「ツク、少しやってみたいゲームがあるんだけど。」

 

「やればいいじゃん。

なんでボクに言うのさ?」

 

「やったことないのよ。

ほら、アレ。」

 

月詠が一つのゲームを指差す。

 

「戦国カード合戦・・・ふうん?

このジャンルの元祖みたいなヤツだ。

さすがに今からだとシステム古臭いぞ。

もっと新しいのがいいんじゃないか?

さっきまで最新作のBOのロケテやってたんだけどな。」

 

「ツク、戦国時代が好きなのよ。

他のファンタジーとかピンと来なくて・・・」

 

「これも十分ファンタジーだと思うけど・・・やり方わからないんだな?」

 

「そうそう。

信玄を選ぶにはどうすればいいのかしら?」

 

「選べないぞ。」

 

「えっ?」

 

「スターターパックに信玄は入ってないから・・・

ゲームプレイして、そのあとに出てくるカードで運よく引くしかないな。」

 

「運よくって、引くカード選べないの?」

 

「SRだからな・・・25プレイに1回ぐらいの確率だったかな。」

 

「・・・な、なんで?

どうして!?

信玄って戦国時代を代表する武将じゃない!」

 

「そーいうゲームなの!」

 

その頃、良介と誠は・・・

 

「・・・お、KOFだ。

久々にやるか。」

 

良介が1つの格ゲをやり始めた。

 

「火力ゲーか・・・俺はコンボゲーの方が好きだな。」

 

誠は別の格ゲをしに向かった。

 

「よし、こいつと・・・こいつと・・・こいつだ。」

 

キャラを選び終えやり始める。

望と月詠が良介のプレイを見に来た。

 

「へえ、格ゲーか。」

 

「うわ、凄いわねこのゲーム。」

 

「・・・よし、3ゲージ溜まった。

この体力ならいけるな。」

 

「えっ?

まだ体力7割ぐらいあるぞ?」

 

「よし・・・チェーンドライブからの・・・ヒートドライブ!

よし、決まった!」

 

「嘘・・・全部いっちゃった。」

 

その頃、誠はコンボゲーをやっていた。

望と月詠は今度は誠のところにやってきた。

 

「これは・・・コンボゲーか。」

 

「良介がやっていたのとはまた違うやつね。」

 

「よしよし。

これならいけるな。」

 

「ん?

何する気・・・うわ、ハメだ。」

 

「これは・・・ひどいわね。」

 

「よし、一撃使えるな。

これでジ・エンドだ!」

 

「えっ・・・なんで相手やられたの?」

 

「即死技か。

コンボゲーにはよくあるやつだ。」

 

ちなみにこの後、良介と誠はどちらもラスボスまでクリアした。

 

   ***

 

良介たちはゲームセンターを出て、公園に来ていた。

もう夕方になっていた。

 

「もう夕方かぁ・・・まだまだ遊びたかったんやけど、ぼちぼち終わりやなぁ。」

 

「余り遅くまで出ていると、校則違反になってしまいますからねぇ。」

 

「でも、今日は久しぶりに充実した休日でした。」

 

「エミリアちゃん、さっきは太鼓のゲームで大盛り上がりだったんですよ~。」

 

「太鼓の道は奥が深いですね・・・!

単純に見えて、なかなか難しかったです。」

 

「だいぶいい汗かいたみたいやなぁ。

ええことやね。」

 

「・・・俺たちは格ゲで白熱しすぎたな。」

 

「ああ、対人戦であんなに熱くなったのは久しぶりだったな。」

 

良介と誠は呆れたように笑った。

 

「白藤さん、ぬいぐるみを取っていただきありがとうございます!」

 

「お礼なんていいんよ。

でも、大切にしてくれると嬉しいわぁ。」

 

「はい!

ずっと大事にとっておきますね!」

 

「今回は近場で済ませてもうたけど、今度はもっと遠くへ行きたいやんな。

遊園地・・・動物園・・・ああ、水族館なんてのも雰囲気ええなぁ♪」

 

「また新しい言葉が・・・!

ゆうえんち、どうぶつえん、すいぞくかん・・・」

 

「水族館はいいですね!

日本の魚たち、ぜひ見てみたいです!

 

望は少し離れたところにいた。

 

「あー、疲れた・・・・・

帰ってゲーム・・・いや、もう寝るでいいかな。」

 

すると、月詠が話しかけてきた。

 

「だらしないわねー、1日歩いたぐらいで。」

 

「そういうお前だって【疲れた】って顔に書いてあるぞ。」

 

「つ・・・疲れてなんかないわよ!」

 

「そりゃあ、引きこもりのボクよりは体力がなきゃ困るだろ。」

 

「引きこもりって開き直らないでよ・・・・・」

 

「引きこもりはいいぞー。

人付き合いに煩わされることもないし・・・」

 

「そんなこと言って、結構楽しんでるじゃない・・・」

 

「た、楽しんでなんかいない!」

 

あやせが2人の会話を見ていた。

 

「うふふ。

望ちゃんと月詠ちゃん、仲良しさんですねぇ。」

 

その後、学園に戻ってきた。

 

「さて、学園に戻りましたねぇ。

お疲れさまでした~。」

 

「白藤さん、ご招待して下さって本当にありがとうございます。」

 

「ええってええって。

皆で遊んだ方が楽しいに決まっとるんやし。

それに・・・今日は、ダーリンの楽しそうな顔もぎょうさん見られたからなぁ。」

 

「新しい刺激に満ちた、とても素敵な1日でした。

第7次侵攻に打ち勝ったお祝いに相応しい、記念的な日です!」

 

「今後も魔物は出続けてくるでしょうが、今の私達なら大丈夫ですよ。

あの数とタイコンデロガを払えたんです。

もう恐れるものなんてありません。」

 

「そうよ、なにが来てもツクが追い払ってやるんだから。」

 

「・・・あの数の魔物とタイコンデロガを大半相手してたの俺と誠なんだが・・・」

 

「そうや、タイコンデロガ相手に無双できるダーリンがおるんや!

だから、これからも大丈夫やんな。」

 

「・・・あの、俺は?」

 

誠は完全にスルーされていた。

 

「当面の問題としては、魔物よりも課題の提出だなぁ・・・」

 

「そういえば望ちゃん、だいぶ外おったけど体調は平気なん?」

 

「今日は大したことないぞ。

宍戸がOK出したんだから問題ないだろ、多分。」

 

「楯野さん、なにかあったの?」

 

「気にすんなよ。

ちょっと人より体調が不安定なだけだ。」

 

「・・・・・そ、そう。

ならいいんだけど。」

 

「そんなことより、宍戸の出した課題がめっちゃ残ってんだよな・・・ウツだ・・・」

 

「ああっ!

ツクも宿題が残ってたわ!」

 

「・・・終わってなかったのかよ。」

 

「良介、終わったのか?」

 

「あんなもん、1日あれば終わる。」

 

「ま、マジか・・・」

 

「・・・誠、終わってないのか?」

 

「まったく手をつけてない。」

 

「・・・ま、がんばれ。」

 

「あらあら。

魔物よりも宿題の方が強敵みたいですね~。」

 

「綺麗に締めようとしないでしょっ!」

 

「もうそろそろ、おゆはんの時間やなぁ。

みんな、寮に戻る前に食堂行こか。」

 

皆は食堂で夕飯を食べた後、それぞれ寮に戻った。

そして、誠は宿題が間に合わず、結局朝から良介のを映させてもらうことになってしまった。




人物紹介

冷泉 葵(れいせん あおい)17歳
政界に幅を利かせている冷泉家の箱入り娘。
家から一歩も出ないという恐るべき過保護で育てられたため、家庭教師に教えられたこと以外、世間の常識を何も知らない。
本当に何も知らない。
好奇心が強くなんにでも興味を持つので、優しく教えてあげよう。

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