グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第19話 オーシャンパラダイス

グリモアの学園生は海に来ていた。

良介と誠は海を眺めていた。

 

「・・・良介。」

 

「・・・なんだ?」

 

「海だな。」

 

「・・・そうだな。」

 

「海といえば、なんだ?」

 

「・・・・サーフィン?」

 

良介がそう答えると、誠は首を横に振る。

 

「わかってねえな。

海と言えば水着!

そして、グリモアには女子が多い!

そうきたら・・・もうわかるよな?」

 

「・・・女子の水着か?」

 

「そう!

今こそ目の保養の時だぜ!」

 

「・・・俺ら警備に来てるんだがなぁ・・・」

 

そう話していると、ゆかりが学園生に呼びかける。

 

「みんなー、集合してー。

今から説明するからねー!」

 

「説明?

何の?」

 

水着に着替えた里奈がやってきた。

 

「あれ?

リナちゃん、なんでもう水着に着替えてるの!?」

 

「ゆかりはなんでまだ着替えてないのだ?」

 

「えっ・・・だってまだ、更衣室開いてないし・・・

ご、ゴホン!

とりあえず説明するわ!」

 

ゆかりは説明を始めた。

 

「えー、いちおう今回は【浜辺の警備をするクエスト】です。

遊びに来たわけではないので、そこのところ、注意してください。」

 

「えーっ!?

だってだって、それはタテモノでジッサイは旅行だって・・・」

 

「タテマエだから、注意しなきゃいけないの。

なにしてるんですかって聞かれたら、ちゃんと【警備中です】って答えてね?」

 

すると、怜がゆかりに話しかける。

 

「なあ、椎名・・・どうしても水着じゃなきゃいけないのだろうか。

警備なら制服でもいいと思うんだが。」

 

「魔法学園の生徒が制服でうろうろしてたら、余計な心配させちゃうからね・・・」

 

「そうか・・・そ、そうだな・・・うん・・・

・・・肌をさらすのか・・・」

 

「それじゃあ、いったん解散しまーす。

みんな楽しんでね!」

 

水着に着替えた良介は適当に歩こうとする。

 

「誠、お前どうするんだ?」

 

「俺は・・・これで色々と・・・うへへ。」

 

同じく水着に着替えた誠はデジカメを構え怪しい笑みを見せる。

 

「・・・・・風紀委員に見つからないようがんばれ。」

 

そのまま走り去っていく誠の後ろ姿を見送る。

気づくと、隣にミナがいた。

 

「ま、まさか天文部から我とサーヴァントだけが抽選を通るとは・・・

こんな時に【組織】の連中が攻めてきたら、我が1人で戦わなければならん・・・!」

 

「誰がサーヴァントだ。

あと、俺は天文部に入った覚えはないぞ。」

 

ミナに怜が話しかける。

 

「風槍、よかったら私と見回りしないか。」

 

「ふぇっ!?

お、お前は神の巫女!

急になにを・・・!」

 

「少し寂しそうにしていたからな。

南条たちと一緒がよかっただろう。

その・・・私は泳げないから、ずっと浜辺を見回っているんだ。

私では心もとないかもしれんが、せっかく同じクエストを請けてるからな。

協力して悪いことはない。

どうだ?」

 

「(怜って泳げないのか・・・)」

 

「あ・・・あ、ぅ・・・な、なんともないわ!

我が心配しているのは・・・

我がいない学園に【組織】の連中が来たら、残りの騎士だけでは、その・・・」

 

「【組織】の話は南条から聞いている。

ならば、仮にここに攻めてきた場合・・・

私は役に立つと思うぞ?」

 

「えっ!?

あ、うん。

そうだな・・・あ、でも・・・ええと・・・」

 

「まあ、良介だけで十分というなら無理強いはしないが。」

 

「あ、そ、そんなことないけど・・・」

 

「普段はあまり話さないしな。

気が向いたら声をかけてくれ。

私はその辺を見回っている。

いつでも駆けつけるぞ。」

 

そう言うと、怜は見回りに向かった。

 

「・・・・・

ふ、フハハハ!

我の眷属になりたいというなら、考えておこう!

だが、今すぐ我らの戦いに巻き込む必要はない。

2人で十分だ!

そうだな!?

・・・そうだな・・・?」

 

「・・・本当は寂しいんじゃねえの?」

 

「・・・さ、寂しくなんかないったら!」

 

   ***

 

ミナと別れ、そこから良介は少し歩くと、海の家があった。

海の家でももが忙しそうにしていたので手伝うことにした。

手伝いながら誠のことを思い出し、浜辺を見てみると、誠は風紀委員3人に追い掛け回されていた。

 

「・・・なにやってんだあいつ。」

 

必死に逃げようしていたところ、浜辺でこけていた。

頭から見事な鯱になっていた。

デジカメを押収され、連行されていくところを見送ったあと、再び手伝いを続けた。

すると、浜辺にいたノエルがこっちにやってきた。

 

「あー、あっつい。

砂浜で遊ぶ・・・じゃなくって、警備のお仕事ってキツイなぁ・・・

あ、ももちゃん先輩。

ジュースください!」

 

「はい、どうぞー。

見回りお疲れ様。

暑いなか大変だねぇ。」

 

「見回りっていっても、遊んでいるようなものだし・・・すごい暑いけど。」

 

「なんか今日、九月とは思えない暑さらしいよ?

熱中症には気をつけてね。」

 

そう、今はまだ九月。

だが、想像を絶する暑さだ。

 

「ももちゃん先輩も、海の家配置ってことはすごく忙しいんでしょ?

あたしは普段から運動部の助っ人に行ってるから、対策はできてるし・・・

ももちゃん先輩も気をつけてね?」

 

「まあ、自分からやるって言ったし・・・それにバイトで接客は慣れてるからね。

良介先輩も手伝ってくれるから、ぜんぜん辛くないよ!」

 

「そうなんだー・・・あたし、バイトで働いたことないからなー。

ももちゃん先輩、きつかったらいつでも呼んでね!

みんなのサポーター、ノエルちゃんがお手伝いするよ!」

 

「あはは、ありがと。

追いつかなくなったらお願いね。」

 

ノエルは再び浜辺に向かった。

 

「良介先輩も、手伝ってくれてありがとうございますね。

とっても助かってるんです。

さすがにお昼が近くなると人が多いので・・・

よかったら、先輩たちも海の家でご飯食べて行ってくださいね!」

 

「ああ、その時はそうさせてもらうよ。」

 

「喜んで!」

 

いつの間にか誠が良介の後ろにいた。

 

「・・・お前捕まってたんじゃ?」

 

「逃げ出してきた。」

 

と、風紀委員が誠を探しにやってきた。

 

「やべ・・・良介、またあとで!」

 

誠は走って逃げたが、速攻見つかり、瞬く間に連行されてしまった。

 

「・・・何がしたいんだあいつ。」

 

   ***

 

砂浜にゆかりと雪白 ましろ(ゆきしろ ましろ)がいた。

 

「沖へおいきましょう。

フフ・・・」

 

「ゾクッ・・・ゆ、雪白さん、沖まで泳げるの?

凄いわね・・・」

 

「私は雪女。

もちろん海を凍らせて、歩いていきます。」

 

「そ、それはダメよ!

凍らせるって魔法をつかうんでしょ?

普段のクエストと違って、魔物が確認されるまで魔法禁止なんだから。」

 

「心配することはなにもありません。

フフ・・・大丈夫です。」

 

「心配しなくてもいい要素がどこにもないんだけど・・・」

 

「ほら、あそこに足のつった人がいますよ。

お急ぎください。」

 

ましろが海を指差す。

その先におぼれている人がいた。

 

「え?

あ、お、おぼれてる!」

 

「一部凍らせますから、その間に救助をお願いしますよ。」

 

「そ、そうね!

あ、でも・・・し、しかたないわ・・・!

凍傷にならないように気をつけてね!」

 

ゆかりがおぼれている人のところに向かった。

 

「はい。

もちろんです。

それ。」

 

ましろは海を凍らせる。

 

「・・・魔法使いは、なにかと魔法に頼りがち。

もちろんその方が確実で早いとなれば、使わない手はありませんが。

・・・クラゲが多い時期ですし、やはり沖に行きましょう。

刺されないように、氷の船で。

フフ・・・」

 

その様子を良介は風子と海の家で昼ご飯を食べながら見ていた。

 

「・・・おい、魔法使ってるぞ。

いいのか?」

 

「助けるためには使わなきゃ間に合いそーにねーんで、あの場合、しかたねーです。」

 

「ま、確かにそうか。

・・・氷の上で全力疾走してんの、誠か?」

 

「誰か走ってますね。

けど、あの速度で走ったら・・・」

 

凍らせた海の上を誠が全力疾走していた。

おぼれた人を助けに向かっているのだろう。

と・・・

 

「「あっ。」」

 

良介と風子が同時に声を出す。

誠は綺麗にずっこけた。

後頭部を強打し、気絶しているのか大の字のままピクリとも動かない。

 

「・・・こけるの、目に見えてたろ。」

 

「必死だったのか、なにも考えてなかったのか。

どちらかは知らねーですが・・・バカですね。」

 

その頃、ももはようやく昼休みになったので、良介を探そうとしていた。

 

「ふぅ、やっとお昼休みー。

良介先輩、どこかで休んでたりしないかなー・・・」

 

すると、里奈がもものところにやってきた。

 

「ももー、ももも昼休み始まったかー!?」

 

「リナちゃん!?

さっき、凄く沖の方まで泳いでなかった?」

 

「そうさー。

あの岩にタッチして戻ってきたのだ。」

 

里奈は海の向こうを指差す。

 

「あの岩・・・って、どこに岩があるの・・・?

遠くに島みたいなのは見えるけど。」

 

「あれ、島じゃなくて3階建てくらいの岩だぞ。」

 

「3階建て!?

それがあんなに小さいって、どのくらい遠いの?」

 

「さあ・・・そんなに遠くなかったぞ?

クラゲが多くて泳ぎにくかったけど。」

 

「そ、そうなんだ・・・凄い・・・」

 

「ももも行ってみるか?

あそこが遠いなら、あっちの近い・・・あれ?」

 

「どうしたの・・・?」

 

ももと里奈はおぼれている人に気づいた。

おぼれている人の周りがどんどん凍っていく。

 

「あっ。

おぼれてる人が・・・!」

 

「あーあー、周り凍らせちゃってるのだ。

あんなところ、リナならすぐなのだ!

クラゲに刺されてるかもしれないから、消毒液とか用意しといてくれ!

おぼれてるヤツ助けるのは力が必要さ!

リナが行ってくるのだ!」

 

「うん、救急セット、持ってきておくね!」

 

里奈は海に、ももは救急セットを取りに向かった。

 

   ***

 

ももは戻ってきたゆかりに話しかける。

 

「椎名先輩、大丈夫ですか?」

 

「あ、うん・・・雪白さんのおかげで海草やクラゲが絡まったりしなかったし・・・

途中でリナちゃんやライフセーバーの人たちが助けに来てくれたし・・・」

 

すると、怜がやってきた。

 

「す、すまん。

私も行こうとしたんだが・・・ノエルに止められて・・・」

 

「あ、大丈夫大丈夫。

ミナちゃんと一緒に救護スペースまで運んでくれたんだし。

私、泳ぐだけで疲れちゃって回復魔法使えなかったから・・・慌てるとダメね。」

 

ちなみに、誠は良介と風子が救護スペースまで運んでいった。

今度は里奈がやってきた。

 

「最初にゆかりが支えてたおかげで、あんまり水飲まなくてすんだんだぞ。

みんなに感謝してたし、大丈夫さぁ。

最初に飛びこんだのゆかりだもんな。」

 

「最初に気付いたのは雪白さんだからね・・・でも、ありがとう。

みんなのおかげで、大事に至らずにすんだわ。」

 

「椎名先輩も、海の家で休んでください!」

 

「そうさせてもらおうかな。

ごめんね、迷惑かけて。」

 

「大丈夫です!

今はピークも過ぎて、お客さんも少ないですから。」

 

と、ノエルがやってきた。

 

「じゃあ、あたしが付き添ってるよ。

運動疲れの対応はバッチリだしね!」

 

「あはは、ありがとね。

お世話になるわ。」

 

ゆかりはノエルと海の家に向かった。

その後、何事もなく夕方になった。

 

「はーい、じゃあみんな、集まってー!

バス出発しちゃうよー!」

 

ゆかりがみんなに呼びかける。

 

「・・・良介。」

 

「どうした、誠。」

 

「・・・俺、今日の記憶、ほとんどないんだけど・・・

気付いたらデジカメ無いし・・・」

 

「・・・たぶん、氷の上で頭強打したからじゃね?

あと、デジカメなら風紀委員が持ってたぞ。

・・・風子がデータ全部消したって言ってたが。」

 

「・・・そういやそんなことが・・・って!

消したっ!?

全部!?

全部無くなったのか!?」

 

「初期化したって言ってたぞ。」

 

「・・・・・俺の・・・夏の思い出が・・・」

 

誠がうなだれながらバスに乗り込む。

 

「へっへー、一番乗りだよ!

先頭のちょっと高い所に座ろっと!」

 

「あーっ!

ノエル!

ずるいのだ!

そこはリナの場所だーっ!」

 

「・・・元気だなー、おい。」

 

ノエルと里奈が乗り込む。

 

「・・・とても・・・元気だな。

私は歩き回ってまいってしまった・・・」

 

「フフフ・・・お疲れ様です・・・」

 

「・・・なんか・・・体がだるい・・・眠い・・・こ、これは【組織】の・・・

むにゃむにゃ・・・」

 

「ミ、ミナちゃん、大丈夫?

ステップから落ちないようにね!」

 

怜、ましろ、ミナがバスに乗り込む。

 

「これでみんなかしら?

今日はお疲れ様。」

 

ゆかりがバスに乗り込んだ。

風紀委員たちは別のバスに乗っている。

 

「・・・風紀委員と同じバスじゃなくてよかったな。

なぁ、誠。」

 

良介が外から窓際にいる誠の方を見ると、誠は泣き寝入りしていた。

相当、悲しいらしい。

 

「・・・そっとしておくか。」

 

良介がバスに乗り込もうとするとももが話しかけてきた。

 

「良介先輩、今日はとっても楽しかったです!

あ、クエストだったんで、楽しいっていうのはダメなんでしょうか・・・

でも、とってもいい思い出ができました!

みんなや先輩と・・・こんな風に海にこれることができて、とっても嬉しいです。

またこんな風に、みんなで遊べたらいいですね。」

 

「・・・そうだな。

こういうクエストが来たら、またできるだろうさ。」

 

良介は窓際で泣き寝入りする誠を見る。

 

「・・・良介先輩とも、たくさん思い出を作れたら嬉しいです。」

 

「ん?

俺と?」

 

「えっと・・・それで・・・なんていうか・・・

ありがとうございました。

でいいのかな・・・?

え、えへへ。」

 

「・・・それでいいんじゃないかな?」

 

「なんだか思いつかないんですけど・・・あ、みんな待ってますね。

ちょっとさみしいですけど、帰らなきゃ、です。」

 

「・・・ああ、帰ろうか。」

 

「それじゃ、行きましょうか。」

 

良介とももはバスに乗り込んだ。




人物紹介

雪白 ましろ(ゆきしろ ましろ)17歳
1人でダジャレを呟いては1人で笑っている、ちょっと怖いお姉さん。
あまりにもサムいので雪女と呼ばれている。
雪だるまを家族と言い張ったり無意味に魔法を使ったり、近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
謎の多い生徒。

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