グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
 閲覧者様のイメージを壊す可能性があります。
 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第11話 課題

クエストを終えた良介はグラウンドの近くを歩いていた。

 

「さて、授業免除になっているし、魔法の練習のために訓練所にでも行くか。」

 

そう言って、訓練所に向かおうとした。

すると、突然後ろから誰か声をかけてきた。

 

「アンタ!

ねぇ、アンタよ!」

 

「ん?

誰だお前?」

 

「このあいだ会ったでしょう!?

精鋭部隊の守谷 月詠よ!」

 

「・・・・・ああ、あの時のか。

で、俺に何の用だ?」

 

「・・・・・じーっ。

フン。

やっぱりてんで弱そうじゃない。

エレンのヤツ、ちょうどいい相手だってバカにして・・・!

ちょっとクエストを連続で達成したって調子に乗ってるみたいだけどね!」

 

「・・・いや、まったく乗ってないが。

逆にお前のほうが調子に乗ってんじゃないのか?」

 

「今に言っているがいいわ!

このツクの強さ、アンタに見せてやるんだから!」

 

相変わらず自信満々な月詠。

 

「ところで、なんで俺とお前が戦うような話になっているんだ?」

 

「知らないわよそんなの!

エレンがやれっていったの!

コロシアムに来なさい!

相手してあげるわ!」

 

「・・・まあいいか。

魔法の練習をしようと思ってたし、ちょうどいいや。」

 

良介は月詠とコロシアムに向かった。

 

   ***

 

コロシアムに着き、二人は早速戦ったが、結果は一瞬だった。

開幕と同時に良介が風属性の肉体強化で一瞬で距離を詰め、

月詠の首元に剣を突きつけた。

 

「うっ・・・!!」

 

「はい、終わり。

まだやるってんなら相手になるが?」

 

月詠に背を向けて、剣を鞘に戻す。

すると、様子を見に来たのかエレンがやって来た。

 

「・・・結果はどうだ。」

 

「・・・うぅ・・・ふ、フンだ!

まだまだ全然よ!」

 

「見ていたぞ。」

 

「う・・・た、たまたまよ、たまたま!」

 

エレンはそう言う月詠を無視して、良介の方を見る。

 

「良介、お前の力を見た。

確かにお前の能力は本物のようだ。

だが、お前はまだ能力を【完全に】扱いきれていない。

七属性の魔法に魔力の譲渡、他の特殊魔法はまだ価値はあるが・・・」

 

「そ、そうよ!

それがわかってたらツクだって・・・!」

 

「黙っていろ。

負けたという結果は覆らない。」

 

「ぐっ・・・うぅ~っ!」

 

エレンの言葉に悔しがる月詠。

 

「現在、学園全体の戦力を強化するように通達が来ている。

転校してきたばかりのお前の力を一度見ておきたかった。

クエストをよく受けているようだな。

初めて会った時の態度を詫びよう。」

 

「いや、気にしてないから別にいいよ。」

 

「フッ、そうか。

だがまだまだだ。

精鋭部隊に入れとは言わんが、訓練は欠かすな。

もしかしたら、お前の力で我々は楽に戦えるようになるかもしれん。

心にとどめておけ。」

 

「・・・フン!

次に戦うときは、ぎったんぎったんにしてやるんだからね!」

 

月詠がそう言うと、エレンは何か思いついたようだ。

 

「ならば来い。

イチから鍛え直してやる。」

 

「げっ・・・ちょ、ちょっと休んでからでも・・・」

 

「言い訳は聞かん。

来い。」

 

「ひぃ・・・・・」

 

そう言われて、月詠はエレンに連れ行かれた。

 

「・・・帰るか。」

 

突然どっと疲れがきたように感じたので良介は寮に帰ることにした。

 

   ***

 

クエストから数日が経った。

この日も良介は魔法の訓練をするため訓練所に向かった。

だが、訓練所には精鋭部隊がいた。

 

「む、精鋭部隊が使っている時間帯だったか。

また日を改めるか。」

 

良介が訓練所を出ようとしたところで、エレンと月詠に出くわした。

 

「また会ったわね、良介!

今日はツクがアンタに勝つ番なんだから!」

 

「またか・・・・何度やっても結果は変わらないと思うがな。」

 

月詠に良介が呆れていると、エレンが話しかけてきた。

 

「・・・さて、今、カリキュラムが変更され、学園生に課題が配られている。

お前たちには【対抗戦で3勝】という課題になっているはずだ。」

 

「そうね・・・もしかしてエレンがさせたの?」

 

「お前たちは、自分で戦うより指揮をとった方がいい。

特に良介、お前は能力上な。

肉体的な課題よりも、こちらの方が合っているだろう。」

 

「・・・ツクはともかく、良介は自分で戦えるじゃない。

しかも、一人で十分に。」

 

「まあ、確かに。

俺一人でも十分な気がするが・・・」

 

「その状態から脱する必要がある。

良介、相手に勝つために考えなければならないことがこれから増えてゆく。

パーティメンバーの単純な強さだけでなく、個々人の特性、例えば、

狭い範囲に大打撃を与えることを得意とするものや、

広範囲を万遍なく攻撃することを得意とするものがいる。

それぞれの力を加味し、効率的なパーティを作り上げろ。

仲間のスキル・・・それを見逃すな。」

 

「仲間のスキル・・・か。

よし・・・!」

 

良介は課題に取り掛かかることにした。

 

   ***

 

それから約3日間、良介は課題をクリアするために対抗戦に臨んだ。

自分からはできるだけサポートだけに徹し、仲間に的確な指示を出すようにした。

危機が迫れば、自身が前に出たりもしたが、できるだけ出ないようにした。

最初はうまくいかなかったが、仲間のスキル、

特性を理解できてからは的確な指示が出せるようになっていた。

そして課題の3勝を見事クリアした。

 

「・・・よろしい、2人とも課題はクリアだな。」

 

「当然でしょ!

ツクにかかればこんなもの・・・!」

 

「お前は格下ばかりと戦っているな。」

 

「うっ・・・いいでしょ!

勝ったんだから!」

 

「(俺は格上を相手に不慣れなことをしてきつかった・・・何とか全勝でいけたが、

何回危機に直面したことやら・・・)」

 

「間違いではない。

確実に勝てる相手を見極める目も必要だ。

対抗戦の結果だけでなく、魔物と戦う上でそれはとても重要だ。

だが、勝てそうもない相手にどうやって勝つか・・・

それを考えなければいけないときは必ず来る。

その時、仲間を活かすも殺すもお前次第だということを忘れるな。」

 

「・・・わかっているわよ。」

 

「ならば、一層の研さんに励め。」

 

「仲間を活かすか殺すか、か・・・俺の場合は必ず活かすやり方を見つけないとな。」

 

良介は訓練所を後にした。

 

   ***

 

訓練所から出た良介は噴水前にやって来た。

 

「はぁ~・・・課題、きつかったなぁ・・・」

 

大きく息を吐きながら伸びをする。

 

「でも、自分の能力が後方支援の方でも力が発揮できることがわかったし、

魔法も実戦でも大分扱えるようになってきたし、結果オーライかな。

でも、もっと強いパーティの組み方があってもいいんだが・・・

どうすればいいんだ・・・」

 

そう言って、悩みながら噴水前のベンチに座っていると、散歩部の生徒がやってきた。

 

「あ、良介さん、こんにちは!」

 

「こんにちは、お兄さん!」

 

「ああ、こんにちは。」

 

良介はさらたちと挨拶を交わす。

 

「この前はごめんね、お兄さんが噂の転校生だったんだね・・・むむ?

なんだか悩んでる顔をしてるね?」

 

「おなやみちゅうなんですかぁ?」

 

「ああ、ちょっとね・・・」

 

「よし!

ここはみんなのサポーター、ノエルちゃんが解決しちゃうよ!」

 

「・・・そうだな。

他人の意見を聞くのもありか。

実は・・・」

 

良介は二人に強いパーティの組み方について聞いてみた。

 

「・・・ふむふむ、強いパーティの組み方、ねぇ・・・」

 

「ああ、何かいい組み方はないか?」

 

「あたし、いろんなところに助っ人に行くからわかるんだけど・・・やっぱり、

頼める人が多い、ってほうが有利だよね。

その個々人のコセイだっけ?

で、どうしても相性が悪かったりするじゃん。

そういう時、魔物とか対抗戦の相手によってメンバーを入れ替える・・・

そういうのできたら最高だよね!

まぁだいたい、人的資源って足りないけど・・・

だから長い目でみると、頼みごとができる人を増やす、がおススメかな!」

 

「なるほど、もっと知り合いを増やすか・・・」

 

気づいてみると、

良介の知り合いと呼べる相手はまだ数える程度しかいないことに気づいた。

 

「うぅ~。

なんだかお話がむつかしいのですぅ・・・」

 

話の内容を聞いて、さらは難しい顔をする。

 

「お兄さん、もういろんな人と出会ってきたでしょう。

たくさんの学園生の中には、強い人も、すごい人もいるんだよ。」

 

「あいらさんもとてもすごいんですぅ!」

 

「・・・あいら?

誰のことなんだ?」

 

「そうそう・・・凄いんだよねぇ。

見かけによらず・・・お兄さん、会ってない?

みょ~にコビコビでロリっぽい銀髪の子。」

 

「いや、会ってないな。

どういう子なんだ?」

 

「あの子、ホントは吸血鬼なんだって。

何百年も生きてるんだって!」

 

「・・・嘘っぽいな。

ホントか?」

 

「きゅうけつきは血をすうんですよぉ!

とっても怖いんですぅ!」

 

「・・・ま、誰も信じてないけど・・・でも魔法は超強いんだよね。

そういった、なんか知らないけど意外な強さ!

とかあるからさ!

いろんな人と仲良くなるのは、大事だと思うな。」

 

「そうか、わかった。

ありがとう、いい参考になったよ。」

 

「いえいえ、どういたしまして。

それじゃ、あたしたちは行くね。」

 

さらたちは噴水前を後にした。

 

「なるほど、知り合いを増やす・・・か。

まぁ、一人でできることなんて限りがあるからな。

しかし、あいら・・・か。

銀髪の子と聞いたが・・・魔法が強いなら一度会ってみたいもんだ。」

 

良介はベンチから立ち上がり、寮に向かった。


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