グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

112 / 117
※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
 閲覧者様のイメージを壊す可能性があります。
 それでもOKという方は、よろしくお願いします。



第111話 第4次裏世界探索

裏世界、ゲネシスタワーへと続く道。

薫子と結希がいた。

 

「このあたりのはずですが。」

 

「私たちの戦力は精鋭部隊より低いから、心配ないと思うわ。」

 

「我々はともかく、立華さん、良介さん、誠さんの実力はとても高い。

本当に大丈夫でしょうか。」

 

そこに子供の姿になった卯衣がやってきた。

 

「念のため魔力を半分ほど消費した状態にしている。」

 

「表では魔法の実力は、魔力量に放出可能量、精度を掛け合わせた指標による。

こちらが同じ物差しで測っているなら、魔力が膨大でも・・・放出可能量を調節することができる良介くんと誠くんは問題なし。

卯衣は一時的に魔力を放出できない状態・・・魔力腺にあたる機能を無効にすることで脅威度を減らせる。」

 

「魔力腺を閉じることができるなんて、便利ですね。」

 

薫子は良介たち3人を羨ましそうに見た。

 

「こういう時にしか使わない機能だけどね。

念のために魔力も減らしたわ。」

 

「元々、手加減ができるようにするために覚えたやり方だったんだが、こんなところでこんな使い方するとは思わなかったな。」

 

「俺なんて短時間で良介に教えてもらっただけだから、本当にできるかわからねえぞ。」

 

誠は少し不安そうにしていた。

 

「教えて1時間そこらでできるようになったんだ。

問題なくできるはずだ。

それで、タワーの中に入ったら、卯衣の魔力を補充すればいいんだな?」

 

「ええ、そうよ。」

 

卯衣は頷いた。

薫子は話を聞いて納得した。

 

「なるほど。

だからその姿なのですね。

結構です。

では、ゲネシスタワーの内部に向かいます。」

 

少し離れたところでゆかりとヤヨイが話をしていた。

 

「寂しい所。

本当に人なんているのかしら。」

 

「んー・・・そうなんだよね。

人の気配が全然しないっていうか・・・なんか、かなりの間放置されてるような劣化具合なんだよね。

人が住んでるのとそうじゃないのとで、建物の劣化って全然違うから。」

 

2人のところに良介がやってきた。

 

「梓が見た時は、誰もいなかったらしいがな。」

 

「あ、お兄さん。

いるなら地下、かぁ・・・地下って居住に適しているのかなぁ?」

 

「さぁな。

天然の洞窟と冷暖房完備じゃ全然違うと思うがな。」

 

「ま、地下で人がいるなら、アタシがなにか気づけると思うから。

そこは任しといて!」

 

「あんまり危険なことはしないでね?

良介君がいるからといって・・・魔法でも治せない大けがだと、この世界じゃ致命的だから。」

 

「お気づかいありがと。

いうなればそのためのアタシだし。

危険なサインは可能な限り、早く気づけるように注意するよ。」

 

良介たちはタワーに向かって歩き始めた。

少しして、タワーの前までやってきた。

 

「ガーディアンの地帯は・・・突破できましたね。」

 

「俺たちの考えは正しかったみたいだな。

後は、地下への扉か。」

 

「電子ロックらしいが、電気生きてんのか?」

 

良介と誠は扉の周りを見渡した。

 

「そうみたいね。

ちょっと待ってて・・・」

 

結希はデバイスを取り出した。

 

「今から繋ぐわ。

お願い。」

 

相手はどうやら心のようだ。

 

「わ、わかりましたぁ・・・うぅ、わ、わたしのせいで失敗したらすみません・・・」

 

「成功してくれれば問題ない。

さ、繋いだわよ。」

 

結希は色々なコードを扉に繋げた。

 

「はいぃ・・・OS・・・がほとんど進化していませんね・・・や、やっぱり第8次侵攻から、ITの進化は停滞・・・」

 

「心、進んでるのか?」

 

良介は心に質問した。

 

「は、はい!

すみませんすみません!

今開きます!」

 

扉から鍵が外れる音がした。

 

「どど、どうでしょうか?」

 

「開いたぞ。」

 

「では、待機しますから・・・!」

 

「ええ。

また連絡するわ・・・」

 

結希はデバイスを直した。

 

「行きましょう。」

 

「さて、鬼が出るか蛇が出るか。」

 

良介たちは扉を開け、タワーの内部に入った。

 

   ***

 

良介たちはゲネシスタワーの地下へと入った。

 

「ここがゲネシスタワーの地下か。」

 

良介は通路を見渡した。

ヤヨイは何かの気配を感じ取った。

 

「いる、ね。

魔物。

大きいドアでも霧の侵入は防げない・・・もしくはどこかに出入り口があるか。」

 

「人はいそうか?」

 

良介はヤヨイに尋ねた。

 

「いるよ。

つい最近の足跡がある。」

 

「足跡?

どこにあるんだ?」

 

誠は目を凝らしながら地面を見た。

だが、誠にはそれらしきものは見つけられなかった。

 

「右手の方に進んでる・・・でもこの地下、おかしくない?」

 

「ああ、鳴子さんがくれた地図と、構造がまったく違うな。」

 

良介は地図を開き、構造を確かめた。

 

「詳細に描かれていた地図・・・間違いとは考えにくい。

偽装ですか?」

 

薫子は良介と結希に尋ねた。

 

「そうみたい。

遊佐さんが改変したのか、元からなのかはわからないけど。」

 

「どうする、右に進む?」

 

ヤヨイは良介に聞いた。

 

「うーん、それじゃ・・・」

 

「待って。

ハルとキューブを先に行かせるわ。」

 

「ハルとキューブ?」

 

結希以外の全員が首を傾げた。

 

「行って、マッピングをお願い。」

 

結希の手元に浮かんでいた物体が先に進んでいった。

数分後、ハルとキューブと呼ばれた物体が戻ってきた。

 

「ある程度の地図ができたわ。」

 

「へぇ~、その浮かんでるの、そう使うんだ。」

 

ゆかりは浮かんでいる物体を不思議そうに見た。

 

「魔導科学がなければ、私は役に立たないからね。」

 

結希は良介に新しい地図を手渡すと、良介は新しい地図を見た。

 

「予想以上に広いな。

魔物の姿もある。」

 

横から見ていた結希は地図に写っている魔物を見て驚いた。

 

「この魔物は・・・」

 

「どうした?

犬の形をした魔物みたいだが・・・」

 

すると、結希は卯衣に話しかけた。

 

「卯衣。

あなたのデータベースに残ってるわね?」

 

「はい。

同系の魔物のようです。」

 

「同系って・・・まさか科研の・・・」

 

誠の言葉に結希は黙って頷いた。

 

「POTIだわ・・・どういうこと?」

 

結希は顎に手をやった。

 

   ***

 

良介たちはゲネシスタワーの地下を進んでいた。

 

「やー、文明の利器って便利だねぇ。

答え合わせしながら進んでるようなもんだよ。」

 

ヤヨイは新しく作られた地図を見て関心していた。

 

「だが、デバイスの電波はここまで届かない。

遮断されてるみたいだな。」

 

誠はデバイスを見てため息をついた。

 

「連絡が取れないなら、いよいよケガには気をつけなきゃ。

それにしても、空調・・・効いてないのかしら?」

 

「魔物がうろついているのなら、頻繁にこんなところまでこれないだろ。

必要最低限のところしか動かしてないはずだ。」

 

「それで空気がよくないのね・・・戦闘服だから大丈夫だと思うけど・・・」

 

誠の言葉を聞いてゆかりは納得した。

ヤヨイは地面を見ていた。

おそらく足跡を見ているのだろう。

 

「人がいったのは向こう。

だけど・・・」

 

その頃、卯衣は黙って歩いていた。

 

「卯衣。

あなたのスキャンで、念のため痕跡を・・・」

 

結希が卯衣に話しかけたが、卯衣はまったく反応しなかった。

 

「卯衣?」

 

結希がもう一度呼びかけると、ようやく反応した。

 

「はい、ドクター。

なんでしょう。」

 

「あなた・・・考え事、してたの?」

 

「いえ。

情報収集です。」

 

「呼びかけに応えないほど集中するなんて、珍しいわね。

なにかわかったの?」

 

卯衣は少しの間黙った。

 

「今は、まだ。」

 

「そう。

わかったら、教えてね。」

 

「どんなことでもでしょうか?」

 

「このクエストに必要な情報は、どんなことでも。」

 

「わかりました。」

 

卯衣は再び情報収集に入った。

良介は薫子と行動していた。

 

「これは広いなんてもんじゃないな。」

 

良介は地図を見て呆れていた。

 

「良介さん。

お気をつけください。

私たち最大の戦力は良介さんと誠さんと立華さんですが、彼女の力はあなた頼みです。」

 

「万が一のことが起きたら、全てが無に帰す、って言いたいんだな。」

 

「はい。

ご自分の命を一番にお考えください。

私たちを、盾にすることを躊躇わないように。

と、言ってもあなたのことですから聞かないんでしょうね。」

 

薫子はため息をついた。

 

「よくわかってるじゃないか、薫子さん。

ま、死にに行くような真似はしないように努力するよ。」

 

良介は薄ら笑いを浮かべながら先に進んだ。

 

   ***

 

良介たちはゲネシスタワーの地下を進んでいた。

 

「POTIがいるということは、ここは科研の技術が・・・?」

 

結希は考え込んでいた。

 

「当然だろ。

人類最後の砦なら、使わないわけがない。」

 

結希の言葉を聞いていた良介が前を向いたまま答えた。

 

「でも、ガーディアンといい・・・もしかしてこのPOTIも・・・」

 

結希は地図に写っている魔物を見た。

 

「裏世界の人類は、魔物をある程度コントロールできてるってことか?」

 

良介が結希に聞いた。

 

「ええ・・・表世界とどこまで同じ道をたどってるかわからないけど・・・このゲネシスタワーの持ち主が、科研の技術を持っている事は確か。

霧の護り手だったら、こちらの私はもう生きていないでしょうね。」

 

「ドクターの・・・・・」

 

卯衣が突然黙ってしまった。

 

「卯衣?

どうしたの?」

 

結希が心配そうに近づいた。

すると、卯衣は元に戻った。

 

「いえ・・・なにか、違和感が・・・なんでもありません。」

 

「タワーに来てから様子がおかしいな。

どうしたんだ、卯衣。」

 

良介は心配そうに卯衣を見た。

 

「話しておいた方がいいかもね。」

 

「何をだ?」

 

結希の言葉に良介は首を傾げた。

卯衣は黙って結希の方を見ていた。

 

「ガーディアンのデータ、あなたには伝わってると思うけど・・・破棄されてもすぐに修復する・・・霧の魔物と言うより、あなたに似ている。」

 

「はい。

私もこのクエストが終わったら確認しようと考えていました。

通常の霧の魔物は、霧散したら再構築まで時間を必要とする。

そのインターバルがなく、すぐに再生するのは、私と同じ動作です。」

 

卯衣は少し黙った。

 

「確証が必要です。

決定的な、確証が。

証拠が得られれば、私がいつどこで作られたのかがわかる。」

 

「ええ・・・遊佐さんの情報ではあなたは裏世界に存在しない。

あなたは、現在・・・ここよりも未来に生まれた可能性があるわ。」

 

その頃、ヤヨイは少し意識を集中させた後、誠たちの方を向いた。

 

「魔物が、一方向からしか現れないのには気づいてる?」

 

「ああ、俺たちの進路を遮るように襲ってくるな。」

 

「それを踏まえたうえで、この先の分かれ道・・・魔物が来るのと別の方向に足跡が続いているんだけど。

二手にわかれる?」

 

「いえ、それは絶対にしません。

少人数を更に分けるのは愚策です。」

 

薫子は否定した。

 

「俺か良介なら、なんとかできると思うけど。」

 

誠が薫子に勧めてみた。

 

「ダメです。

今の私たちが考えなければならないのは最悪の事態。

生き抜くだけでなく、別の目的があるということをお忘れなく。」

 

「はいはい、わかりました。」

 

誠は頭を掻いた。

 

「で、どっちに行く?

足跡の方に生存者がいるのは間違いない。

でも・・・気になることがあって。」

 

「なんだよ、気になることって。」

 

誠はヤヨイに尋ねた。

 

「魔物が来るのって、学園の方向なんだよね。」

 

「それは確かですか?」

 

薫子はヤヨイに聞いた。

 

「間違いないよ。

それに宍戸さんのハルにエコーしてもらったんだけど・・・この通路、ものすごい遠くまで続いてる。

それこそ、学園まで。」

 

誠と薫子はヤヨイの話を黙って聞いていた。

 

「魔法使いの村に通じてるってわけじゃないのか?」

 

誠はヤヨイに聞いた。

 

「うん。

ここはもっと深いから。

だから、魔法使いの村より下になるね。」

 

誠と薫子は黙って目を合わせると、頷いた。

 

「足跡は気になりますが、今回はそちらに行きましょう。」

 

「結希は学園の関係者だからな。

そっちの方が可能性が高いだろ。」

 

「それに前回のガーディアン騒動・・・博士である彼女が見に来たとは思えません。」

 

「足跡は結希じゃない。

たぶんそうじゃないかな。」

 

ヤヨイは2人の話を聞いて頷いた。

 

「筋は通ってる・・・でも予測は予測だよ。

無駄足になるかも。」

 

「結構です。

責任をとるための私ですから。」

 

薫子はそう言うと、魔物が来る方向へと進み始めた。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。