グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
 閲覧者様のイメージを壊す可能性があります。
 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第106話 クラッシュ

良介たちは他の一般人を救出しに向かっていた。

すると、望が良介に話しかけてきた。

 

「お、おい。

良介・・・お前ってさ、人形館のクエストの時、その場にいたんだよな?」

 

「ああ、いたけど。」

 

「あのさ・・・やっぱ、歌、上手かった・・・?」

 

「は?

何言ってんだ?」

 

「な、なにって・・・歌で追い払ったんだろ?

魔物。

それを今回、ボクがやらなきゃいけないってことはさ・・・ボクががんばって、歌、う・・・」

 

「それは違うぞ。」

 

「え?

違うってなにが。」

 

「大規模な範囲魔法で追い払ったんだよ。」

 

望は安心した表情になった。

 

「あ、ああぁ!

そっか、そういうことか!

その時使える大規模魔法が、音無 律の歌しかなかった、ってワケ・・・もおぉ、なんで早く言わないんだよ、勘違いしただろっ!

やっと理解したぞ、宍戸のあなたしかできないって言ったの!」

 

望は急に冷静になった。

 

「待てよ、てことは。

攻略もクソもなく、ただ大規模魔法で吹き飛ばせってこと?」

 

「まぁ、そういうことだな。」

 

「この建物を、霧の魔物ごと・・・?」

 

「ああ。」

 

「や・・・やだやだやだ!

絶対やだぁ!

そんなの完全にチートじゃないか!

ズルだ!

インチキだ!

ボクはこのクエストをまともに攻略しようと思ってたのに!」

 

望が怒っていると、純が2人を呼んできた。

 

「おーい、あっちに人いるっぽいから救出に行くってー。

どしたの?」

 

純は2人の様子を見て理由を聞こうとした。

 

「ひゃっは~っ!

爽快すぎるぅ~!

鳴海先輩!

コンボ途切れちゃったっす!

もっかい、もっかい!」

 

「あ!

1発目から大振りな攻撃はダメだかんね~!」

 

魔物と戦っている自由に呼ばれて、純は魔物の方へと向かっていった。

 

「どいてどいて~っ!

いっくよ~!」

 

純は魔物に攻撃した。

 

「うわぁスッゲー!

なんすかいまの!」

 

「あははは!

爆発しちゃった~!」

 

「よし!

俺も続くぜ!」

 

誠も続いて攻撃しようとした。

 

「あっ!?」

 

しかし、攻撃する直前で躓き、盛大に転倒した。

すると、武器が偶然か魔物に直撃し、魔物は霧散した。

 

「ぶっ!

誠先輩、それはダサいっすよ!」

 

「あはは!

何よ、それ!」

 

望は3人の様子を黙って見ていた。

 

「うぐぐ・・・お前らだけで楽しそうにして・・・ずるいぞ、ボクもやる!

ボクもやるから、そこをどけえっ!」

 

望は魔物に向かっていった。

良介はその様子を見て呆れていた。

 

「やれやれ、こんな調子で霧を払うことができるのかねぇ。」

 

良介はため息をつきながら、4人のところに歩いて向かった。

 

   ***

 

良介たちは城の近くに来ていた。

 

「で、救助しないとならないのって、あと何人だっけ?」

 

純が良介に尋ねると、良介は懐から救助者のリストを取り出した。

 

「えー、あと・・・うん、これだけだな。」

 

良介は残り僅かであることを確認した。

すると、偵察に出ていた初音が帰ってきた。

 

「はぁ、はぁ・・・死ぬかと思った・・・なんでアタシが・・・」

 

「そりゃ、シーフみたいな避けキャラは偵察要員ですからね。」

 

「それで、城の中はどうだったんだ?」

 

誠が尋ねた。

 

「もう敵がウジャウジャ!

イモ洗いみたいに!」

 

「どういう状態だそれは・・・」

 

良介はため息をついた。

 

「城の中になんかありますって。

みんなで突撃しましょうよ。」

 

「あんなに敵がいて、勝てるわけねーだろ!」

 

「いやいや、やってみないとわかんないじゃないっすか。

100体倒したら宝箱が出るゲームありましたもん。

リアルはともかく、ゲームならリスクに見合う収穫があるのが当たり前です。

なんか守ってるんですよ、きっと。

ラスボスとか。」

 

「ゲームなら、ね・・・魔物が作ってて、クソゲー呼ばわりされてるがな。」

 

良介は頭を掻いた。

 

「でも、なんだっけ、サイゼンセンの城?

このゲーム内だと一番大きい建物だよな。

宝物庫も牢屋もあるだろうし、見てみないって手はないだろ。」

 

「確かに。

もしかしたら、牢屋にぶち込まれてる人がいるかもしれないな。」

 

望の言葉に誠も納得した。

 

「問題は大量の敵をどうするかなんだが・・・ちゃんとした方法あるのか?」

 

「デバッグ済みのちゃんとしたゲームなら、な。」

 

良介は顎に手をやって考え始めた。

すると、望は黙っている自由に話しかけた。

 

「無理ゲーの場合は?」

 

「ひっじょおぉぉに、不本意ですが。

その場合は、相応の手段でいかせてもらうしかないっすねぇ。」

 

「ん?

何か方法でもあるのか?」

 

良介は自由の方を見た。

 

   ***

 

良介、望、純の3人は魔物の群れと戦っていた。

 

「良介!

魔力!」

 

「ほらよ!」

 

良介は2人に魔力を渡した。

 

「せーの・・・でぇいっ!」

 

3人は同時に魔法を撃った。

 

「へーき?

バフ切れてない?

ヒーラーはいないからね!」

 

「わかってるよ!

そっちこそ囲まれないように・・・わっぷ・・・!

クソッ、あっちいけーっ!」

 

望は近寄ってきた魔物を吹き飛ばした。

 

「あぁ!

もう、飛ばす方向間違えたらハメられないじゃない!」

 

「さっき、あんなにハメ技嫌がってたじゃないか・・・」

 

「う、うるさいなぁ!

人の命がかかってるんだから」

 

「おいおい、まったく・・・ん?」

 

すると、良介のデバイスが鳴った。

相手は自由だった。

 

「うーす、そっちどうです?

そろそろいきますよー。」

 

「ああ、行ってこい。」

 

その頃、誠、初音、自由の3人は城の城壁の前にいた。

 

「うい。

ケーいただきましたー。

城壁爆破、侵入しまーす。」

 

「で、道順を無視して一直線に進めばいいんだな。

大丈夫か、この作戦?」

 

「いや、どう考えても大丈夫じゃないだろ。

攻略法もなにもねえし。」

 

「仕様が許すならなんでもやれがこんな形で自分に返ってくるとは・・・」

 

「ゲーマーって、こだわりがあって大変だな。

んじゃま、誠、頼むぞ。」

 

「おうよ、2人とも、離れてろよ。

おらっ!」

 

誠は城壁に向かって魔法を撃った。

城壁が崩れると、中から大量の魔物が出てきた。

 

「うおっ!?

なんだこの数!?」

 

「どこに隠れてたんだよこんなに!!」

 

「そっちちゃんと敵引きつけてるんすか!?」

 

自由はデバイスで聞いてきた。

 

「引きつけてるよ!

これでもかってぐらいにな!」

 

良介はすぐに返答した。

 

「やばいっすね・・・良介先輩、聞こえます?

自分、お伝えしたいことが・・・」

 

「あ?

なんだ?」

 

「この戦いが終わったら・・・結婚、しましょう。」

 

自由の言葉を聞いて、その場にいた全員が固まった。

 

「へ・・・は・・・えぇっ!?」

 

良介は声が裏返ってしまった。

 

「アレ?

全然ウケない。」

 

「お前、なに言ってんだ・・・」

 

誠は魔物と戦いながら呆れていた。

 

「いやあの、死亡フラグ回避しようと思って。」

 

「どう見ても今のは死亡フラグだろ。」

 

「あ、最近は死亡フラグ立てて死なないのがセオリーになりつつあるんすよ。」

 

「んなことどうでもいいから真面目にやれ。」

 

さらに大量の魔物が押し寄せてきた。

 

「チッ、キリがねえな・・・!」

 

誠は舌打ちしながら、魔物に斬りかかった。

その頃、良介たちも魔物の群れと戦い続けていた。

と、望の顔色が悪くなり始めた。

 

「っと・・・望、大丈夫か?」

 

「う・・・わ、悪い・・・」

 

「とりあえず、休んでろよ。

この程度なら、俺たちだけでも大丈夫だ。」

 

良介はそう言うと、デバイスを取り出した。

 

「おい、まだか!?」

 

「まだっす!」

 

すぐに自由の返答が返ってきた。

 

「早くしてくれ!

こっちもいつまで持つかわからねえぞ!」

 

「わかってるすよ!

もうあらかた破壊したんで、後は地下牢くらい・・・」

 

「うおっ!?

まだこんなにいるのかよ!?」

 

誠は階段にいる尋常じゃない数の魔物に驚いた。

 

「も、もーちょっとお待ちを・・・」

 

「ったく、仕方ねえな。

こうなったらやれるところまでやってやる!」

 

良介は目の前の魔物に攻撃しようとした。

すると、後方から何かが魔物を攻撃した。

 

「なんだ!?」

 

良介たちは後ろを振り向いた。

その頃、誠たちのところの魔物も攻撃を受けていた。

 

「なんだ、新手か?」

 

誠たちは攻撃が飛んできた方を向いた。

 

「いや、ありゃ・・・デクだ・・・JGJの私兵部隊だな。

援軍だぞ、援軍!」

 

「え、ええ・・・ファンタジーが急にSFに・・・」

 

すると、誠のデバイスが鳴った。

相手は茉理だった。

 

「もしもし?

デク、そっちついたー?

あなたたちが攻略してくれたおかげで、道がわかったから・・・後は任せて。

魔物はこっちがやるから、救出お願いね!」

 

「ちぇーっ。

アツいっすけど、こーゆーのは伏線が大事なんすからね。」

 

「伏線ってゆーかウチの施設だからな、ここ。」

 

「そんなことはどうでもいいだろ。

さっさと助けに行くぞ。」

 

誠たちは救出に向かった。

 

   ***

 

誠たちは救出した一般人たちを避難誘導していた。

 

「はいはい皆さん、出口はこちらっすよ。

足元にお気をつけて~。」

 

誠は自由が誘導しているのを見ていると、救出者のリストを取り出した。

 

「よし、今のが最後だな。」

 

すると、初音はデバイスを取り出すと、樹に報告した。

 

「兄さまー!

行方不明者、救助完了したぜ。」

 

「脱出を確認。

これより城内にデク部隊が突入する。」

 

その頃、良介たちはデクが魔物を倒す様子を眺めていた。

 

「魔物が次々にやられていくな・・・」

 

「あんなにデク投入して、予算大丈夫なのかな。」

 

「自分ちの施設のことだからな・・・金は惜しまないだろ。

ボク、もう疲れた・・・楽できるならそれでいい・・・」

 

良介はため息をついた。

 

「望、お前はもうひと踏ん張りだろ。」

 

「うー、軽く言うけど、天気をどうにかするのって、大変なんだぞ・・・」

 

すると、良介のデバイスから茉理の声が聞こえてきた。

 

「そろそろ魔物があらかた霧になるよー。

準備お願いね。」

 

望は良介の方を向いた。

 

「良介。

魔力くれ、いっぱい。」

 

「わかった。

ほら。」

 

良介はありったけの魔力を望に渡した。

 

「はは。

やっぱ、クソゲーだったなぁ・・・」

 

望はため息をついた。

少し経って、学園の廊下。

クエストを終えた良介と誠が歩いていた。

 

「ふぅ、クエスト終わりっと。

さて、腹も減ったし、食堂に行くか。」

 

「今日は確かコロッケだったな。」

 

「そうか、コロッケか。」

 

すると、良介は誠の方を向いた。

 

「誠、この後予定あるか?」

 

「ないけど。

どうした?」

 

「あのクエストやった後のせいか、ゲームやりたくてな。」

 

「ああ、お前もか。

この後、ゲーセンにでも行くか?」

 

「いや、一狩り行きたくてな。」

 

すると、誠は笑みを浮かべた。

 

「お、マジで?

じゃあ、飯食い終わったらお前の部屋でやるか。」

 

「ああ、どうしてもクリアしたいクエストがあるから、とことん付き合ってもらうぞ。」

 

2人は食堂に向かって歩いて行った。


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