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良介と焔は傷の魔物を探して歩いていた。
「これまでの傾向からもそうなんだけど・・・スカーフェイスはデバイスで追うことができない。
マーキングできないんだ。
用心深くて、なかなか姿を見せないからな。
1度なにか目印をつけられたら、ロストするまで逃げ回る。
あいつが人を襲うのは、無事に逃げられるって確信できるときだ。
メアリーはそう書いてた。」
「つまり探すには、根気よく痕跡を追うか、こっちが無防備に見えるようにしないといけないのか。
クエストが少人数なのも、精鋭部隊とパーティが違うのもそれが理由か。」
良介は納得した。
焔は不満そうにしていた。
「くそっ。
結局、アイツらがこうなるように仕組んでたんだ。
情けねぇよ。
そこまでお膳立てされてるってのに・・・」
すると、突然良介が立ち止まった。
「どうしたんだ?
いきなり立ち止まって・・・」
「焔!
下がれ!」
良介はいきなり焔の腕を掴んで引っ張った。
すると、そこに1体の魔物がいきなり現れた。
その魔物には傷があった。
「っ!?
スカーフェイス!」
「こいつが傷の魔物・・・スカーフェイスか。」
その頃、誠たちは少し離れたところを歩いていた。
突然誠が立ち止まった。
「ん?
誠、どうした?」
メアリーは誠の方を見た。
「・・・魔物だ。」
「あ?」
「どうした。」
エレンも誠の方を見た。
誠は良介たちがいる方を向いた。
そこには、傷の魔物と対峙している良介たちがいた。
「どうしたのかしら。」
月詠は不思議そうに誠を見ていた。
浅梨は何か感じ取っていた。
「魔物が・・・出てる・・・」
「えっ?」
月詠は浅梨の言葉を聞いて驚いた。
「あの傷・・・スカーフェイスだ!」
誠は魔物についている傷を見て傷の魔物だと判断した。
「なに・・・前触れがなかったぞ!
どういうことだ、メアリー!
見逃したんじゃないだろうな!」
「バカにすんな!
んなヘマするかよ!
くそっ!
あの図体でここまで気配が消せるもんなのかよ!」
「あの大きさ・・・タイコンデロガだな。
見るのは第7次侵攻の時以来か。
けど、感じる力・・・あれ以上か。」
すると、メアリーは良介たちのところに向かおうとしたが、エレンがそれを制止した。
「待て!
来栖の動きを待つ!
単独でのクエスト続行が不可能になったらだ!」
「はぁ!?
テメー頭がどうかしてんのかよ!
放っといたら死んじまうに決まってんだろうが!」
「来栖はお前の書いた戦い方を読んでいる。
そう簡単にやられない!
私たちは奴に自由にしろと言った。
その言葉に責任を持て!」
「アイツがスカーを倒せるってのかよ!」
「来栖にはここで一歩、進んでもらわねばならん。
私たちが安易に助けに入れば、元の木阿弥だ。
仇討ちがどういうことか、言葉で言っても来栖はわからなかった。
ならば、実戦で理解させるしかない・・・!」
「ぐっ・・・テメェ・・・」
「自分の部下を信じろ!
1人で勝てないとわかったら・・・必ず、奴は助けを求める。」
「くそっ!」
メアリーは舌打ちをした。
話を聞いていた誠は月詠たちの方を向いた。
「月詠、浅梨、今の話、聞いてたか。」
誠が振り向くとそこに月詠たちの姿は無かった。
誠は急いでロープを見ると、ロープは途中で千切れていた。
「あいつら・・・!」
誠はロープを投げ捨てると傷の魔物の所へ向かった。
***
焔は傷の魔物を睨みつけた。
「出たか・・・その傷、よく覚えてるぞ・・・テメェが・・・テメェがアタシの家族を・・・!
灰にしてやる!」
焔は火の魔法を撃った。
だが、傷の魔物にはあまり効いていなかった。
「っ!
ダメだ、1発程度じゃビクともしてねぇ。」
「焔、手貸してやろうか?」
良介が焔に話しかけた。
「離れてろ!
アンタの手は必要ねぇ!」
その頃、傷の魔物の背後の近くにイヴがいた。
「スカーフェイス出現。
詳細なデータを取るにはもう少し近づかないと・・・もし人の手が入っているなら、全身をスキャンした際に・・・作られた不自然さが検出されるはず。」
イヴは精鋭部隊がいる方を見た。
「精鋭部隊は何をしているの。
ただの討伐じゃないのよ。
あんな魔物、2人で勝てるわけないのに。
危なっかしい戦い方するわね。」
すると、イヴは傷の魔物に向かって、氷の魔法を撃った。
傷の魔物は少し怯んだ。
「っ!?
今だっ!」
焔はすかさず傷の魔物に火の魔法を撃った。
良介は氷の魔法がやってきた方を見た。
「今のは、誰がやったんだ?
精鋭部隊は氷は使わないな。
まぁ、いいか。」
良介は焔に魔力を渡した。
「良介・・・余計な・・・!」
「余計な・・・なんだ?」
「いや・・・なんでもねぇっ!
まだだっ!
まだ動ける!」
すると、突然傷の魔物の雰囲気が変わった。
「な・・・なんだ・・・」
「どうやら、これからが本気みたいだな。
油断でもしてたのかもな。」
「話に聞くより弱いと思ってたけど、やっぱそんな理由かよ。」
焔はまた傷の魔物に向かおうとすると、月詠と浅梨がやってきた。
「焔っ!
待ちなさいよ!
今までも、アンタ、苦戦してたくせに!
まだ1人でやるつもりなの!?」
「1人じゃねぇ・・・2人だ・・・良介が魔力を回復した。
やれる!」
焔は傷の魔物に攻撃し始めた。
「んもう!
意地っ張り!」
月詠は文句を言った。
良介は焔の様子を見てため息をついた。
「やれやれ、自分のことを過大評価してるな。
魔力枯渇の疲労は消せても、運動の疲労は蓄積されてくってのに。
さて、俺と誠、エレンとメアリーも参加したところで、こいつを倒しきれるのかどうか・・・難しいな。」
良介は顎に手をやった。
***
焔は1人で傷の魔物に攻撃し続けていた。
「ぐ・・・クッ・・・チクショウッ!
タイコンデロガっつったって、限度があるだろうがよ!」
すると、焔の後ろから魔法が飛んできて、傷の魔物に直撃した。
「っ!?」
焔は後ろを振り向いた。
「テメェら・・・っ!」
攻撃したのは月詠と浅梨だった。
「もう見てらんないわ。
浅梨、行くわよ。」
「はい!
来栖先輩、よろしくお願いします!」
「な、なにを・・・頼んでねぇだろ!」
「そうよ。
本当は、アンタが助けてって言わなきゃ出ちゃいけなかったの!
でもそんなの、クソくらえだわ!
アンタが1人で戦うより・・・4人で戦った方がマシに決まってるでしょ!
そうでしょ、良介!」
月詠が良介の方を見ると、良介はすでに第1封印を解放した状態になっていた。
「ああ、その通りだ。
にしても月詠、だんだんメアリーに似てきたな。」
良介は肩を軽く回しながら前に出てきた。
「焔、トドメはお前に刺させてやる。
いい加減、意地張るのはやめろ。」
「来栖先輩!
私が盾になりますから!
攻撃に専念してください!」
「ばっ!
馬鹿野郎!
アイツの攻撃力、見てただろ!」
「大丈夫です!
お姉ちゃんの魔法の方が、何倍も強力でしたよ!
スタミナには自信があるんです。
任せてください!」
少し離れたところで見ていたメアリーはため息をついた。
「あーあ、出てっちまった・・・」
エレンは黙って4人の戦いを見ていた。
「意外といい動きじゃないか。」
「調子に乗らなきゃいいがな。
釘刺しとくか。
おい、来栖。
助けが入って、楽になっただろ。
だが、それで勝てると思うなよ・・・そいつはタイコンデロガだが・・・強さは最上級だぞ。」
焔はいきなりメアリーの声が聞こえてきて驚いていた。
「っ!?
な、なんだっ!?」
「最後にもう1度聞くぞ。
テメーらで、スカーフェイスを倒せるか?」
焔は何も言わずに傷の魔物に攻撃した。
「クソッ・・・クソ、クソッ!」
「いつ答えてもいい。
必要になったら、呼べ。
いいか、必要になったらだ。
死んだら地獄まで追いかけてぶん殴ってやるからな。」
「地獄行きは決定かよ!」
メアリーは焔との会話を終えて、1つ疑問を抱いた。
「おい、ところで誠のヤツ、どこいった?」
「さっき2人を追いかけてからすぐに見なくなったが・・・メアリー、見ていないのか?」
「アタイも知らねぇぞ。
アイツ・・・どこ行きやがったんだ?」
その頃、傷の魔物の攻撃を受け続けていた浅梨が少しバランスを崩した。
「あっ・・・!」
「我妻っ!
食らいすぎだ、下がってろ!」
「いえ・・・まだ大丈夫です!
私の心配をするくらいなら、どんどん攻撃してください!」
「浅梨、お前・・・」
良介は時間を確認した。
「もう2時間も経ってんのかよ・・・!
しぶといにもほどがあるだろうが!」
すると、焔が浅梨の前に出た。
「どけっ!」
「あっ!」
「この・・・大馬鹿野郎!」
「ぐぁっ!」
焔が傷の魔物の攻撃を受けようとした瞬間、良介が焔を突き飛ばして、代わりに攻撃を受け止めた。
「ぐうぅっ・・・!」
「焔!
アンタ、なにしてんの!」
「ち、チクショウ・・・いてぇ・・・良介のヤツ・・・!」
焔は黙って良介の方を見た。
「ぐはっ・・・ぐっ!
クソ・・・なんだこの攻撃力・・・ふざけてんのか!」
良介は傷の魔物の攻撃を受け続けていた。
「メアリー・・・エレン・・・」
「テメー、なにバカなことやってんだ。」
また、焔にメアリーの声が聞こえてきた。
「我妻に・・・守谷に・・・良介に・・・迷惑かけちまった・・・」
「テメーみたいなコミュ障に、我妻と守谷が関わる理由はわかったか?」
「わかんねぇ・・・」
「じゃあ、テメーが我妻を庇おうとした理由はわかるか?」
「アタシのために・・・傷つく意味なんかねぇから・・・」
「テメーと精鋭部隊の連中はなんだ?」
「ただ、同じ部隊な・・・だけだ・・・」
「お前の望みはなんだ?」
「アイツを、倒してぇ・・・」
メアリーは黙っていた。
「メアリー?」
メアリーから返答はなかった。
「助、けて・・・」
「顔上げろ。」
焔が前を見るとメアリーとエレンが立っていた。
「守谷!
コイツに回復魔法かけとけ!」
「は、はぁ!
ツク、回復なんてほとんどできないわよ!」
「魔力ぶん回せ!
それである程度カバーできる・・・おい、来栖。
同じ部隊で、魔物を倒したいと願ってるヤツがいる。
その魔物は超強ぇ。
1人じゃ無理だ。
だが全員でかかればイケるかもしれねぇ。
それが理由だ。
他に、なにか必要かよ?
トドメ刺すのはテメェだ。
アレやれ。」
「アレ?」
「武田 虎千代のホワイトプラズマだ。」
「な・・・で、できるわけ・・・」
「それが無理なら良介のストナー・・・なんだ?
まぁ、それか、ファイヤーブラスターっつったか。
そこらへんでもいいだろ。
それに、できるかじゃねぇだろ。
なーに、心配すんな。
できなかったら、そん時はアタイがヤツを殺す。」
エレンは浅梨の方に駆け寄った。
「我妻、平気か?」
「は、はい・・・!
まだ耐えられます!」
「すまないが、もう少し頼む。
私の強化魔法も重ねておく。
良介。
今から守谷と来栖に魔力を分けてくれ。
大量にだ。
それで、決めるぞ。」
良介は膝をついたまま傷の魔物の攻撃を受け止めていた。
「この状態・・・だっつのに・・・!
けど、了解だ!
ついでで・・・俺の新しい力・・・見せてやる!」
「む?」
「火属性・・・極限強化!」
すると、良介の髪が赤く染まった。
「はあぁっ!」
良介は傷の魔物を蹴り飛ばした。
傷の魔物は再び良介に攻撃しようと瞬間、空から何かが傷の魔物を攻撃した。
「ん?」
良介の目の前に、背中から悪魔のような紅い羽を生やした誠が降りてきた。
「誠・・・お前、今までどこにいた?
それよりその羽は・・・?」
「悪い悪い、魔神化使ったら突然羽生えてきてさ。
うまく扱えるようになるのに時間がかかったんだ。」
「なんで羽が・・・」
「さぁな。
けど、以前より少しパワーアップしたのは確かだ。
このまま俺も参加するぜ!
で、良介、その髪どうした?」
「ああ、火属性極限強化をするとこうなるんだ。
魔力強化と肉体強化を限界までしてる状態だからな。」
「へぇ、なるほどな。」
「誠先輩・・・!
あ、エ、エレン先輩はどうするんですか?」
「これまでの情報から、スカーフェイスは不利になると逃走する。
それを防ぐのは私とメアリーの役目だ。
絶対にここから逃がさん。」
良介はすぐに焔のところに向かった。
「焔、話は大体聞いた。
やるぞ。」
「ホワイトプラズマ・・・大量の魔力を放出して、レーザーをぶち込む・・・あんたが魔力を流し込むことで、射出時間が伸びて更に威力が上がった。
自分を、魔力が通り抜ける筒と考えて・・・」
焔は少し黙った。
「何のために訓練してきたんだ・・・!
やってやる!
良介!
力を貸してくれ・・・!」
良介は笑みを見せながら焔を見た。
「覚悟は決まったみたいだな。」
皆が焔を見ていた。
いつの間にかイヴまでやってきていた。
「イヴ、危険だからここにいる必要はないんだぞ。」
誠はイヴに話しかけた。
「スカーフェイスを逃がさないためです。
お気づかいなく。」
すると、傷の魔物が動き出した。
「動き始めた。
人数が増えて逃げ出す気だな!
んなことさせるか!
良介、行くぞっ!」
「ああ、やるぞ!」
良介は焔に大量の魔力を流し込んだ。
「うっ・・・ぐっ・・・!」
焔は魔法を撃つのに少し苦戦していた。
すると、良介が後ろから焔の両手に手を添えてきた。
「良介、お前何して・・・!」
「黙って集中しろ。
手伝ってやるだけだ。」
すると、焔の両手から大量の炎が出てきた。
「これなら・・・!」
「ああ、今だ!」
「消し飛べっ!!!」
焔は魔法を放った。
***
焔の放った魔法はレーザーのように飛んでいき、傷の魔物を貫いた。
貫かれた傷の魔物はそのまま霧散した。
エレンは傷の魔物が倒されたのを確認した。
「スカーフェイスの霧散を確認。」
「ちっ・・・もしかしてこれまでに出てきた傷の魔物・・・同一個体だったのか。
そうじゃなきゃこの強さはねーだろ。
ったく・・・来栖1人だったら確実にオダブツだったぞ。」
メアリーはため息をついた。
「検証は他に任せよう。
しかし・・・タイコンデロガにしてもあの強さは・・・」
「ま、ああいうのがもしかしたら、ムサシになるのかもな。
しかしよ、やっちまった後で言うのもなんだが・・・知性が高すぎねぇか。
話には聞いたことあるが、初めて見たぜ。
タイコンデロガを超えたら・・・それが条件みたいなもんなのかね。」
その頃、気絶していた焔は目を覚ました。
「う・・・」
「やっと気がついたか。
まだ動かない方がいいぞ。」
焔は良介の体に凭れるように倒れていた。
「ど、どうなった!?
アイツはどうなった!?」
焔は体を起き上がらせると、必死に良介に問いかけてきた。
「安心しろ。
倒したぞ。」
「そ・・・そう・・・か・・・倒したのか・・・ほ、本当だろうな・・・」
「帰ったら戦闘データ見ればいいさ。
止めを刺したのはお前だ。
まぁ、さっきまで気絶してたから、実感ないかもしれないがな。」
「いや、わかる。
ずっと・・・6年、ずっとあったプレッシャーが・・・ない。」
少し焔は黙った瞬間、大粒の涙が目から流れた。
「う・・・うぅ・・・」
「おいおい、どうしたんだよ。」
「く、来栖センパイ!?」
「ちょ、ちょっと、どこか痛めてるんじゃないでしょうね!」
他の面々は心配していたが、良介は笑っていた。
「ちげぇよ・・・くそ・・・バカにしやがって・・・」
すると、エレンが皆に呼びかけた。
「お前たち。
そろそろ帰るぞ。」
「やれやれ・・・いつまで泣いてんだよ。」
良介は笑いながら焔に話しかけた。
「う、うっせぇ・・・」
「歩けるか?」
焔は目を擦って、良介を睨んだ。
「歩けるよ!」
メアリーはその様子を見て、笑みを見せた。
「Good!
テメーら、撤収だ!」
「あー・・・疲れた。
早く帰ろうぜー。」
誠は魔神化を解くと、背中の羽が霧散した。
「む?」
「あ?」
メアリーとエレンが誠の方を見た。
「どうした?」
「いや・・・」
「・・・なんでもねーよ。」
3人は先に戻っていった。
月詠と浅梨は焔の方を向いた。
「先、行ってるわよ。」
「何かあったら呼んでくださいね。」
2人も戻っていった。
「り、良介・・・」
「どうした?」
「悪かったな・・・」
良介は呆れたように頭を掻いた。
「さっきの素直さはどこ行ったんだ?
言いたいこと、正直に言えよ。」
良介は笑いながら言うと、焔は少し恥ずかしそうにした。
「あ・・・あり・・・がと・・・」
「ああ・・・どういたしまして。」
その頃、結希の研究室。
結希と天が傷の魔物の霧散を確認していた。
「スカーフェイスの消滅を確認。
さすがに同一個体だとは思わなかったわ。」
「これで、CMLの検体が1つ無くなったのね。」
「討伐を依頼してきたのはCMLよ。
それより、傷の魔物・・・噂が最初に出たのは30年ほど前だったかしら。」
「さあ。
興味はなかったから調べてないわ。
その頃だと、第4次侵攻の前後?」
「ええ・・・それから単独で生きてきた。
魔物にしては行動パターンが賢すぎるわ。」
結希は少し黙った。
「冬樹さんが最後まで見届けたのは幸運だったかもしれないわね。」
「ちょ、ちょっと、それって・・・」
「天。
今すぐ風紀委員の所に行って、傷の魔物のデータを・・・あら?」
結希は記録を見て何かに気づいた。
「どうしたのよ。」
「傷の魔物の消滅から少し後にもう1つ別の消滅の記録があるわ。
これは・・・」
「どうせ別の場所にいた魔物でしょ。」
結希は驚いた顔をしていた。
「な、何よ・・・」
「場所は・・・誠くんの・・・体内・・・?」
「はぁ?
誠の体内?
何かの間違いじゃないの?」
「ただの誤作動・・・と思いたいけど・・・」
すると、今度は天のデバイスが鳴り始めた。
「わ、私に電話?
誰よ、電話番号知ってるの・・・」
天は電話に出た。
「もしもし・・・なんだ。科研ならそう言ってよ。」
少しすると、天の表情が変わった。
「はぁっ!?
なに急に!
できるわけないでしょう!?」
天は少しの間黙った
「事情を考慮して検討を重ねます!
じゃあね!」
天は電話を切った。
「どうしたの?」
「どうもこうもないわよ!
アンタ、なにか知ってたら教えなさいよ!
来栖 焔を速やかに処分せよって、なんのことよ!」
「来栖 焔を・・・処分・・・なんですって?」
「誠のことといい・・・何が起きてるのよ・・・」
天は困惑していた。