新約 僕は友達が少ないIF   作:トッシー00

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第9話です。

「羽瀬川小鷹」視点。


ストーカーは男の娘

 六月中旬。

 風邪をひいていた俺は、二日ほど熱を出して寝込んでいた。

 風邪をひいた理由は、そりゃあれほどの大雨で寒い外を歩き回ったからだろう。

 そんなので風邪をひいたのでは俺自体が軟弱というのもあるだろうが、正直……緊張がほどけたのもあるのだろう。

 転校してからずっと、俺はピリピリした雰囲気で学校に通っていた。

 みんなが俺を見た目だけで判断して遠ざかる。俺はそんな学校に馴染めない毎日を過ごしていた。

 早く居場所を手に入れなければと焦っていた。時期が過ぎれば手遅れになるからな。

 そんな時に、俺はあの女に出会った。俺と同じく学校でさびしい思いをしている女――三日月夜空とだ。

 傷の舐め合いなんて言ったら、あいつは怒るだろうか。俺としても、そんな解釈はしたくない。

 だが同じ孤独者同士、わかり合えることもある。俺はそう思っている。

 そしてあいつが作った部活が存続したらしい。これでようやく、俺たちはスタート地点に立つことができる。

 

 登校してから、何度か生徒達と目があった。

 誰も彼もが、俺が戻ってきたことに恐怖をしているようだ。

 俺は何もしていないのに、大雑把に言ってしまえばこれじゃいじめみたいなものだ。

 良い子ちゃん学校の連中が、ちょっと見た目がやばそうだからって遠ざけて……。人の身にもなってほしい。

 って、良い子ちゃん学校だなんて、この考え方だと俺が本当にヤンキーみたいだよな。俺はそこまで人を下に見れる人間じゃないし、強がって威嚇する人間でもない。

 

 ――最も、善人か悪人かで言えば……俺は間違いなく"悪人"だが。

 

「…………」

 

 俺は今、普通に教室に向かって歩いている。

 他の生徒の怯えた眼差しがあるのは変わらない、それは別に気にしなければいい話だ。

 だがなぜだろう。それらとは違う別の目線を感じるのは気のせいだろうか。

 なんというか、悪者の俺をぶっ潰そうとか、そういうのでもないんだよなぁ。

 バカらしい話だが、執着? わかりやすい言い方が見つからないのだが。

 

「お……」

 

 教室に入ると、いつもの位置にあの女がいた。

 相変わらず机に突っ伏している。他の連中なんて、興味すらないってオーラ出してる。

 お礼くらい言った方がいいだろうか、だけど……周りがいる中で嫌われ者の俺に声をかけられれば、あいつも迷惑するだろう。

 普段は俺と夜空は無関係。あいつの面子のためにも……それでいてやろう。

 そう思い、夜空の前を通り過ぎると、あいつは俺に気づき……そしてまた寝た。

 それでいいさ、お前は自分勝手で……我がままなんだからな。

 

 その後、四時間目が終わり昼休みになった。

 まだ病み上がりで弁当が作れず、今日は何も持ってきていない。

 食欲はないが、何か食べないと力にはならない。

 

「下の購買にでも行くか……」

 

 俺はそう呟いて、下の階へと行った。

 前に一度購買に行った時は、俺が着た瞬間他のやつらが怯えて、全員道を開けたな。

 確かに商品選び放題はいいんだが、後味が悪すぎる。

 ので、今日はある程度人がいなくなるのを見計らってから行くことにした。その結果……。

 

「ごめんねぇ~。もう売り切れちゃって……」

 

 見謝ってしまった。

 そうだ、この学校のパンはすぐ売り切れる。だから人がいなくなるころに行っても意味がないんだよ。

 これじゃあお腹がすいて力が出ない……どこぞのヒーローみたいな言い草だが。

 あと二時間か。と言っても俺にご飯を分けてくれないザ・友達はいないし。

 あの女は意地でも分けてくれそうにないしなぁ。ワンチャン、ケイト先生の所に行ってみるか……。

 そんなこんなを考えていた時、一人の生徒が俺に話しかけてきた。

 

「……あの」

「え?」

 

 突如話しかけられたので、俺はつい驚くように反応する。

 その反応がいつも表情が歪んでいるから、みんな逃げていくんだって。

 そう咄嗟に表情を戻したが、その人物は逃げなかった。

 

「パンを……かいわすれたのですか?」

「あ、あぁ……。正確には買いそこなっただけどな」

 

 そうゆったりとした甘い口調で話してくる人物。

 制服は男子、体つきは草食系男子のような華奢で細い。

 そしてその顔は……これまた引きこまれそうな甘さだった。

 一見すると女の子にしか見えないような、とても整った美少年だった。

 栗色のショートカットも、上手い具合に耳が隠れていて、ますます少女のそれを思わせる。

 どうしてこんな中性的なイケメンが俺なんかに話しかけてくるのか、一瞬頭の中で困惑した。

 

「あの……俺に何か用?」

「その……よろしければわたくしのパンを、食べてください」

 

 そう言って、その少年は俺に全部のパンをくれた。

 いやいや、こんなに貰ったら、そっちのパンが無くなっちまう。これじゃカツアゲと変わらない。

 まさかこいつも、俺の事が怖くて全部パンを差し出したのか。それだったら嬉しくもなんともない。

 変な噂が立つから厄介とかそういうのではないが、気持ち次第では迷惑だ。

 

「い、いらないよ。それにそんなに貰ったらお前の分がなくなるだろ? それに、俺は別にパンをよこせとか貢げとか言わないから、怒ってるように見えたのなら……謝る」

 

 長々しく、言い訳がましく、断り方を知らない典型的な物言いで、その少年の優しさを否定した。

 どうにもネガティブに捕えてしまう。この状況が状況だから仕方がないことだが、あの女の考えが少し移った気もする。

 もし本当にこの少年が、優しさでパンを恵んでくれたのなら……俺はなんて悪いことをしているのだろうか。

 

「……そうですか」

「悪いな。……そんな心配するなって、俺は君をおちょくっているわけでもないし脅したりもしない。でも……ありがとう」

 

 最後にはその優しさに対してお礼をして、個人的に上手く収めた気がする。

 仕方がない、昼ご飯は諦めよう。俺はそう思った。

 

「……羽瀬川先輩」

 

 去り際、後ろから声が聞こえた。

 やっぱり俺を知っていたのか、わかりきっていたことだが。

 俺は振り向く。ここで無視をしても意味がない。

 

「どうした?」

「……いえ、すみません」

 

 そう恥ずかしがって、少年はその場を去ってしまった。

 なんというか、気が緩んだら本当に女の子にしか見えない、そんな甘い少年だった。

 こんな怖い俺なんかと違って、きっとクラスでも人気が高いのだろう。ああいうあざとさも、優しさも、生まれつき持つスキルなのだろう。

 だからこそ、俺なんかに関わらないほうがいい。俺に気を許さない方がいい。なぜなら俺は……。

 

「俺はまた……"くりかえす"かもしれないから……」

 

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 放課後。

 俺は部室へと向かった。

 隣人部か、思えばいったい……どんな活動をするつもりなのだろうか。

 友達を作る。そんな当たり前の事をどういう風に部活で体現するつもりなのだろうか。

 そんな誰もがやりそうにないことを自信を持ってやろうとしたんだ。あの女にはちゃんとした考えがあるのだろう。多分……。

 あと、あいつ三人目を見つけたと言っていたな。存続している分本当の事なんだろうけど。

 だとしたら挨拶しないとな。変に笑顔にしないほうがいいな、見繕うと怖くなるし。

 

「よ~」

 

 俺は扉を開けた。

 そこには俺より先に、夜空が椅子に座って本を読んでいた。

 あとは、見渡しても誰もいない。

 

「ふん、遅いぞ」

「そうか? 時間を気にしすぎなんだよ。あとこれでも病み上がりだ。多少のことは許せよ」

「そうだったな、すまない」

 

 相変わらず無愛想にそう答える夜空。

 こんなやつだが、心の底では大切な友を見つけたいって思っているんだ。否定ばかりでは始まらない。

 

「さて……そういえば三人目は?」

「そいつも遅刻だろう。なにせそいつは……"不良"だからな」

「不良?」

「クラスに馴染めなくて特別教室で授業をしているらしい。安心しろ、"間違ったことは"言っていない」

 

 どうにも嫌味じみた言い方をする夜空。

 不良で特別教室って、いったいどんな奴を引きこんだんだこの女は。

 確かに俺は見た目だけは不良だが、本物の不良がやってきたら止めることは敵わねぇぞ。

 でもまぁ、こんな部活に入るやつだ。ろくでなししかいないだろうなぁ。

 

「そっか、まぁ仲良くできるように頑張るよ」

「ふん、出来ればいいけどな」

 

 やっぱりどこか刺々しい言い方。てかお前の知り合いじゃなかったのか?

 そんな詮索をしていると、コンコンとノック音の後、扉が開いた。

 そして扉の向こうから現れたのは……メガネをかけたポニーテールの少女だった。

 小柄で白衣を着ている。不良? どこが? イメージとは真逆の、インテリ系がやってきたぞ。

 

「失礼します~。今日から部活やるんですよねぇ? 夜空先輩」

「あぁ、そうだ」

「よかった~。あぁすいませんちょっとやる仕事が重なっていて、遅刻してしまいました」

 

 そう、遅刻をしてきたことを素直に謝るこの少女。

 素行も態度もいいじゃないか。いったい何を思ってこんな良い子を不良だなんて言ったんだこの女は。お前の方がよっぽど不良だよ。

 

「あ、噂をすれば貴方は」

「あぁ……その、羽瀬川だ。よろしく。えぇと……」

「存じております。羽瀬川小鷹さん。私は志熊理科と申します。夜空先輩とは懇意にしておりました。これからよろしくお願いしますね~」

 

 そう、深々とお辞儀をする志熊理科。

 俺を見ても怯えるどころか、一部員として見て、そして後輩としての理想像を醸し出す。

 こんな子が友達作り? ざけんな、こんな良い子と友達にならない奴は誰だ。俺が許さん、絶対に許さん。

 

「……ちっ」

 

 なにやら遠くで舌打ちをする夜空。

 何が気に食わないんだ。こいつがリア充だからか? ひねくれすぎなんだよお前は。

 

「よろしく。にしてもまたずいぶんと真面目で良い子が入ってきたな。こんな部活でいいのか? あんな無愛想なひねくれ根暗女に騙されたんじゃないのか?」

「んだと……?」

 

 俺が夜空に聞こえるようにそう理科に言うと、理科は特に否定の無い笑顔で俺に返した。

 

「そんな騙されただなんて。理科は夜空先輩に危ない所を助けられたのです。理科には危険を助けてくれる友達なんていませんし、だからこそそういうことがあった時に頼れる友達を作ろうと思って、この部活に入ったんですよ」

「そ、そうなのか。全然そんな風には見えないけどな。こんな可愛くて性格もよくて真面目で頭良さそうなのに、それに特別教室って……なにかあったのか?」

 

 ついつい評価すると同時に長々としゃべってしまった。

 その上で答えにくい質問までしてしまう。あまり触れられたくないよな、そういう事情って。

 すまないと、俺が言いだそうとした時、志熊理科は話しだした。

 

「特別教室棟に、理科室ってあるのはご存知です?」

「あぁ、科学室の隣にある教室だろ。……あれ? よくよく考えたら科学室の隣になんで理科室が?」

「その理科室は、一般的な理科室ではなく、私の教室という意味なんです」

「どうしてまた?」

「色々と、事情はあるものです。保健室登校みたいなもので、それの理科室バージョンと言ったところです。あまり気になさらずに」

 

 そう、特に嫌そうな表情も見せず、理科は答える。

 深い事情は話さなかったが、それに触れることも本来、いやでしかたがないはずなのに。

 それでも健気に答えてくれるなんて、やっぱりこいつ……どうしてこんな。

 

「そっか、まぁその……色々あるよな」

「……ん?」

「わかるよ、俺も学校に馴染めてないからさ。色々あったんだろ、まぁその……お互い頑張ろうぜ」

 

 安い同情と取られただろうか、俺としては優しく励ましたつもりだったが。

 そして俺にそんなことを言われた理科はというと、一瞬だけ体をピクリと震わせた。

 だが表情は笑顔のまま。なんだろうか、言葉にならない恐怖ってのが、一瞬だけ空気に伝わった。

 

「ぶっ! くっく……ククク……」

 

 そして奥の方で夜空が噴き出す。

 おいおい俺はなにも面白いことは言っていないのに。

 と、夜空が笑った瞬間、理科はもう一度体を震わせた。

 

「も……もう羽瀬川先輩~。私に優しくしないでください、惚れてしまいますやだ~」

「そ、そんなつもりで言ったわけじゃねぇよ。やましい気持ちとかないからな」

「またまた、強気な男の人にか弱い乙女は弱いって言いますからねぇ~(夜空てっめぇ……いつか粉々にしてぶち殺すからな!!)」

 

 そう軽いノリで理科は言う。

 だけどなんだろう、一瞬こいつが怖いなって思うのは気のせいなのだろうか。

 

「まぁその、こうして三人揃ったんだ。今日はなにやるんだ?」

 

 俺がそう、夜空に質問をすると。

 

「……特に考えていない。それに今日は顔見せみたいなものだからな」

 

 そう、軽い気持ちでそう答えた。

 あのよ、そうやって後から後からって思ってるといつまでも先に進まないんだぞ。

 てかやっぱり何も考えてなかったのか。せっかく後輩も入ってきたんだ、最初が肝心だっていうのに。

 

「わかったよ。ならそうだな、仲間として、俺の相談事を受けてくれよ」

「相談事?」

 

 特にやることもないので、俺は思いきってそう切り出した。

 すると夜空は、興味本位でその話題に食いつく。

 

「実はその、朝から誰かに見られている気がするんだ」

「そりゃあ、風邪ひいていなかった学園の雑菌が帰って来たんだ。これでまた世紀末が始まるという怯えた眼差しだ。気にするな」

「ぐっ……。この女、マジで泣かすぞ……」

「やってみろこの腐り金髪が……」

 

 言われ方がひどすぎたため、反射的に夜空に突っかかる。

 いくらおちょくる目的だったとしての誰が学園の雑菌だ。それ本気で思ってんじゃねぇだろうな。

 対して夜空も食い下がることはない。やっぱり度胸だけは据わってんだなこいつ。

 やっぱりこの女は好きになれねぇ。間違ってもこいつとだけは、仲良くなれそうにない。

 ……この女を救えるのは俺しかいないだと? そんなわけがない。

 

「……悪い、女相手に本気になりかけた」

「ちっ……その、私も悪かった。おちょくるにしては言いすぎた」

 

 俺の方から謝ると、夜空もしおらしく謝り返した。

 まぁ、こんなんで喧嘩ばかりしてたらキリがないか。それに新しい後輩もいることだし。

 

「そういう眼差しなら大体分かる。だけどそれとは違う感じがしたんだ。それにそういうのなら目があってすぐに逃げ出すし、今回のは目すら合わなかった」

「わかりにくいな、もうちょっと具体的に言え」

 

 そう夜空に言われて、俺は具体的な妄想をする。

 

「具体的にねぇ。なんつうか……俺のことを監察してるっつうか、妙に冷え切った感じっつうか、こっちが目を向けると消えるんだけど、目をそらすとまた感じるようになる」

「なるほど。それだと怯えているというより……嫌がらせに近いですね」

 

 嫌がらせと、理科は言った。

 嫌がらせか、まさか等々俺を陥れようとする連中が現れたのか。

 素行の良いミッションスクールと聞いていたけど、過激な連中がいないわけではないのか。

 

「嫌がらせか……。俺、そろそろなんかひどい目に合うのかな」

「なにかやらかしたんですか?」

「なにもやらかしてない。あいつらが勝手に想像膨らませて俺を不良扱いするんだ。そりゃ確かに、俺の髪の色はこうだし……眼つきも悪いよ」

「まぁ確かに見た目は悪人面ですね。ならひどい目に会う前に、自己アピールをするのはどうでしょうか?」

 

 そういうと理科は、鞄の中から何かを取りだした。

 

「それは?」

「私のお世話になっている会社が開発した整髪料です。一般的のよりも綺麗に髪の色が落ちますよ。サンプルは上げますので、お取り寄せしたくなったら気軽に声をかけてください。お安くしますよ」

 

 そう言って、理科は俺にその整髪料を手渡した。

 お世話になっている会社? 開発? なんかずいぶん広い繋がりを持ってるんだな。

 確かに理科の言う通り、見た目から入るというのは良い手だ。だが……。

 

「その男の髪の毛は地毛だ。金髪に染めそこなったわけではないぞ」

「ふえ?」

 

 俺が説明すべきところを、夜空がフォローを入れてきた。

 

「地毛……ですか?」

「あ、あぁ。そいつの言っている事は本当だ。これでもイギリスと日本のハーフなんだよ」

 

 俺がそう説明をすると、理科は不可思議な表情で、俺の顔をじーっと見つめる。

 思春期の男の子真っ盛りの俺としては、女の子に見つめられるのは恥ずかしいな。

 と、そんなゆるいことを思っていると、理科は突如鞄から何かを取りだしそして……。

 

 チョキン!!

 

 取り出したのはハサミだった。

 そのハサミで、俺の前髪を突然パッツンと切りやがった。

 

「ぎゃああああああああ! 俺の前髪ーーー!!」

 

 俺は咄嗟に叫んだ。

 このインテリいきなりなにしやがるんだよ!? しかもハサミあぶねぇし!!

 

「予想以上に切れちゃいましたねぇ。ま、いいか」

「「ま、いいか」じゃない!? いきなり何しやがる!?」

「ちっ……。サンプルの分際でくそうぜぇな……」

「ん!? なんか今小声でとんでもねぇこと言った!?」

 

 人の前髪を了承なく切って、理科はなにやら満足気味。

 俺の髪の毛、いったい何に使うつもりなのだろうか。

 

「いえね、人間の遺伝子上こんな髪の色が出来上がるのは珍しいので。ちょっとだけ採取させていただきました」

「ったく。それならせめて髪の毛くださいくらい言えよ……」

「科学者としては、言動より先に行動を起こす物です。でも確かにこれでは等価交換が成り立っていない、ので髪の毛いただいた代わりに何かをしてさしあげましょう。何でもやりますよ?」

 

 そう言って、理科はニコニコ笑う。

 なんでもやると言われても、髪の毛ごときに大げさな。

 俺は得に悩むことなく……。

 

「別にいいよ。髪の毛少しおかしくなった所で俺の評価が変わるわけじゃないし」

「そうですか。なんでも、なんでもやるのに対価を求めないんですか?」

「いやいや対価って。こんな不良の原因にしている髪の毛一つに対価を求める価値もねぇよ」

「……あ~。クソつまんねぇなこいつ」

「……」

 

 どうにもご機嫌斜めの理科。

 なんか所々あくどい本性出てる気がするんだがなんか悪いことしたかな?

 俺がそんなことを思っていると、理科は例え話を俺に提示した。

 

「でもそれじゃ悪いのでね。そうですね……生命の神秘を求めたのですから生命の誕生でお返しするのはどうでしょうか?」

「言っている意味がよくわからないんだが……」

「んもうそんなストレートについてきた所でこの世のJKは逃げませんよ羽瀬川先輩。それともわからないんですか? 「S」で始まり「X」で終わるやつですよ」

「ぶっ!」

 

 理科がそう俺にクイズを出すと、遠くで夜空が噴き出した。

 このクイズが何を意味するのかは俺も実の所わかってはいたが、いくらこの世のJKがどうあれ、初対面でそれは人として駄目な気がする。

 なので、ここは誤魔化すことにしよう。

 

「わからん。というかそんなお返しはいらない」

「そんなお返しとは誤魔化しきれていないですよ羽瀬川先輩。中々に紳士なところは褒めてあげます。まぁ正解は「ソックス」です。何と勘違いしたんだか」

「むっ……。あっ、ソックスの単語は[S]OOK[S]だ。墓穴を掘ったな志熊」

「あら、上げ足を取るんですか? 私にだって一般教養くらいあります。靴下じゃなくて硫黄酸化物(SOX)ですよ」

「……」

 

 そう理科は勝ち誇ったかのように言う。

 ま、そういうことにしておいてやるか。

 ちなみに……どうして夜空は本で顔を隠してるんだ?

 

「まぁ別に『SEX』でもいいんですけどねぇ~」

「うぐっ……」

「おや反応しましたねぇ? わかりました明日持ってきますよ、動物の交尾傑作選のDVDを」

「いっらね!!」

 

 どうにも俺を試すように理科はマシンガンのようにその類の発言をする。

 なんだ……。最初に理科に対して感じた俺の印象が異なってきたような……。

 なんつうかな。こんな部活に入るんだもんなぁ、やっぱり普通じゃないのかな。

 そうだよな。もしこの子が人当たりのいい頭の良いメガネっ子なら、普通に友達いるもんな。

 志熊理科。一筋縄ではいかない……か。

 

「ごほん! この部活内でそのような卑猥は話はやめろ……」

「お~やおや夜空先輩? 聞いてらしたんですかぁ?」

「……」

「あれ? ひょっとして焦りとか感じちゃいました? 愛しの男がこんな根暗に取られてしまうだなんてあっらら。そんなこと思っちゃったんですかぁ?」

「……ふん、バカを言うな。そんなことをなど思ってはいない。愛しの男だと、悪いがそのようなヘタレはタイプじゃない」

 

 そう毅然とした態度で夜空は言った。

 あのすいません。二人で痴話げんかするのは構いませんがね、さりげなく俺が傷つくこと言うのやめてもらえますか?

 というか、さっき理科が夜空と懇意にしていたとか言っていたが……。

 やっぱりというか、仲悪そうだなこいつら。

 

「それに……そんな破廉恥なこと……高校生同士がやっていいことじゃない」

「ふふふずいぶんと優等生ですね夜空先輩。まぁ間違いを起こすと確かに厄介なことになりますし……でも、人としてそういう行為を求めるのは自然な欲求です」

 

 そう夜空に対してはっきりと言い放つ理科。

 それを聞いて夜空がむっとすると、理科は夜空の傍に行きなにやら耳打ちをする。

 

「心配すんなよ。初っ端からあの男の底を暴くつもりはねぇからよ……。だから安心しろや"夜空ちゃん"。ヒヒヒ……」

「ちっ……」

 

 俺の存在そっちのけで、二人だけでなにやら会話をした後。

 話題は俺が今朝感じた違和感について戻る。

 

「それで、誰かに見られていると言いましたね羽瀬川先輩」

「あぁ、気のせいだといいんだけどな」

「……」

 

 理科に聞かれ、俺はそう素直に答えた。

 気のせいならこれ以上こだわる必要はないし、危険なことも無かったで済む。

 そうならめんどくさくなくていいんだけどな……。そう俺が思いながら、ふと夜空の方を見やると。

 この話に対しててっきり笑って済ませると思っていたが、なにやら考えこんでいた。

 

「……部長?」

 

 俺が夜空のことを呼ぶと、夜空はハッとなる。

 

「あ……あぁ、気のせいだろう。それとも何か? 小鷹にストーカーがいるとでも言うのか?」

「ストーカーか……。ひょっとしてひょっとするかもな」

「羽瀬川小鷹ファンか……ありえん」

「ぐっ……。そうかよ」

 

 夜空の何気ないその言葉に俺は傷つきながらも、それを表に出さないように答えた。

 こうして、今日の所は部活が終わる。

 明日には解決してるといいんだけどな……ストーカー。

 

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 翌日。

 今朝、俺が登校してくると。

 やっぱり感じる謎の視線。後ろを向いても捕捉できない。

 今日あたり俺は学校のグラウンドで襲われるのか? やめてくれこんな絵に書いたような全うな人間他にはいねぇぞ?

 と、そんなことを願っていると、突如後ろから違う感覚が俺を襲った。

 

「なんだ? 視線が無くなった?」

 

 まるで何かを感じるような中二病のようなことを口にする俺。

 だが違和感を感じたのは確かだ。俺はすぐさま後ろを見ると。

 そこには夜空がいた。その真向いに、何者かの姿が。

 よく目を凝らすと、昨日の昼にパンを俺にくれたあの少年の姿だった。

 どうして夜空とあの子が一緒にいるんだ。俺が二人の方へ向かう。

 

「おい、夜空どうした?」

「あ、小鷹……」

 

 俺が声をかけると、夜空が罰の悪そうな顔をする。

 その向かいにいる少年が、俺を見ると少し距離を置いた。

 まぁ怖がるのはわかるが、その行動が俺の遠慮しているようにも思えた。

 

「その子……知り合いか?」

「いや……。はぁ、この男がお前をずっと監視していたぞ」

「え、こいつが?」

「……」

 

 そう夜空は、少年を方に目をやって俺に言った。

 ということは、こいつが俺をつけていた人物か。

 昨日俺にパンをくれた優しいこいつが、ストーカーの正体。

 

「……あの、もうしわけありませんでした。ですがどうにもちかよりにくく」

 

 そう、少年が俺に謝る。

 そんな彼に対して、俺は心から安堵する。

 

「よかった……」

「え?」

「俺を襲うとか考えてるやつじゃなくて。本当に良かった……」

 

 そう俺が安心したように言うと、夜空が何とも言えない表情で俺を見た。

 それと同時に、少年も安心したような笑みを浮かべた。

 だが、どうして俺を追っていたのか。その理由だけはわからない。

 その日の放課後。訳を聞くためとりあえず幸村を部室に呼ぶことにした。幸村は特に断ることなく了承した。

 普通なら見知らぬ場所に呼ばれたら抵抗するもんなんだけどなぁ。

 

「あらまぁ。ずいぶん可愛らしいイケメンがやってきましたねぇ」

 

 部活にて。

 理科が彼の顔を見て、そう呟いた。

 やっぱり女はみんなイケメンに弱いんだな。ごめんな俺はイケメンじゃなくて。

 

「羽瀬川先輩をつけていた犯人ですか。部室に連れ込んでこれから襲うつもりですか先輩?」

「びくっ……」

「おい、誤解を招くこと言うんじゃねぇよ。俺のような大の紳士がそんなことするか」

 

 理科の毒突きに対して、俺は多少機嫌を損ねたように答えた。

 さて、少年に逃げられる前に、理由だけちゃっちゃと聞いてしまおう。

 別に俺は怒っているわけじゃない。そこだけはご理解の方いただきたい。

 

「わたくしは楠幸村といいます。がくねんはいちねんです」

 

 そう幸村はゆったりはきはきと口にした。

 緊張しているのか、それとも元からなのかはわからない。

 にしても幸村っていうのか。外見は女の子みたいだが立派な男の名だ。

 

「俺の名前は知っているだろうが、改めて自己紹介するよ。羽瀬川小鷹だ」

「羽瀬川先輩……」

 

 そう俺は自己紹介をする。

 名乗られたら名乗り返すこれ常識だから。

 

「それとさ、理由を聞く前に一つだけいいか?」

「はい……」

「昨日はありがとうな。ちゃんとパン食べたか?」

「……食べられませんでした」

「ちゃんと食べろよ。男はがっつり食べなきゃな」

 

 俺は昨日の幸村への感謝を先に述べた。

 理由を聞いてどこか関係がそぐわなくなるかもしれない。そうなる前に、こいつのことを良く思っているうちにそういう話はしておきたい。

 そんな話の後、幸村から改めて俺をつけていた理由を聞いた。

 

「どうして、俺のことをつけていたんだ?」

「……もうしわけありません」

「別に怒ってないから。そんなさっきそこのちょっと意地の悪そうなメガネの子が言ったみたいな事はしないから安心しろよ」

「意地の悪そうなって……」

 

 先ほど変なことを言った理科の事を訂正した後。

 幸村は何度か戸惑いながら、言うのをためらっている。

 そんな彼に対して、以外にも夜空が動いた。

 

「……楠、しゃべりづらいなら私から話してやるが」

 

 そう夜空は幸村に言った。

 何か知ってそうだな。それにしても、お前から動くのは珍しい。

 他人なんか興味なさそうな顔している癖に。

 

「……いえ、わたくしからいいましょう。わたくし、いじめにあっているのです」

 

 そう、幸村は暴露した。

 それを聞いて、部室の全員が黙りこんだ。

 いじめか、そりゃ……辛かっただろうな。

 

「……いじめですか」

 

 最初に口を開いたのは理科だった。

 

「他者と慣れ合って、弱い奴を見つけてはたたき落として愉悦感に浸る。最低なクズの所業……ちっ」

 

 それは、本心から来る一言。

 理科も何か思うことがあるようだな。そしてそれを、許せないと思っているようだ。

 そして夜空も、とても苦い顔をしている。

 俺も……正直許せないと思っている。

 

「いじめか……この学校でもあるんだな」

「あぁ、どこにでもあるだろう」

 

 俺がそう呟くと、夜空がそれを拾った。

 そして、どこか遠い目でそう口を開く。

 

「……どうしてあるんだろうな、いじめ」

「楽しいからだろうな。そうやって自分が強者であることを、噛みしめることが快感で……」

 

 そう夜空は言うと。

 それに反応したのは理科だった。

 

「それはひょっとして……自分の事を言っていたり?」

「……なに?」

「おやおや口が滑りました。でも……それを言うってことは、経験者では?」

「私はそんな連中と一緒にするな!!」

 

 夜空のその叫びは、一瞬だけ場の時間を止めたような気がした。

 それだけ、彼女の叫びが心のこもったものだったからだ。

 理科の言葉があまりにも心外だったのだろう、元から怒っているような夜空が本気で起こったようにも思えた。

 済まない夜空、俺も正直お前はいじめっ子側だと思っていた。だが……やっぱりお前は、心では……。

 だからこそどうして、こんなにも人を避けるんだよ。

 

「……あの」

「あぁ、すまん。話を続けてくれ」

 

 戸惑っている幸村に、俺は話の続きを振る。

 

「それで、このがっこうにすいせいのごとくあらわれては、あっというまにしはいしゃとしてくんりんなされた偉大なる羽瀬川先輩に、ぜひともおとこのなんたるかをまなびたいと……」

「おーい待ってくれ。その言葉は色々とおかしいぞー。支配者とかそんなんじゃないし、俺はそんな男のなんたるかを教えられるほど偉大でもなんでもないぞ」

「まぁ、不良なのは見た目だけで中身はもやしだからな」

「おい部長さんよぉ? 俺にだって傷つく心があるんだけどぉ?」

 

 夜空に水を刺され、自分で言っておきながら落ち込む俺。

 てか幸村。俺をそんな目で見ていたのか、あぁもうどんだけ俺の印象って悪いんだよ、人を見かけで判断するなよ本気で!!

 そんな俺の悲しみをよそに、幸村は俺を上げてくる。

 

「またまたごけんそんを」

「ご謙遜じゃない!!」

「そんな、わたくしにはあなたさまをほめることばしかおもいつきませぬ」

 

 とかなんとか俺にべったりの幸村。

 隣で二人の女は笑ってるし。俺は笑い物じゃないぞ!!

 なんとか話を反らそう。そうだ、いじめの内容を聞いていない。

 

「ごほん! そのよ……楠が受けてるいじめに付いて色々教えてもらえないかな?」

 

 さすがにストレートすぎたか。

 いじめの内容なんて簡単に言えるもんじゃないし、俺もデリカシーが無いな。

 とか思っていると、幸村は躊躇なく話し出した。

 

「たとえばたいいくのじかんのまえにわたくしが着替えをすると、みんなめをそらして逃げ出します」

 

 最初のいじめの内容はそんな感じ。

 それに対して、俺は冷静に分析し幸村を励ますように答えた。

 

「……それは多分、お前が女の子っぽくて意識しちゃうんじゃないか?」

「女の子っぽい……?」

 

 あ、やばい地雷踏んだ。

 そうだよな、男が女っぽいなんて言われるのは褒め言葉でも何でもないよな。

 ましてやこいつは男らしくなりたいって言っているのに、そんなこと言われれば侮辱されるも同然だ。

 

「はぁ……。仕方ない、隣人部部長のこの私が相談に乗ってやろう」

 

 と、俺では役に立たないと判断したのか、俺を押しのけて夜空が幸村の対面に座る。

 

「それで、どんどんその内容を言ってこい。一問一答? といこうじゃないか」

 

 夜空は幸村に次のいじめの内容を言っていくように促す。

 幸村は容赦なく、その内容を並べるように言っていった。

 

「いっしょにあそんでいて、熱くなったのでふくをぬごうとしたらみんながにげていきました」

「なんてクズな連中だ。とても飽きっぽい連中と見える。きっとお前がスポーツかなんかで使えないと勝手に決め付けて切り捨てたのだろう。どうだこの部活に入って変わってみないか?」

「スポーツといえば、どっじぼーるのじゅぎょうでわたくしだけねらわれなかったり」

「一緒に授業を受ける価値すらないと決めつける。最低だな隣人部に入ってみないか?」

「中学生の時、じゅうどうのじゅぎょうで誰もわたくしとあいてをしてくれなかったり」

「隣人部に入れ」

 

 なんか途中から部活の勧誘になってないかなぁ夜空さん!?

 いじめの解決にかこつけて無理やり部活に入れようとしてないか!? 最低だこの女!!

 というか内容を聞く限り、全部幸村が女の子っぽくってみんなが遠慮しているだけな気がするんだが。

 てかみんな優しい奴だな。本当に愛されてるんだな、楠幸村。

 

「りんじんぶ……ですか?」

 

 そう、幸村が夜空に尋ねる。

 だめだそこでこの女の言葉に釣られたら……。

 だが時すでに遅し、夜空は幸村を掌握する寸前まで来ていた。

 

「あぁ、その自ら変わろうとするその姿勢は尊敬に値する。君のような野望を持つ者を私は待っていたのだ!」

「なんかこの女、宗教とか作ったらめちゃくちゃ信者作りそうだn痛って!!」

 

 俺が隣で余計なことを言うと、夜空は蠅叩きで俺の頭をバシンと叩いた。

 

「私たちはお前を男にするためにサポートしてやろう。さぁこの入部届けにサインを」

「かしこまりました」

 

 なんということだ。幸村は操れるがままに入部届けにサインを書く。

 俺はすぐさま夜空に問う。

 

「なんのつもりだ」

「別に。部員が多い方があのアホにいい顔ができる」

「ケイト先生の事か? にしても……こんなめちゃくちゃな」

「それに、部室の掃除係が必要だと思っていた」

「……最低」

 

 俺は夜空のその発言に、純粋な感想が言えた。

 だが、夜空はその言葉の後に……付け加えるように本心で。

 

「……でも、変わろうとする気持ちがあるのなら……それは放っておけない」

「……夜空?」

「だから……あいつが困っている時は……力を貸してやれ」

 

 そう、俺の肩をぽんと叩く夜空。

 どうにも、お前らしくない一言だ。正直寒気がするよ。

 だが……悪くはない。俺は自然と笑みをこぼした。

 

「……わかった。よろしくな楠」

「はい、羽瀬川先輩」

 

 こうして、また一人……隣人部の部員が増えた。

 これにてストーカー事件は解決……に思えたが。

 

「はいはーい。羽瀬川先輩と楠くんに質問です~」

 

 先ほどまで隅っこにいた理科が、突如口を開いた。

 

「どうした志熊?」

「いやいや、こうして不良と美少年がセットになったんですよ。そこから何も発展しないのはおかしいでしょ? 理論上ありえないでしょう?」

「……どういうこと?」

「いやだから……さっさと先輩が楠くんを襲いかかって……あんなことや……こんなことを……シャオラーーーーー!!」

 

 と、突如理科が叫び始めた。

 いったい、何が始まるのかな?

 

「いやいや志熊。幸村と俺は男同士」

「だーからいいんじゃねぇかよこのクソプリン頭がよ!! 理解できねぇのかその小さなおつむじゃあよぉ!?」

「く……クソプリン!?」

「男同士で始めるようなロマンスが始まってこそ萌えるってもんじゃないですか!! もう理科の中じゃ妄想でいっぱいなんだよ……。ヒヒヒヒ……ヒャッハーーー!!」

「……」

 

 どうにもキャラを崩壊させて喚く理科。

 俺と夜空はぽかんとなり、幸村は相変わらずのほほんとしている。

 

「ったくよぉ。夜空先輩も見たいんでしょ? 男同士のイッツァボーイズ&ユニバースをよぉ?」

「すいません、日本語でお願いします」

「だから。BL……だよ」

「ごほっ! そんなものが好きなやつらと一緒にするな!?」

「好きなんやろ? あんなことやこんなことがいいんやろ? 本性露わせやこの腐れ女子がぁぁぁ!!」

「腐っているのは貴様だぁぁぁぁぁ!!」

 

 こうして、隣人部は賑やかになりました。

 俺、夜空、理科、幸村。個性的な面子が揃い。

 これから果たして、友達を作る部活はどうなっていくのか……。

 

「……羽瀬川先輩、わたくしはいつでもみがまえております」

「うん、俺にそっちの趣味はないから」

 

 この少年もまた……一筋縄ではいかなそうだ。


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