さて、特例のアカデミー特待生復不合格者復活試験が終わった。その結果は…一人だけ合格した。その一人とは…太刀之ヤイバ。第一次試験で落第し、今回の試験に機会が出来た為、出ることにし、見事に合格した少年だ。
その少年は、仮にも元とはいえ火影の肩書きを持っていた千手柱間、三代目雷影をも凌ぐ戦闘力の持ち主アール、天隠れの里暗部クラスと評判のアカデミー特待生入学主席の千手カガミ。この三人に気配を探らせないほどの実力者だ。
「太刀之ヤイバ…か、まず最初はあいつの気配を探ることから始めるか。」
ベッドでそう呟き、カガミは熟睡した。
~翌日~
アカデミーにて入学式が始まった。
「光影様、挨拶。」
どこの世界に行っても、必ず偉い人の挨拶はあるものである。
「えー…今回アカデミー特待生21名、通常アカデミー生79名入学おめでとうございます。私は天隠れを創設し、光影となりました。しかし後継者が未だ見つからず困っております。その為、君たちが次世代の光影候補となることを願って見守っております。私からは以上です。」
「光影様!万歳!!光影様のスピーチありがとうございましたー!!!これで入学式を終わります!!」
なんとも微妙なスピーチだったが司会者が何故かハイテンションで終わらした。
入学式終了後クラス発表を聞きにカガミは校門前に来ていた
「あー…クラス発表をするぞ!それと特待生は3人1組の班が発表されるからその班で行動するように!」
「(確か…父上曰く、アカデミー特待生はその班で卒業するまでAランク以下の任務をやらされるとか言っていたな。まあ、私以外男と言うのは頼もしい。…あった。第7班千手カガミ、業火焔、太刀之ヤイバ。太刀之ヤイバか…まさに願ったり。)」
「もしかして、千手カガミちゃんか?」
カガミにフレンドリーに話かけたのは赤髪のガタイの良い少年だった。
「貴方は?」
「俺の名前は業火焔。お前と同じ班さ!」
「よろしく、焔。」
そう言ってカガミは営業スマイルで焔に挨拶をした。
「あ、ああ…」
彼は顔を赤く染めて返事が戸惑ってしまった。シロイ同様、カガミはかなりの美少女である。その為、焔が見惚れてしまったのだ。
「どうしたの?」
それに不思議に思ったカガミは焔の顔を覗く。
「な、何でもない!!それよりもほら、ヤイバを探すぞ。」
「その必要はないでござる。」
この侍口調の少年はいつの間にか焔の後ろにいた。
「なっ…!いつの間に!!」
「拙者、この気配の消し方のおかげで合格したのでお主が気づかぬのは無理もない。」
「…ま、確かに特待生ならあり得るな。それじゃ行こうぜ。」
「(集合場所は、確かアカデミー特待生生徒会長室…この世界にも生徒会はあるんだ…)」
「うむ。本来なら拙者一人だけで行きたいのだが、班で行動するようにと言われては仕方あるまい。気配が濃くなってしまうからな。」
そうして三人は生徒会長室に向かった。
~生徒会長室~
「さて、よく来たね。第7班の皆。」
「貴方は?」
「僕かい?僕はアカデミー特待生生徒会長かつ、君たちの班をまとめる部隊長の粥芽双葉さ。それよりも手っ取り速く説明するよ。君たちは一年間僕が面倒を見ることになっている。面倒と言っても任務の推薦だけで僕自身は任務に出ない。」
「あー…つまり会長殿、こういうことかな?会長殿の出す任務を拙者達がこなす。一年後は拙者達が自ら選び、任務を受けろと。」
「その通り!話が早いね!じゃこれ頼んだよ!」
双葉はそう言ってカガミ達に巻物を渡した。
「これは?」
焔が巻物を見て驚き、質問をする。
「ひょっとして、依頼書見るの初めて?」
「そうですけど…」
焔の家は名門の火遁忍者の家だが、家族達に『後で否応なしに見ることになるから』と言う理由で依頼書を見せてもらえなかったのだ。
「じゃあ、説明するからよく聞きなよ?」
~生徒会長説明中~
「なるほど…わかりました。」
「僕は基本的にここにいるから僕に会いたい時はここに来なよ。」
「「「では、第7班行ってきます!」」」
「じゃ、頑張ってね。」
~任務集合場所~
「しかし、いきなりAランクの任務って…どんだけ期待されているんだ?」
焔がそう呟き、班員にそう愚痴る。この班が受けた任務はAランク任務であり、とある血継限界の一族の護衛と言う名の夜逃げの手伝いだ。天隠れにはたくさんの血継限界の一族が住んでおり、我も我もと移動することになった。今回の任務も例外ではなく移動するにあたって護衛と荷物運びが必要なのだ。決して荷物運びがメインではない。
「光影殿曰く、特待生の中には超優秀な班があってその班はランクが特待生の中でもランクが上の物をやるとのことでござる。」
「その通り、私はアカデミー特待生主席で入学した。故に、この班が超優秀な班になるのは必然。」
「まあ、カガミちゃんもいるからいいけどさ…正直言ってめんどいよね…これ。」
焔はそう言って巻物を指す。何度も言うようだが(ry
「任務とはそう言う物でござるよ。」
「ま、そりゃそうなんだけどさ。俺としてはもっと派手な任務が欲しいよ。」
「…なら、任務を迅速かつ的確にやって依頼者達の信頼を得て光影様に認められればそう言う任務も回ってくる。だから今は目の前のことを集中。」
「それもそうだな。よーし!!やるぜ~!!」
「もしかして、君たちが天隠れの忍び達?」
いきなり、大人がカガミ達に話しかけた。
「ええ、貴方は?」
「これは失礼…私は沼地一族の代表するものです。」
「沼地一族…間違いありませんね。それで何をすればいいのですか?」
「そうですね…」
~数十分後~
「軽いね…」
「そうでござるな。カガミ殿。」
2人は護衛とばれてはいけないので比較的軽い荷物を持たされた。
「で?なんで俺だけがこんなに重いのを持つんだ!?」
しかし焔だけがかなり重い荷物を持たされた。
ちなみに比率はカガミ対ヤイバ対焔で表すと…1対1対10と不平等極まりない比率だ。
何故こうなったのかというと焔のガタイが良すぎてカガミ達と同じ荷物を持っても護衛とわかって警戒されてしまうので重い荷物を持たされたのだ。
「まあ、お主は派手な任務をやりたいのござろう?だったら任務が終わるまで我慢しているでござる。」
「うっ…わかったよ!」
「しっ…誰か来る。」
カガミがそう言うと、皆静まり返り警戒し始めた。
ヒュン…
一本のクナイが依頼主を襲う。
「危ない!」
カキン!
カガミは依頼主の前に立ちふさがり誕生日プレゼントに柱間から貰った木刀で弾く。
「…どうやら敵さんの登場のようだ。火遁・豪火球の術!」
焔が豪火球の術で敵を火遁でおびき出すとそこにいるのは…霧隠れの忍びだった。
「甘い!」
そこにはすでにヤイバが待ち伏せており、その敵はヤイバを見たときにはもう胴と首が分かれていた。
「(妙だ…沼地一族は岩隠れの里の血継限界。水遁と土遁を使えて大規模な土地変化などを行うことが出来るから戦争の舞台整備とまで言われている一族。)」
沼地一族は1人1人の水遁、土遁の威力はカガミの祖父である天間ほどではないが集団になれば天間と同じほどの技術を持っている。
「(岩隠れにほとんど水遁を使える忍びがいないから重宝されているはず。抜け出してまで天隠れに移動するのは利益がない。それに霧隠れの連中が狙うのは本当に戦争に必要だけとは考えらない。…岩が沼地一族に天隠れのスパイをやれと命令した。そしてその岩は霧とも手を組んで天隠れを潰しに掛かっていると言ったところ。だとすれば…)」
「おいおい、カガミちゃん。何考えているの?」
「いや、何でもない。それよりも任務を続行しよう。」
「そっか。じゃやりますかね…この重たい荷物を持ちながら!」
焔はそう言って荷物を持って最後に口調を強くした。
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