ひといずin Angel beats!   作:堂上

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なんだか着地点を見失っていつもより余計にグダグダになってしまいました。


第41話

ー空き教室ー

「しっかしやっと引っ付いたかお前ら!」

「ほんとだよー!ずっとじれったいままだったからもう見てるこっちはずっとムズムズしてたんだからぁ!」

ひさ子と関根が立て続けにまくしたててくる。

それもこれも出夢がここに来て早々に「僕、人識と付き合ったんだぜ~!いいだろ~!」と脈絡なく言い放ったからだ。

その後経緯を根掘り葉掘り訊かれた(もちろん音無達の事は省いてだが)

恨みの籠もった視線を送っても出夢は輝きマックスの笑顔を返してきた。…可愛いけど。

「付き合ってから何か今までと変わったこととかあります?」

「人識が可愛いって言ってくるようになった!」

「ブッ!」

俺は盛大に吹き出してしまった。

「なにを言っとるんじゃ!てめえはぁ!!」

「ほほう、可愛い、ねえ~。

言うねえ、チビのくせに」

「ですね~。

あっつあつですね~」

「う、羨ましいです~」

な、なにか、この流れを変えられる話題は無いのか。…あった。

「あ、ひさ子。

藤巻がお前の事好きだってよ」

「……………は?」

一瞬、沈黙がこの空間を支配する。

「なっ、なにを急に!」

「それほんとなの!?とっしー!」

「おい、関根!コイツ話を逸らそうとしてるだけだぞ!」

「いーや?ほんとの事だぜ?」

計画通り!うまく話が逸れた。

「キャー!ロマンスです~!」

「入江。そんな他人事でいいのか?」

「へ?」

「大山、お前の事好きなんだってよ」

「え?え、え、え?お、おおおおおおお大山先輩が?わ、わた、わたわたわた、私を?」

「うん。好きだってよ」

「うわー!スゴいよみゆきち!両想いじゃん!」

「い、言わないでよしおりん!」

「ほぉ~、良かったじゃないか入江~」

「ひさ子さんこそ!藤巻先輩と仲良いじゃないですか!」

「あ、あたしは別にあいつのこと好きとかじゃないけど、あんたは好きなんだろ?良かったじゃないか、両想い。いやー羨ましい」

「うう…。

ひさ子さんだって内心ドキドキしちゃってるくせにぃ!」

おお、思ったより2人共熱くなっちまってるな。

そろそろ止めなきゃ、と思った瞬間。ガラガラッとドアが開き、ユイが入ってきた。

「スミマセン!遅れました!

でもこれにはそれはそれは深い事情がありまして…ん?なにか揉めてるんですか?」

「めんどくさせえ奴が来やがったー!!」

「なっ!いきなりなんですか?!こんなキュートな女子を捕まえて!」

「いいから今はどっか行っといてくれ!」

コイツが入ってくると余計めんどくさくなる!

「ここはガルデモの練習場なんですよ!?先輩こそ出てってくださいー!

それより、何があったんすか?」

「ふっふっふ、実はね、ひさ子さんとみゆきちにキャッキャウフフな事態が起きてるのよ」

「アホ、関根!絶対めんどくさい事に…「マジですかそれ?!」

「マジもマジ。

実は藤巻先輩がひさ子さんのこと好きで、大山先輩はみゆきちのこと好きなんだってー!」

「おおう!ええのええのう!

それで、お二人のお気持ちは?」

「みゆきちが大山先輩のこと好きなのはユイも知ってんでしょーが」

「おっと、そうでした。

ならひさ子さんは?」

「本人に訊いてみたら?」

「了解っす!

ひさ子さーん!藤巻先輩のことはどう思ってんすかー?!」

「なんだユイ?!お前遅れてきといて!」

「そんな事はいいからさっさもどう思ってんのか喋れやゴラーー!」

2人の口論にユイが混じって余計収集着かなくなっちまったじゃねえか…

「おいコラ関根、なにややこしい事してくれてんだ」

「いいじゃん、面白いし」

「面白いって、あれがか?しにかけてんぞ」

ただいまユイがひさ子に首を締められている。

「死なないから大丈夫だよ」

「そういう問題かよ…

じゃあどうやって止めるつもりだよ?」

「止めなきゃいいよー

ね、岩沢さん!」

「ん?」

「絶対聞いてなかったな、てかこの騒ぎに気づいてもなかっただろ」

「それが岩沢さんだもん!

ですよね!私達非リア充には関係ないですよね!」

「そうだね、よく分かんないけど」

「ちょっとまって下さいよぉ。

私だってリア充じゃないですよぉ」

「あーあー、あんたはいいの」

「私達もリア充じゃない(ですよ)!!」

 

「ったく、零崎の野郎うまく逃げやがって」

今度なにか奢らせてやる。

「しかし、藤巻のやつがあたしを好きだとか…」

いやいや!無い!どうせ零崎が口からでまかせ言っただけだ。

「おーい、ひさ子ぉ!麻雀やろうぜ!」

「ひゃっ?!」

我ながら情けない声が出ちまった。

「あ?どうしたひさ子?」

「なんでもねえよ!

で、麻雀?…今日は、やめとく…」

「なんだ?熱でもあんのかよ」

藤巻があたしの額に手を当ててくる。

やば、顔が

「あっち!顔赤いし!マジで熱あんのかよ!」

「ないよ!ここで熱出るわけないだろ!」

「じゃあ なんでこんな顔熱いんだ?」

「…あんた、あたしの事好き、なんだって?」

「ブハッ!

な、なにを?!」

今度は藤巻が顔を赤くする。

「零崎から聞いた」

「あの野郎…!」

この様子じゃホントだったんだ…

「あたしみたいながさつな女のどこがいいのさ?」

「どこがって…お前と話してたら面白れえし、お前、俺の事最初から怖がったりしなかったし。

…それに、可愛いし」

「…バカ」

そういうことサラッと言ってんな。

「で、どうしたいの?」

「どうしたいって、なんだよ」

「あたしとどうなりたいのかって訊いてんの…」

「そりゃ、付き合ったりとか…「いいよ」…あん?」

どうも意味が分からなかったらしい。

「いいよ。付き合ってあげる」

「ハアァァァァ?!嘘だろ!?

じゃあ、ひさ子も俺の事好きだったのか?!」

「か、勘違いするなよ!

た、試しに付き合ってみるだけなんだから!」

し、しまった!これじゃただのツンデレじゃないかぁ!

「そ、そうなのか…」

あ、落ち込んでる。コイツツンデレとか知らないのか?

「ま、落ち込むなよ。付き合ってやるんだから」

案外コイツと付き合うのも悪くないかもな

 

「はぁ、どうしよう…」

大山先輩が私のこと好きって…ホントなら告白したら付き合ったりできるって事だよね?

でもでも、嘘だったら振られちゃうし…。しかもその後はもうバッタリ会ったりしても目を逸らされて無視されたりしちゃうんじゃ…。

「うー、結局何も変わらな…痛っ」

やばい、考えてて前見てなかった。

「ごめんね!大丈夫?」

「はい、こちらこそ…って大山先輩!?」

なんでこんなタイミングで?!

「え、う、うん。

そうだけど、どうかしたの?」

やばいよ~、変な子だと思われてるよ~。

「い、いえ!なんでもありません!」

「もしかして、僕何かしたかな?」

あ、落ち込んじゃってる。

「してません!」

「そ、そっか。よかった~。

嫌われちゃったかと思ったよ」

「…私に嫌われると何かマズいんですか?」

あ、何かスゴい自意識過剰みたいになっちゃってるよ、私。

「い、いやいや!そんな特別なあれとかじゃなくてさ!」

顔真っ赤だ。やっぱり可愛いな~大山先輩。

「私は、嫌です。

大山先輩に嫌われたら」

「え?な、ななな何言ってるの?からかわないでよ。やだな~」

「からかったりしてません。

今しか言えそうにないから、勇気出します。

私、大山先輩が…「待って!」…え?」

「そこからは僕が、僕が言うから!」

「…わかりました」

「僕、入江さんのことがずっと好きでした!

付き合って下さい!」

「私も大山先輩のことが好きでした。

こちらこそよろしくお願いしますね」

「うん!」

両想いってこんな感じだったんだ…。

 

ー空き教室ー

「あ、あたし藤巻と付き合うことにした」

「私も大山先輩と付き合いました」

ガルデモの練習を見に行ったらいきなりこんなカミングアウトをされた。

「ハアァァァァ?!入江はともかくひさ子まで?!

昨日の内に何があったんだよ?!」

「いや、なんかタイミングが合っちゃって」

「私もです」

「胸か?!この胸で誘ったんかぁ!?」

ユイがひさ子の胸を揉みだした。

「てめぇ!そんな事するわけないだろ!」

また首締められてんじゃん。懲りねえやつ。あ、出夢まで突っ込んでったし。

「しっかしひさ子の方は脈なしだと思ってたんたけどなぁ」

「ひさ子さんは自分を大切にしてくれる人を間違えるような人じゃないよ」

「お前、こうなんの分かってたの?」

「いやー、ガルデモのメンバーなら皆分かってたと思うよ?」

「ほんとか?岩沢」

「ん?ああ、そうだね。

そろそろライブしたいよね」

「コイツが分かるわけなかったな。

っていうか新曲書いててこっちを見てすらいねえ」

「あはは、さすがの音楽キチっぷりだよね」

「…お前、意外と色々考えてんだな」

一番なんも考えてなさそうなのに。

「あ、今失礼なこと考えてたでしょ」

「なんでわかんだよ」

「女子の基礎教養だよ、こんなの」

「怖え怖え」

「でも、これでようやくうちで付き合う可能性があるのがあと一人になったね」

「ユイか?」

「そうだよ。

正直、あの二人が一番難しいような気がするんだよね」

「2人ともアホだからな」

あの2人が付き合う…とかあんまり想像つかねえな。

いつになるのやら。

つい、そんな老婆心が出てしまう。

 

 

翌日

ー焼却炉ー

橙色の髪をした少年と白髪の少女が何かを話ながらゴミを焼いていた。

「それでなにから始めるの」

「すげえ悩んだんだけどさ、最初はユイが良いかと思う」

「誰?」

「ほら、大食堂のゲリラライブでバンドのボーカルやってたやつ。

覚えてないか?」 

「ああ…」

「あいつ、いっつも元気でさ日向イジメて笑ってるしさ。

バンドのボーカルやってやりたいことやってさ、もう充分報われてるじゃないかって思うんだ。

あとはもう一押し、背中を押してやればあいつはここから 出ていける。そんな気がするんだ。

人識の時は失敗したけど、今度はうまくいくと思う」

「そう思うんならいいんじゃない?」

 

人識の老婆心はこの2人によって意味のない物に変わることになる。

 

 

「じゃあ練習の始まる頃を見計らってGoだ!」

 

 

 

 




次回、ユイ回です。
ちなみに人識は直接的には全然絡まない予定です

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