ひといずin Angel beats!   作:堂上

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音無の過去を間違えるという考えられない失態をしてしまい、本当に申し訳ごさいません。
こんな奴がまだ書き続けるなんてと思う方もいると思いますが、完結まで書きたいと思います。スイマセンでした。
それでは本編をどうぞ


第36話

「天使…」

音無が呟いたのと同時に天使は飛び降りて来た。

「皆で夜遊び?ならおしおきね」

ニヤリと笑い襲いかかってくる。

「いいじゃんいいじゃん!ぎゃはは!」

ゆりが飛び出そうとすると、出夢が我先にと天使に向かっていった。

「はぁ、あのアホ…。ゆり、お前ボロボロなんだから休んでろ」

俺もそう言い残し、出夢の加勢をする。

 

「ぎゃははははは!最っ高だぜ、お前!」

「あなた、あまり抵抗しないでくれる?」

「ぎゃはは!そいつは無理だよ!お前、あっちの天使よりいい感じだからな!」

「あら、それは嬉しいわ。…でも、もう少し戦いに集中した方が良いんじゃないかしら?」

出夢が天使(大人しい方)の方に首を向けたその隙を天使(襲ってきてる方)が狙う。

「いやいや、これは集中してないんじゃなくて、信頼してるんだよ」

ガキィ!と俺は天使の剣を弾く。

「信頼してるっつっても防御くらいしやがれ!」

「いいじゃん。結局とっしーは助けてくれるんだからな」

俺の言葉なんてなんのそのという風にそう返してくる。

「あなたも、抵抗するのね」

「あ?ったりめーだろ」

「そ、じゃ、おしおきよ」

言って、すぐさま飛びかかってくる。

今までの天使では考えられないような容赦のない攻撃だ。

「ったく、なんだよ。今まで手加減でもしてたってのか?」

「あ?そうなんじゃね」

「それであんだけ強かったってのかよ?傑作だぜ」

俺と出夢はこんなに余裕そうに戦ってるが、正直厳しい。

そう考えていたら「人識、出夢!離れろ!」と指示された。

反射的に天使から離れると、戦前のメンバーが天使を囲んでいた。

「てえ!」音無の合図と共に四方八方から弾幕をはる。

煙が立ち込め、やったのか?と思ったが、天使はほぼ無傷。

天使は俺達にまた襲いかかってくる。が、それまで動かなかった天使が凶暴な天使に向かって走る。お互い全く同じ動作で斬りつける。

ザシュッ!という音が響き、両方の天使が倒れる。

「奏ー!」

音無が叫んでいの一番に駆け寄る。

「落ち着け、とりあえず処置しにいくぞ」

俺は天使を抱きかかえた音無に声をかける。

 

ー医局(閉鎖中)保健室ー

俺達はベッドで眠る天使を囲んでいる。

「奏は、大丈夫なのか?かなり不快傷だろ?」

音無は心配そうにそう言う

「私達と同じよ。すぐ治るわ」

音無がこんなに動転してるのは珍しい。

「同じ奴が2人ってどういう事だよ?

そんなおかしな世界になっちまったのか?」

日向は今一番の問題を取り上げた。

「理由はあるわ」

「どんな?」

「天使エリアへの侵入ミッション、覚えてる?」

「そりゃ、まあ」

岩沢が消えかけた作戦だ。俺達は天使エリアに行ってねえけど

「彼女のマシーンにスキルを開発するソフトがあったでしょ?その中に、見たことのない能力がいくつかあった。その一つ、ハーモニクスっていうスキルが発動していたのよ。 」

「あいつ機械でスキル作ってたのか?」

「あなた、あの時の話聞いてなかったの?」

ゆりににらまれる

「いやー、悪い。それより、ハーモニクスってのはどんな能力なんだよ?」

「はあ、まあ良いわ。ハーモニクスっていうのはね、一体が2人に分かれる能力。要は分身よ」

ゆりは深くため息をついてから答えた。

「「「分身?!」」」

「つまりは、それも天使自身がソフトウェアで開発したスキルということですか」

「しっかし、そっくりそのままって感じじゃなかったぜ?」

「そうそう、あいつ本物よりも容赦なくてさぁ…ほんっとに最高だった…」

出夢が悦に入った表情でそう言った。

「「………」」

「いや、ほんと、なんかごめん」

皆の視線が痛くて耐えられなかった。

「奏は自分を守る能力しか使わない!刃だってそうだ、跳弾させるためだ!」

音無が仕切り直してくれた。ありがとう、マジで。

「まったく、無能の集団だな、貴様等。

あ、もちろん音無さん以外ですが」

「基本アホの集まりですから」

ユイの言葉を無視して、ビシッと指をさしてこう言う

「可能性を1つ教えてやろう!

その分身を発生させた理由が強い攻撃の意思を持ってる時だとしたら?」

なるほどな…それであの凶暴な性格か

「あの時ね…」

「なるほど、その時の本体の命令に今も従い続けてるってことか」

みんなも納得している。

「でも奏が強い攻撃の意思を持つことなんてない」

「…どうでもいいけどあなたやけにあの子を庇うのね」

「それは…かわいそうだろ」

「ふーん、ま、いいけど」

なんだ、この雰囲気?

「で、今の問題はなんだっけ?」

「こんな短い時間で分からなくなんのか?分身を消す方法だろ」

「あ、そっか」 

俺が答えると、大山は納得したみたいだ。

「しかし、その子が意図的に出したのなら意図的に消すことだって出来る筈だろ?

目覚めるのを待ってればいいだけではないのか?」

「待て。意図的に消せるならこうやってやられてるか?」

「自分と戦ってみたかったんじゃね?」

「悪い出夢…しばらく黙ってろ」

俺がそう言うとちぇー、と言ってベッドに寝転がる。

「恐らく、無意識での出現ね。だから彼女には消せなかった。差し違えてでもやるしかなかったのよ」

「おいおい、ちょっと待てよ!あれが消えねえってあんなのが居続ける世界になんのかよ?!」

「今は見逃されてるけど、明日からは許されない。

模範的な行動から外れたらすぐさま昨日みたいな血なまぐさい戦闘になる」

うわー、めんどくせぇ

「生徒会長でもないのに?」

「ええ。私達を更生させようという意思は立派に継承されてる。

さらに好戦的…最悪ね」

ゆりが皮肉めいた言い方をする。

「対抗しようにも時間が無さすぎだぜ」

「ったく、せっかく戦う相手がいなくなったと思ったらこれかよ」

ゆりは少し間を空けて「少し、時間をちょうだい」と言った

「どうやって時間を作る?」

「 授業に出て。そして、受けるふりをして。先生の話には耳を決して傾けないで。授業をまともに受けたら消える。分身にバレないようにとにかく別の作業に没頭する事。そして1日持ちこたえて。誰一人消えずに再び会えることを祈るわ 」

ゆりは強い意思を持った目でそう言った。

 

ー教室ー

俺達はゆりに言われた通り、授業を受けるふりをしている。

例をあげると、音無はイアホンを着けていたり、日向がパラパラ漫画を書いていたり、ユイが立たされていたりしている。

俺は理想のナイフを考えている。…ふむ、なかなか良い出来だ。

そして、出夢はなんだかニヤニヤしながらノートに何か書いている。

順調にみんな授業を受けるふりをしていたらいきなりガシャーン!と音がして野田がすごく焦っているのが見えた。…あいつハルバード落としたな。

 

なんとか1日乗り切って、保健室に集まると、部屋が荒らされて、天使が居なくなっていた。

「しくった…!」

ゆりがギリッと歯軋りしながら呟く。

「どこかに出かけたんじゃない?」

「それは無い!奏は約束したんだ。俺達と一緒にいるって!」

「そんな約束したの?」

いや、今そういうのいいから。

「この乱れよう、さらわれたとしか思えない。貴様、何をした?」

こいつ、ゆりがリーダーって分かってんのかなぁ

「貴様って…。プログラムの書き換え。もう一度あの子が同じ能力を使えば追加した能力が発動して分身は本体に戻るはずだった…」

「そんな事が出来たのですか」

「ゆり、お前アホじゃなかったんだな」

俺が口を滑らすとゆりが凄い睨んできた。

「…付け焼き刃だけどね。でも敵の行動が予想以上に早かった…あの子を隠されたら打つ手がない。あと、人識くんは後で罰ゲームね」

「え?」

なんかボソッと嫌な事が聞こえたんだけど

「どうするんだ?」

え?みんなには聞こえてないのか?

「捜すしかないじゃない」

あ、空耳だったんだな。こりゃ。

「凶悪な天使の目を逃れつつ、ですか?」

「授業を受けるふりでさえやっとなのによ」

高松と藤巻がもっともな事を言う。

「陽動がどれだけ持つか…」

「へ?!陽動ってあたしですか?!」

日向が頼りなさそうにユイを見るとユイが驚いている。

「お前何のためにガルデモ入ったんだよ?」

「岩沢さんに憧れて…」

「ガルデモは陽動にためにあんだよ!」

「いやいやいや!あんな怖いの相手に陽動なんて出来ないですって!」

「やれよ!憧れの岩沢さんだってついてんだろ!」

岩沢の名前を出されてう、っと一瞬言葉に詰まってから「何様じゃ、お前ー!」とキレて日向の指を逆に折る。

「ここじゃ先輩だけど何?!逆ギレ?!」

「先輩かー?!スイマセンでしたー!」

2人とも頭をぶつけ合って睨み合う。仲良いなこいつら。…ゆりが超日向を超睨んでるけど気にしないでおこう。

「あの、ライブ中漏らすかもしませんが、やってみます!」

ユイがゆりに向かうとゆりはさっきまでの凄い目つきを普通に戻す。

「決意は有り難いけど、まだいいわ。まず、今は出きることをしましょ」

そう言うと、みんなの方に向き直って、命令を下す。

「総員に通達!天使の目撃情報を集めて!」

 

ー校庭ー

「なかなか情報出てこねえなぁ」

「なあ人識ー、NPCから情報とか聞き出せんのかよ?」

「んー、まあゆりがああ言うんだから聞き出せんだろ」

「もう結構聞いたのになんも出て来ねえじゃん!」

さっきの話し合いで黙ってたストレスもあったのか、ものすごくご機嫌ななめだった

「いや、知らねーよ…あー、そうだ。お前さ、授業受けるふりしてたときすっげえにやついてたけど何書いてたんだよ?」

なんとか話を逸らして機嫌を直そうと思って適当に話題をふると、一気に機嫌が直ったのか、出夢がニヤニヤとしだした。

「ぎゃは!知りたいかー?」

「あ?ああ、まあな」

「教えねー!ぎゃは!」

何なんだ?これ。

「何だよそれ?教え…」教えろよ、と言いかけたら、無線連絡が入ってきた。渋々出る。

『TKさんが有力な情報を掴んだようなので、体育館に集まってください』

無線に出ると遊佐が事務的にそう言った。てかTK?!本当何者だよTKェ!?

俺はそう叫びたいのをぐっとこらえて「ああ、分かった」と冷静を装ってそう言った。

ブツッと無線が切れて、出夢が「なんだって?」と聞いてきたから「ああ、情報が集まったから体育館集合だってよ」とだけ答えといた。

 

ー体育館内ー

「迅速に集められた情報から、幽閉場所はギルドの可能性が高いことが分かったわ。となれば、その最深部ね」

迅速にってTK…やっぱ何者?

「あの爆破した場所にか?」

「そう。トラップも稼働したまま、最も危険で、最もここから離れた場所ってことね」

「そういうことねぇ」

納得した。確かに隠れるならここだ。

「またここに潜れってのかよー」

「前回はほぼ壊滅状態だぜ」

みんなが嘆いてる中、野田はフッと鼻で笑い「何を臆してるんだ?」と言う

「真っ先に死んでただろお前」

「まあ、僕と人識がいれば余裕だぜ!ぎゃは!」

俺に抱きついてついでに横ピースをしながらそう言う出夢

「俺もかよ…」

「そうね、今回も頼りにさせてもらうわ」

「ゆりっぺ!俺は!?」

「あなたはどうせまた直ぐに死ぬから大丈夫よ」

「くそ!今回こそ見直させてみせる!」

ゆり、野田の扱いひでえな…野田もよくあんな前向きに考えれるな

「皆さんのために漏らしながらでも歌い続けます!根性見せます!」

ユイが涙目になりながら敬礼している。

「あなた岩沢さんから聞いてないの?今回は陽動はなし。

あんな奴相手じゃ陽動も瞬殺よ。今回は陽動なし。正々堂々と行くわよ」

「天使と戦いながら、か…」

「ぎゃはは!よゆーよゆー!」

「いや、しんどいだろ?」

「はいそこ、文句言わない!作戦はギルドを降下してその最深部で無事天使を保護すること。

いい?オペレーション、スタート!」

 

 

 

 

 


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