AB!ファンの皆さんにはとても不快だったと思います。
すみませんでした。
-天使対策本部-
「ねぇ、先輩~、新技掛けさせてくださいよ~!名付けて百二十字固め!」
日向はその後も、新技~、と言いながら体を揺すってくるユイを無視し続ける。
やがて、「もういい!大山先輩に掛けてきます!」と言ってユイが離れる
「ったく、ここは小学校かよ?ガキばっかり増えてくな…」
日向がため息をついてそう呟く。TKと松下はダンスをしており、藤巻は昼寝。椎名と大山はぬいぐるみを見ながらほんわかとしている。高松はメガネを、野田はハルバードを手入れしている。人識と出夢は相変わらず2人でいちゃついている。
直井は本を閉じて日向を横目で睨む。
「貴様…僕の事を言ってるのか?僕は神だぞ」
「はあ?まだそんな事言ってんのかよ?音無に抱きついて大泣きしてたくせによ」
「誰が泣いたって?」
「うおっ?!」
日向の軽口に直井がものすごい勢いで日向に詰め寄る。
「泣くのは貴様だ…。さあ、洗濯バサミの有能さに気づくんだ」
直井の目が赤く光り、日向に囁く。これは直井の技である催眠術だ。
「洗濯バサミ…挟める。洗濯物が汚れない…クリップがわりにも使える。それに対して俺はなんなんだ~!うわぁぁぁ!」
日向はまんまと催眠術にかかって号泣している。
「ふん」
「お前…、催眠術を腹いせに使うな」
「音無さん!」
満足気にしている直井の襟元を掴んで呆れているのは音無だ。音無は直井の反乱時に直井を諭した結果、直井からものすごく尊敬されている。
「向こうから突っかかって来たんですよ~。僕はできるだけ穏便に…」
「どこが穏便だ。見ろ、大の男が号泣してるぞ」
言い訳をしている直井に音無は日向の方を指差して言う。日向は未だに泣きながらソファーを叩いている。
すると、ドアが開き、ゆりがそこにいた。
「音無くん直井くん、ちょっと来てくれる?」
「なぁ人識~、ゆりは次何するつもりだろーな?音無と直井つれてったけどよー」
「ああ、なんだろうな~?ってかいい加減離せよ!腕長げぇんだよ!シジマールか、てめえは!」
まあ、直井の催眠術で記憶を戻すんだろうけどな。てか、日向戻してけよ。まだ泣いてんぞ。
「…後で様子見に行くか」
「ん?なんか言った~?」
俺がボソッと呟くと出夢が気になったようだ
「早く離せっつったんだよ!」
俺はゆりと屋上で話した後も何となくまだ屋上で校庭を眺めてた。
「初音…」
何の気無しに呟いた。急に過去を思い出してまだ頭がボンヤリしてるのかもしれない。
「初音って誰だよ?彼女か?」
「いや、初音は俺の妹…って人識?!」
突然横から声をかけられたのにも気づかずに普通に話しをする所だった。
「おっす。お前、記憶戻ったんだろ?」
「あ、ああ…まあ。っていうか、なんでわかったんだよ?」
「あー、なんとなくだな。なんとなく。で?どうだったよ?お前の過去」
「結構ストレートに聞いてくるんだな」
俺は人識のストレートな聞き方に苦笑する。
「まあ…良い人生だった、とは言えないな…」
「ふーん、お前は何が心残りだった?」
またまたストレートだな。
「医者になりたかったんだ…」
「医者?」
「ああ、妹がな、重い病気でずっと入院してたんだ。それを俺はクリスマスに外に連れ出してさ、医者の言うことも聞かずに。そしたら、街に出てすぐに妹が喋らなくなってさ、俺が…殺しちまったんだ。その後、俺は生きる気力を無くした。けどさ、病院の前を通った時に子供がさ、退院して喜んでるのを見て、見つけたんだ、生きる理由を。それからは医者になるために必死だった。そして、医者になるために試験に向かう電車で…事故が起きた。そこで、俺の人生は終わった。…これが俺の人生だよ」
「妹を、ね…」
「人識?」
俺の話を聞いた後、ボーッとした人識。
「いや、なんでもねえよ。しかし、お前もなかなか重い生前だよなぁ」
「まあな、こんなとこに来るくらいだからな。」
俺は少し笑う。そして、少し気になった事を聞いてみる。
「なぁ、人識。お前の未練って何なんだ?」
「俺?俺は生前に出夢と決別した事が心残りで来たみたいだぜ?」
人識は何とも思ってないようにそう言った。
「みたいって…」
「いや、だってよ~それ以外考えられねぇんだよなぁ」
「でも、出夢とは仲良くしてるじゃないか」
人識と出夢は戦線でも有名なバカップルだ。
「あ~、それはまあ、ここで再会して、まあ色々あったんだよ」
「それに、お前は出夢と仲直りしたのに、消えないのか?」
これが一番の疑問だった。直井はあの騒動の時にここは未練を解消すると消えると言った。
「さあな…まだ俺達は満足できてねえのかもな…」
「満足…」
「だってよ、決別さえしてなけりゃ俺と出夢は青春時代を一緒に生きれたかもしんねえんだぜ?その分くらいここで取り戻してえじゃん」
人識はかはは、と笑う。
「そうか…」
「まあ、そういうこった」
人識がまたかはは、と笑い、俺もつられてははっと笑う
「これからもよろしくな。人識」
「ん?おお、よろしくな」
こうして、俺は人識との距離が少し縮まった。
…………あ、日向、あれからどうなったんだ?