ひといずin Angel beats!   作:堂上

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第32話

人識は最近常々こう感じていた。

「…俺、ここに来てからキャラ変わってね?」

ちなみに、現在は寮の自室。

「明らかに変わってるよな?確か俺は生前、誰も理解できず、誰にも理解されない、飄々として、捉えどころのないミステリアスな殺人鬼だったはずだろ。なのにここに来てからは出夢のストッパー兼ツッコミ役。…なぜだ!」

ちなみに、現在独りきり。独り言の癖は治っていない。

「人の心が理解出来ない、心を持ってない殺人鬼のはずが、なぜか誰かの為に行動しちまってるし!」

これは生前からなのだが、本人に自覚はない。

「これは、やるしかねぇ!明日から、イメチェンだー!」

こうして、人識の間違ったイメチェンが始まる。

 

CASE1 とりあえず出夢のストッパー兼ツッコミ役から脱出

 

「いいですか?出夢さん。まず腕立ては…、で腹筋をするなら…」

「ほうほう、なるほど!」

今出夢は高松から筋トレのレクチャーを受けている。

つっこまねぇぞ。既に怪力のお前にそんな筋トレ必要ねぇとかつっこまねぇぞ。

「そして!一通りの筋トレを終えたその時!己の肉体を鏡で観察するために脱ぐのです

このようにぃ!」

高松が脱いでポージングをとる。

「なるほど!こう…「やめろ、このアホがー!」ぐは!」

服を脱ごうとする出夢に跳び蹴りをくらわす。はっ!つっこんでしまった

 

CASE1………失敗

 

CASE2 捉えどころのないキャラに

 

(よし!やってやんぜ!)

俺は本部のドアを開ける。合言葉無しで。もちろん、トラップが発動する。が、俺はこれをよけて、何事も無かったように本部に入る。

(決まった!こんな訳の分からん事をする奴はいないだろ!これでミステリアスなキャラに…)

「あなた、何合言葉無しで入ってんのよ、アホなの?!」

いきなりゆりに怒鳴られる。…あれ、驚かないのかよ?今の行動ミステリアスだっただろ?

「Don't stop dancing Foooo!」

「あさはかなり…」

そうだった、ミステリアスな奴つったらこの二人が居たんだった…。

 

CASE2………失敗

 

CASE3 昔みたいに放浪してみよう

 

「…ここ放浪できる所ねえじゃん!」

 

CASE3………失敗

 

CASE4 他人の為には動かない

 

(これなら余裕だろ。昔みたいに居りゃいいんだ)

「おお!ちょうど良いところに!人識頼む!ちょっとの間かくまってくれ!」

「は、はあ?どういうこ…「来た!頼むぜ!」…ちょっ!」

突然やってきて俺に頼みこんで掃除用具入れに隠れた日向。一体誰からかくまれと?

「あ!人識先輩!ひなっち先輩見かけませんでした?新技かけるために追いかけてたら見失っちゃって」

こいつか…はぁ。

「いや?知らねえけど?こっちには来てなかったぜ」

「そうでしたか~、じゃああっちか!待ってろよ、ごらぁ~!」

走り去っていったユイ。見えなくなると、キィ、と掃除用具入れから日向が出てくる。

「サンキュー。マジで助かったぜ~。このお礼はまた今度すっからな!じゃあな~」

手を振って日向と別れる。…俺は一体何をしてんだ?

 

CASE4………失敗

 

CASE5 一匹狼キャラに

 

(これなら…)

「とっしー!遊ぼーぜ!ぎゃは!」

「あ?出夢、俺はそんな暇は…「駄目なのか?」…わーったよ!やるよ!」

断ろうとした矢先に上目遣いをしてくる出夢。ずりいよ

 

CASE5………失敗

 

数々のイメチェン作戦が失敗に終わった…ってかここの奴らキャラ濃すぎだろ!

「ちくしょ~」

俺が晩飯を食べようと食堂に向かうと

「お!人識ー!」

後ろから俺を呼ぶ声が聞こえる。日向だ。

「今日はマジサンキューな。ちょうどいいや、奢るぜ、今日。デザートまで全部な」

「え?いいのかよ?そんなに」

「良いって事よ!助けてくれたからな。さあさあ、さっさと行かねえと混んじまうぞ~」

日向に背中を押されて食堂に向かう。

 

俺は肉うどんとメロンソーダ、そしてデザートにチョコレートパフェを頼んだ。

「…で、あの後も逃げきれたのか?」

「いや、最終的に捕まってな。そりゃもう、この世界じゃなきゃ今頃死んでるような技かけられたよ」

何の気なしに聞いたらまさかの答えが返ってきた

「おい!じゃあにげきれてねえのにこんなに俺に?」

「ん?ああ、だってよ、助けてくれたのには違いねぇだろ?」

ニカッと笑って答える日向。こいつ、本当お人好しだよな。そんな事を考えてると

「おーい!とっしー、何上手そうなもん食ってんだよ~!ぎゃはは!」

後ろから出夢に飛びかかられる。

「肉うどんだよ…ってか重いからどけっつーの!」

「ぎゃはは!あーん、してくれたらいいぜ~!」

あーん、と口を開ける出夢。仕方なく肉うどんを出夢の口に運ぶ。

「うん、美味い!とっしーの味がする!」

「しねえよ!」

「お前ら本当仲良いよな~」

こんなやり取りを見て日向がやれやれ、と肩をすくめながらそう言う。

「そうだぜ~!僕達仲良しカップルー!ぎゃはは!」

「はぁ、もういいよ、それで。まったくつくづく、傑作だぜ」

お決まりの台詞で締めながら、人識はこう思っていた。

(こういうのも、悪くねえかもな…)

 

ちなみに、人識は周りの人達から「なんであいつは出夢と付き合ってないんだ?わけがわからん」とある意味ミステリアスなキャラとして認識されてるのは、また別の話。

 

 

 

 


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