-天使対策本部-
「来たわね、この時期が…」
「何かあるのか?」
「天使の猛攻が始まるわ…」
「天使の猛攻…?」
ゆりの言葉に音無はなにか考えている
「猛攻ってことは、また戦えんのか?ぎゃは!」
「…テストよ」
「「テスト?」」
音無と出夢がポカンと口を開いている
「考えてみればわかるでしょう。天使は生徒会長なのですから、私達に良い点数を取らせることも役割なのです」
「いや、もう少し言い方もあるぞ…」
一応出夢を庇う意味で高松にそう言っておく
「で?テストでどう作戦を練るんだよ?」
「テストで私達が工作して天使に赤点を取らせるわ」
俺が一応聞いてみると、ゆりが体勢を変えずになんかせこい作戦を言う
「出来んのか?そんなこと」
「もう既に天使と同じ教室でテストを受けれるようにしておいたわ」
なんて手回しの早い奴だ…
「全員戦線メンバーで囲んじまえばいいんじゃねえか?」
「じゃねえか?じゃないわよ!これは繊細な作戦なのよ!?慎重に動かないと駄目なの!だから、今回は少数で動くわ。メンバーは、私、音無くん、日向くん、大山くん、高松くん、竹山くん、出夢くんよ」
「また俺か?!」
「そりゃ俺もだぜ?」
「えー、僕テストとか受けたくないんだけど~。しかも人識いないとか」
メンバーが発表されて皆色々文句を言ってる。
「うるさいわね、見た目が普通なのを選んだだけよ」
「おい、俺のどこが普通じゃねえんだよ?!」
「はあ?!あんた顔面刺青で髪まだらでおまけにチビのくせに何言ってんのよ!?」
「ぐ、確かに…って、チビは関係ねーだろ!」
睨みあう俺とゆり
「まあいいわ。今言ったメンバーはテストの時、ここに集合ね。じゃあ、解散!」
-テスト当日-
「皆、テストはくじ引きで席を決めるわ。誰か1人でいい。天使の近くをとりなさい」
「んな、無茶な」
「いいから引きなさい!」
ゆりが怒って日向を蹴る
「駄目だ、天使からは遠い」
「俺も」
「私もです」
「僕も、やっぱり駄目かぁ」
次は僕の番だ
「僕も遠いぜ~」
「ったく、使えないわね、あんたら。」
ぶつくさ言いながらくじ引きを引くゆり
「やったぁ!一番よー!ってぇ、この、このこの!」
満面の笑みでくじを掲げた後、くじを叩きつけて踏みつける。面白れー反応だな
「天使の1つ前です」
そんなゆりをよそにくじを引いていた…竹山?だっけ、が天使の1つ前みたいだ
「でかしたわ!竹山くん!」
「当然です。そして僕のことはクライス…「さあ、じゃあ、作戦を発表するわよ!」…」
言葉を遮られた竹山
「日向くん、テストを回収するときに何かアクションを起こしなさい。そして、NPCが気を引かれてる間に竹山くんが答案用紙を入れ替えて。竹山くんは一枚多く答案用紙を取っといてね」
「お、俺かぁ!?」
「何のためにあなたを入れたと思ってるのよ」
「まさかそんな道化役とは」
「答案にはどのような事を書けば…?」
竹山が重要な事を聞く
「上から将来の夢でも書いときなさい」
「物理のテストですが…」
「いいのよ。飛行機のパイロット~とか、イルカの飼育員~とか書いときなさい」
「はあ…」
納得いかないような竹山と、その後ろで頭を抱えてなにか悩んでる音無。
「それと、名前の所には何と書けば?」
「「…………」」
沈黙
「天使…」
「アホか!…生徒会長って書けばいいんじゃねえか?」
「そうだよね、テストに将来の夢を書く位だもんね」
「いや、自分の名前書けないとか、アホすぎだろ!」
「じゃああなたが聞いて来なさいよ」
「はあ?なんで俺が?!」
「いいから、職員室で名簿とか見てきなさいよ」
ゆりがしっしっ、と手を動かす
音無が教室を出ようとした時、天使に呼び止められた。
音無はなんとか上手く言い訳出来たみたいで天使と喋ってる。
少しすると、音無がこっちに戻ってくる。
「立華、奏」
「ああ、そんな名前だったわね」
「知ってたのかよ!」
「うるさいわね、忘れてただけよ」
音無がうるさくなったのか、不機嫌そうに答えるゆり。
「じゃあ、皆上手くやりなさいよ」
そう言われても、僕は今回役目無しなんだよな
テストが終わる時間が近づいてる。
日向もなんだか、表情が暗い。
チャイムが鳴って、答案用紙の回収が始まる。意を決して、立ち上がる日向。
「ああ~!巨大なタケノコがグラウンドからにょきにょきとぉ~!!」
外に指を指して大声を上げる日向。…流石にこれはアホだって僕でもわかるぞ。
「…アホ」すると、ゆりが何か言って、変なリモコンのボタンを押す。
その瞬間、日向の椅子が猛スピードで飛び上がる
い~つも ひ~とり で あ~るいてた~
ん?なんだ今の?
「うぇぇぇ~」
日向が頭を抑えて悶えてる。
「ちょっと待てぇ!なんだ今のは!」
「うるさいわね、あんたが駄目な時のためにロケット推進式エンジンを作ってあげたんじゃない。感謝しなさいよ」
「よくそんなの作れましたねぇぇ!」
「で、竹山くん、首尾は?」
日向の抗議を無視して竹山の方を向く
「上々です」
「そう。じゃあ、次は高松くんが何かしてね」
「そ、それは日向さんの役目では?!」
「狼少年の話は知ってる?」
「執拗な嘘は真実味を失う…」
「そっ♪というわけで、よろしくね」
良い笑顔でそう言うゆり。
「今度は何を書けば?」
「教科は?」
「日本史です」
「そう、じゃあ日本は宇宙人に侵略されてるってことで全問書いといて」
「分かりました」
「良いよなぁ、お前は痛い思いしなくて」
日向が竹山に矛先を向ける。…僕さっきから空気じゃね?
「なっ?!こっちの任務もリスクを帯びているんです!」
「じゃあ代わってください」
「嫌ですよ!」
「ほら!やっぱりそっちの方が良いんじゃねえか!」
「そっちこそ、頭使わない任務で良かったですね!」
「なんだとぉ!」
「くぉうらぁー!ケンカはやめろぉー!」
ゆりがケンカを止めようとするけど、ゆりの声がでかくて逆効果に。天使が注意しようと、立ち上がる。…けど音無がなんだか身振り手振りして、天使を止めたみたいだ。
「誰が2人いるって?」
「誰が精神不安定よ」
「おいおい、お前らお礼もなしか?」
テストを終えるチャイムがなる。それと同時に高松が立ち上がる
「実は着やせするタイプなんです…!」
おお!あんだけ筋肉あったらこいつ実は強いんじゃね?
「アホ」
またもや椅子が飛んで高松が天井に突き刺さってる。
「よくあんなアホなことを自信持って出来たわね!」
「自信あったのですが…意外性というか、陰で鍛えてますし」
「じゃあ、次は…そうね、出夢くん。あなたが何かやってみて」
来た来た!やっと空気脱出だ!
「よっしゃー!やっとだぜー!ぎゃははは!」
「おいおい、なんで喜んでんだよ?あれ、超痛てえんだぜ?」
「なんで飛ぶ前提の話してんのよ!じゃ、出夢くん、頼んだわよ」
テストが終わって、答案回収の時。つまり、僕の出番だ!
「先生ー!実は僕も着やせ…ぐはっ!」
僕が言い終わる前にゆりがボタンを押していた。うわ、これ思ってたより痛いぞ。
「ゆりー!僕まだ最後までやってないぞ!」
「出夢くん、あなたね!いくら心が男でも身体は女の子なんだから、脱いだりしたら駄目に決まってるでしょ!」
「しかもパクリじゃん…」
うっ、と僕は言葉に詰まる。まさかそんな所を突いてくるなんて
「ま、とりあえずお昼にしましょう!」
弁当箱を提げてにっこり微笑むゆり
-屋上-
「さあ、午後もビシバシ行くわよー!」
「「え~!」」
「なによ?文句あるの?」
「いや、ねえよ。どうせ言っても意味ねえし」
日向が諦めている。まあ、皆だけど。
「どうしよう、僕ネタなんて持ってないよ~」
「次は下も脱ぐか…」
みんなはネタを考えるので必死みたいだ…しかし、人識どうしてるかな~?僕いないから暇してるだろうな~
「さあ、そろそろチャイムなるわよ。戻りましょう」
「へーい。また地獄の始まりか…」
このあとも大山が天使に告白したり、日向が錐揉み飛行したり、高松が下を脱ごうとして窓から飛んでったり、大変だった。ついには、音無の順番がまわってきたんだけど…言えない!これ以上は!なことがあって僕達はボロボロで帰ることになった。