-空き教室-
今俺はまたもや出夢の付き添いでガルデモの練習を見に来ている。ちなみに今は休憩中だ。出夢はまた関根、そして最近メンバーになったユイとひさ子にちょっかいをかけている。
「って、誰に説明してんだろうな…俺」
「ん?何か言ったか?」
「いや?!何も言ってねえよ」
岩沢に怪訝な顔をされて、意識が戻ってきた。今なんだかよく分かんねえけど言っちゃいけないこと言っちまったような気がする。
「そ、そうだ、入江ちょっといいか?」
「え?私ですか?なんですか?」
このままじゃいけないと俺は入江に質問することにした
「好きな男のタイプは?」
「へ?な、ななななんですか?!いきなり!」
「いや、ちょっと気になってさ」
「す、好きなタイプですか?えーっと、優しくて、あんまり男っぽくなくて、一緒に落ち着ける人がいいですけど…」
「ふーん、そっか。あんがとな」
「いえ、これくらい良いですけど」
「あ、あとひさ子、お前のも」
「は?私もか?」
「ああ、頼むよ」
「私は一本芯が通ってる奴が好きだな」
「そっかそっか」
とっさの回避のためだったけどなかなか収穫があったな。特に入江。あれだったら大山はどんぴしゃだろ
「…なんで入江とひさ子にそんなこと聞くんだ?」
俺が内心喜んでると、岩沢がすごく怖い顔してらっしゃる
「え?いや、だからなんとなくだって。それ以外に理由はねぇよ」
「なんとなくで入江とひさ子だけなのか?それはおかしいだろ?」
「ちょっ、落ち着けよ岩さ…「うるさい!」…はい」
出夢が落ち着かそうとするが、岩沢の怒声で黙らされる
「…ごめん、ちょっと今日は帰ってくれ。さぁ、皆練習しよう」
「人識~、お前岩沢となんかあったのかよ?」
「いや、ねえ…はずだけどなぁ」
いや、マジで分かんねえ!なにかしたっけ?
「ったく、おかげで僕まで追い出されたじゃん!今日の昼飯人識のおごりだからな~」
「ちっ、しゃーねぇなぁ。今日だけだぞ」
「やっりぃ!じゃあ僕カツ丼とカレーにしよ~!ぎゃは!」
「くそっ!高いのばっかじゃねえかよ!…ったく、傑作だぜ」
「ストーップ!岩沢!あんた音ヨレヨレだよ?…全然集中出来てない」
「…ごめん。なんだか入れなくて」
「今日はどうしたんですか?音楽キチの岩沢さんには珍しいですよ、こんなの」
「分からないんだ。零崎が入江に好きなタイプを聞いた時から、なんだかモヤモヤしちゃって…」
本当になんでこんなにモヤモヤしてるのかが私には分からない。ついこの間までこんな事は無かったのに
「…はぁ、そろそろ言っちゃった方がいいみたいだね。言わない方が良いかと思ってたんだけど」
「ひさ子は分かるのか?!私がなんで最近モヤモヤしたりするのか?!」
「まだ気づいてないんだから、あんたはホントに」
ひさ子がやれやれと首を振る
「教えてくれ!なんでこんなになってるんだ、私は?!」
「それはね…あんたが零崎に恋しちゃってるからだよ」
「「………………」」
言葉の意味が分かるまで随分かかった。
「はあぁぁぁぁ?!本気で言ってるのかひさ子!?」
「本気だよ、なあ皆」
「はい、正直バレバレです」
「え?これって無自覚だったんですかー!?」
「入江、ユイまで?!」
(ちょっと待ってくれ!確かに零崎には消えそうな時助けてもらったし、匂宮に対して一途でいい男だって思ったことはあるけど…それは有り得ないだろ?!)
「あのね、岩沢、今日零崎にキレたのも、今モヤモヤしてるのも、零崎があたしと入江にだけ好きなタイプ聞いたから嫉妬したんだよ」
「嫉妬…?」
「そう、なんで私に聞かないんだ?って思わなかった?」
「…思った、かも」
「だろ?それって、典型的な恋なんだよ。相手が他の奴だけに興味もったりしたらイライラしてさ。今のあんたはそれ」
「そう…なんだ」
(私が零崎に恋…)
「そっか…。スッキリしたよ。ありがと、ひさ子」
「いいよ。で?どうするの、零崎のこと」
「…あきらめるさ、あいつ、匂宮にしか興味ないからね」
そう、私の入る余地は元々ないんだ
「そっか、じゃあ、練習始める?」
「ああ…さあ、派手にやろうぜ!!」
今日は今までで一番の出来になった。ありがと、零崎