ひといずin Angel beats!   作:堂上

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第21話

-天使対策本部-

「まず、今日は、岩沢さんの謎のスランプのため新ボーカルを決めることになったわ」ゆりはなぜか謎ののところで俺をじろりと睨んで、その後やれやれというようにそう言った。あれ?俺なんかした?

「おい、人識~、お前なんかしたのか?ちょー睨んでたぞゆりのやつ」

「いや、覚えがねえけど…」出夢に聞かれるが俺には思いあたる節がない。

 

「で、それがこの子」ゆりは心底呆れたように紹介する

「ユイでっす!」横ピースをして自己紹介したのは、この間ガルデモの練習場をきいたときに凄まじく失礼な事を言った少女、ユイだった。おいおい、いいのか?コイツで。

「誰こいつ?」

「お前何も聞いてなかったのか?ガルデモの新ボーカル候補だよ」日向の質問に音無が答える。

 

「いいですか?ガルデモはロックバンドですよ?」

「アイドルユニットにでもするつもりか?」高松と五段が次々と言う。

「わかってますよ~!だから、一回!聴いてから判断してください!」ユイはそう言ったかと思うと、どこから出したのか、スタンドマイクやらアンプやらをセットしていた。

「それじゃ、いきます!」ユイはカセットのスイッチを押した。おい!カセットかよ!

 

「イーエェーイ!どうもありがっとーう!ぐぇ!」ユイは歌い終わると、スタンドマイクを上に蹴り上げた。すると、スタンドマイクのコードが自分に巻きつき、首吊り状態になってしまった。メンバーは皆引いている。歌は良かったのに台無しだな。

「おいおい、デスメタルだったのかよ」

「crazy baby」何人かが感想を述べる。主にユイの首吊りの。

「く、くるちい、しぬ」

「どうやら事故みたいだぞ」ユイが苦しんでるのを見て音無が皆に事実を言う。

 

皆でユイを下ろすと、くたりと倒れこんでしまった。

「とんだお転婆娘ね。クールビューティーの岩沢さんとは正反対だわ」ゆりがまた呆れたように言う

「やはりもう少し考えた方が良いのでは?」高松がゆりに進言する。

「ちょっと待て!あたしはガルデモのファンで全曲歌えるんだからな~!」ユイが震えながら、まるで生まれたての子馬みたいに立ち上がる。

「心に訴えるものがなかったな」

「ないな」

「ないですね」日向の言葉に次々と賛成していく。

「こぅらぁ~、そんな曖昧な感性で若い芽を摘み取るな~!お前らそれでも先輩かぁ~!!」ユイはそんなメンバーにキレて怒鳴ってる。

「うるっせぇ奴だな~」

「既に言動に難ありだぞ」皆がユイの新ボーカルに反対ムードを漂わしている。

「ぎゃはは!いいんじゃね?別に!こいつおもしれぇし!」出夢がそんなムードなんて関係ないとばかりに発言する。

「どうするの?ゆりっぺ?」大山がゆりに問う

「そうね~、とりあえずガルデモのメンバーに任せましょう」ゆりは出夢の意見を聞いたことが影響してるのかは分からないが、とりあえず候補としては、オッケーを出した。

「やったぁ~!これでギターのひさ子先輩と組めるぅ~!ひさ子先輩のリフさばき、やばいっすよねぇ~!あったまどうなってんすかねぇー!!」ユイはまだ決定したわけでもないのにはしゃいでる。ってか、さらっと失礼なこと言ってるし。

「首だな」「ああ、首だ」みんなもそう思ったのだろう。ユイに首宣言をしている。

「えぇ~!あたしなんか言いましたか~!」ユイは気づいてないようで、あたふたしている。

 

「これじゃあ球技大会で派手な作戦は行えないわね」

「球技大会?そんなのあるのか?」

「そりゃあるわよ、普通の学校なんだから」ゆりは音無の疑問に何言ってんの?とばかりに返す。

「じゃあ、不参加か?」日向は茶化すように言う。ってか、ユイがまだなんか言ってる。

「もちろん参加するわよ」ゆりは不敵に笑う

「各自戦線でチームを組んで参加してもらうわ」

「参加したら消えるんじゃ?」ゆりの言葉に音無が質問する

「もちろん、ゲリラ参加よ」どうやらゲリラ参加は常識らしい。

「一般生徒よりも低い成績を残したチームには…」

「死より恐ろしい罰ゲームよ…」ゆりは一端言葉を溜めて、にやりと悪魔の笑顔でそう言い放った。

「「「ええぇ~!」」」

「こらー!こっちを無視すんな~!」皆がユイを無視していたらユイがとうとう怒鳴った。と、ここで作戦会議は一応終了した。

 

「おい、音無、それと人識、俺にはお前らが必要だ」

「「コレなのか?」」日向がえらくきらきらして言ってきたので、俺と音無は口の横に手を当ててそう返した。

すると「ちげぇよ!」日向は激しくつっこんできた。

「組もうぜ、2人とも。ゆりっぺは本気だ!」むぅ、そう言われると確かに早く組んだほうがいいのかもしれない。

「おいおい!僕のこと忘れてないか~?人識と僕は一心同体なんだぜ?ぎゃは!」出夢が急に話に割り込んできた。

「あ、ああ。もちろん出夢も誘うつもりだったんだぜ?」日向は少しどもってそう言う。

「まあいいけど、他のメンバーに当てはあるのか?」音無は日向に少し不安を覚えているのだろう。

「ああ、人望だけで生き抜いてきたような男だ。最高のチームを作ってやるぜ~」日向は自信満々に言った。

 

「えぇ~!高松のチームに入っちまったのー!なんで待っててくんねぇの!?」数分後、日向は初っぱなから断られていた。

「あんたの誘い待ってる方がおかしいっての。高松のがあんたよりマシでしょ」ひさ子はバッサリとそう言って、どこかに行ってしまった。

「あいた~、あいつ運動神経抜群なのに~」

「大した人望だな?」落ち込んでる日向に音無はきつい一言を浴びせる。

「で?次、誰誘うんだよ?」俺はとりあえずきいてみる

「ちょっとばかし卑怯だが、リーダー格の松下五段を誘おう」

「もう取られてるだろう?」日向の言葉に音無がそう言う。確かに冷静に考えれば真っ先に取られるはずだ。

「大丈夫さ、俺はあいつを信じてる。…なんつうか、マブダチなんだ。照れるなっ、ははっ」日向はきっとその台詞がフラグだと気づいていない

 

「それなら竹山のチームに入ったぞ」やはり断られた。

「なせだ!お前だけは信じてたのに!」日向は必死にそう叫ぶ。

「竹山が今度から肉うどんが当たったら優先的に回してくれるというのでな」

「肉…うどん?」日向は五段の言葉に呆然としている。

「こいつさっき、マブダチなんだ、照れるなっ、ははっ。って言ってたぞ」

「ばらすなよぉ~!」音無がさっき日向が言ってた台詞を真似すると日向は掴みかかって音無に抗議している。音無、今すごいいやらしい顔してんぞ。

 

「次はTKだ!頼むぜTK~」

「なあ、なぜみんなTKって呼ぶんだ?」日向が次にTKを誘うと聞いて、前々から気になってたんだろう事を聞く音無。

「本人がそう呼べっつうんだよ。生前何をしてたのか全く謎の奴だ」

「いいのかよそんな奴が仲間で…」音無は呆れたようにそう言う

「だが俺もあいつの事は信用してる。きっと大丈夫さ」うーん、ダメそうな気がすんのは俺だけ?

 

俺達がTKを見つけたとき、TKは高松と握手をしていた。

「ガッッッデムゥゥ!」

「お前がTKみたいになってるからな」思わずTK化した日向に音無がつっこむ。

 

「なぁ、聞いてなかったんだけど、種目ってなんなんだ?」

「野球だよ」音無の質問に日向はふてくされたように言う。

「ってことはあと5人か、無理じゃねぇ~?」

「うるせぇ!」あきらめムードの音無に日向が怒鳴る

「お困りのようですなぁ~、ふっふっふ」いつから見てたのか、ユイがドヤ顔でポーズを決めて俺達にそう言う。

「なんだ、悶絶パフォーマンスのデスメタルボーカルか」

「そんなパフォーマンスするようなキャラに見えるか!?」

「見えるよ」日向の言葉に激しく反応し、ダッシュで駆け寄るユイ。それをあしらう日向。

「お前鼻から脳みそとろけてこぼれ出てんじゃねえのか!」

「お前、俺先輩だかんなっ!」ユイの跳び蹴りを食らい頭を抑える日向。

「では、お鼻から脳みそがおこぼれでは?」ポンっと日向の頭を叩くユイ。ブチっと何かが切れる音がした。

「こぼれるかぁ!」日向がキレてユイを蹴る。

「先輩、痛いです…」

「俺だっていてぇよ!」ユイが泣きながら言う。それに対して怒鳴る日向。

「でも運動神経はよさそうだよな」

「それに面白い!ぎゃは!」音無と出夢が賛成のような意見を言う。

「正気かよ?!やだぜ俺は!こんな頭のネジ外れたような奴の仲間と思われるの!」日向は2人の意見に激しく反応する。

「けどよ、実際問題どうすんだ?あてにしてた奴らに断られまくってんじゃん」俺は、出夢が賛成派だったので一応賛成派の肩を持つ。そしたら日向は、うっ、と言葉を詰まらせる。

「そうですよ先輩。だから不肖、このユイにゃんが…」

「ああ?もっぺん言って見ろ」ユイの言葉に日向がドスを利かせた声で言う

「ユイ、にゃん♪」ユイはご丁寧に猫のポーズまでつけてそう言った

「そういうのが一番ムカつくんだよ~!」日向がキレてユイにプロレス技をきめる

「まあいいじゃんかよ、これでとりあえず5人目ってことで」俺が日向をなだめる

するとどこからかギターの音が聞こえた。


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