それから数分後、オルコットのシールドエネルギー補給が終わりアリーナに出た事をつげるブザーがなった。装甲が無事故の速さだろう。
「オルコットの準備は終了したようだな。行けるか、一夏」
織斑先生が声をかけ、それに応じるように一夏は
「大丈夫、千冬姉行ける。」
自信に満ちた声で答えた。それにほっとしたように織斑先生は
「そうか」
と、素っ気無い一言だけだがやはり心配していたと分かる声でそう言った。
一夏は篠ノ之に顔を向け
「箒」
「な、なんだ?」
「行ってくる」
「あ、ああ。勝ってこい」
その言葉に一夏は首肯で答え、少し体を前に倒すと彼のISがふわりと浮きあがり滑るように移動していく。話を終えてからピット・ゲート近くから動かずにいた彼は
「行ってきなさい。そしてそれが貴方にいい結果とならんことを」
芝居がかったようにそう言った。それに答えるように一夏は
「ああ、行ってくる。それで勝ってくる」
そう答えると彼は笑みを深くし、その場を離れた。それと同時にピット・ゲートが開き一夏がアリーナに入って行った。
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『始めるな、彼の物語が。それが英雄譚になるか、はたまた凡作になるか。見守ろう、そしてその物語を守ろう。それが我らの楽しみなのだから』
『運命が動く。彼を中心として。激動の時代が始める。』
彼らは楽しんでいた。運命が動き出すことを、時代が変わっていくことを。
『この世界をいずれ離れる時まで楽しもう。それこそが我が一族の使命』
『『時代の波を立てる彼を見守ろう』』
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「行きましたね」
織斑先生に彼は声をかけた
「ああ、行ったな。なに上手くやるさ、なんせあいつは私の弟だからな」
どこか自信に満ちた声で織斑先生はそう返した。それを聞いた彼は
「私が稼いだ時間でどれだけ最適化処理は進みました?」
「1割ほどだな。まだ時間がかかる」
「まぁ、何とかなるでしょう。彼なんだかんだ言って飲み込み早いですし」
彼と織斑先生がなぜそこまで最適化処理の事を重要視するかと言えば、専用機として完全に登録され、性能が引き出されるのは最適化処理をおえ一次形態移行を行う必要があり、一次形態移行を行っているのといないのでは、性能が大幅に変わるためである。
戦闘中に最適化処理が終わり一次形態移行が発生すれば戦局を変えられるであろう。
そんな思いで一夏とオルコットの戦闘を見守る2人であった
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