その無限なる時の旅路~無限の空~   作:黒水 晶

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次が7話になっておりますが話数ずれはありません。


新5話:寮

放課後

 

彼は一夏に教室で今日の授業で行なった事を復習がてら教えていた。大いに役に立っているものが彼が織斑に渡した参考書のまとめである。事細かにまとめてあるため今日の授業の内容程度ならばカバーできている。そのまとめを読んでも分からない場合は彼がまとめよりも簡単な言葉で教えている。その様な事をしていると山田先生が教室に入ってきて

 

「ああ、織斑くんに大十字くん。まだ教室にいたんですね。よかったです」

 

とこちらに声を掛けてきた。

 

「ええ、一夏くんに今日の授業で行なった事を教えていたのですが……どうかしましたか?」

 

今日1日彼ら2人問題行動は無かった筈である。イギリス人に喧嘩吹っかけた?あれは向こうが悪い。

 

『火の中にガソリンをぶちまける様な事をしたのはだれ?』

 

AIがツッコミを入れてきたが気にしないことにした彼は山田先生の言葉を待った。

 

「はい寮の部屋割りが決まったので鍵を渡しに来ました。織斑くんが1025室大十字くんが1043室です。」

 

鍵を差し出された。

 

彼はもともと寮に住むことが確定していたので素直に受け取り

 

「では、今日の所は一先ずここまでにしておきましょう。あまり長くやったとしても疲れるだけですからね。それでは、また明日」

 

そう言い席を立つ。荷物は近々空輸によって運ばれてくるので今日は必要最低限の物しか持ってきていないが数日間ならばなんとかなるだろうと考えている。寮の通路や部屋数などを把握をしたいので一夏のまた明日という声を聴きつつ教室を出ていく。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

1043室

 

さて女子に囲まれそうになったものの無事に寮の自分の部屋(1人部屋だった)に着いた彼は、部屋の四隅に札を貼っていく。この札は呪いを吸収する効果を持つもので、効果範囲などは設置した時に込めた魔力で決まるといったものだ。そして持ってきた私物を鞄の中から出していき机の上に整頓しつつ並べていく。

内訳は:タロット1組

    携帯電話1つ

    充電器1つ

    着替え(下着、パジャマ含む)2組

である。本当に最低限だがそのうち荷物が届くので問題ないだろうとの考えである。することも特にないので寮の構図を覚えようと思いたった。IS学園の全生徒が暮らしているため寮も広い。どんな道順で進めばなるべく人に会わずに出ていけるか及び万が一の時の最短脱出経路の確認に重点を置き覚えようと思いつつ部屋を出た。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

探知術式と透明化、気配遮断を使い寮の道を進んでいく。荷解きをしているのかあまり生徒の姿を見ない。ふと寮の道を進んでいる彼が足を止めた。

 

『どうかした?』

 

『いや、一夏は女子と相部屋なんだなと思ってな……さっさと離れよう。間違いなく何かに巻き込まれる』

 

再び歩き始めたが、探知術式が映し出している反応を見るにちょっと面白そうで面倒くさそうな事になりそうだったので足早にその場を立ち去った。

 

その後は特に目立った問題も無く寮を1周し、部屋に戻ってきた彼はある一点を見つめ、目を細め

 

「もう来てたか。全く、早いもんだな」

 

ボソリと低い声でそう漏らした。彼の目線の先には先程張った札。もう端の方が黒ずんでおり呪いがもうすでに来ている事を示していた。

 

『返す?』

 

「ああ、誰が守護についてるか思い知らすために派手に返してやるか。当社比万倍ぐらいの奴で」

 

そう言い、彼は黒ずんでいる札に触れほんの少し魔力を込めた。すると札が光を放ち、小さな球体としてその光が出てきた。黒くなっていた部分も白くなりもとに戻った。彼はその小さな光球を中心に複雑で幾何学的な模様を描き窓を開け外に放り出す。窓を超え、少し自由落下したのち、光球は急速上昇し空に昇ってゆく。ある程度の高度まで達すると光球は弾け、数百の細い光の帯となり呪いを送った者に帰っていく。呪いの内容も改変しており、数日間激しい飢餓に苦しみながら死んでいくと言ったモノに置き換えておいた。

 

そんな呪いが術者の元に戻っていくのを見て彼は何かをやり遂げたかのようにスッキリとした顔であった。

 




資源が欲しい。全部50kぐらいにしとけば多分イベント足りるでしょう。

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