不快だと感じたら即座にブラウザバックし、お気に入りの作品を読みに行きましょう。
今回は作者ですら画面ぶん殴りたくなりました
歪んだ視界が回復したのはその後すぐであった。今までの歪みとは真逆の歪みで正常な視界に戻された。どこかの屋敷の屋上だろうか、周囲は見渡す限り木であった。ただ一か所この屋敷に繋がる道からは遠くに街並みが見て取れた
本来の転送魔術ならばこのような事は起こらないのだが今回は九桜が色々と演出用術式歪みNo1(命名:虚)を仕込んでいたためのぐにゃりとした歪みが発生したのだった。
「下手に演出術式入れない方がいいなこれ……エフェクト強すぎるだろ」
上を向き美しい快晴の空を見つめそれを仕込んだ本人がボソリと低い声で言った。なんにせよ転送は成功したのだが慣れていない術式を混ぜる事は危険だと、主に三半規管にダイレクトダメージを与えてくると脳内ノートに書きこんでおき周囲を見渡す。
包囲しようとしていた連中は各自ISを展開している。織斑先生すら現役時代に使っていたIS
『暮椿』を纏っていた。
だがその中の一人、彼の背後に居る黒とオレンジの2人組の内の1人シャルロット・デュノアだけが茫然とした様子で周囲を見渡している。まるでここが何処だか知っていてここに居たら何が起こるか分かっているかのように。
そんな彼女の様子に近くにいるボーデヴィッヒが声を掛ける
「おい、シャルロットどうした」
九桜に気をとられていた正面にいる5人もその言葉で彼女が様子が違うという事に気付いたようだ。
「おやおやぁ、大丈夫ですかデュノア嬢」
妙に芝居ががった声で九桜がそう言った。全員の目線が彼に集まる中、首を傾け、目線をデュノアに向ける
「まぁ確かにぃここは貴方の御両親の所持している館だぁ。公務に追われるあなたの父親がぁ公務の疲れを癒すためだけにぃ、パリ郊外の森の中に存在したぁこの館を買い取ったぁ」
癪に障る声だった。
芝居ががり、人を小ばかにするような声だ。
「それ以外にもぉ、デュノア夫人が好んでよくここに居る。デュノアが夫人にあったのもここだったなぁ」
その一言でデュノアはISの展開が解かれ、両ひざを付き、両腕をだらりと下げ、力なく、顔を下に向けた。
九桜の言葉とデュノアの行動、この2つからその場にいたデュノアと織斑先生を除いたIS操縦者5人はこの男は敵だと判断した。
彼が臨海学校で話した、無形と敵対した者がどうなるかという事は全員の頭の中からはすっかり飛んでいた。彼がやれやれと言わんばかりに両肩を落とし、彼らが動こうとした時
「はい、そこまで」
声が響いた。
居る筈のない7人目の声だ。
その瞬間
「なっ」
「ISが」
「糞っなんでっ!」
「一体何が起こりましたの!?」
「何がっ」
ISがいきなり待機状態まで戻された。展開させようと何度も何度も意思を込めるが、うんともすんとも言わない。こんな芸当出来る者は世界にたった1人しかいる筈もなく、その場に響いた7人目の声の主だった
「全く、今回は多少の負い目を感じてたから協力するけどね、ホントは1度身を持って実感した方が良かったんじゃないの?」
景色が歪み、脚の方から姿を現したのは転移魔術を仕込んでおき、転送させた篠ノ之博士。
彼女とは先程から念話による会話をしており、どうせ襲い掛かってくるだろうからISの展開招待から強制的に待機状態に戻してもらう手筈を整えておいたのだ。
正直ここを血の海に沈めたくない事と誰も居なくなってはドッキリの意味が無くなってしまうので今回だけは特別大サービスで無傷でおいておこうとする彼のほんの少しの優しさだ。
そして今回の件で彼に対して負い目を感じていた篠ノ之博士はその提案に喜んで乗った訳だが、本音はさっきの発言の通り1度身をもって思い知ればいいと思っている。
術者、しかもヒトの領域を超えている術者と戦えば彼が言った事が事実だと思い知らされるだろう。今の彼らはまだ魔術というものを軽視しているからだ。
「束さん、なんで……なんでだよっ!!」
「なんでって、そりゃ彼に頼まれたからねぇ……なんだったらいっくんのだけ外してあげよっか?」
「やめんか阿呆、下手に疲れたく……あ゛?」
篠ノ之博士の余計な提案を止めようとした時だった。感知魔術に僅かな反応があった。人ながら人とはどこかずれた反応
「こんな糞面倒な時に沸いて出やがって」
イラつきもあっただろう。彼の体からほんのわずかに、だが魔力を持つものならば確実に分かるだろう量の魔力が漏れた。瞬時にその漏れを止めたがその時
「え?なに、今の?」
うつむいていたデュノアが顔を上げきょろきょろと周りを見渡す。先ほどから風は出ていたがそれとはまた別の粘つく様な感覚を感じたからだ。彼女のそばにはISを展開状態に戻されたとたんにデュノアの近くに移動し彼女の前に出ていたボーデヴィッヒが
「どうしたシャルロット、何かあったか」
「え?今、なにか感じなかったの?」
そんなデュノアの言葉にボーデヴィッヒは首を横に振る。
白い物が眼の前に来た
何であるかを認識する前に、その白い物は曲がった
九桜の脚だったのだろう。驚きの声を上げているIS乗り達を無視し九桜はデュノアに目線を合わせ
「デュノアお前は感じたんだな。ああ、言わなくていいぞ……その様子だと感じたんだろううからな」
それだけ言うと立ち上がり
「糞、なんて厄日だ。デュノア社長に尋問することはできたし、おまけに俺の大嫌いな集団まで出てきてやがる」
彼は目線だけ動かし、篠ノ之博士の方を見る
「此処に防護結界、張れるな」
「うん、張れるけど……どうしたの?」
ガリガリと頭を掻き
「説明するのも億劫だ。あっち側見てれば分かると思うから最硬硬度で結界張っとけ」
そう言うと会話の中で指さした方向、街が見える方角とは真逆の方角に歩き出す
「全くもってめんどくさい。貴様らはいつもそうだ。集団で行動し、邪まな神を信仰しなければ生きていけないような愚か者共が」
背後に右手を突き出す。位相空間の倉庫にしまってある武器、その中でも殲滅力に優れた物
「AA-12カスタム『ハスター』実際に奴から片腕叩き切ってその血肉と俺の魔力を込めて製錬した鋼材を使った一品だ。貴様ら程度には過ぎた代物だがとっと終わらせたいのでな」
ボソボソと独り言のように喋る。屋上の縁に足を掛けそのまま跳ぶ。体が下えと落ちる速度を術式を展開し降りる。
森の中に向かって殺気の籠った声で
「まとめてぶち殺してやるよ邪神信者共が」
右腕を肩の位置まで上げ、トリガーを引いた
ホントは一夏君ボロボロにする予定だったんですが正直誰特?みたいな感じだったので没にしました。読みたい人は活動報告の方に読みたいか読みたくないかみたいなタイトルでアンケ欄作っておきますのでそっちの方に書きこんでください。人数いるなら書きます