イベントクリアして瑞鳳掘ってて気づいたらこんな日付に……
模擬戦後の夜。虚はホームの瓦屋根の上に座り込み、用意してきたツマミを傍らに置き、月を見つつ酒を飲んでいた
ここ無形ホームにも昼と夜という概念は存在している。これは虚が月を見ながら酒を飲みたいと製作時に設定したもので、月齢までしっかりと再現されている
今宵は満月、ツマミを食べながら猪口で酒を飲む
そんな彼女の姿は130cmの小さな少女の姿であった
喜びの中にほんの少し、哀しさが混じったような雰囲気を感じさせている
月を見てちびちびと飲んでいると
「やっぱり、ここに居たんだ」
澄んだ声が虚にかかった
虚はそちらに目を向けることなく
「あらら、見つかっちゃったかぁ。なんか用?霊華」
声の主――霊華が虚の隣に腰を下ろし持ってきた猪口に酒をつぎ
「用って程のことじゃないけどね。虚、なにか考え事するときはいっつもここでお酒飲んでるからちょっと様子見にかな」
「あー確かに、思い出してみれば考え事はここですることが多いなー」
「でしょ。それに……すこし哀しそうだったからね」
その言葉に虚は苦笑し
「そこまで分かっちゃうもん?」
「もう付き合い長いからねー大体は分かるよ」
「ああ、もうそんなに時間が経ってるのか……なんかあっという間だった気がするなぁ」
「虚、私の何億倍の時間は生きてるもんね」
「下手したらそれ以上の倍率だからねー。全く歳なんぞ途中から数えるのやめたからね」
一通りの魔術の改良を行った後、虚は統合世界に引きこもった
それも時間加速型の結界を数億重ねた空間を作ってだ
その空間でより効率的な魔力運用や魔術の低燃費高威力化などの研究を行っていたため正確な年齢が不詳なのだ
まぁ本人がまるで気にしていないので良しとしよう
「ま、今日の模擬戦のことでね。少し考えごと」
「九桜が予想以上に強くなったこと?」
「それもあるけどね……」
頭に?をうかべた霊華に虚は
「いくら日常生活用魔力運用で構成に甘いとこ出たとはいえ神速域で
段々と消え去る様な声でそう言った。霊華はそんな彼女を丸い目で見ていたが次第に肩を震わせ
「笑いたければ笑っていいわよ」
「いっ、いや……くくく……ごめん、ちょっと意外で……ふふふ」
笑い声を漏らしながら霊華は虚の足と屋根の隙間に手を差し込み、もう片方の手を背の後ろに持っていき彼女を抱き上げ、自身の脚の上に乗せ抱きしめる
「あーもう、虚は時々すっごく可愛くなるな~」
そのまま虚に頬擦りする
「まったくもう、貴女は……」
そう呟き虚は霊華の胸に顔を埋める
「どうかした、虚?」
そんな問いかけに虚は小さな声で
「疲れたからこのまま寝る。おやすみ」
そう言い、指を高速で動かし睡眠魔法の魔法陣を描きそのままスヤスヤと寝に入ってしまった
少し困った顔をした霊華だったが、位相空間に収納してある自身の9本の尻尾で虚を包み、そのまま自分も寝てしまうことにし、まぶたを閉じた
いつもよりもいい夢が見れそうだ。そう思いながら
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