明日から修学旅行だー
(だけどこれまぐれ当たりが当たっただけで多分確率3割行ってればいい方だと思うんだよなー)
(2割五分程?)
(だんだん数値下がってるよね君達)
(そりゃ相手
なおこの会話は全て光速の200乗速度領域下での魔術と剣戟による戦闘中の出来事である。
虚は黒い光柱による砲撃を砲弾の長さと連射間隔を短くし高速連射型に切り替えドレインによる無効化を抑え、彼はそれを常時展開させた900個の魔法陣からドレインを連射することで3割ほど虚の砲撃を吸収しているのだが
(あードレインの消費魔力と吸収魔力が釣り合わねーな。相変わらず消費でけーな
(私も極限まで軽量化してるからねー。糞親父のこれだったら割と稼げるとおもうよ)
(爺様とだけは模擬戦したくないわ)
(掠っただけで体半分持ってかれたりするからねー)
(馬鹿威力)
彼が背中狙いの1発を左手に発生させた多重結界で防ぎ、その隙を狙って虚が袈裟切りを行うが、紙一重で彼が避ける
(あっぶね)
(おお、避けた避けた……これなら
(ちょっと待て、え?何?戦闘用?じゃあこれ日常生活用の魔力運用なの?)
(え?だって九桜と模擬戦と言う名のじゃれ合いする程度ならそれで十分だったからね。まぁ実力の
(死んだな)
(死んだね)
(諦め早いなー……消し飛ばすことに変わりないけど)
(その前に質問いいか?)
(はいはい、どうぞー)
(なんで専用魔法陣ばっか使ってんの?使ってるだけで魔力消費するし、超節約家で必要魔力以外の消費が大嫌いな母様にとってはあんま使いたくないモノだよなそれって)
(あれ?九桜には説明してなかったっけ?)
(貰った時に消費魔力が上がる代わりに威力と精度が跳ね上がるって事は説明受けたけど……それ以外にもなんかあるのか?)
(あー……それだけしか説明してなかったか。失敗失敗)
(万能緩衝剤)
(へ?)
(オウルの言った通りで高位の専用魔法陣はなに突っ込んでも緩衝剤になるんだよ。あげたやつが幾つまで対応するかは自分で確かめてね)
(あ、閃いた)
(じゃ逝ってみよう)
(ちょ、ま)
止めようとしても遅かった。彼女の全身の魔力道を通る魔力の光が視覚出来るほど強まり、威圧感が増していく。だんだんと光は収まっていくがそれにつれ威圧感がさらに増す
(霊華とは走り回るだけでこれ使わないし、時雨はここ最近模擬戦してくれないしで九桜の修行中に糞親父締め上げた時以来だから結構久しぶりになるかな)
(1時間持つかなぁ……)
(がんばろ)
(うむ、頑張る事は良い事だよ。ま、いい経験だと思ってかかってきなさい。1時間耐えたら地上時間で5万年と言った課題での統合世界の使用を許可します。クッソ時間伸びるよ)
(おっし、本気出す)
(戦闘翼3対展開可……意地でも耐えて)
(応!!)
彼の背中から左右3つずつ光の糸が翼の形を作り羽根が生まれた
その羽根1枚1枚に地上世界の世界糸1本程度ならば破壊可能な魔力が秘められている物だ
最上の魔法媒体にもなり翼そのものから魔術も放てる
3対の翼すべてに結界を展開
虚の背後に積み重なるように魔法陣が展開されていく
一つ一つが対1ならば過剰威力と言える準3位~正4位相当の魔術
及び黒い光柱の正3位魔術が9つ
その全てを制御しつつ斬撃を切断力として飛ばしてくる
切断は被弾しても自動回復による回復で回復できるため急所狙い以外は無視し魔術はドレインで消すか結界を展開するかして被弾を減らしていく
連射が増した
消せなかった火炎系魔術が右腕を燃やした
自動回復にまかせ避け続ける
やはり切り傷に比べると回復が遅い
すでに集中力が切れ始めている
いくら常人からかけ離れているカミという存在でも速度に慣れる為の時間は彼の集中力を容赦なく削り取っていったのだ
これがかつて慣れている速度であればこのような事は無かったであろう
だが回避を続ける
統合世界の使用許可を得たいと言うのも確かだが自分がどこまで行けるか試してみたかったのだ
多種多様の魔術が彼に襲い掛かる
今度は左腕が吹き飛ばされた
すぐさま骨格から生え出してくるがその骨格をぶつけることで魔術を破壊する
翼も使い魔術を消していく
凍結系魔術が当り右足が砕け散った
だが動き続ける
次は左足が切断された
次第に負傷がする箇所が増えてきた
だが彼は諦めない
被弾が多くなり回復箇所が増えていく
そして
(九桜!!)
オウルが叫び声を上げた
見逃したのか後方から光柱が防げない領域にまで侵入されていた
(ここまでか……)
体の中心をその柱は捕え彼の体に大きな風穴を開けた
その感触とその穴が塞がれていく感覚を感じながら彼の意識は闇に沈んだ
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「1時間半か……結構持ったね九桜」
彼に近づいていく虚からそんな言葉が漏れた
「だけどせめてこっちに攻めてくるぐらいの気勢をみせてほしかったかな」
苦笑気味にそう言い
「今はゆっくり休んで、それからは……まぁ家族団欒といこうか」
今は少しの休息を、と彼女の言葉はホームの空に消えていった
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