彼はエインの声が聞こえたので、胴体の上まで上がりエインを見ると
「大丈夫かお前、顔真っ白だぞ」
「あはは、機体の魔力道の乱れは腕だけだけど私の方は全身ボロボロでねぇ。誰かさんがいきなり魔力全解放するわ解放した魔力がこっち流れ込んでくるわで全身痛いのよ……てなわけで早く本体の魔力道の強化と補修して」
いつもの元気が無い彼女の言葉の中で彼は何か思い出したように天井を見上げ
「あー、お前と
「そんなこと言ってないで早くしてー」
「おっと、すまんな」
彼が指を小刻みに動かしつつぐるりと一周すると、指が動いた後が白く光り彼の足までそれが下がり、瞬時に黒い膜を展開しつつ彼の頭の上まで上昇し、膜がガラスを砕くように崩壊すると彼の姿は消えていた
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鬼械神『エイン・ソフ』コックピット内
無数の術式が周囲に浮かぶ空間の中に彼は立っていた
「此処に入るのも久しぶりだが……さっさと終わらせるとしますかね」
ふわりと彼のコートの裾や髪の毛が浮き上がり、彼の体に白い光が流れ始める。それは初め弱いもので数も少なかったが、だんだんと数が増え光も強くなり、彼の全身が強い光を放つようになると
「鬼械神『エイン・ソフ』に魔力道を同期及びエイン・ソフ内の魔力道に上書き。同時に対魔力圧の設定を今までの
ボソリと彼がこぼす様に声を漏らすと彼の全身から莫大な量の糸のように細いが、莫大量の魔力が流れようとも損傷しない彼の魔力道が浮き上がり、『エイン・ソフ』の全身に張り巡らされた魔力道に重なり、書き換えられる。全ての工程が終了すると彼から浮かび上がった魔力道が収縮し、彼の体の中に納まると、ゴキゴキと首の骨を鳴らし1度伸びをした後で
「これで良し。魔力圧は増えた分の100倍ぐらいの耐久にしておけば問題無いっしょ」
(おそらくは)
「なんか怖い言い回しだなオウル」
(下位から上位までは問題無い)
「最上位はヤバイと?」
(正1位のみ)
それを聞いて彼は肩を落とし、呆れた様な声で
「対神王術式みたいなもん使う時があると思うか?」
(万が一?)
「心配性め……ま、いいさ設定しなおしておくか、5000倍もあれば十分だろ」
(是)
先程の作業をやり直し、設定を5000倍にし試しで全力で魔力を流したが、魔力道がビクともしない事を確認し外に出る
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ホーム内ドック
「で、なに倒れてるんだ、お前」
(ピクピクしてる)
「全身の……魔力道……書き換えられたら……誰でも……こうなるわ」
なお、彼女が復帰したのは2~3日かかった模様
いや、まじで