「俺の事……か」
ぼそりと彼は言葉を漏らした。自分の事と言っても、転生する前にだいぶ濃い歳月を送ったのでそこを中心に言えばいいのだろうか?そう思っていると
「そそ、君自身の事。大体訓練始める少し前から辺りからの自分の事」
虚がどういった事を言えばいいかを言ってくれたので
「前世の名前とかもう覚えて無いから省略するとして、享年は94だったかな?死んで閻魔様とご対面と思ったら真っ白い空間に出て、そこに母様が居て、色々言われて、それで普通に閻魔様から裁きと受けるか私たちとセカイを巡るかを選ばされて、楽しそうだったからセカイを巡ることを選んだら訓練を始めるって言われて、統合世界の訓練場に連行されて……そいやぁ、オウルとの初対面はそこだったな。まだ他人が苦手で逃げられたっけ」
最後の方は懐かしむような声色になりながらまずは一息おくと
「その後オウルが私の所に来てね、“彼に一目惚れした”って言ってきたのよ」
彼が知らなかった事を母親が教えてくれた
「ほうほうそんな事が、やっぱ可愛い奴だな此奴」
「でしょでしょ、ちょっと力が強すぎるわ、自分じゃ力の制御が十全には出来ないから喋ると世界歪めるわだけど凄い可愛いよね~」
「顔凄い事になってるぞ母様。てか制御ぐらいは覚えさせておけよ」
虚の顔がどんな事になっているかを少し具体的に書くと――彼女、無形虚は姓の通り本来は定まった形を持たない
「おっと、危ない危ない……その代りに、君が声帯の機能を制限するような機能をオウルに追加するチョーカー作ってプレゼントしたじゃない。あの時ちょっとビックリしたんだよ?」
「もう訓練も終盤入りかけてたしなぁ。機能の追加文の構築は姉さんとか爺様が手伝ってくれなければ多分訓練終わる2~3日前まで掛ってたと思うぞ?」
「時雨ちゃんと糞親父が手伝ってたのか~、だからあんなに短期間で尚且つ綺麗な文が模様として刻まれた物が作れたのか~。大体糞親父が手伝ったんだよね?」
「ああ、時雨姉さんは知識はあっても使わないからうろ覚えだったこともあって主に爺様が手伝ってくれたな。おかげで3~40年ぐらいで作れたよ」
その爺様はただ楽しそうだったから参加しただけなのだが、虚の術式を戦闘中に分解、再構成のプロセスを行い反射するような事が出来るので彼にとっては大変助かった
「君1人でちくちくやってたら確かに終盤の最後の最後まで掛ってただろうね。さてそろそろさっきの続きいこっか」
「へいへい、統合世界の訓練場で
地上界からすると僅か11日と半日ほどの時間で彼の40億年の修行が終わった計算である
「そうなるように組んだからねー」
「おかげで強くなったよ。ま、訓練が終わって皆から色々貰って、それで今に至ると」
「あの世界での生活は全カットなのね」
「変人沢山いる所で楽しくやっていたら女ばっかりの所でホモ疑惑すら考える朴念仁とそいつを取り巻く女子を観察する毎日だしなぁ……」
「それはそれで楽しそうな毎日だね」
「事あるごとにアリーナで暴れるからそれの鎮圧したり、女子達の殺気で空気悪くなったりで毎日がスリリングなんだな、これが」
「あはは、お疲れ」
ガクリと肩を落とし項垂れる彼であった。
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