「あはは、九桜大丈夫だって。君の素養なんて地上界全部探しても、もう見つかる様な物じゃないし安心してって。だから早く顔色戻って」
そんな母親の声に彼とエインは上を向き
「いや……そっちは良いんだが……圧が……」
「同じく……圧のせいで……油汗止まらな……」
「うわー、ごめん、マジでごめん。そういえば君達1割解放だと魔力1割だけしか解放されなかったよね……これでどう?」
慌てた様な声と何かを操作する音が聞こえ、彼とエインにだけ掛っていた母親から発せられる威圧が消えた。ぜぇぜぇと息を整えながら
「母様……また魔導具作ったのか」
「あれ?聞くとこそこ?怒らないの?まぁ確かに万能魔導通信具作ってたつもりが最終的に物とか気配とか威圧とか色々と送れる変な物が完成製しちゃったけど」
通信具はどこへ行ったのだろうか?それを疑問に思ってはいけない。何故ならば、
「いや、怒りよりもどんな魔導具を作ったかの方が気になる。いつもの事だが何処から計画が狂った?」
「通信範囲を広げてた時にはもうおかしくなってたかな?それと、そっちの子達が混乱してるけど止めなくていいの?なんかさっきから九桜に何か言ってるけど」
彼らの方に目とほんの少しの意識を向けると確かに何やらこちらに対して言っている為
「この声は家の母様で、俺の行動を諫めに声だけ送っているだけだ。後、母様がこんなことしてきたから説明はもう出来ません。諦めろ」
と、だけ言っておいて再び意識を母親の声に向ける。
「その代り、家に帰ってきたら復習会だからね?教え込んだ事を忘れてないかの」
「oh」
その言葉に彼は突っ伏し、そんな彼を見たエインが笑いながら
「頑張ってねー、父さん」
と、言ったら
「エイン、あなたは帰ってきたら整備漕に叩きこむからね?」
「oh」
そんな母親(エインにとっては祖母)の言葉にエインも突っ伏した
「速く帰ってきなよー。オウルを起こすためにもね」
2人を撃沈した母親がそんな事を言い、気配が消えた
「あー、本日は解散部屋まで転送してやるから動くなよー」
やる気のない声でそう言い、各自を夏休みに入るまでこの間の記憶を封印し、学校生活で質問をさせなくし転送する。
「夏休みまで逃げ切ればこっちのモンだ」
「外道だ―」
うるせぇと返し再び煙管を取り出し、吸い始める
「あー、マジでキツイ」
そんな彼にエインは近づき、心配そうに
「ねぇ、ホントに大丈夫なの?」
「夏休みまではたぶん……な。それ以降は分からん。なんにせよ夏には実家に帰らんとな」
ガシガシとエインの頭を撫ぜつつ煙管を加えたまま、彼は言った
「大丈夫だって、親を信じろよ」
エインは不安そうな顔をしていたが、彼のその一言で少しは表情が和らぎ
「うん、分かった。だけど……」
「分かってるって。無茶は今学期中はしねーよ」
再び、エインの頭をガシガシと乱暴に撫ぜ、吸い殻を皿に落とし、再び刻んだ葉を火皿に詰め火種を落とし吸い始める。この繰り返しが深夜まで続いた。
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その後何事も無く、夏休みまで時は進む
世界観説明とかその他色々一般人の皆さんの前で話せなかった事は1話か2話開けての復習会(九桜にとっての)で行います