ミサイルが彼に直撃し、彼の体が後方に吹き飛ぶ。だが、ミサイルの爆発に巻き込まれていたにも関わらず、彼の五体は欠けていなかった。欠けていなかっただけで全身に大火傷を負っているがすぐに治療すれば助かる筈だ。だがしかし
「結界」
彼女が周囲に結界を張った。外部と内部を完全に遮断し、内部を別の界として隔離する為の物だ。
「何をしたのかな?君は?」
博士が声を掛けてくるが、彼女は近くまで吹き飛ばされてきた彼をゲシゲシと蹴っていた。その間に福音を倒しに行っていた彼らが海岸まで戻ってきた。その中に学年別トーナメントの米国来賓で来ていたもう1人の女性も混ざっていた。彼らは驚きの声をあげこちらに来るが、結界内は別の界として完全に独立させてあるので声は届かない。何かに遮られている事に気付いたのだろう。各々武器を叩きつけ破壊しようとしているが結界は小揺るぎもしない。一夏が零落白夜で切り裂こうと打ち付けてくるが傷1つ付かない。博士はそんな彼らを見て他力に頼ることは出来ぬと判断としたのかペタペタと結界に触ってブツブツと何か呟いていが、不意に
「ねぇ、ここから出してくれないかな?束さんも忙しいだよね」
「貴方はここで封滅すると決めた」
「君もかー」
うがーと博士は唸り声を上げながら、地面を蹴りつける。彼女はそんな博士に対し
「援軍も来た」
彼女は、それにと付け加え
「彼は死なない」
援軍?と博士が言うが彼女は、彼らの中に混ざっている女性を見ていた。女性は肯きを彼女に返し結界に手を当て
「私、参上」
そんな事を言いながら結界内に侵入してきた。彼女はそんな女性に対して
「時間稼ぎよろしく」
と一言だけ言い、彼の右胸に手を当て、詠唱を始めた。女性は彼女の前に立つ。すると女性から1mほどの左右の空間が歪み、巨大な太い腕が出てきた。
「さてさて、この状態で使うのは久しぶりだけど防衛戦だから不慣れでもまぁ問題無いでしょ」
彼女が自身の腕を×の字に交差するように曲げるとそれに付随したように巨大な腕もその形に曲がった。
「攻撃でも何でもしてくるがいいわ。オウルが詠唱が終わった時貴女の最後だから」
「へぇ、それじゃぁ束さんがそっちのを潰せば私の勝ちなんだね」
大量のミサイルが何処からともなく出現する。女性は怯んだ様子も無く腰を深く落とし耐える姿勢をとる。巨大な両腕に幾つもの光が走る。
「防御態勢」
腕の表面から2cm程の位置に防御膜が発生する。絶え間なく飛翔してくるミサイルが次々とぶち当たっているが揺るがずに耐え続ける。女性は鼻歌交じりに光を走らせる速度を上げ、彼女を守る
「そろそろ潰れてくれないかな」
「ハッハッハ、誰が潰れるか、誰が」
爆音鳴り響く中、彼女の詠唱は最終段階に入っており、彼の胸の上に幾つもの魔法陣が展開されていた。女性は彼の方をチラリと見ると笑みを浮かべた。
「5」
カウントは連続していき
「4」
ミサイルの弾幕が更に増えていき障壁に小さな罅が入り始め
「3」
罅が少しずつ大きくなる
「2」
罅が障壁全体に広がっていく
「1」
障壁が割られる。だが
「0」
カウントが0になる。ミサイル群が巨大な腕にぶつかり多少はミサイルの数が削れるが、それでも多量のミサイルが迫ってくる。しかし
無限光大十字・九桜のリミッター解除申請を受理
全リミッター解除
解除失敗
現世界糸の容量不足
容量制限に合わせ無限光の全能力の10%を限定解放
解放成功
天空から声が聞こえた。
彼から魔力が吹き上がる。
その魔力で生まれた風に全てのミサイルが破壊された。
そして彼の体に光が纏われ、その光が収まると、白いロングコートを纏っていた。
彼は身を起こし、目を開き。
「さて、無より無限を生もう。無限から無限光を生もう」
口角を吊り上げそう言った。
新しく出てきた用語などは説明回を作るのでそれまでお楽しみに