その無限なる時の旅路~無限の空~   作:黒水 晶

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改訂が済んだ部分はどんどんと消していきますのでー


新2話:IS学園初日:SHR

(こうも大多数に見られるのは慣れないモノだな)

 

彼、大十字九桜は周囲からの視線に辟易(へきえき)していた。ほんの少し前までは久しぶりの日本に胸躍らせていたのだがIS学園に来て少し経ってからウンザリした。どう動こうにも目線が突き刺さる。職業柄悪意ある目線や邪悪と言ったモノには耐性があるモノのこういった好奇の目線というモノには慣れ親しんでいない。そんな事を考えていると脳内に澄んだ声が響いた

 

『しかたない、慣れて』

 

向こうで彼と共にいた少女と同じ音質だった。彼はISの待機形態である鎖で縛られた黒い本のデザインのイヤリングに触れ

 

『つってもなぁ……時間かけて慣らしてくぐらいしかないだろこういったもんは』

 

『10=1(イプシシマス)のくせに何を』

 

『残念だが生まれつきでね、他にたどり着いた連中は知らんが割と俗物的なんだよ俺は』

 

そう彼が返すと脳内に語りかけてくる声は1つため息をつき

 

『なら、現実をしっかり見て』

 

『へいへい……にしても、なんで俺アイツの完全開放状態を元にしたのかね?』

 

彼のパートナーたる魔導書の彼女、その完全開放状態は過剰な能力を持っているため今現在はその力のほとんどは抑えられている。その完全開放状態の人格をベースに現在の人格を少し足した状態が彼のISに積まれたAI「アイン・ソフ・オウル」の人格となっている

 

『さあ?……あ、もう一人の彼、自己紹介始めるみたいだよ』

 

『みたいだな、さてさて一体どんな奴なのかねぇ1人目君は』

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 彼、織斑一夏はとても緊張していた。周りは1人を除き女子であり。クラスにいた幼馴染である篠ノ之箒に助けてくれという視線を送ったのだが、目を逸らされてしまい途方にくれていた。もう1人居る筈の男性操縦者は自分よりも後ろの席である為どうしようもない

 

そして今は新学期の名物でもある自己紹介の真っ最中であった

 

クラスの中にもう1人の男子も居るもののその男子は真ん中の一番後ろの席なので頼りにできない。このような状況から織斑一夏は途方に暮れていた

 

「……斑君……織斑一夏君」

 

「おわっ」

 

いきなりこのクラスの副担任である山田真耶先生に声をかけられ、驚いた声を出した彼に彼女は

 

「あ、あの大声だしちゃってごめんね。でも自己紹介織斑くんの番なんだよね。自己紹介してくれるかな?」

 

と、彼女は困ったような声で一夏に言った。彼が途方に暮れている間に自己紹介の番が回ってきたのだ。

 

「は、はい。いけます」

 

と言ったものの途方に暮れていて自己紹介で言うことなど考えてもいなかったのだ。

 

「お、織斑一夏です。」

 

女子の目線が突き刺さるなかかろうじて名前だけは言えたが、この自己紹介で彼がどんな人物なのか、どんな趣味を持っているかなどを聞きたい女子たちの視線がさらに強まっていく。この視線に耐えきれず彼は

 

「い、以上ですっ」

 

と、言って座った。無論周りの女子たちは残念そうな顔をし、もう一人の男子はその背後に近寄っていく女性を見て苦笑をうかべた。

 

ズドン!!!

 

鈍い音が響いた。そしてその音を織斑にたてさせた人物に織斑は心当たりがあったらしく

 

「げぇ、千冬姉ぇ!?」

 

「学校では織斑先生だ馬鹿者」

 

ズドン!!

 

二度目の鈍い音

 

2度音を鳴らされた者は頭を押さえ机に突っ伏し、音を鳴らした者はカツカツと教壇の方に歩く。そんな黒いスーツを着た女性に教壇の上で涙目になっていた山田先生が若干熱っぽい声で

 

「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」

 

そう、女性――織斑千冬に言った。織斑先生は優しい声で

 

「ああ、山田先生。クラスへの挨拶を押し付けて悪かったな」

 

答えた織斑先生を彼は小首を傾げながら

 

『あれ?入試の時に量産機の俺相手に現役時代の機体を持ち出してきた性格の捻じ曲がった教師はいずこに……』

 

『そんな事あったの?』

 

『ああ、丁度エイン・ソフの背部スラスターがいかれてた時にこっちの特別入試があってな。その時にあの教師、現役時代の機体持ち出してきやがったんだよ』

 

オウルにそのことを説明していると織斑先生がおもむろにチョークを取り、手首のスナップだけでそれを彼へと投げつけた。人体から放たれたとは思えぬ(視認不可の)速度を持っていたが

 

「危ないですねぇ」

 

彼はそんな事を言いつつ人差し指と中指の2本で受け止め同等の速度で織斑先生に返却した。だがこちらも規格外なら織斑先生も規格外であり何事も無かったかのように受け止め舌打ちを1つし

 

「ほう、教師にこんな事をするとはいい度胸だな大十字。ちょうどいい、次はお前が自己紹介してみせろ」

 

「おやおや、てっきり強制訓練と書いてお説教かと思いましたがそんな事でよろしいので?」

 

織斑先生は目頭を押さえ

 

「貴様とやると神経をすり減らされるからやりたくもない。いいからやれ」

 

しかたありませんねぇ、としんと静まり返り全ての者が目を点にしている教室内の中央左側最後尾の席の彼は立ち上がり

 

「初めまして皆さん、大十字九桜といいます。もともとはアメリカのアーカムという都市のミスカトニック大学の考古学学科に通っていたのですが、IS適正があるということでこの学校に転入してきました。」

 

考古学学科というのは陰秘学科生が別の場所で活動する時の隠れ蓑のようなものだ。ここまで言い彼は少し間を置き

 

「元々は大学生とはいえ、飛び級で入ったので皆さんと同い年です。趣味は占い、特にタロットが好きですね。そこの織斑くん程顔はよくないですが、こんな平々凡々な私とでも仲良くしてくださったら幸いです。それと皆さん気になることだと思われる女性関係ですが……」

 

女性関係、その言葉が出た瞬間女子の視線が強まった。彼大十字九桜の体格は、全て平均並み、RPGなどに出ていたとするならば村人Aとしか思えないものである。ただ一つ無駄に長く美しい白髪を除けばだが。ここはIS学園ただでさえ男に飢えている女子たちは、そのような彼だろうが気になるモノなのだ。

 

「ええ、しっかりとアーカムに居るので諦めてください以上です」

 

にこやかな笑みを浮かべそう言い切った。

 




大和が改になったが鋼材と弾薬が吹き飛び、燃料がレベリングで消えていった(by幌筵鯖民)

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