現在時刻11:35
彼は、未だ海中にいた。
(オーウルー、さすがに暇になってきたんだけどー)
(今、会議で福音が完全に離れた事を確認してから救助に行くことになったから、最低でも後10分はいけない)
彼の
(マジかー……そういえば、そっちにまだ篠ノ之博士いる?)
(いるけど…どうかした?)
(何とかして博士の髪の毛を採取して博士が“ナニ”に憑かれたのか調べてくれないか?)
(ん、分かった。何をしても……だよね)
(おう、何をしても…だ)
白式のフラグメントマップの一部、明らかに細工をされ固定化されていた部分、魔導言語を陣にした部分に書かれていた這い寄る混沌。それが、この世界に居るという警告のようなものなのか、それとも……
(本物の篠ノ之博士はすでに殺せれていて、博士の魂を取り込みそれを隠れ蓑にしているか、だな)
(そうだった場合は?)
彼女がこちらを試すような口調で聞いてくる。彼はその問いに対して
(この物語の役者なんだ、欠けていたらまずいだろ?つまりはそういう事だ。いざとなったらよろしく)
(ん)
彼女は短い、しかしどこか満足したような返答の声こちらに反してきた。
その後5分程時間が経ち、救助部隊が彼を引き上げに来た。救助部隊に彼は
「いやはや、申し訳ございません」
と感謝の気持ちを伝えたそうな
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時刻16:00
彼女がなんとか1本採取できた篠ノ之博士の髪の毛を精査した結果が出たのは、彼が恋する乙女‘sに監視衛星からの福音の情報を渡し、部屋に戻ってきた後であった。
「なんとかできた」
「おつかれさん……結果は?」
彼は彼女の頭をがしがしと強く撫でながら検査結果を聞いた
「だいぶ反応が出るまでに時間はかかったけど、真っ黒だね」
彼女は続けて
「何に憑かれてるかまでは分からないけど、相当強い者が付いてることに間違いはないよ」
「そうか……こりゃホントに万が一を考えないといけないな」
コクンと彼女が頷く。彼はそんな彼女の頭をやさしく撫でると彼女らが飛び立っていったであろう方角を見つめる。
「できれば
祈りを捧げる彼の姿はどこか神々しさすら感じた。
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