その無限なる時の旅路~無限の空~   作:黒水 晶

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Qクトゥルフで海といったら?


第22話:仕事再び

土曜午後

 

「ただいま」

 

気怠そうな声をあげ彼に近寄り抱きつく。彼は抱きしめ返し

 

「ああ、おかえり」

 

胸にぐりぐりと頭を押し付けてくる彼女の頭を撫でながらそう返した。その後30分程談笑をしていたら

 

「ま た 仕 事 か」

 

「一番仕事してた人がこっち来たからね」

 

胸をおさえ顔を下げる。抱きついていた彼女がすたすたと窓まで歩いていき窓を開くと鳥形の式が飛び込んでくる。彼女が手を前に出すとその手の上に乗り手紙へと変わった。彼女はそれを彼に手渡すと彼は一通り読み終わると顔をしかめた。

 

「なにがあったの?」

 

「IS学園の臨海学校に行く海岸近く無人島に深き者ども(ディープワンズ)が住み着いたらしいから全部狩ってこいってさ。島ごと消せないから面倒で仕方ない」

 

物騒な事をさらっと言い放つ。彼女は無表情で

 

「そんなことするのくおーぐらい」

 

胸をおさえ顔をそむける彼に彼女は続けて

 

「だけど深き者どもが住処を移すなんて珍しい」

 

彼は顔をそちらに向け

 

「俺も気になってたんだよ。しかも行く海岸近くの島は全部調べてみたが水神を祀ったような遺跡はどこにも無かった。そんな所に奴らが住み着くかね。しかもインスマスからかなり離れた所だし」

 

「作為的?」

 

「何かが関わってるのは確かだろ。ま、地道に1匹ずつ潰していくかね」

 

結界を張り手紙を燃やす。ふと彼女は

 

「偃月刀は?」

 

彼は、箪笥を開けコートを取り出すと

 

「ポータブル量子変換収納装置に突っ込んでおいた。やっぱ便利だねこれ。2つぐらいしか物入れられないけど」

 

コートのポケットから手のひら大の装置を取り出し、彼女の疑問に答えた。ちなみにこれはダッグトーナメントの前にアメリカ来賓(つまり彼女ともう1人)を案内している時に受け取ったものである。

 

彼女はこくりと肯くと

 

「何時頃行く?」

 

「今日の夜中に行くさ。明日はいろいろと買いに行かなきゃならんし。それと流石に部屋の中に誰も居ないってなると万が一があった時にまずいから俺一人で行くから」

 

そう、と彼女が言い、抱きついてくる。

 

その後少し早い夕食を取り、仮眠を取った

 

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深夜

 

彼は、私服兼戦闘服のコートを羽織り、ポータブル量子変換収納装置から浅黒い剣――バルザイの偃月刀を取り出し左手をあげ、気楽な調子で

 

「じゃ、行ってくる」

 

「いってらっっしゃい」

 

短いやり取りを交わした後、幾重にも線を描き、魔法陣を作り

 

「転移開始」

 

魔法陣が彼を包むと、ヒュンという音を残し彼は部屋から転移した。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

離島

 

「広域殲滅魔法禁止はやっぱり面倒くさいなー。ドカンと一発やれば綺麗サッパリになるのに」

 

転移してから10分余り、島に大型結界を張り出る事のみを禁止し、すでに深き者どもを多数屠り狩り忘れが居ないかを確認のため島の周りから中心へと円周上に走っている彼は不満げにそう言った。本心では理解はしているがやはり面倒なものは面倒なのだ。そろそろ島の確認作業も半分ほどは終わったが中心に近づくにつれ瘴気が濃くなっていく事に顔を顰めつつ

 

「浄化の光よ…照らせ」

 

ポゥと彼の前に淡い光が灯ると周囲の瘴気が浄化される。走る彼の前に灯っているため彼が通った跡が浄化され清浄な空気に戻っていく。そして・・・

 

「中心到着。生体反応沢山。大変面倒くさい」

 

未だ建設中の様だが神殿のような建物があり、その周囲の木々も伐採されていた。それを見た彼は

 

周囲に森が無い

  ↓

周囲の木々に被害が出ない

  ↓

広域殲滅魔法使える

  ↓

終わらせれる

 

「よしやろう。地面に被害が無ければいいんだし、被害が出でも戻せばオッケイ」

 

周囲の伐採され木々が無い場所をバルザイの偃月刀で地面を削りつつ周囲を走り魔法陣を作っていく。だんだんと彼が加速していき、周回が100に到達し彼は止まり魔法陣全体に魔力を流す。

 

「空間圧縮」

 

魔法陣の内部が音を立て圧縮されていく。それに気が付いた深き者どもはあわてて建設中の神殿から飛び出してくるが圧縮空間の端には強力な結界が有り出られない。ゴリゴリと圧縮されていき、直径1m程の球体上になった時、地面には深さ500mの大穴が空いていた。彼は再び魔法陣に魔力を通すとぐにゃりと線が蠢き形を変え

 

「自然回帰」

 

先程まで存在していた大穴が無くなり、緑あふれる自然になった。残った球体をチラリとみて手を球体にかざし

 

「滅せよ」

 

一言。ただその一言で球体は消滅した。それを見た彼は満足そうにうなずき

 

「転移」

 

来るとき同様転移魔法によって寮の部屋に戻った。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

先に寝ていた彼女を起こさぬよう布団に潜り込み、彼も目を閉じた。明日の買い物が待ち遠しくあった。

 




Aヒャッハーインスマスは消毒だ―!!

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