時は流れ7月
来週には3日間の臨海学校を迎えるIS学園の寮の一室。彼の部屋はボーデヴィッヒが引越しをしたが、先月の最終週に教育実習生としてこの学園に来た彼の彼女が何故か彼の部屋に来た日から居座っていた。しかも学園側も認めており、彼は
「厄介者は固めておこうという事でしょう」
と、嬉しい様な悲しい様な声でそう言っていたが、彼女が身近に居るという事はやはり嬉しい事なのだろう。ここ最近はよく弁当を一緒に食べているといった目撃例が多々存在している。
そして現在5:00
彼は何時もならば6時に目を覚ますのだが彼女が部屋に来てからというもの1時間早く起きている。何故ならば、彼女が自分のベットに潜り込んできて寝ているからだ。彼女を抱きしめつつその寝顔を微笑して見つめている姿は一歩間違えば警察沙汰になること間違いなしだが、ここは室内で2人きりしか居ないのだからそんな心配を一切せずに見つめ続け、30分後
「う、みゅう……ふぁぁ」
可愛らしい声をあげ、彼女が目を覚ました。抱きしめていた腕から彼女を解放すると
「う、ふぅぅぅ」
伸びをし、こちらを向き
「おはよう、くおー」
「ああ、おはよう」
朝の挨拶を交わしベットから出て彼が着替えを行いつつ
「んじゃぁいつも通り、弁当作って来るのと、ついでで朝食持ってくるからその間に着替えておけよー」
「ん、分かってる」
彼女がうなずき返すのを確認してから着替えが終わったので部屋から出てキッチンに向かう。
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6:25
「「ごちそうさまでした」」
彼が持ってきた朝食を食べ終わり食後のちょっとした時間を過ごす
「そいやぁ水着向こう置きっぱなしだったな。週末買に行くか」
「私もついてく」
「ほいほい、金は溜めてるからついでに夏用の服も買ってくるか。流石に夏にコート着るのは来てる本人はいいけど周りが暑がるし」
「それしか無い事に驚き」
「だってさ、あれ着てれば年中適温に周りの空間が調整されるから1着あれば問題無いんだよなぁ。自動浄化も付いてるから汚れてもすぐ綺麗になるし」
「…確かに」
「だろ?」
そこからも他愛も無い話が続いていき、気が付くと彼女が出勤(もう学園内には居るのだが)時間になっており
「いってきます。お昼は屋上?」
「いってらっしゃい。いつも通りなー」
短いやり取りを交わし彼女を見送る。今日もまた騒がしい1日が始まる。今日はどんなトラブルがあるのだろうとわくわくしつつ今日の授業の準備を始める彼であった。
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8:25
予鈴が鳴る音が聞こえ周囲に目を向けると
(一夏、篠ノ之、デュノアにボーデヴィッヒが居ないか。今日は織斑先生のSHRなのに度胸がある連中だな)
当の織斑先生は予鈴と同時に教室に入ってきた。
(奴ら間に合うか?間に合わなかったら…)
万が一の事を考え心の中で念仏を唱えていると
(ん?デュノアと一夏の反応が高速で…IS展開したなこれ、予鈴なっただけだから教室には居ないと踏んだ訳か…マジで終わったなこれ)
その数秒後
「到着っ!」
「おう、ご苦労うなことだ」
出席簿アタックの前後に短いお説教をはさみ一夏とデュノアは放課後教室掃除が決まった。篠ノ之とボーデヴィッヒは後ろからこそこそと入ってきて何食わぬ顔で席に着いていた。
SHRは来週の臨海学校についての話をされた。朝一番にトラブルがあった程度で今日一日は平穏無事に終了した。
此処から物語はこの世界の主人公とヒロインを魔導へと巻き込んでいく
さてさてそれがどのような影響を及ばすか…未だ分かる者は少ない