さぁ各員駄文を読む準備はOK?OKならば逝ってみよう
6月最終週
学年別“タッグ”トーナメント。そうタッグ、つまり2人一組でのトーナメントなのだ。本来は1人だったはずだが、一夏達がちょっとした騒ぎを起こした日にルール変更がありこうなった。
彼は誰と組んだかと聞かれても
「当日のお楽しみという事で」
と返すだけで、誰と組んだかは教えることは無かった。
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どこかの更衣室
先程まで全生徒で雑務や会場の整理、来賓の誘導を行っていた。それからようやく解放され更衣室で着替え終わり(男子だけで一部屋が割り当てられている)彼は先程から狂気を感じさる笑みを浮かべ、低い小さな声で
「ふ、ふふっ、ふははっ………」
この様な笑い声を上げていた。なるべく気にしない様にしていた一夏とデュノアだが離れていても何故か耳にその声が入ってきて早く試合始まれよと2人そろって思い始めた時
「あ、対戦相手決まったみたい」
モニターがトーナメント表に切り替わる。先程まで笑い声を上げていた彼も近づいてきた。Aブロック第1回戦の組み合わせは
「「――え?」」
「ほう」
一夏とデュノアはポカンとした声を出し、彼は喜の感情を乗せた声でそう言った。
Aブロック第1回戦一組目
織斑一夏&シャルル・デュノア対ラウラ・ボーデヴィッヒ&大十字九桜
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「一戦目で当たるとはな、待つ手間が省けたというものだ」
「そりゃあなによりだぜ、こっちも同じ気持ちだぜ」
「お手柔らかにお願いしますよ」
「こちらこそ」
互いに言葉を交わし、――――試合開始
「「叩きのめす」」
一夏とボーデヴィッヒの言葉が奇しくも重なり一夏対ボーデヴィッヒの形になり、量産機『リヴァイブ』に乗った彼は
「学校貸出し品なので無茶な軌道はできませんが………行きます」
右手にIS用近接ダガー、左手にハンドガンを展開、そして
「なっ」
右手に展開したダガーをデュノアに対し投擲した。流石にいきなり投擲してくるとは思ってもみなかったのだろうが、流石代表候補生驚きはしたものの体を僅かに横にずらし回避
だが…
「その動きはいけませんねぇ」
「掠っただけですか…やれやれハイパーセンサーはつくづく面倒くさいものですね」
奇襲に近い攻撃も後ろに飛ばれ掠っただけ。しかも今現在弾丸もプレゼントされている中彼は命中弾をダガーで弾き飛ばすといった神業を軽々とこなしている。
「一体どれだけ規格外なのっ!!」
デュノアがそう叫び、アサルトライフルからショットガンに持ち変える。
だがデュノアが叫ぶのも無理は無かろう。先程言った命中弾というのはデュノアの持つアサルトライフルからから放たれている
「いえいえ、私などまだまだですよ。目標は遥か彼方にありますので」
手にしたハンドガンの1弾倉分を全弾命中させハンドガンを収容し近接ブレードを展開し、瞬時加速で距離を詰め
「この乱撃から逃れられますか?」
左右に持った剣での乱撃、時には体を回し、時には蹴りを混ぜ。離れようとしても間合いを離さずピッタリと付いていく。だが…
『ある程度はパターンで組んでいる乱撃ですので上手い事隙を見つけて抜け出してください。それからは先程言った通りに』
『うん、分かってる。だけどほんとにいいの?』
『構いません。やっちゃってください』
少し時間は遡る
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更衣室。対戦相手の発表の驚きも落ち着いたデュノアに彼は
「少し頼みたいことがあるのですが」
「負けてくれ、って言うのならお断りだよ」
「失敬な、そのような事ではありませんよ。」
じゃあ何?とデュノアが訪ねてくる。彼はそれに対し
「試合中、見ているだけでは分からない隙を作りますのでその隙をついてボーデヴィッヒさんに貴方の持つ最高威力兵装を叩きこんでください。第2世代武装ならば
そんなことを言ってのけたのだ。それにデュノアと近くで聞いていた一夏は
「「はぁ?」」
意味が分からないといった声を返すが彼はクツクツと笑いながら
「なに、きっと面白い事が起こりますよ」
と返すだけでそれ以上は秘匿していた
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時は戻り現在
乱撃のパターンを把握し、乱撃の中から飛び出したった今一夏のシールドエネルギーを零にしたボーデヴィッヒにデュノアが突撃する。無論バレると拙いので彼も追いかける。だがデュノアがボーデヴィッヒに接近する方が早く先程乱撃を抜け出す際に展開したたての中に隠していたパイルバンカー盾殺しがボーデヴィッヒに3発打ち込まれる。ボーデヴィッヒのISのシールドエネルギーが零になり、デュノアがこちらに向き直ったその時
「ああああああッ!!!!!」
突然ボーデヴィッヒが身を裂かんばかりの絶叫を発する、同時に彼女のISから激しい雷撃が放たれる。だが雷撃が放たれる間際、彼がデュノアと近くに居た一夏を抱え後ろに飛んでいたため、3人とも難を逃れた。
「一体何が……。――!?」
「なっ!?」
「これは…」
目の前でボーデヴィッヒのISを形作っていた装甲がドロドロに溶け、ボーデヴィッヒをその黒いドロドロが包み込んだ。
『観察室、観察室聞こえていますか』
彼は真っ先に教師のみが立ち入れる観察室に連絡を送っていた。
『こちら観察室、聞こえている』
『織斑先生が居ましたか、ならば話は早い。至急観客の避難を』
『ああ、分かっている。お前たちも早く脱出しろ』
『観客の避難までの時間を稼がなければならないでしょう。それまでは残りますよ』
『ならば織斑とデュノアにそう伝えろ』
『了解』
連絡を取っている間にも変化が進んでいる。ボーデヴィッヒのISだったものは今や彼女の全身を覆いつくしその表面を流動させながらまるで心臓の鼓動のように脈動を繰り返していた。避難指示の放送が流れ、来賓、生徒が避難を始める。
彼はISだった物に体を向けると
「一夏君、デュノアさん。貴方たちも避難を」
「お前は…」
「避難が終わって教師鎮圧隊が来るまでの時間稼ぎですよ。そろそろあれも…」
言い終わりかけたその時だった。ISだった物が地面に降りていき、地面にたどり着くと一気に形が変わった。全身を変化、形成していくとそこに出来上がったのは黒い
「雪片の模造品…ですか」
そう、織斑先生が現役時代に使っていたISの武装、入試試験で、まじかで見たそれの模写がその手に握られていた。刹那、ISがこちらの懐に入りこんでくる。刀を中腰に引いての構え、紛れもなく試験の初めに彼が受けた織斑先生の技。例え躱したとしても、上段からの斬撃に繋がるものだ。彼は、ある1つの武装…IS用ではなく個人携帯用だと思われる物…を展開、そして……
「量産機の修理代払えるといいのですが」
物悲しげな声を出しISから抜け出し、後ろに先程展開した武装を回収し下がる。
「「大十字ッ!!!」
「大丈夫です。生きてますよ」
彼らが居る近くまで下がると、冷たい声でデュノアが
「ねぇ?これがさっき言ってた面白い事?」
そう言われたため彼は
「まさかこんなものが出てくるとは思いもよりませんでしたがね。
「じゃあなんでっ」
「面白いと言ったのかですか?ただの勘ですよ。よく当たるのでそれに従っただけです」
悪びれもせずにそう言い放った。間髪入れず
「これは今現在の兵装の私一人では時間稼ぎが手一杯でしょう。手伝ってもらいますよ。デュノアさんは一夏君にエネルギーの供給。時間が掛っても良いので確実に。織斑君は私が隙をつくのでその隙を狙って零落白夜であれを掻っ捌いてください。頼みましたよ。文句などは後で聞きますので。」
そういい手にした細身の浅黒い剣を手にISに接近していく。自殺行為としか取れない行動だが彼は
「動きやすくなりましたねぇ」
気楽に、まるで遊びにでも行くかのように近づいていく。それを逃すはずもなく上段から剣が振るわれるが彼は刀身を傾け、その上を滑らす事で回避。次は横から来るが彼は
「思ったより軽い剣ですね」
手にした剣でそれをその場を数ミリもずれる事無く防いだ。後ろを振り向き
「あ、やっぱり早めに指示したことをして下さいね~。此方も中々きついので」
後ろに早くしろと指示をする。そしてチラリと観客席の方を見ると
(やっぱ残ってたかアメリカ来賓)
軍服を着こなした女性と、まだ幼子と呼んだ方が良いであろう背の白い少女がこちらをジッと見ていた。彼はやれやれと首を振り
(カッコ悪い所みせれねぇな)
表情を引き締め防いでいた刃を跳ね上げ横薙ぎに一閃する。だが避けられ、こちらに剣が振られる。それを弾き剣を振るう。弾かれ剣が振るわれる。そのような事を何十と繰り返すと後ろから一夏とデュノアのやり取りが聞こえた。振り下ろされている剣をいなし、その上に脚を振り下す。
「今ですっ」
「応!!」
隙が出来た瞬間一夏が突っ込み零落白夜のエネルギー刃を振り下した。紫電が走りISが2つに割れる。その中から一夏はボーデヴィッヒを助け出した。彼は観客席に手を振りピットに戻って行った。
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翌日
昨日はなんだかんだ色々と文句を言われ人間かと疑われたし、ボーデヴィッヒが何やらIS間通信で話していたことを盗聴し笑いを堪えるといった事があの後あったが特に特筆すべき事も無いので省略。
(やっぱ探知半径15mじゃちっちゃいかね?ここは30ぐらいいってみるか)
彼は探知魔術の改良を行いつつ朝のSHRまでの残り1分ほどの時間を潰していた。
(お、やっぱこっちの方が便利だな。山田先生がこっち向かって……あ、あれ?何かの見間違いかな?ハハハ気づかぬ間に疲れが溜まってたか。デュノアの反応は良いとして、なんでアイツの反応があるんだよ!?!?!?)
有り得ない反応があった事に鈍い汗がダクダクと出てくる。そして朝のSHR、やけに元気がない山田先生が転校生と
「は、ひゃいっ」
明らかに幼い声が返ってきた。大十字はその声を聴き更に鈍い汗が出てきた。
「きょ…今日から夏休みまでの間…実習生として…こ、この…学園にきました。あ、アイン・S.・オウル…です。よ…よろしくお願い…します」
小さかった。125か126ぐらいの身長しかなく長い髪をポニーテールにしているアメリカ来賓の席に座っていた白い少女がそこにいた。人前が苦手なのかビクビクとした喋り方だが自然と耳に残る声だった。だが問題はデュノアが女子だった事だろう。何故なら昨日は男子の浴場解禁日。しかもデュノアの目撃例がクラスの中から上がりその結果…
「一夏ァァァァァッッッ!!!!!」
恋する乙女1(中国)がドアを凄まじい勢いで開け、ISを展開し
「死ね!!!!!!!!!」
フルパワーの衝撃砲を一夏に向かって解放し
「それはまるで飛び散ったケチャップの様でした」
ぼそりと現実から逃げるため呟いた言葉が周りの女子に伝播し、例えが沢山上がったが衝撃砲がボーデヴィッヒに止められ
「あ、キスした」
止めた後ボーデヴィッヒが一夏にキスをし、俺の嫁宣言をしクラスがまた沸いた。完全に観戦モードに移ったクラスの中、彼の制服の裾が引かれ、そちらを見ると
「いつも…こんな感じ?」
「まさか、こんなテンションが何時も続いてたまりますか」
白い少女が聞いてきたのでそう返す。周りの女子の一人が彼に
「ねぇねぇ、ずいぶん親しそうだけど2人ってどんな関係?」
わくわくした声で聞いてきた。その周りも観戦しつつ聞き耳を立て答えるしかない雰囲気になってしまっているため彼は正直に
「自己紹介の時に話した彼女ですよ。ええ」
この展開になるのが嫌だったんだという顔でそう答えた。一瞬にして全ての物音が止まった。そして
「「「「「「「「「「「ええええええええええええええええーーーーーーーー!?!?!?!」」」」」」」」」」」」」」」」
声が響き渡り、彼が顔を下げると彼女がそれを撫ぜる。ザワザワとし出す中彼は、もうどーにでもなーれと心の中で呟いたのであった。
次回から3巻でおじゃる。