その無限なる時の旅路~無限の空~   作:黒水 晶

16 / 69
タグ少し変化


第16話:紅

なんだかんだで五月になりクラス代表戦。この間に一夏の方にはイベントが幾つかあったが、彼はその全てのイベントに居合わせなかったのでここにあったという事だけ記しておく。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

なんとかアリーナ内の観戦チケットを入手できた彼は周囲360度を女子に囲まれながら試合開始を待っていた。

 

『騒がしい』

 

『ま、仕方ないさ。世界初めてのIS操縦者が1回戦目に出てくるんだから騒がしくなるだろ』

 

まぁここの2人は全く変わらないのだが………

 

そんなこんなで一夏と凰の試合が始まった。

 

凰が放った初撃を一夏は辛うじて防ぎ三次元躍動旋回(クロス・グリッド・ターン)をおこない凰を正面に捉える。

 

「ふうん。初撃を防ぐなんてやるじゃない。だけど―――」

 

凰がそう言い、手にした異形の青竜刀をバトンを扱うかのように振り回す。両端に刃が付いたそれは変幻自在に一夏に迫る。辛うじて一夏は剣戟を防いでいるが、このままでは不味いと思ったのだろう。距離を取ろうとする動きを見せるが、そこに

 

「――甘いっ!」

 

凰の専用機の肩の非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)が開いた。その瞬間一夏が殴り飛ばされた。彼の周りの女子がざわめきだす。何が起こったのか分からなかったのだろう。そこに彼の言葉が響く

 

「衝撃砲という兵器ですね。空間に圧力をかけ砲身を作成。余剰に発生する衝撃を弾丸として打ち出す。第三世代型兵器です。」

 

その説明におお~という声があがる。隣の女子が

 

「それじゃあ、弾が見えないんだよね。そんなの躱せないんじゃ…」

 

と聞いてくるので彼は

 

「いえ、弾丸を放つという事は通常の銃器などと同じなので相手の目線を読めば躱すことは難しくはありませんよ。無論代表候補生レベルともなればそう簡単には目線を読ませてはくれませんが」

 

それと、と彼は付け加える

 

「ハイパーセンサーならば空気の流れを読むことも可能なので、後手後手になりますが目線を読む技術が無い人でも躱すことは可能ですその証拠に……一夏君は躱しているでしょう?」

 

そう言われ、アリーナの方を向く女子達。確かにそこにはなんとか衝撃砲を躱す一夏の姿があった。周りからすごい、すごい、という声が聞こえてくる。

 

衝撃砲を躱している一夏から凰に声がかけられ、それに対し凰が返答するといった流れがあり、一夏が瞬時加速(イグニッション・ブースト)をつかい一気に距離を詰める。凰に刃が当たろうとしたその瞬間………

 

アリーナに貼られているシールドバリアーの一部が壊され、赤い機体が壊し内部へ侵入した。

 

「馬鹿なッ!!」

 

紅い機体を視認した瞬間、彼が立ち上がる。

 

周囲…否、アリーナや廊下、リアルタイムモニターにて観戦していたほぼすべての人間が一斉に失神した。それを免れた者も激しい頭痛に頭を抱えてた。

 

『危険。第一級魔導鬼械の反応を確認。』

 

『んなこたぁ分かってる。行くぞ、おそらくあれは無人機だ。完全破壊してもだれも死なん』

 

『分かるの?』

 

『ああ、あれは…鬼械神(デウス・マキナ)リベル・レギスは…もはや存在していない。例えしていたとしても、あの御仁がこんなことをするとは思えんのだ。恐らく混沌あたりがこの世界の技術者をつかって作り上げさせたのだろうな』

 

この間0.1秒。会話が終わると同時にISの展開が完了。リベル・レギス・レプリカが開けた穴からアリーナに侵入する。その時辛うじて意識が残っていた織斑先生から通信があった

 

『大…十字……貴様…何を』

 

『あれを完全破壊するだけですよ。なに、ここで起こったことは夢幻だと思っていてください』

 

とだけ伝え外部通信を遮断。一気にリベル・レギス・レプリカに肉薄し剣を振るう。だが簡単に当たる筈もなく黄金の剣により防がれ、そのまま剣を砕き黄金の剣が迫る。それをぎりぎりで回避し

 

『オウル、リミッター全解除しろ。』

 

『それでも届かない』

 

『いいから解除しろ!!こっちから無理矢理魔力流して強化する!!』

 

『無茶苦茶するね……リミット全解除行けるよ、くおー』

 

リミッターが全解除された瞬間、翼状のスラスターが肥大化し、両手首から肘その先1mほどのブレードが表れた。そして

 

『魔力流入開始、機体を鬼械神と同等になるまでの強化を開始』

 

魔力流入を開始したと同時に機体の色が白から黒へと変わっていく。だがその隙を見逃すはずもなく紅の機体が剣を構え音速を超え突っ込んでくる。だが

 

「もう、お前の速度は遅い」

 

その場から彼は掻き消え、紅の機体の後ろに出現。そのまま左手を切断する。紅の機体は瞬時加速を行いそれ以上の欠損を防ぐ。そしてこちらを向いた紅の機体は右手を白く輝かせる。

 

「おいおい、ハイパーボリア・ゼロドライブ(それ)を再現させたのかよ。まったく面倒くさい」

 

ボヤきながらも彼は今の状態で放てる最強の魔術を放つため、己の魔力を練り上げ、右手首についているブレードを前方に展開し、その切先に幾重もの結界を張り詠唱を開始する

 

「我ガ魔術ノ杯ヨ、ソノ内部ノ世界ヲ回帰サセヨ。回帰シ回帰シ原初ト成レ。原初ノ世界ヨ今此処ニ現レ触レシモノヲ同化サセヨ」

 

紅の機体が右手を突き出しつつ向かってくる。だが

 

「顕現セヨ虚無ヨ」

 

詠唱が終わる。幾重もの結界の内部空間が消えていく。原初の世界に溶けて消えていく。その結界を、今まさにこちらへ向かってきている紅の機体にぶつける。結界が割れ、虚無が広がる。紅の機体が飲み込まれ消えゆく。そして

 

「空間切断。虚無よ去れ」

 

空間を切断し、虚無が切断面に触れると勢いを無くし消えていく。虚無によって消された空間は修復され、紅の機体は完全に消え去った。

 

「事後処理の為、一時的にアカシックレコードに接続本来、起こる筈だった歴史を読み込み。この世界で起こった事に対応させ上書き。10秒後上書き開始」

 

彼は、10秒の間にアリーナの観客席に戻りISを解除及び、外す。10後歴史は元に戻り、本来ある筈であったゴーレムⅠの襲来に書き換わり、本来通りに結末に至った

 




ゴーレムは犠牲となったのだ。九桜無双のための犠牲にな・・・

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。