その無限なる時の旅路~無限の空~   作:黒水 晶

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あいえすがくえんにてんこうしてきただいじゅうじくんに、てんこうしてからはじめてのおしごとがいらいされます。かれはぶじにおしごとをせいこうさせることができるのでしょうか?


新12話:はじめてのおしごと

その日の夜、織斑一夏就任パーティーが行われている中

 

”大魔導師”大十字九桜のIS学園における初めての仕事が始まった

 

事の始まりは放課後、彼が寮に帰ってきた時まで遡る

 

彼は、授業が終わり寮に誰とも合わないよう多少大回りな道を使い寮に帰り、自室で彼女と会話をするという日常を送っていた。

 

『そういえば今日だっけ?一夏のクラス代表就任パーティー』

 

『是。クラスの皆の都合がいい日が今日しか無かったみたい』

 

今日のSHRにクラスの女子の満場一致で決まった織斑のクラス代表就任パーティー、騒がしくなるだろうがこういったイベントごとで人間観察するのが好きな九桜はその様子を録画術式で保存しておいて長期休暇で向こうに帰ったらオウルに見せようと計画を立てていく

 

「ん?」

 

遠方からかすかな気配を感じ取った。大学で使われている式神系の使い魔のものだが

 

『鳥系の高速移動対応型の式か……こりゃお仕事来たかね』

 

『是。大事の可能性』

 

式が窓の前で止まり、彼は窓を開けてその式を部屋の中へ入れると式は偽装用の体の実体化を解き手紙へと変わった。そこに書かれていた内容は

 

[IS男性操縦者が目障りな魔術結社が何時まで経っても呪いの効果が出ない事に痺れを切らしティンダロスの猟犬を召喚した。我々はその場に突入し結社を壊滅させたが、ティンダロスを滅することはできなかった。最悪な事に何処からか奴等は織斑一夏の頭髪を入手しティンダロスに獲物と認識させていた。ティンダロスに負わせた負傷の度合いから言っておおよそ夜7時以降に織斑一夏を狩りに行くだろう。そこでお前だ。ティンダロスからの織斑一夏の防衛が今回の指令だ。学園関係者に気取られることの無いよう守り、ティンダロスを狩れ。]

 

『よし、踏み込んでティンダロスなんていう危険生物を取り逃がした奴らは戻ったら説教+訓練だな』

 

『魔導機械科にしごかせてもいいと思う』

 

などと手紙を読み終わり物騒なやり取りする2人であったがすぐに切り替え

 

『まずは結界だな。次()()()()()()()()()()()()を付与した結界はっといて、アリーナに位相世界作ってそこでティンダロスに一夏だと誤認させるダミーを仕込んで誘き寄せてそのまま消滅までもってくって感じかね』

 

次元と時間軸干渉不可の付与は何百人の大魔術師が最高の触媒を使い何十日もの時間で行う魔術の深層、位相世界の創造など神具を使わなければ現実と干渉し合い現実側が消滅するモノであるが彼は通常の魔術を使用するかのように言ってのけた。

 

『パーティー出れなくなったね』

 

『仕方ないさ……まずは結界だな。屋上から展開すればいいか』

 

彼女の少し残念そうな声に言葉を返しつつ先日届いた荷物に入れていたコートを羽織り自身に光学迷彩術式と気配断絶を掛け窓から飛び出し飛行術を発動そのまま一気に屋上へ上りすぐさま結界の展開へと移る

 

『オウル位相世界の補助準備に入れ、時間軸の不干渉化は一人で十分だ』

 

九桜とオウルが2人で組み上げ、IS用の総合火力制御及び機械語翻訳の魔道書でもあるAIオウルに伝え懐中時計型魔道具”ド・マリニーの時計”を取り出し起動させた。そんな彼に

 

『本当に?』

 

ゆえあって本来の力の京分の一以下(・・・・・・)しか出せない九桜の現在の力はこの程度の術式にも補助が必要になる程度しかないが

 

『こ()()()()()なら問題は無いさ。それに、時間軸の不干渉化は時計を使ったらすぐに終わる。そっちは位相世界創造用の補助の準備を今のうちにしといてくれ。』

 

と、言葉を返すついでに、一夏に体調が優れないのでパーティーを欠席すると白式に送っておく。

 

数秒で寮の結界の展開が終わり時刻を確認するために懐中時計をポケットの中から取り出し時刻を見る

 

『5時半か……位相世界の創造に1時間程掛かるが余裕で間に合うな』

 

『是。アリーナの使用状況を調べてみた結果現在13番アリーナが使用されていない』

 

『ありがとうオウル』

 

礼を言い13番アリーナに飛び立ち、数十秒後に到着。そこから位相世界を創造するため多量の術式を展開していく。その数は10,20,40……とネズミ算式に増えていき

 

『しめて65535の術式展開完了。これより位相世界創造を行う』

 

『術式制御開始ゆっくり魔力を注いでね』

 

『ああ、分かっているさ』

 

彼らはこともなげに周囲に展開している術式だが、ほぼ全てが魔術の奥義と言っても過言ではない術式ばかり展開されている。尚且つその一つ一つが繊細な魔術制御を要求していて少しでも注ぎ込む魔力が多すぎると互いが干渉しあい暴走。漏れた魔力と半端に作動した術式の余波で半径数十kmが完全に消し飛ぶ。そんな精密作業を平然と行っている彼らは異常すぎるのだ

 

危なげもなく1時間に及ぶ作業を終え位相世界に移り織斑の魂情報を焼き付けたダミーの作成およびその近くの鋭角の製作を行い時刻は18:15

 

まだ時間には余裕があるので部屋に式を送り万が一の場合に備えさせておく。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

時は進み19:10

 

鋭角から青黒い煙が立ち込め始め、その煙が像を作り始めた。像が完全に形を成すとダミーに咬みついた。情報遮断結界からその様子を見ている九桜は

 

「さて、技をお借りしますよ。旧神様」

 

拳を構え、その拳を中心に術式を展開し

 

「光射す世界に、汝ら闇黒、棲まう場所無し――渇かず、飢えず、無に還れ」

 

詠唱が終わった瞬間、音速を瞬時に超え、亜光速レベルに加速し、拳をぶつけ

 

「レムリア・インパクト」

 

術式発動の最後のトリガーである(しゅ)を紡いだ、ティンダロスを中心に重力結界が拡大内部に無限熱量が展開され、結界がそれを抑え込むように縮小し消滅。

 

『終わった』

 

『仕込みの時間の方が長かったな』

 

さてさて、危険生物を逃がした連中にはどんな報復をしてやろうかと考えながら位相世界を解体していく九桜であった。

 




気づいたらお気に入り登録者数が3人も増えててびっくりしたわ

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