それから20数分後、一夏が一次形態移行をし、通常は二次形態移行にならなければ発現しない単一仕様能力発現し、なおかつそれの単一仕様は織斑先生が現役時代に使用していたIS「暮桜」に発現していた能力だった。といった事があったもののシールドエネルギーを莫大量使うものだったため一夏は負けた。さんざん織斑先生を持ち上げておいて負けたのでピットに戻ってきてから織斑先生に
「よくもまぁここまで持ち上げてくれたものだ。その結果がこれか大馬鹿者」
と言われていたが……それは兎も角とし、彼は
「一夏君のシールドエネルギーもそろそろ回復するでしょうし、先にアリーナに行っていますよ。」
そう言いアリーナに入っていった。アリーナに入ったときに歓声があがり彼は微笑して手を振り答えつつ
『まさかここまで歓声があがるとは思わなかったのだが』
『2人しかいない男子なら普通』
彼女と話していた。彼なりの時間潰しでいつも通りの事なので問題はない。
―――――――――――――――――その数分後――――――――――――――――――
一夏が純白のIS…白式…を身に纏いアリーナに入ってきた。その姿はまるで騎士の様であった。
彼のISも同じ白色なのだが、一夏の白がどこか優しさを感じさせる白なのに対し、彼の白は全てを消し去る虚無のように感じる白であった。
『良い色だな。俺の白と違って優しい色だ』
『虚無の色と包み込む色』
彼は今まで浮かべていた微笑を消しこう言った
「少し本気を出しますよ、一夏君」
「は?」
その瞬間彼は一瞬光に包まれそして………
「装甲が………それにスラスターが」
一夏が驚いたような声をあげた。
そうれもそうだろう。
脚部装甲が先程の形態と変わり横幅が薄くなり前部には刃が付き、背部スラスターは2つから翼のような形の物が6つに増えたのだ。一夏が驚くのも無理はない。
「オルコットさんの場合はあの状態でも十分でしたが、あなたの単一仕様は万が一にも当たると危険ですので手加減は無しです。さぁ来なさい」
ISから剣を展開し、それを構えながら彼はそう言った。それに対し一夏は
「ああ、行かせてもらうぜっ!!」
得物……雪片弐型を構え直線に突っ込んできた。無論そのような単調な攻撃に当たるわけも無く、体を少し右にずらし回避。そこから白式に剣を切り付け白式のシールドエネルギーを減らす。一夏も雪片弐型を振るが、彼の剣に防がれる。その後何度か双方得物を交え、鍔競合いになり
「あの移動法は使わないのか」
「ええ、加減はしませんがあなたの力量はみたいのでね」
そう短い会話を挿み彼はスラスターを全開にし剣を振るい鍔競合いの状態から一夏を吹き飛ばす。その後何度かそのような相対が続き
(主人公補正って奴かねぇ……この異常なほどの成長速度は)
(面倒?)
(いんや、羨ましいだけだよ。こちとら修行の時さんざん苦労したからなぁ)
一夏との剣戟の中思い出されるは親族一同に技術を叩きこまれ続けた修行の毎日
(あの人達こっちがボロ雑巾になるまで辞めねーんだもん。ボロボロになったらなったで回復魔法で精神状態ごと回復させてくるし……術者が接近戦やるのは最終手段だって聞いたときは驚いたわ)
(あなたの所がおかしいだけだと思う)
(あ~れれ~?)
もはや雪片弐型を手にした刀で受けることもせず、シールド膜の僅か数ミリの位置で躱し続ける。これは一夏が攻撃の時にとる拍子がつかめ、こうしてやるとこうなるともいえる予測とその行動を寸分の狂いなく動作できるまで至っている彼が遊びで行なっているだけである。攻撃がパターン化されている事に気付いたのか一夏は焦りにも似た様な表情をしたが、何かを思い出したのか直後には顔の表情が変わり
(集中してんな……こりゃなんかやって来るかね?)
(どうせ回避できるでしょう?)
そりゃなと返しておき、こちらもほんの少し集中する。拍子はまだ変化はない。だがここからどんな変化があった瞬間に対応する。まだまだISの反応は彼が満足するものではないが対ISならば何があったとしても十分に対応できることは調整のためにアメリカの代表や代表候補生と戦っていた時に分かっている。だからこそ、集中の中ほんの少しの油断が生まれたのだろう
「シッ」
短い呼吸音と共に放たれたのはこちらの拍子よりも早く放たれた一閃。高速で放たれた刃はこちらの胴体部分を狙いすました一撃は多少無理しなければもはや回避することはできないだろう。
(あ~少し油断した)
(どうする?)
(さっき
高速圧縮された思考の中でのオウルとのやり取りの後彼は迫ってくる刃に対し半回転するように後ろに下がり右膝をかち上げ
「これは飾りで付けてあるわけではないんですよ」
直後、雪片弐型とエインソフの脛部分についていた刃が激突する。そのインパクトの瞬間、九桜は少し浮かびあがり、その衝撃によって大きく距離を離す。
「もう十分でしょう。そちらの手札も大分出させれたようなのでそろそろ終わりにしましょうか」
そう言い、彼は手にしていた刀を格納。そして彼の背後が一瞬莫大量の光が生まれ展開された物は
「はぁ!?!?なんだそりゃ!!!」
「コンクリの柱にブースターをつけた物ですが?これを作った奴曰く“載せちゃいけないんですか”だそうです。馬鹿ですねぇ」
IS1機分はある太いコンクリの柱にブースターを大量に付けただけの兵器と呼べるかさえ疑うモノ。開発者が付けた名称は“マス・ブレード”だそうだ。彼も始めはこの装備が使えるモノだとは思っていなかったが実際使ってみたら評価がガラリと変わった。シールドエネルギーが大量にあるISだろうが1撃で落ちるほどの破壊力がこの柱には存在しているのだ。その分エネルギーをバカ食いするが……
背中側から伸びてくるアームに接続された持ち手を手に取りエネルギーを込めていく。
「なに、痛いのは一瞬だけですので安心して食らってください。」
「安心できるわけねーだろうが!!!」
そう言って距離をとり始める一夏。なるほど確かに距離さえおけば当たらないだろうと言う考えだろう。だが、彼の加速器数は背中の大型スラスター6つ+マス・ブレードに付いているブースター1つ。ブースターだけで
「まぁ当たりますよねぇ」
行った。全ての速度を解放し逃げる一夏へと一直線に。音速を軽々と突破した彼は数瞬後には織斑の背中に下から掬い上げるようにマスブレードをぶち当て
「たーまやー」
上空へ跳ね上げた。ブザーが鳴り勝負が決まった事を知らせるアナウンスが流れる。
「勝者、大十字」
なお、この試合後からしばらく一夏とオルコットは彼の姿を見る度にビクリと体を震わせるようになったとか無かったとか
なんか加筆修正しすぎて前の面影ないなこれ