全身刺青の男が窓の外を見ると、その視線の先にはワルプルギスの夜がそのまま影になったようなシルエットが浮かんでいた。あらゆる場所から黒い霧のようなものがそこに流れ込んでおり、中心部には凄まじい「負」が集結していると、アンリは感知する。
目を離し、後ろに手を回すとおもむろにアンリは口を開く。
「しっかし、この世界も随分楽になったみたいだな?圧倒的に絶望の量が感じられなくなってやがる」
「ひとえに、あなたのおかげよ?」
「そりゃ結構! こっちは、残念なことに『人員』が数万人は増えちまったけどな」
「……改めて聞くと、とんでもない能力よね。人を食った話には違いないわ……」
「クカカカカカカッ! まぁ、その数万人はオレの『中』で楽しくやってんだろうさ。住民だけは色とりどりなもんでな」
あの後、『まどか』を連れてマミのマンションへ向かった。
数年ぶりに見る彼女の家は変わっておらず、共に生活していた頃を彷彿とさせる。
そんな感動もあったが、アンリはそう言った世間話や向こうでの活躍による土産話しか口に出さなかった。
なぜなら―――
「まあ、それはともかくとして。…シャルはいいわよ? でも、どうして『鹿目さん』はそこまでベッタリしているのかしら?」
「あ~っと、それはだな………」
言葉を濁してまどかの抱きつきの猛攻を避け続けているアンリ。時には泥となり、時には関節技を駆使して抜け出していた。
その中でマミの言葉に反応したのは『まどか』だった。
「私はアンリさんの『相棒』ですから♪ ……ふふふ。契約で縛り付けた古い人より、自由に世界を飛び回った私の方が良いですよね?」
「ややこしい言い方するなっての。つか、世界の管理ほっぽり出しといてよく……」
「『さやかちゃん』に丸投げしといたからしばらくは大丈夫ですよ! ね、アンリさん」
「……大丈夫、なのか? 世界の管理を任せるって」
「はい♪」
「……まどかジャマ。オカアサンノポジトルノダメッ」
そう言いつつも、『まどか』に反省の色は見られない。シャルの言葉も右から左へ聞き流している。この状況を単純に楽しんでいるのか、はたまた愉快犯か……結局一緒の気がするが、そこに行き着くしかないであろう状況だ。
だが、マミもそんな雰囲気を自分の家で許す程温厚では無い。
「あー! あー!! 待ちなさぁぁぁいっ!!! 鹿目さんもそれ以上煽らないの! それで、本当のところはどうなのかしら、ア・ン・リ?」
「話す。話すからそのマスケットを仕舞ってくれ。…………この世界を出てからなぁ、そりゃ色々あったさ」
彼は数々の世界を巡った。
その数こそ二桁に及ばないが、それでも一つの世界での出来事は深く、濃厚な物だった。
とある世界では、科学と魔術が世界規模で競い合い。
またある世界は、電子の海で聖杯戦争が行われた事。
ほかの世界でも、虚という悪霊と間違われて魂を葬られかけた。
いくつもの危機があり、いくつもの友情があり、いくつもの救いがあり……それより多くの破滅をもたらしたこともあった。その旅の最中、三番目の世界に彼女…『まどか』が窮地に現れ、ある世界の元凶を消滅させて以来ずっと付いてくるようになった。
「で、そのついてきた理由がまた滅茶苦茶で……」
「私の憧れです! いや、今となっては愛と言っても過言ではないでしょう。そう、アンリさんと出会った時、私は彼に寵愛される為に概念と化したのだと感じました! あの時の登場こそ時代を越え、可能性の壁を越え、あらゆる願いを叶える聖なる杯は、私がアンリさんと出会うために仕組んだ道筋に過ぎなかったのです! そうです! だからこそ世に平穏の在らんことをと願っていた私の祈りが世界に通じて私という概念が実体化できるようになったんです。だから、神たる存在にも喧嘩を売ることが出来る私は―――」
「はいカット!」
「あ、痛ぁ!!?」
「うっわ。痛そ」
「(*^_^*)ザマァwww」
暴走しかけたまどかをマミが包めた新聞紙ではたく。パァンッ! と、渇いた小気味の良い音がして、桃色の長髪はテーブルの上へとしだれかかった。頭の上から出ている煙は幻覚じゃないらしい。
だが、ここまで腐っていても流石は神(笑)。すぐさま起き上がり、両手をぶんぶんと振りまわしながらマミへと文句を投げつける。
「ちょ、マミさん何するんですか!? 今いい所―――」
「動機次第では交際を認めようかと思ってたけど、鹿目さんのは不純すぎるわ! これは義妹として認めません。アンリもこんな娘、早く切っちゃいなさい。こっちの鹿目さんの方がまだ純粋よ」
「純粋なのは分かるが、流石に黒桃コンビと化した二人の間に割って入る勇気は無いっつうの。……すっかり白百合咲かせてんのに、その花散らして『ヌスビトハギ』の花咲かせるってか? 無理。絶っっっっ対、無・理!!」
マミの意見に反対したのは、この世界のほむらとまどかの関係にある。
彼女らにはそのつもりは無いのだろうが、ほむらはほぼ通い妻。まどかは親身に答える無償の妻という形で、すっかり二人だけのフィールドが出来上がっているのだ。
しかも、本人達も彼氏をとる意志はまったく無く、家族の既に居ないほむらはともかく、まどかの家族の面々もほむらとの関係をそう見た上で了承しているのだから、あの二人に割って入った瞬間、何処からともなく厄災が自分に降り注ぐことは間違いない。鹿目家の後継はまどかの弟に期待しているようだ。……ゲイヴンの紹介だけはしてはいけないだろう。
「あらら。それじゃ、次の世界でパートナーでも見つけたらどうかしら? 別に顔はイケて無くても、アンリみたいに綺麗な心の持ち主なら応えてくれる人はいるんじゃない?」
「あー……一応何人か居るには居たんだが…………」
「あら、おめでたね。でも、どうして居ないの?」
「まぁ、
「アンリさんあんな駄狐はほっといてその話はなかったことに――」
「ならねぇな。残念ながら」
そういうわけで、他の奴は断っといたんだ。
そうアンリが説明すると、一見フリーに見えるアンリが予約済みであることを知った女たちの絶望を親身に感じた気がして、マミは額に手を当てた。意外とアンリは親しい人とばかり交流を深めるタイプで、その他の人物には優しくはするが基本放置のスタンスをとっているのだ。だから、振った人の後の気持ちはほとんど考えていないだろう。
そんな思いを胸の内に秘めて、マミは感心したように言葉を吐いた。
「ふ~ん。女の子の決意を振る度胸がアンリに在ったのね。少し見直したわ」
「それはどこか違うと思うよ……」
「ん、キュゥべえどこ行ってたんだ?」
マミの言葉に突っ込みを入れつつも、その間に姿を表したのはキュゥべえ。
家に入った時居なくなっていたので、アンリ他一名は疑問に思っていた。その他は、過去の隔たりがまだ抜けきっていないところがあるらしい。とくに『まどか』とかほむらとか。
「負玉の回収さ。アレは僕やイチべえ以外には認知できない代物になってたからね」
「どっかで設定ミスったか? ……ま、いっか。母星に送れるなら問題ねぇだロ」
「そう言う訳ですから、マミさん。ここまで『好意』を抱き続け、『行為』に至らなかった私に免じ、どうか、お兄さんを私に下さい!」
いや、この流れでどうしてそうなる。
「却下ぁ! 結論がおかしいわよ!? というか、行為って何? 下心くらい少しは隠しなさいよ! あなた本当に元は鹿目さんなのよね!? 売約済みのアンリに何を期待しているの? 貴女が本当に私の後輩だったとしたら、潔くあきらめなさい!」
「いいえ、あきらめるだなんてそんな……私はいつでもアンリさん一筋ですから、絶対にあきらめませんからねぇ………ウェヒヒヒ!」
「「「怖っ!!?」」」
神々しい雰囲気で、可憐な姿の少女から出るとも思えない下品な笑い方。
リアルで遭遇したなら、ドン引きかトラウマ物は確定である。どうしてこうなってしまったのかと、旅を続けていたアンリとシャルは溜息を吐いていた。そりゃぁもう、地獄に居る知り合いの閻魔に届くくらいの深い息を。「無理です。とにかく善行を積ませなさい」……断られたようだが。
「も、良いだろ? ゆっくりさせて貰えると嬉しいんだが……」
「そうか。アンリは受肉していたんだったね。そう言う訳だから二人とも、アンリを休ませてあげた方が―――」
「「それも却下!!」」
キュゥべえの提案を真っ向否定。それを聞いた瞬間、アンリは精神的な苦労で眩暈を感じ、彼が来た途端の二人の変わりように溜息を吐くしかできなかった。感情や心を持ってからというもの、彼にはこういった気苦労が絶えない日々が続いている。
「…………ハァ。ゴメン、アンリ。僕にはどうする事も出来ないよ……」
「いや、キュゥべえは良くやってくれた。オレはこのまま諦める。せめて、シャルを連れてこの場を脱出してくれ…!」
「アンリ……分かったよ。シャルロッテ、こっちに来なよ。チーズケーキを買いに行こう」
「キターー!!ゼッタイイク!」
好物の誘いに狂喜し、シャルはキュゥべえと共に外へ。最後にキュゥべえがこちらに視線を向けていたが、それはこちらを応援するものであり、アンリの心に深く染み渡っていた。……哀れみが混じっていた事に、少し目の淵が熱くなったが。
「アイツ…あんな顔できるようになったんだなぁ…………」
横の喧騒をBGMに、深い感傷に浸るアンリ。かつてのキュゥべえを思い出し、ほろりと涙が頬を伝う。
決して、横の二人から解放されないから泣いたのでは無い。
しかし、そう思っていると……彼の足元が光りだした。
「うおわっ!!? ……って、魔法陣? しかもこれ召喚のじゃねぇか……」
「「アンリ(さん)!?」」
「お二方、存分に続きをどうぞ。オレは呼ばれたとあってはそこにすぐさま参上仕るのが仕事ってな!」
そう言っている間にも、足元の発行は深い藤色を伴って強くなっていく。
アンリ自身、その体は透け始めている。
「「待っ…………」」
「無限の世界へ、さあ行こう!!」
『玩具物語』という映画に登場する、『バ○』の名言を轟かせ、魔法陣の召喚要求に彼は身をゆだねた。
陣は藤色から闇色に光色を変え、マミの部屋を怪しく照らした。現在、アンリの周囲は違う世界がしみ込んでおり、既に世界に線を引かれた外に居る二人は完全に手出しできない状態になっており、たとえ神となろうとも、一世界の概念にしか過ぎないまどかも硬直するしかなかった。
「「アンリ!!」」
二人が叫ぶと同時、世界の繋がりは切られたのであった………
「(-_-)ンク…ンク……モウイッチョウ!!」
「オイオイ、いきなり来たと思ったらどうしたんだ?」
「今は何も聞かないでやってよ杏子。ヤケケーキの値段くらいは僕がちゃんと払うからさ」
「まあ…いいけどよ……シャル見たのも久しぶりだし、タダにしといてやるよ」
「恩に着るよ、杏子」
見滝原には不思議な飲食店。『御伽の国』という名の場所がある。
そこは普通の飲食店ではなく、入口の下にある紋章で一般客と『魔法少女・魔女』枠で区域分けがされており、魔力を持たない一般客はオリエンタルな道場を模した区域へ。
魔力を持つ関係者はおどろおどろしくもファンシーな『空間』へ転送されるようになっている。
所謂、表と裏の仕事を請け負う場所なのだが、表の飲食店も評判は高く、自然を感じさせるフレッシュな味付けと深紅の髪を持つ美人店長(八重歯がトレードマーク)で人気が高い。
そして、その魔法枠の空間内には、キュゥべえとシャルロッテが訪れており、その二人を店長でもある『佐倉杏子』が接客していた。
「てか、シャルがいるってことはさっきの魔力の揺れは……」
「ご名答。彼が来ていたんだ。すぐに別の世界に召喚されたみたいだけどね」
彼がこの世界から消えるときの波長に似ていたよ。とキュゥべえが説明すれば、ちょっとぐらい紹介してくれよ、と杏子が返す。
「アイツも忙しいもんだな……ま、アイツらしいっていえば、そうだけどな」
「(-_-)zzzマンプク……」
杏子は現在21歳の色気を帯びた体つきに成長している。魔法少女時、既に17歳を越えていた。
アンリによる世界の改変から半年もすると、彼女の身体も『修正力』によって急成長させられ、すっかり大人な姿になった。それをアンリの知り合いだった女社長…もとい、町内会長のご意向によってこの店を立てて貰ったのだ。
裏店内には、とある魔法少女が、引退した杏子や『先輩』の為に願った事により特殊な『空間』が張らされており、もし普通の人が紛れ込んでも魔女や魔力を感じる事が出来るようになっている。
そんな感じで表はともかく、裏の店員は全員『今』の魔法少女。世界改変を行ったのがアンリだったせいか、シャルロッテの様な『理性を持った襲わない魔女』までもが複数発生し、そう言った輩は全て、この店で魔法ライフを過ごしている。
実にご都合だと思うが、まあ。理解してくれると嬉しい」
「オイ、キュゥべえ?誰に向かって話してんだ?」
「いや、ちょっと現状の確認をね……」
「変な奴だな…ま、それはともかく」
杏子は肘をテーブルにたて、にこやかに顔の前で指を組む。
「アタシに顔見せに来ないとは、どういう了見だ!!」
態度一変。豹変すると、ガツンとテーブルを殴りつけ、木製のテーブルへ大きな亀裂を生む。その場所から亀裂は広がり、遂にそのテーブルはお釈迦となった。
流石は、元一流といったところか。魔法少女時の有り余る身体能力はまったく衰えていない。
(((ああ、またですか姐さま……)))
そしてこの店員、訓練された突っ込みを心で重ねる。
もちろん口にはしない。だって怖いんだもの。しょうじょ
「さやかの奴は上条とランデブー。まどかとほむらに至っては無意識カップルオーラ。義妹義妹言ってるマミの奴はファンタジー思想。戦友のアイツは放浪癖な神様になっちまう! どうなってんだこの街はぁぁぁ!!」
『美人店長』形無しである。しかし、そこに萌えた奴らは『御伽の国』の店員によって『向こう』行きだ。そこに行って、帰って来た姿を見た物はいないとか。
「落ち着いて杏子。完全に趣旨が73度傾いてるから」
「そのツッコミも微妙なんだよ!!」
ズビシィ! と勢いよく指を突きつける。
この効果音、少し古いか? なんて、キュゥべえが達観していると、厨房から一人の魔女が歩いてきた。銀色に輝く、きれいな機械の体を持っている魔女だ。
「テン…チョウ、オ…チツイ。テク、ダ・サイ」
「はぁー、はぁー……わりぃな、ギーゼラ。少し見失ってた」
「デハ、ギ、ョウ・ムニ。モ…ドリマ、ス。Ja」
彼女を疎めたのは、かつて契約杏子に最初に倒された『銀の魔女・ギーゼラ』……の原型。
店員達の
超高速で移動する結界を持っている魔女なのだが、魔女自体は非常に遅い。が、その遅さはしっかりと料理を運ぶのに最適なので彼女は適任だった。
そのマイペースを活かした魔法少女のカウンセリングも行う。この店の裏のアイドル的存在だ。
「すっかり馴染んでるね。魔女達も」
「アタシもキレやすいのが難点だけど、一応ここの母親役やってるしな。相談に来た後輩は皆アタシの子さ」
「
「そうかもな? 幸運を呼ぶ白獣さん」
どちらもニヤリ、と顔を見合わせる。
「店長、表でお客入りました! いい加減そっち切り上げてくれませんかー?」
「はいよー! …そう言う訳だ。アタシはあっち行ってるけど、シャルが起きるまでゆっくりしてな」
「そうさせて貰うさ。応援するよ、杏子?」
クスリ、と笑って席を立つ杏子。今来た客の所に行ったようだ。
「それにしても……」
店内をぐるりと見渡し、ため息が出てしまった。
「この店、魔女の比率が高すぎないかい?」
あっちを見れば魔女。そっちを見ても魔女。上を向いても張り付いている始末だ。
そして、その内の一匹が此方の席に向かってきた。その隣には魔法少女がいた。
「キュゥべえさん、相席いいですか? 大きめの魔女で他の席が埋まってて……」
「ああ、いいよ。僕らは小さい体だから席をとるまでも無いからね」
[感謝、感激]
その二人の印象は……一言で表すなら『図書館』だろうか。
魔法少女は古い司書の様な大人しめの格好をしていて、魔女の方は普通の本棚から薄いオーラが出ているだけの見た目。先程の魔女の発言は魔力を実体化させた文字を浮遊させていた。
双方ともに戦闘力は無いように見えるが、多分、魔法少女の方が火力中心だろう。
「久しぶりですねキュゥべえさん。あれから10体は魔女狩りましたよ! この子とも出会えましたしね」
「シア…だね? 見違えたよ。魔女が魔女狩りの手伝いだなんて、懐かしいものだ」
[同類、存在?]
「そこのシャルロッテさ。しかも、アンリと一緒に戦っていた…ね」
「その方が伝説の…!?」
あの二人は、世界のルールを変えた事で伝説として語り継がれるようになっていった。主にマミの手によって。
前述の事もあるが、僕は彼が神になる以前、日本に居る魔法少女全員に自分の事を話してくれ、と言っていた。それが一つの信仰になり、後世どころか世界中に広まるようになるなんて、思いもよらなかったけど。
とにかく、そうしてアンリは伝説になったんだ。『生神』としても。『英雄』としても。
「なるほど…チーズケーキを食い散らかすシャルロッテさん…杏子店長のテーブルの罅…まさか、戻って来てたんですか!? 伝説のアンリさんが!!」
「「「「「「な、なんだってーーーー!!!!??」」」」」」
いつの間にか満員近くになっていた店内。先程杏子と話していた時は代名詞で言っていたので周りからの反応が無かったが、伝説の人物がこの世界に戻って来ていたと知ると大混乱。
サインだとか、握手だとかアイドルまがいのセリフまで喧騒に混じって聞こえてくる。彼が既に数億人殺していると知ったらどんな顔をするだろうか。
「テメエらぁぁぁ!! この店追いだされてぇか!?」
が、杏子の鶴の一声でピタリとやんだ。表の美人店長、裏では誰もが恐れる厳しい母である。
「と、とにかく! 彼はどこへ?」
「残念だけど、すぐに他の世界に召喚されたみたいだ。さっき、大きな魔力のうねりを感じただろう?」
「はぅあ、残念です……」
ヘタリとその場でうなだれるシア。周りで聴き耳立ててた者達も同じ反応だった。
せめて髪の毛だけでも…あんた何するつもりよ。いえ何とかして接点を。変態の発想じゃなぁ~い?
そんな店の様子を見て、シアと呼ばれた魔法少女と一緒に居た魔女が一言。
[通常、運行]
「それはまあそうですけどぉ……」
[復帰、狩猟?]
キランと文字を光らせて言う本の魔女。人間体であるなら、歯が光っていただろうか。
「そうですねぇ。気晴らしに行ってきますか」
よっこらしょ、と女の子が言うには少々ムサイ言葉で立ちあがる。
「私達はここらでお暇します。彼が戻ってきたら、ここに連れて来て下さいね?」
「ああ。任せなよ」
約束ですよ~。と言いながら、店の紋章を踏んで外へ跳んでいったシア。勿論、魔女も一緒にだ。
「ああ、ホントに…………」
天を仰いで、キュゥべえは語る。
「平和だね。ここは」
彼は、世界の代弁者。
次回、アンリが行く世界は【Fate/stay night】になります。
まどマギはまどマギ、FateはFateで小説別になりますので、お気を付けください。
では、またお会いしませう!