生物兵器の夢   作:ムラムリ

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もしもNo.27が一匹で逃亡してたら、というifの番外編。

で、まあベースがハンターαでR18を書きたいなーっていうところから出たもので、
この番外編の為だけにR18に移動したくもなかったので、
こっちではR18シーンを完全に端折ってます。

込みはpixivだけでこっち。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=22006977


No.27 if

 一人の女性が、猟銃を手に歩いていた。

 人里から離れた田舎もいいところ。周りに住む人はほぼ居らず、どこまでも広がる荒野の片隅にぽつんと家を建て、周りに少しばかり畑を耕して、他人とはほぼ関わらずに生きている。

 まだ、老いているとは言えない歳。

 畑には一つの墓があった。小さな手製のそれは、夫や家族のものではなく、ここ最近寿命を迎えた愛犬のものだ。だからか、女性の顔からはどこか悲しさを隠しきれていない。

 それでも生きる気力までは失っていないその顔。全てが嫌気が差してこのような辺鄙な場所に家を構えたというよりは、単純に人が苦手なだけの様子だった。

 近い内に街にでも繰り出して大人しい野良犬でも拾って来る必要があるだろうけれど、まだもう少しこの悲しみに浸っていたい。

 ここらに来る人などそもそも居ない。それより警戒すべきは野犬などの野生動物の方。だから日課も兼ねての見回りを、犬が居なくともそう警戒する事なくただ惰性で続けていた。

 

 野犬やら野鳥やらが巣を作る事の多い、特に荒れた、身を隠せる場所の多い岩場。野に生きる野犬は街で生きる野良犬よりも気性が荒く、それに狂犬病の可能性も比べてしまえば高い。そこから拾うのは、親を喪って飢えている仔犬のような、余程都合が良い個体が居る時だけだ。

 そこから血の臭いがした。

 ただ、それは珍しい事ではない。巣を作っている獣が、同じ野犬や鷲などに食われる事など良くある事だ。けれど、体のどこかがいつもとは違う、と違和感を訴えていた。

 猟銃を握る手に力が籠る。引き金に指をかける。違和感の正体がはっきりする。野犬などでも早々動かせないような大きな岩がところどころ動いていた。

 人? 姿を現さない時点で、逃げた方が良い。そう思った瞬間。からりと音が後ろから鳴った。

 振り返るもそこには誰も居らず。しかし、その時には女性を大きな陰が覆っていた。

 圧し掛かられた女性は同時に銃を投げ捨てられ、腕を噛まされて、一切の抵抗どころか声を出す事も許されなかった。

 そして。ソレは人でもなければ、獣ですらなかった。

 女性は思わず目を見張る。

 人に似た二足歩行でありながら鱗の生えた全身。立った状態でも地面にまで付きそうな程に太く長い腕と、人の首を切断出来そうな程に太く鋭利な爪。じっと目を合わせてくる、人の面影も少しばかり残しながら爬虫類の様相を強く見せる首のない顔。

 ラクーンシティの悪夢から至る所で起きるようになったバイオハザードに対する歴史は、昨今においては授業に取り込まれて常識となっている。とりわけテラグリジアパニックにて広く名を知られるようになったB.O.Wの名を、女性は常識として知っていた。

 ハンター。

 その名が示す通りに猟銃を持った女性を容易く制圧して見せたそのB.O.Wに対し、何故こんな所に居るのかというような疑問も抱く事など微塵もないままに、女性は恐怖から気を失った。

 

*

 

 ソレは、聡かった。

 枷を付けられ幾度と戦闘へ駆り出されようとも無傷で生還する程に。

 そして、その枷を自ら外して独りで脱走する程に。

 ……その結果、仲間と共に生きる温もりを恋焦がれてしまう程に。

 

 独りで逃げた先にあるのは、果てしない自由だった。

 そしてB.O.Wとして生を受けたソレには、自らの遺伝子を残す事は愚か、共に生きる者すら誰一人として居ない。

 その事実に気づいたのは、自由を獲得してからすぐの事だった。

 戻る事は出来ない。けれど、その飢えを満たす事も出来ない。

 その心だけをひたすらに蝕んでいく苦痛に半ば自棄になるものの、ソレは自らの命を捨てるような真似までは出来なかった。その高い知性は、誰よりも高い生存欲求が故に磨かれてきたものだったから。

 また、殺戮の為に作られ、殺戮を強いられてきたが故に、聡いソレは殺戮に対して最早快楽を覚える事もなかった。だからソレの満たしたい、満たせる欲求は、自由を得た後ですら僅かなものだった。

 食欲と、肉欲。

 食欲はハンターという名に相応な優れた肉体を持つが故にどうとでもなる。

 だから、ソレは次第に肉欲を発散する事ばかりに欲求を尖らせていった。

 

 その女性が気絶した事を確認すると、ソレは服に爪を当てて一気に引き裂いた。

 人の首を刎ね飛ばす筋力と刃物以上に鋭い爪を以てすれば革だろうと切り裂くのは容易く、続いて下着にも内側から爪を食い込ませて女性の肌を傷つけないようにしながらつー、と下着を真っ二つにした。

 女性の上体が顕になったところで、下半身のベルトも強引に引き千切ってズボンと下着も同じように引き裂いた。

 味わう前に、立ち上がってそれを眺めた。

 今までも野犬や、湿地ではワニやらにまで様々な獣に対して肉欲を発散してきたが、そのどれとも違う、毛皮にも鱗にも覆われていない、無防備にも程がある全身。程良く引き締まっていて筋肉の形がはっきりと分かる。また乳房は大きくも小さくもなく、股は気絶する時に濡れて生温かい熱を発していた。

 思わず鼻息が漏れ、口角が上がる。

 初めての、人間に対して肉欲を発散出来る機会。

 未だ気絶しているその女性に対し、ソレは待ちきれないように、股の割れ目から肉棒が飛び出させた。

 逃亡するまでは大して使う事のなかったそれ。B.O.Wとして使われていた頃の仲間には雌の個体も居たが、作られた存在だからかその同種と交わっても子が出来る事はない、雄としての役割は微塵も果たせない代物。

 しかし、形、大きさとしてはその人を凌ぐ体躯、人を容易に殺せる肉体に相応なものが備わっており、逃亡してからの肉欲を果たす為だけに頻繁に使われ始め、幾度と掠れて赤黒く染まったそれは、最早凶器と言っても差し支えない代物でもあった。

 

*

 

*

 

*

 

*

 

 目が覚めると、いつもの天井が目に入ってきた。

 とても気怠く、全身は筋肉痛を訴えていて、何故か裸で、股間からは乾いた何かがべりべりと剥がれるような感触がして……。

 何が起きたのか思い出すも、しかし体は殆ど動かなかった。

 生きている。それどころか家の中に居て、ベッドの上だった。ゆっくりと体を動かせば、破れた服と猟銃が床の上に乱雑に置かれていた。

 ……あのバケモノは、自分をひたすらに犯し尽くした後、家まで送り届けたのだ。

 それも、猟銃まで一緒に。

 それが意味するところは、余りにも多い。

 猟銃というものを理解している事。猟銃込みでも脅威と見做されていない事。

 家の場所まで把握している事。そして……これからも犯しに来るであろうという事。

 ベッドから転げ落ちるようにして這い出し、水を飲む。股間以外の至る所からもこびりついている感触がして、意識を失ってからもとにかくこの身は汚されたらしい事を理解する。

 猟銃を見る。銃弾も入ったままのそれ。

 深い溜息。

 ただ……治安の悪い場所で生きてきた女性にとってその凌辱は、自死を決意するまでのものではなかった。

 青痣は至る所にあれど、五体は満足なままだった。あの体躯で首をも撥ねられる爪を持っているというのに、体には切り傷すらなかった。

 それは、イカれた活動家やらに捕らわれて、一方的な正義を説かれたり清めと称して拷問をされた挙句に殺されるよりはよっぽどマシだった。

 ……訳が分からない。

 雨水を溜めたシャワーを惜しむ事なく使いながら、凌辱してくるものの、殺すどころか傷つける事すらしてこなかったバケモノに目を付けられる事は、イカれた人間に目を付けられるよりはよっぽどマシだったという事実に理解が追いつかない。

 逃げようとすればここへと押し戻されるのだろうか? そもそも、家のすぐ外で自分が目を覚ました事を察知しているのだろうか?

 極度の疲労もあって、思考もままならないが。

 ただ……もう自分は番犬を新しく飼う事もないのだろうと、ぼんやりと思った。




ハンターα、性的にも好きなんだけど今までR18書いてないよなあ。書きたいってぼんやり思ってるけど、造形が単純だからシチュエーションも単純になる気がして余り書こうとまでモチベが上がらないんだよなあ。
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一匹でどこかからか逃げてきたハンターが寂しさやら色々無い混ぜになって人間を犯す感じとか良いかなあ?
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No.27が一匹で逃げたifにすりゃキャラの土台もしっかり立ってていけそうだなー。

という感じ。
ウェカピポの妹の夫よりは多分マシ。

書かなかった事:
・女性は運良く or ワクチン接種を受けてTウイルスへの抗体を持ってる(流石にTウイルスのワクチンとか、全世界で接種まで義務付けられてないかね?)。
・No.27は今まで犯してきた動物やらが大体発症してたので、女性が発症しなかった事に都合の良い解釈をした事。

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