キメラな飼い猫とデーモンな俺   作:ちゅーに菌

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猫と俺の幸せ

 

 

ピトーとにゃんにゃんし始めてから1年ほど経ち、自宅の縁側で座布団に正座して湯飲みで紅茶を飲みながら、外の雪景色を見てくつろいでいた。

 

12月の一足早い雪だ。なんとも風情があるではないか、なむなむ。

 

「あー……(ピトトレが無ければ)平和だ…」

 

「主様ー!これに行くのですニャー!」

 

ピトーが襖を勢い良く開けて出てきた。

 

突然だが、家の縁側の廊下は非常に長いので当然、襖のレールも非常に長い、よって大量の襖が一直線に2本のレールに並んでいるのだ。

 

つまり何故かいつもより興奮して力加減を忘れているピトーが勢い良く開たらどうなるかと言うと。

 

襖は凄まじいスピードで片側全てのレールの襖を押し出し、最後に縁側の襖を嵌め込む場所から大量の襖が押し出され廊下に散乱した。

 

誰が片付けんだよ…………俺の念獣か。

 

俺は心のなかで溜め息をつくが、それを顔に出さずピトーを見つめた。

 

ピトーは正座している俺に抱きついて俺の胸に顔を半分ほど埋めてきた。

 

「ニャ~…暖かいですニャ~…」

 

ピトー、炬燵もあるぞ?

 

それは兎も角、ピトーの持っているプラカードのようなハガキ大のものを眺めた。

 

ピトトレ後に姿が見えないと思ったらソレ取りに行ってたのか。

 

「あ、そうでしたニャ。ハンター試験を受けるのですニャー!!!」

 

ピトーは思い出したように少し離れるとソレを掲げた。

 

ソレはハンター試験の受験票だった。第287回と書かれている。

 

「…ハンター試験か、もうそんな時期か…」

 

ハンター試験ねぇ…確か試験会場に辿り着くまでの倍率すら10000倍だろ?

 

一体全体本試験にはどんなピトー以上の超化け物念能力者がゴロゴロしてるんだか……想像しただけで行く気が失せる。

 

まあ、ライセンスは非常に魅力なのだがな。

 

「却下だ」

 

「な、なんでですかニャ…」

 

「受かんないだろそんな試験」

 

「そんなことないですニャ、ボク達が合格しなかったらハンターなんて今頃10人もいないのですニャ~…にゃふふ暖かいですニャ~……」

 

ピトーは俺の膝の上に体を丸めて乗るとニマニマしながらぬくぬくしていた。

 

おい、ハンター試験はどうした。そして萌え殺す気か。

 

「行くニャ~…そうしないとちゃんとした戸籍が持てないですニャ…」

 

ピトーは顔を赤らめて、もじもじしながら俺を見上げた。

 

 

 

 

「結婚…出来ない…です…」

 

 

 

 

「よし、行こう。今すぐ行こう。さっさと行こう」

 

ハンター試験だかなんだか知らんが、凄まじくやる気が沸いてきた。

 

最悪、先生たちと騎士を使えばなんとかなるだろ。いや、する。絶対する! なにがあろうとしてやんよ!

 

「さて、ピトー」

 

「ニャ~?」

 

俺はピトーの背中と膝の裏に手を入れて起こし、立ち上がった。

 

所謂、お姫様抱っこである。

 

「今日も…抱いていいか?」

 

「にゃー……優しくシて…下さい…」

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

そんなこんなで試験日当日。

 

俺とピトーは本試験会場にいた。

 

「10000倍ねぇ…」

 

ひょっとして無能力者も含めて10000倍だったのだろうか?

 

それならまぁ、解らんでもない程度に簡単だったのだが…。

 

そして、早く着き過ぎたな。

 

まだ、50人も人がいないし、ほぼ無能力者じゃん。

ちなみに俺が42番で、ピトーが43番である。

 

ふと、俺の腕にくっついているピトーを見た。

 

「にゃ?」

見上げてきた。よし、和んだ。

 

「ん?」

 

突然、細く粘着質な殺気を感じた。

 

剣を抜こうと思ったが止めて、片手を殺気の方向に向け、何かを指のスキマで全て掴んだ。

 

それは周で強化された4枚のトランプだった。

 

飛んできた方向を見るとピエロっぽいのがいた。

 

「やあ、ヒカゲ。それとピトー」

 

「なんだヒソカか」

 

ヒソカにトランプを返した。

 

説明しよう、ヒソカとは俺の数少ない友達の1人である。

 

トランプは挨拶のようなものだ。

 

酷いときは本格的に襲い掛かって来ることもある。まぁ、ヒソカもそこまで本気では無いようで途中でお互いに止めるが。

 

「君が来るなんて意外だねぇ」

 

「まぁ、有って損はしないからな」

 

「ニャ」

 

なぜかピトーがすりすりと、更に身体を寄せてきた。胸がふよふよと腕に当たっている。悶死するぞオラ。

 

「クククッ…ボクは邪魔みたいだね。じゃあ、また後で」

 

そう言ってヒソカは去っていった。

 

俺たちは壁に半分ぐらい埋まっているパイプに腰かけた。ピトーの幸せそうな顔を見ているだけでお腹一杯になりそうだが、ふと疑問が浮かんだ。

 

「なあ、ピトー」

 

俺は俺の膝に置いてあるピトーの手の上に手を置いた。

 

「なんですかニャ?」

 

ピトーは俺の手の上に手を置いてきた。

 

「む…」

 

またピトーの手の上に手を置いた。

 

「ニャ?」

 

ピトーはまたまた手を俺の手の上に置いてきた。

 

「……昔から疑問だったが、なんで上に手を乗せたがるんだ?」

 

「………………なんででしょうかニャ?」

 

ピトーは首を傾げてハテナを浮かべた。

 

自分も解らんのかい。

 

とりあえず可愛いかったのでピトーをなでなでしたり、手をお互いに重ね続けながら試験開始を待つことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、やっと試験が始まった。

 

ふむ、見渡すと俺とピトー、ヒソカを含め約400人中、4人は念能力者のようだ。

 

ひょっとして暗黙の了解的に念能力者はハンター試験を受けないんだろうか?

 

え…それなら無茶苦茶KYだったな…いや、しかしピトーのためだ。仕方あるまい。

 

それは兎も角、一次試験は試験官に着いて行くだけだそうだ。なんか緩いような…。

 

んー…3000kmぐらい走らせるのだろうか? それなら解らんでもない。

 

「よし、行くか」

 

「はいですニャ!」

 

ピトーは俺に続いてオートバイに跨がり、ネコミミ付きの特注ヘルメットをしっかり被り、俺の腰に手を回した。

 

ついて行くだけなら何でついて行っても問題あるまい。

 

ちなみにこれは念能力者用オートバイ、黒王号である。

 

名前とは裏腹にオーラを消費して走る非常にエコなオートバイなのだ。しかも音もほぼ無い。

 

しかし、オーラを消費しているので結局のところ走るのと同じぐらい疲れるらしい。俺は感じたこと無いが。

 

年間数台しか生産されないレア物だ。

 

回りの受験者が汚いだのセコいだの言っているが知ったことか。

 

暫く、低速(約20km)で走り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

階段も平地のようにすいすい登って外に出た。

 

黒王号は地形による制限無く走れるのだ。ぶっちゃけ海の上も走れる。あ、空は飛べないぞ。

 

だが、どう見ても普通のオートバイが水上を走る光景はかなりシュールだ。

 

「……最悪ですニャ~…」

 

ピトーが不満の声を上げた。

 

バイクは止まっているので、ピトーを見ると尻尾が垂れていた。

 

ほう、詐欺師の塒か。

 

じっとりヌメヌメ、ピトーの嫌いな水気だらけだ。

 

ちなみに、ピトーは飲み物以外の水気が本当に嫌いだ。特に風呂が大っ嫌いだ。

 

仕方なく、いつも一緒に入っている。

 

いや、 俺得なんですけどね。

 

そんなことを考えているとサルが現れた。確か人に擬態する奴だとワイドショーで見たことあるぞ。

 

なんか俺が試験官的なこと言ってるな…念を覚えてから出直しておくんなまし。

 

だが、受験者の中には疑惑を抱く者もいるようだ。それにしてもあの死体役のサル試験官と顔似すぎだろ。確かに騙されるわ。

 

どうしたものかと考えているとヒソカが行動を起こした。

 

トランプを周で強化して双方に投げたのだ。

 

結果は一目瞭然だ。

 

猿は死に、試験官は難無く掴み取った。

 

流石ヒソカ…出来ないことを平気でやってのける。そこにシビれる憧れるぅ! かは、個人の自由だな。

 

ならばおれも少しは見習うか。

 

懐からスローイングナイフを取り出すと逃げ出した猿に投げた。

 

ナイフは猿の頭を貫通し、直線上のモノをつらぬきながら見えなくなった。

 

「撃ち漏らし」

 

「クククッ…ありがと」

 

ああ、サルは(スタッフ)が美味しく頂きました。

 

まだ走るそうなので再び黒王号をとろとろと走らせた。

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

僕は主様に掴まりながら幸せを噛み締めていた。

 

一緒のお出かけ。

 

同じものを食べる食事。

 

抱き合って眠る。

 

こうやってバイクに乗るのもそうだ。

 

お風呂も主様と一緒なら…嫌…じゃな…い…と思うにゃ…。

 

それに主様は僕を人としてはもちろん、女としても見てくれるの。

 

いつも僕を女として抱いてくれる…最高の幸せ…。

 

それにこのハンター試験も主様は僕のワガママのために動いてくれた。

 

これだけ繋がっていられるなら別に結婚したりする必要も無いのに…。

 

それに…。

 

僕はお腹の下の方を撫でた。

 

主様にはまだ内緒だけど…この子のためにもね。

 

だから、僕の幸せのために。

 

そして、なにより主様のために。

 

 

邪魔なモノは消さなきゃね。

 

 

「主様」

 

「ん?」

 

「ちょっと行ってきますニャ。先にいってて下さい」

 

「おう」

 

僕はバイクから跳ね降りると、爪を立てて他の集団へ向かった。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

ピトーより先に次の試験会場と思わしき施設の前に着いてしまった。

 

が、ピトーのことだし、直ぐに来るだろう。

 

「主様ぁー」

ほら来た。ネコミミ付きのメットを被りながらニコニコ笑顔のピトーが、走って俺の胸へ飛び込んできた。

 

猫まっしぐらである。

 

なんか非常にやり遂げた顔をしているが何かしてきたのだろうか?

 

暫く経ち、門の前に80人程の人が集まったところで門が開かれた。

 

えらく減ったな…走るだけでそんなに減るってどういうことだよ…みんな気が抜けすぎだろ。

 

しかし…。

 

俺はピトーからヘルメットを取りながらピトーを見た。

 

「ニィ!? 尻尾に血が…汚い…」

 

可愛いなぁ…本当に…最近それしか言ってないがもしピトーに離れられたら俺、どうにかなっちゃうな。

 

暫く染々と感傷に浸りながらピトーの耳を弄っていると突然、受験者が外へ一斉に走り出した。

 

え? あ…ヤヴェ…全く試験内容聞いてなかった…。

 

「主様? どうしたんですかニャ?」

 

「いや…試験内容ってなんだった?」

 

ふと、試験官を見た。

 

………あのデコボココンビ…まさか、オンスタじゃあるまいな?

 

「豚の丸焼きを持って行くことですニャ」

 

「豚の丸焼き…?」

 

なにその楽々試験…確かこの辺の豚はグレイトスタンプ? とか言う豚だけだったよな?

 

「僕が殺ってきますニャ。待っててください」

あ、ピトーがもう行ってしまった。

 

仕方ない…調理器具でも出しとくか。

 

台拭きを絞ったりしていると、妙にデカイ豚2頭を片手にバランスよく乗せたピトーが、帰ってきた。

 

「ただいまですニャー!」

 

「はやっ!?」

 

おのれピトー…まさか軽ロリ木目か…恐ろしい娘。

 

ピトーは俺に豚をパスすると手を綺麗に洗った。水も手だけは問題ないらしい。だが昔、試しにコーラで濡れた手でネコミミを触ろうとしたら飛び退いて"主様鬼畜ですニャー!"と言われた。解せぬ。

 

「この場で〆ますニャ」

 

それから、俺の目の前で爪で首を飛ばした。

 

相変わらずアルクェイドのような動きをしますねピトーさん。

 

ピトーは内蔵を取りだした。

 

「主様」

 

「ん?」

 

「念獣出してくださいニャ」

 

「なんの?」

 

「長い槍持ってる騎士ですニャ、2体欲しいですニャ」

 

「よし来た。"銀騎士"」

 

目の前に3m近く、更に全身が銀色の騎士が2体現れた。盾と長い槍を持ってる。

 

ピトーはその銀騎士の槍それぞれに…。

 

「ニャ」

 

豚肉を掛けた。

 

「おい」

 

「ここには血抜き用の機具が無いんですニャ」

 

そうか、なら仕方ないな。

 

暫くは血抜き待ちのためピトーの尻尾の毛並みを整えていた。強く触るとビクッとして可愛い。

 

暫く手で弄っていたらお返しと言わんばかりに腕に絡みついてきた。おのれあったかふわふわめ。

 

そして、血抜きが終わり豚をバラバラにすると皮を剥ぎ、大部分の骨を抜いた結果、幾つかの巨大な肉塊が乗っていた。

 

「………これ、どうなる?」

 

「とりあえず、ステーキで良いと思いますニャ」

 

丸焼き…いや、ステーキも見方によっては丸焼きか。というかタイヤみたいな肉だな。

 

ちなみにピトーは今、銀騎士の槍を楊枝のようにプスプスさして肉を柔らかくしている。

 

銀騎士はやることもなく棒立ちである…なんかスマン。

 

「主様、鉄板に油引いといて下さいニャ」

 

「おう」

 

ちなみにお分かりだと思うが、ピトーはレンジでチン女子ではなく、料理を作る派の女子である。

 

更に、料理の腕は贔屓目に見ても超一流の腕前だ。なんでも屋の仕事で、金だけは無駄にある俺が言うんだから間違いない。

 

「主様、焼くの手伝って下さいニャ」

 

「おう」

 

 

 

 

 

 

 

な、なんとあのスモウ(ブラハさんです)……70頭分の豚を食いやがった。

 

伊達にスモウハンマーを片手で振り回す超筋力してないなぁ…。

 

染々とオーンスタイン(メンチさんです)の聞いていると次はスシを作れ、だそうだ。

 

それを聞いてピトーの尻尾は跳ね上がった。

 

「主様ぁ! 魚ですニャ!」

 

ピトーは大声で叫んだ。

 

うん、嬉しいのは解るからな、そんなに笑顔で尻尾振らんでもいいぞ。

 

「銀騎士、ゴー!」

 

銀騎士は走って川へ向かった。

 

ちなみに、無能力者に念獣は見えないから問題ないらしい。

 

会場の他の受験者も川へ向かい、ここの人は俺とピトーと試験官のオンスタだけになった。

 

「ニャ♪」

 

ピトーは鼻歌を歌いながらシャリの準備を始めた。

 

「ところでピトー」

 

「なんですかニャ?」

 

「魚はどんなのがいいんだ?」

 

現在、片方の銀騎士が次々と陸地に魚を引き上げて、もう片方が魚番をしているようだが無差別に獲ってるからな。

 

ちなみに、俺の円の範囲は特殊で自分の半径1000m程と、念獣の半径100mだ。なのでリアルタイムで念獣が何をしているか解る。

 

(ナマズ)ですニャ」

 

「ナマズ…?」

 

なんでそんなレアなものを? そもそもあれ食えんの?

 

「主様わかってないですニャ。ナマズは漁師の間でのスタミナ食なんですニャ、その味は鰻と比べても引きをとらないほど美味いですニャ。それに、そもそも泥臭い川魚は刺身にはあまり向かない上、こんなところの川魚なんてたかが知れてますニャ。それなら生食は諦めて、どこにでもそれなりにいるナマズの焼きスシが無難ですニャ。でも、別に川魚のスシが無理だとは言ってないですニャ。ただ、この湿原の川魚は清流の川魚と比べれば遠く及ばないだけですニャ~」

 

へぇ…相変わらずの魚への情熱ですねピトーさん…。

 

ちなみに現在、ピトーは最早俺の領分に無いなにかの調味料でタレ作りを終えて爪を研ぎ始めた。

 

ピトーは基本的に包丁などは使わない、全て爪でやっているのだ。

 

ふっ…まさに手料理ってか。

 

「主様……なんか凄く寒いこと考えなかったですかニャ?」

 

す、鋭い…なぜバレた…。

 

………ん?

 

銀騎士の円の中に誰か念能力者が入ったな…片方はヒソカだが、もう片方のトゲだらけは一体なんだ?

 

まさか……カークか? カークなのか? 人間性集めご苦労様です。

 

『やあ、ヒカゲの念獣かな?』

 

ヒソカの声が俺に聞こえた。

 

俺は橙の助言ろう石を銀騎士の目の前に具現化させ槍と持ちかえさせ、地面に字を書かせた。

 

 

"太陽万歳!"

 

 

『人違いじゃないみたいでよかったよ』

 

さらっと流されたな…まぁ、解るとは思っていないが。

 

"何か用か?"

 

『そう、スシがジャポンの料理だってことはもちろん知ってるんだけど、作るとなるとどうもね』

 

まぁ、家にヒソカが 来たときとかに出前取ったりするから知ってるわな。

 

"それっぽいのを作ればいいからとりあえずピトーの前に作ればいいだろ。酢飯その他の魚は俺が用意するからそれを持っていくか"

 

『ありがと、彼もいいかな?』

 

"後ろにいるカークか?"

 

『カーク? 彼の名前はイル…じゃなかったギタラクルだったね』

 

ギタラクルとやらがイルと言った瞬間にヒソカに針を向けていた。

 

"訳ありか何かは知らんが障害にならない限りは問題ないぞ"

 

『ありがと、じゃあボクたちも向かうね』

 

そう言って2人は去っていった。

 

こっちもナマズなどを捕ったので銀騎士を走らせて帰らせた。

 

約2分後、銀騎士が到着してピトーの料理が始まったので、俺は銀騎士たちとやることもなく突っ立て太陽を眺めていた。

 

無論、俺はグラサン着用で、ソラールさんの真似は出来ません。

 

暫く、太陽ェ…俺の太陽ェ…とか思いながら眺めているとヒソカとカー…ギタラクルが到着した。

 

「やあ」

 

「おう」

 

それを待ってたと言わんばかりに(実際待ってた)銀騎士が動き出した。

 

酢飯にさわる前に全力で手を洗ってから、銀騎士が酢飯を握って米粒のような見慣れた形にした。

 

全自動シャリ握り機×2である。

 

それに持ってきた魚に生食でいけそうなのをピトーに選んでもらい、3人で捌き、シャリに乗せてオーンスタイン(メンチさんです)に持って行った。

 

評価は"うーん…まあまあね。回転寿司なら許せるけどスシっていうのはそもそもry)"と長々々々と語られた。解せぬ。

 

なんとか3人は合格し、残りはピトー1人になったと思っているとハゲがなんか恐ろしいことを言ったのが聞こえた。

 

え………そんな大々的にスシのこと…いや、魚料理をバカにするの?

 

その瞬間、ズドンッ!と巨大で重圧な殺気に周囲が完全に包まれた。

 

やりやがった…あのハゲやりやがった……。

 

普通の料理人の前で言っても明らかにアウトな発言をよりにもよって…ピトーの前で魚料理の批判コメを言いやがった…。

 

ピトーは手を止めて、いつも社会に溶け込むために隠しているオーラを解禁した。

 

ヤバい…ピトーの背中に黒紫色のドクロ状のオーラが見えるぞ。

 

ピトーはゆっくりとハゲへ向かって振り向くと笑顔だが、全く笑ってない目をしながら言った。

 

 

「面白そうな話をしてるね?」

 

 

あ、お外(俺以外)モードのしゃべり方のピトーだ。なぜか俺にしかにゃあにゃあ言わないんだよな。

 

これがホントの猫かぶりか…プププ…。

 

お? ピトーが一瞬、俺に何か言ったぞ? どれどれ唇読みで…さ・む・い・で・す・にゃ…か……ぐふっ、なぜバレた…!? ピトー…恐ろしい娘…。

 

ピトーはゆっくりとオーラを撒き散らすと突如、ハゲの目の前へ一歩で移動した。

 

会場の俺を除いた全員、恐らく試験官すらピトーの生物的な恐ろしさに絶句していた。

 

俺? 相変わらずピトーは綺麗で可愛いなぁとか思ってるよ。というかオーラぐらい慣れてるし、ピトトレナメんな。

 

「ああ…イイ…」

 

訂正しよう。ヒソカは恍惚としながら楽しんでいた。

 

だが、この時のヒソカの下半身を決して見てはいけないぞ? ピトーのお婿さんとのお約束だ。

 

書く言う俺はガン見してしまってSAN値駄々下がりだけどな!

 

「知ってるかな? 鮨をまともに握れるのに10年の修業が必要といわれてるんだよ? それをお手軽料理……ね」

 

ピトーは溜め息をついてから爪を立てて、それなりに練で爪のオーラを増やし、黒紫色のオーラを纏った。

 

あ、これはアカン。何がアカンかってピトーの後ろにはオンスモ(試験官)がいるからだ。

 

俺が飛び出し、ピトーの真後ろに来たのと同時にピトーは爪を振りかぶった。

 

「キミ、とりあえず死んで?」

 

"ねこぱんち"

 

ピトーの念能力の1つが発動した。

 

名前は和やかな名前だが、実際にぬこに"ねこぱんち"を食らった事のある人ならその恐ろしさが解るだろう。あれはガチで危険な攻撃である。

 

しかもスーパーキャットピトーの念で超強化された"ねこぱんち"なんて最早、ギガスラッシュを越えてギガブレイクは確実である。

 

具体的にいえば"ねこぱんち"は、爪を振るった線上のあらゆる物体を両断した挙げ句、生物に当たるか外れた瞬間に自動的に爆発するという念能力だ。無論、爪本体にも攻撃判定があるぞ。

 

全く…どこの月光の大剣だ。原案出したの俺だけどね。てへぺろ。

 

とか、言っている場合ではなく、さっさと止めなければヤバい。主にピトーが欲しがっている綺麗な戸籍が。

 

しかし、どうする? 既にピトーは攻撃体勢に入っている。

 

ハゲとの隙間に入り込んで、ねこぱんちを逸らしたとしてあらぬ方向へ飛んでいったら、地上で人を捲き込みながら爆発して本末転倒だ。

 

それにピトーの攻撃をキャンセル出来る確率は五分五分といったところか…なにせ俺が後ろから前に割り込む形になるから微妙に間に合わない可能性もある。

 

むー…前からなら普通にどうにか出来たのだが…ならば、これが最も確実か!

 

俺はピトーとハゲとの間には入らずに、ピトーを後ろから抱き締めるように手を回した。

 

 

そして………、

 

 

胸を強く揉んだ。

 

 

「にゃぁ!?」

 

ピトーの形も大きさも良い胸が両手のひらで変えた。

 

結構乱暴に揉んだのでピトーはびくりと震え、振りかぶられた腕は風を斬り、ねこぱんちの紫色の斬撃波は空高く飛んでいった。

 

いやー、よく飛ぶなぁ………ん? 鳥か?

 

 

ズゴォォォォォォオォォォン!!!!!!

 

 

次の瞬間、空が波紋状の薄紫色の淡い閃光を放ちながら大爆発を起こした。

 

幸いかなり高い位置で爆発したため被害は無いようだ。

 

うん、流石ピトーだね。これじゃ月光の大剣じゃなくて、コジマ・キャノンだよ。

 

「主様! なんて嬉し…ひどいことするんですかニャ!」

 

お? 止めたハズなのにピトーがプンスカ怒っているようだ。

 

何か反論があるようだ。だが断る。

 

「うにゅ…!?」

 

ピトーの唇を唇で塞いだ。

 

さらに強引に舌を入れて暫くピトーの味を堪能した。途中からピトーも舌を絡めてきた。

 

「にゃぁ……」

 

舌を引き抜くとトロンとした顔をしたピトーがいた。

 

「ピトー、料理に戻ったらどうだ?」

 

「は、はいですニャ、主様…」

 

そう言ってピトーは何事も無かったように頬を染めて、鼻唄を歌いながらニギリズシを作りに戻った。

 

うん、満足してハゲなど忘れたようだ。

 

俺は他の受験生からの刺さり過ぎる視線に耐えかねてトイレへ走った。

 

チキンとかいうな。

 

 




デモンズソウル用語解説

スローイングナイフ
奴隷王ですらほぼ使わなかった廃産アイテム。ステマ? ステマです。


ダークソウル用語解説

あったかふあふあ
チュートリアルエリアにある大カラスの巣にあるあったかふあふあ交換のこと。卵を暖めるために色々なモノを欲しがる。しかし、いくらなんでも敵に投げ付けて猛毒状態にする糞団子を欲しがるのはどうなのだろうか? ついでに周回しなければ渡せないラスボの魂をラスボが持つ攻撃技と変えてくれたり、DLCのラスボの魂を超鬼畜魔法と変えてくれたりするあのカラスは一体何者なんだろうか?

月光の大剣
魔法使い御用達の大剣。厨武器の一角ではあるが攻撃に回数制限のある魔法使いには仕方のない気もする。元ネタはフロム・ソフトウェアのキングスフィール最強の剣、ムーンライトソード。ちなみにフロム作品には大体出ており、アーマード・コアには最強の威力のブレードのMOONLIGHT。前作のデモンズソウルには逆に信仰(アンバサ)戦士御用達の月光大剣といった具合である。

オンスタ
アノールロンドのボスの竜狩りオーンスタインと処刑人スモウの略。二体同時に襲い掛かって来るダークソウル最強格のボス。初見でコイツらとマップでたまに侵入して来る闇霊に苦戦し、コントローラーを投げ捨てる人の大半はここか病み村。

スモウハンマー
スモウの持つハンマー。必要筋力が最高の武器だが、これを持つぐらいなら他の武器の方が使われる一種のネタかコス装備ただし廃産ではない。しかし、威力的に300レベ帯でスズメスタブなら中々ガチ。

軽ロリ木目
ダークソウル最速の移動アンセンブ。正直、作者的に闇霊はコレ最低限じゃなきゃやっていけない。


銀騎士
アノールロンドにいる騎士。右手に銀騎士の剣か銀騎士の槍を持ち、左手に銀騎士の盾を持つ。銀騎士の剣を持つ銀騎士は高確率で竜狩りの弓という強制ノックバック弓を持っている。初見は地味に鬼畜だが、慣れると経験値(ソウル)の餌にされる可哀想な人たち。

カーク
トゲの騎士カークの略。病気持ちの妹属性人外娘の痛みを和らげるために人間性を集める紳士。

太陽万歳!&ソラール
Y←コレ


その他用語

アルクェイド
メルティ・ブラッド&月姫出身の型月世界のヒロイン。主人公が言っているのはコマンド入力が鬼畜なことで有名なメルティ・ブラッドのアルクェイドのこと。作者はカレー先輩が好き。

コジマ・キャノン
あんなものを浮かべて喜ぶか、変態どもが!
コジマは、まずい…。



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