キメラな飼い猫とデーモンな俺   作:ちゅーに菌

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猫と俺のクリスマス

 

 

寒い…お腹すいた…。

 

『にゃー…』

 

僕…死ぬのかな…。

 

『にゃ…』

 

「ん?こんなところに猫が捨てられてる」

 

『にゃ?』

 

僕は男の人に抱き上げられた。

 

「黄毛の女の子か、可愛いなぁ」

 

『ごろごろ』

 

撫でるのが気持ちい…。

 

「うちに来るか?」

 

『に!?にゃー!』

 

行きたい!

 

「おおそうか」

 

『にゃー!』

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

主様に拾われてから大分たった。

 

主様はとってもいい人。

 

「可愛いなぁ。ピトーは」

 

いつもゲーム片手に僕をナデナデしてくれるの。

 

ピトーってのは主様が主様の友達と付けてくれた名前。

 

変な名前だけど主様からもらった名前だからそれなりに気に入ってるの。

 

『にゃー』

 

僕は主様が大好きだ。

 

「そろそろ行ってくるぞ」

 

『にゃー…』

 

主様はいつも朝はナデナデしてくれるけどお昼頃から夕方まではどこかに行って寂しい…。

 

「じゃあ、行ってきます」

 

『にゃー!』

 

いってらっしゃい主様!

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

変だ。

 

あれから三回ぐらいお日様が昇っても主様が帰って来ない。

 

それどころか主様と住んでいたところから知らない人に知らないところに連れてかれちゃった。

 

私を連れてきた人は"息子は死んだ"とか"あの人はもういない"とか言ってるけど僕にはよく解らない。

 

とりあえずあの家で主様を待つんだ。

 

だって主様は"いってきます"って言ったの。

 

いってくるなら必ず帰ってくるの。

 

だから僕は外に出て家に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

やっと主様の家に着いた。

 

なぜかどこからも入れないし、明かりもついてないから仕方なく外で待つ。

 

帰ってきたらいっぱい文句いって知らんぶりしてから撫でてもらう、それで許してやる。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

もうお日様を数えるのが億劫なぐらい随分主様を待った気がする。

 

何度か知らない人が来て僕を連れて帰ったけど、その度に主様の家に戻った。

 

一体、いつまで僕を待たせる気? 早く帰って来て。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

い、家が全部壊されてしまった…。

 

沢山止めてって頼んだけど誰も聞いてくれなかった…。

 

またまたまたまた、僕を連れ去る人がきたから今度は指先を噛み千切ってやった。

 

ざまーみろだ。

 

僕は主様を待ってるだけ、邪魔するな。

 

何も無くなっちゃったけどここで待つ。

 

そうすればいつか主様は帰ってくる。

 

帰ってきたら一日中遊びに付き合ってもらうの。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

あれからまた随分たった気がする。

 

ねえ主様…実は僕もうあんまり目が見えないんです。

 

それどころかからだもあんまり動かない…。

 

お願いです……戻ってきてください…。

 

一目見るだけでもいい…です…撫でてくれなくても…ごはんくれなくても許し…ます……だから…………だから…。

 

 

 

 

 

 

 

早く帰ってきて………………主様…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん?ここはどこ?また違う場所、早く主様の家に戻るの。

 

ん?前で女の人が泣いてる。

 

「うぅ…グスッこの子健気過ぎよぉ~…」

 

大丈夫か? 元気だすの。

 

「はい…大丈夫…ペットより先に死んじゃダメね…うぅ…」

 

!! この人僕の言葉が解る!

 

「そりゃそうよ。何せ神様ですから!」

 

そうなの!? それはすごい。神様って何か知らないけど。

 

「あらら…」

 

それより聞きたいことがある。

 

「はい。なんなりと」

 

良かった! 主様はどこにいる? 会いたいの。

 

「ぐふぅッ…なんて…なんて子なの…」

 

ど、どうしたの?

 

「そうね…彼の居場所は知ってるわ」

 

ホント!? 会いたいの! 教えてほしい!

 

「でも彼は凄く遠いところにいるの、君の小さな身体じゃ行けないぐらい」

 

え…? じゃあ、会えないの…?

 

いやだ…会いたい…また抱っこしてもらいたい…。

 

「モーマンタイだわ! だから会える為の力を与えましょう! 本当はこういうこと嫌いだから滅多にしないけどね」

 

? なんかよく解らないけどありがとう。

 

「この超チートクジから3枚引くのよ!因果率を弄ってあるから必ず憑依先1枚と、チート2枚を引けるわ!」

 

そういうと神様は黒い穴の空いた箱を取り出した…はっ!箱ー!

 

「にゃー!」

 

「な!箱に入っちゃダメよ!」

 

落ち着くー…。

 

でも神様に文字通りつまみ出された…無念。

 

「あら? ちゃんと3枚持ってるじゃない、偉いわ」

 

口に紙が挟まった。ペッペッペッ。

 

「え~となになに…"Fate/EXTRAのEXスキル星の開拓者"と"Fateの直感のスキルのEX"と"ネフェルピトーに憑依"ですって……物凄いチートができるわね。でも良いわ! 許しちゃう!」

 

「みぃ!?」

 

突然、僕の目の前が真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんだニャ?眩しかったニャ」

 

あれ? いつもより目線が大分高い気がする。

 

「ふっふっふっ…これをみるが良いわ!」

 

神様がおっきな鏡を出した。

 

「えっ?」

 

そこには金髪の綺麗な女性が映っていた。

 

からだを触ってみても鏡の人が同じようにからだに触れる。

 

耳と尻尾はついてる。

 

「これホントに僕かニャ?」

 

喋れる…。

 

二足で立てる…。

 

片手で物がちゃんと掴める…。

 

「ええ、あなたの体よ」

 

神様は僕を後ろから抱きしめながらいった。

 

嬉しい…これで主様にたくさん御奉仕できる…。

 

「元のピトーは両性だけどあなたの性別はちゃんと女の子にしておいたからね。人の子も孕めるわよ~。うふふ…キメラアントの女王がピトーを生んだらあなたを原作開始1年前に送り込むわ。これでハンター試験にあなたが居れるわね。プププ…ハンター試験にピトーってどんなヌルゲーよコレ、それに彼にとって最高のクリスマスプレゼントねぇ」

 

?神様が何か言ってるけど内容はよく解らない。

 

「でも行く前にまだやることがあるわね」

 

「ミィ?」

 

「人間生活の仕方を覚えましょうね? あと念も教えてあげるわ!」

 

あ、それは大切だ。念はなんだが解らないけどきっと大切なんだ。

 

「はいニャ」

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

あれからまたまた凄く時間がたった。

 

「じゃあそろそろ行くニャ。師匠」

 

念を覚える時は師匠と呼びなさい! と言われたので師匠と呼んでる。

 

「ええ、いってらっしゃい。真面目に念を習得したのだものあなたはもう本来の倍は強いわ。頑張って来なさい、勘を頼りにすれば必ず見つけれるわ」

 

「はい。さようなら師匠」

 

よく解らないけど、僕とっても強くなったみたい、でも師匠とはここでお別れ。

 

ありがとうです、師匠。

 

「ええ、じゃあね」

 

師匠の声を聞きながら僕はまた光に包まれた。

 

さて、主様を見つけにるにゃ!

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

「外だニャ」

 

僕は今、洞窟から出た。

 

光に包まれた後、気づいたら緑の玉の中だったの。

 

そんなことはおいておいて服が欲しい…。

 

長い間師匠といた時はいつも服を着てたから着ていないと少し恥ずかしい…。

 

"3kmぐらい"円を広げて人がいないか調べた。

 

僕を中心に波状に円を広げればこれぐらいは広げられる。

 

師匠は地球を包めるらしい、念能力って凄い。

 

「ん?これは…念能力者ニャ」

 

円の中に三人の念能力が確認できた。

 

オーラ量だけでいえば僕や師匠に比べると蚊みたいなもの。

 

でも一人は女みたいだし体格も近い、今の円で気付かれた可能性もあるので殺ることにする。

 

僕は主様が幸せならその他はどうでもいいの。

 

僕は絶を使うと念能力者に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

結論からいうと念能力者はとっても弱かった。

 

絶のまま二人の男は首を切り飛ばした。

 

女はかわして反撃に念弾を撃ってきたけど、僕に当たると霧散した。

 

指で頭を貫き仕留めた。

 

脆い、まるで豆腐だ。

 

「にゃは♪」

 

まぁ、服が手にはいったからいい。

 

着ていた服は血だらけにしちゃったけどリュックに下着と白のセーターとデニムのジーンズがあった。

 

靴も取って死体は放置してその場を後にした。

 

多分、直ぐ生き物のエサになるし。

 

「んー、主様は………コッチだニャ!」

 

僕は勘に頼って主様に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

適当に走っていると人が沢山いるところについたので絶をしながら話を盗み聞きしている。

 

ここはミテネなんとかのN…なんたら自治国の国境だそうだ。

 

そんなことはどうでもいい。

 

主様に会うんだ。

 

僕は途中で他人の持ち物や懐から拾った財布の中身を1つの財布に纏めながら主様を目指した。神様に言われた通り現金以外は下水にポイした。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

一様、途中で人から拾った帽子を頭に被り耳は隠すことにした。

 

海を走って越え、海岸沿いで休んでいた時に子供が大群で耳を触りに来た時はビビった。

 

いつの時代も怖いのは子供だにゃー…悪意が無いからたちが悪い…流石に手を出すのは多少気が引けるし。

 

今はヨークシンとかいうところにいる。

 

ご飯も食べたからそろそろ行こうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

ジャポンとか言う所のなんだか、見覚えのある住宅地に来た。

 

暫く歩いていると、2階建ての大きな屋敷が見えてきた。

 

「あ……」

 

あった………。

 

全部壊されたはずなのに……僕の…主様の家…。

 

僕はそっと二階のベランダに飛び乗った。

 

電気は付いてないしカーテンが引かれてて中は見えないけど、誰かが寝息を立ててるのは解る。

 

僕は窓に手を掛けると窓は普通に開いた。

 

やっぱり……主様は二階で寝るときに窓の鍵はかけないんだ。

 

中にそっと入ると見つけた………。

 

 

 

 

「主様…」

 

 

 

 

スヤスヤ眠っているのは僕の………僕の………主様。

 

「えへへ………ニャ…」

 

枕元に座り込むと自然と涙が出た。

 

やっと会えた…見つけた……主様…。

 

幸せ……主様………。

 

僕は気がついたら主様にの垂れかかっていた。

 

「主様のにおいニャ………主…さま…」

 

やっと…やっと………あるじ………さま………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『にゃ~、にゃ~』

 

『なんだ? 撫でて欲しいのか?』

 

『にゃ』

 

『ほらよしよし可愛いな、眉間が好きなんだよな』

 

『ごろごろ…』

 

『うん?なんか汚れてるな…風呂入るか?』

 

『にぃ!? フシャー!!』

 

『ははは、無駄な抵抗だな! もう手遅れなのだよ!』

 

『にゃ~…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつものように目が醒めた。

 

いつもと違うところと言えば懐かしい夢を見たことぐらいか。

 

枕元のケータイを確認するとまだ5時のようで外はまだ暗い。

 

今は12月24日のクリスマスイブだ。

 

ピトーか…アイツを拾ったのもこの日だったな。

 

ミケだのタマだのしか名前が浮かばなかったので友達に聞いたら、猫って言ったらピトーだろ! と、漫画片手に豪語されたのでなんと無く、その名前にしたんだよな。

 

俺は不慮の事故で、謎の神により半ば強制的に何かの世界に転生して以来、"何でも屋"としてそれなりに活動している。

 

そして、前世と同じジャポンになぜかあった、前世と同じ住居に住んでいる。

 

前世と違うところは今の俺には家族が居ないことだ。

 

無駄に広いなんちゃって武家屋敷に1人でいるのがなんとなく寂しいな………。

 

………何で俺はこんなこと長々と考えているんだろうな?

 

そろそろ日課のオンラインプレーヤー狩りを始めないとな。

 

前世はデモンズソウルの黒ファン廃だったからなー…この世界になぜデモンズソウルが無いんだ…あれほどPKを楽しめるゲームはそうないのに…ダークソウルも闇霊生活していたが、結局デモンズソウルに戻ったな、PKするならデモンズだよなぁ。

 

話は変わるが、生まれてからずっと気になっているこの"身体を覆うもやもやしたモノ"はなんだろうか?

 

なんか纏ったり、消したり、文字作ったり、モノに纏わせたり、身体に集めたり出来るんだが?

 

他の人に聞いても、何言ってんだコイツ的な目で見られるから聞けないし……。

 

「ん?」

 

身体を起こそうとしたら動かなかった。

 

「んん?」

 

頭だけ動かしてよく見ると、俺の上半身に誰かが乗っていた。

 

「金髪?」

 

薄暗くて見辛いが、金髪で身体の細さから考えて女性が乗っているようだ。

 

強盗…なら寝ないだろ。ここ2階だし。

 

「起きてくれ」

 

俺は彼女の頭を触った。

 

「あれ?」

 

おかしいな…人からするはずのない感触がする………なんか……生えてる? と言うよりこれは………、

 

 

 

 

 

猫耳?

 

 

 

 

 

「にゃ……うん……主様…」

 

ピクッと震えると彼女は俺から身体を起こした。

 

弱い外の灯りに照らされて彼女の顔が見れた。

 

金髪で青い目をした綺麗な人だ。淡い光に照らされた彼女はまるで芸術品のようで思わず見惚れていた。

 

「あ?」

 

「にゃ?」

 

彼女と、目があった。瞬間――

 

「あ、あるじ……様………」

 

ぽろぽろと泣き出した。

 

「え?ちょ…」

 

え……どうすりゃいいんだ俺は!?

 

「主様ーー!!」

 

「うぉ!?」

 

そのまま彼女は飛び付いてきて俺に抱きついた。

 

腰に手を回し全身で抱きつかれていた。

 

「えへへ…主様…主様ぁ………」

 

よく見ると彼女には猫耳だけでなく尻尾も生えていた。上下に滑らかに揺れている。

 

明らかに取って付けたようなモノではなく生物(なまもの)だった。

 

ソレを見てふと……気がついたら呟いていた。

 

何故そう言ったのかは俺もよく解らない、もし理由があるとすれば彼女の雰囲気が余りにもよく似ていたからだろう。

 

俺の……家族に。

 

「ピトー…?」

 

そう言うと彼女は俺の胸に埋めていた顔を上げて笑顔になった。

 

「そうですニャ…主様!」

 

そう言うとまた顔を埋めた。

 

「にゃふふふ…ふふ………主様のにおいですニャ…」

 

「……………………………はっ!マジか!?」

 

え? なにコレ? ちょっ…マジでピトー? 家の猫? 人(?)になって帰ってきたの?

 

俺が困惑していた時、ピトーは俺の腰に回されている手の力を強め持ち上げると今度はピトーの胸に俺の頭を押し付けた。

 

「主様ぁ~!!! あるじさまぁ!」

 

「むぎっ…!?」

 

あ、柔らかい…ピトー巨乳さんだったのか………………………………………マズイ………息が出来ない…不意討ちのせいで深呼吸も出来ずに捕まったし。

 

ヤバいヤバい、いつの間にか背中に手が回されてるせいで抜けたくてもとても抜けられない…ってか力強!? 全く動か…な………くふっ…。

 

 

 

 

 

 

俺は薄れ行く意識のなか、とりあえず家に無事(?)に家族が戻ってきた事を感謝した。

 

後で気付いたことだが、再開した日は、ただの猫だったピトーを拾った日と同じ日だった。

 

 

 

 


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