魔法少女リリカルなのは―流水の魔導師―   作:竜華零

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閑話:「履歴」

日付:新暦73年4月12日

From:八神はやて

To:イオス・ティティア

件名:経過報告

 

 時空管理局次元航行艦部隊『テレジア』所属

 査察官補

 イオス・ティティア様

 

 時空管理局所属・特別捜査官の八神はやてです。

 ミッドチルダはすっかり春めいて来ましたが、いかがお過ごしでしょうか。

 私は最近、新しい部隊の設立のためにいろいろな部署を回っています。

 いろいろな経験が積めるのは楽しいですが、体力的にはなかなか厳しい仕事です。

 

 第六技術部の研究についてはリーゼ姉妹が良く助けてくれています、ただ、それでもユニゾンデバイスに関する情報が少なく難航しています。

 聖王教会管轄の遺跡に立ち入らせて貰い、ユーノ君の協力で古代文字の解読も進めていますが、やはり様式が違うためか難しいです。

 それでも、諦めるつもりはありません。

 イオスさんを含めて多くの人に助けて貰っている現実を忘れずに、何とか突破口を開きたいと思っています。

 

 あ、最後にもう一つ。

 最近、ヴィータが任務でミゼット・クローベル提督の護衛任務に就きました。

 良くして頂いてるらしくて、出来れば私からもお礼をお伝えしたいと思っています。

 

 それでは、要件のみにて失礼致します。

 

 

 

日付:新暦73年4月13日

From:イオス・ティティア

To:八神はやて

件名:Re・経過報告

 

 時空管理局本局

 特別捜査官

 八神はやて様

 

 次元航行艦『テレジア』所属、イオス・ティティアです。

 私は現在第71管理世界「ミスラタ」にいます、1年を通じて冬の世界なので非常に寒いです、艦の外ではバリアジャケットを解除できません。

 でも、そちらの活躍の噂は私の所まで届いています。

 

 第六技術部のことも含めて、あまり無理をしないようにしてください。

 お師匠達からも徹夜が続いていると聞いているので、心配しています。

 ヴィータについては良く知りませんが……ミゼット・クローベル?

 伝説の三提督の1人、統幕議長ミゼット・クローベル提督のことでしょうか?

 だとしたら、ちょっと私の理解を超えています。

 

 ……と言うか、今度からプライベート用のアドレスにお願いします。

 何が哀しくて、仕事用アドレスでこんな話をしなければならんのか。

 では、そういうことで。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

日付:新暦73年6月21日

From:ギンガ・ナカジマ

To:イオス・ティティア

件名:お墓参りの御礼 / 108部隊 ギンガ・ナカジマ

 

 時空管理局次元航行艦部隊『テレジア』所属

 査察官補

 イオス・ティティア様

 

 突然メッセージ差し上げます無礼、お許しください。

 陸上警備隊第108部隊所属捜査官、ギンガ・ナカジマです。

 先日は母のお墓参りをして頂いたと父から聞き、私用ながらこうしてお礼のメッセージをしたためさせて頂きました。

 よろしければ、また後日にお礼をさせてください。

 

 母繋がりだからと言うわけではありませんが、先日お話した妹のことについてお伝えすることがあります。

 教官の方々の覚えめでたきを得て、妹が先月に訓練校を無事に卒業しました。

 首席卒業とのことで、姉としては鼻が高いです。

 ただ配属先が災害担当なので、心配でもあります。

 部署が異なるのでめったなことでは会わないかと思いますが、もし会うことがあればよろしくお願いいたします。

 

 取り急ぎ、御礼申し上げます。

 

 

 

日付:新暦73年6月22日

From:イオス・ティティア

To:ギンガ・ナカジマ

件名:お墓参りの件について / 査察官補 イオス・ティティア

 

 時空管理局地上本部

 陸上警備隊第108部隊 捜査官

 ギンガ・ナカジマ様

 

 メッセージありがとうございます、査察官補イオス・ティティアです。

 丁寧なお礼頂き、誠にありがとうございます。

 ただクイントさんの墓前を参ったのは個人的なお礼を伝えたかったためで、気にしないでください。

 

 妹さんの首席卒業は凄いですね、私の場合は優秀な幼馴染が常に傍にいたので、2番以上になったことがありません。

 その意味でも、優秀な妹さんなんだなと思います。

 きっと災害担当の現場でもいろいろな経験をして、どんどん成長していくのでしょうね。

 私は今次元航行艦勤務でミッドチルダに戻ることは稀ですが、もし会うことがあればぜひ話してみたいですね。

 

 それでは、これからミッドチルダは夏になるのでお身体に気を付けて。

 以上、要件のみにて失礼致します。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

日付:新暦73年10月11日

From:ユーノ・スクライア

To:イオス・ティティア

件名:請求資料について / 無限書庫 ユーノ

添付:『30番台管理世界の財務統計』『新暦黎明期の魔導機械製品番号一覧』

 

 こんにちはイオスさん、お久しぶりです、ユーノです。

 先日僕の方に請求のあった資料ですけど、このメッセージに添付して送ります。

 仕事用のアドレスが繋がりにくい状態だったので、今日はこっちのアドレスに送りました。

 

 クロノもそうですけど、次元航行艦勤務の人とは会う時間がなかなか取れなくて残念です。

 今は第47管理世界にいるとなのはから聞きました、なのはも寂しがってました。

 まぁ、そのなのはも最近は教導予約がいっぱいで忙しいらしいですけど。

 最近は皆、本当に忙しそうです。

 かく言う僕も休みが無いですが、でもクロノが容赦なく仕事を増やしてきます。

 いつか殴りたいと思います、無理だけど。

 

 じゃあ、またメールします。

 

 

 

日付:新暦73年10月15日

From:イオス・ティティア

To:ユーノ・スクライア

件名:休まない奴が多いな / イオス

 

 こんにちは、返信遅れて悪かったな。

 資料ありがとう、次の世界で使うらしいから本当に助かる。

 でも最近忙しすぎて、一夜漬けが得意になってきた気がする。

 

 知ってるかどうかはわからないけど、第47管理世界「ハドラマウト」は内戦世界だ。

 親管理局勢力と反管理局勢力の国同士に別れて戦りあってる世界で、しかも地上部隊と航行艦の部隊が別々の司令部を立てて戦ってるような場所で……まぁ、お前らがいなくて良かったわ。

 とてもじゃないけど、見れたもんじゃない。

 

 反管理局勢力の捕虜の女に会う機会があったんだけど、いやこれがかなりバイオレンスな女だったんだけど、まぁとにかくそいつが言うわけだ、「私達は、私達らしく生きて行きたいだけだ」って。

 まー民族がどーだの、国がどーだの、管理局の押し付け主義が気に入らないだの、良くあるパターンの女でなぁ。

 まぁ、最終的には俺らも任務終わって出て行ったんだけど。

 

 それはそれとして、本当に休まない奴が多いな。

 管理局自体が人手不足だから、仕方無いのかもしれないけど。

 ちなみに、クロノにはエイミィ経由で言えば大丈夫だと思うぞ。

 

 じゃ、またな。

 たまには、なのはを食事にでも誘ってやれよ……休みが合えばな。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

日付:新暦73年12月2日

From:フェイト・T・ハラオウン

To:イオス・ティティア

件名:どうしよう

 

 ねぇ義兄さん、どうしよう?

 あのね、エリオとキャロがね、局員になりたいなんて言うんだよ?

 私が言うのもおかしいけど、局の仕事って物凄く危ない仕事だと思うんだよ。

 でも、2人は局員になりたいって言って聞いてくれないんだ。

 

 まぁ、ダメって言ったこと無いんだけど。

 だって2人が初めて自分でこうしたいって決めてくれたんだよ? ダメなんて言えないよ。

 でもやっぱり、他の世界を見てから決めても良いと思うんだ。

 学校に行ったり、他の職業についても学んでみたり、そう言う段階を踏んで将来の夢を決めた方が良いと思うんだけど……イオス義兄さんはどう思う?

 

 なのはは「夢があるって大事だよ」って言うし、はやてなんて「憧れられて羨ましい限りや」なんて言うんだよ?

 お義兄ちゃんにも相談したんだけど、全然真面目に取り合ってくれないんだよ!?

 ……あ、それはそれとして、2人の新しい写真送ります。

 

 親愛なる義兄さんへ、フェイトより。

 

 

 

日付:新暦73年12月3日

From:イオス・ティティア

To:フェイト・T・ハラオウン

件名:Re・どうしよう

 

 落ちつけ、とにかく落ちつけ、そして落ち着け。

 それから冷静に考えてくれ、俺はそのエリオとキャロとやらに会ったことが無い。

 写真を見る限りは良い子なのかもしれんが、会ったことも無い子供について何を言えと。

 

 もう一つ、義兄さんはやめてくれ。

 イオスで良い、イオスで、いやマジで。

 プライベートアドレスでもこんなテンションのメッセージ貰ったの初めてだぞオイ。

 

 まぁ、事情は良く分からんが……家族のことで揉めたら家族会議だろ、とりあえず。

 良く話し合うしか無いんじゃないのか、月並みな言葉で悪いが。

 写真ありがとう、エリオとキャロとやらにもよろしく言っておいてくれ。

 兄貴分のイオスより。

 

 追伸:

 たまには休めよ、体調に気を付けて。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

日付:新暦74年3月15日

From:クロノ・ハラオウン

To:イオス・ティティア

件名:フェイトの件 / クロノ

 

 久しぶりだな、僕だ。

 お前の噂は本局まで聞こえているぞ、先日も『テレジア』スタッフと一緒に大規模な密輸と横流しの不正を摘発したそうじゃないか。

 ヴェロッサも喜んでいたぞ、元部下の活躍が嬉しいんだろう。

 

 それはそれとして、昨年末、フェイトが騒いでいた件についてだが。

 結果として言えば、エリオとキャロは正式に入局することになったらしい。

 エリオの方はまだわからないが、キャロは自然保護隊への配属が検討されている。

 まぁ、当面は訓練生やアシスタントとしての配属になるだろうが。

 

 ああそれと、僕は別に不真面目に取り合ったわけじゃないぞ?

 ただフェイトが言って聞かないものを、僕が言って聞くわけがないから任せると言っただけで。

 ……なのに、何故かエイミィにまで怒られた、何故だろうな。

 

 お前が家を出て、もう3年以上が経ったな。

 今では何もかもが懐かしい気がするよ、そんなに昔のことじゃ無いはずなのにな。

 今度休日が会えば、他の面々も誘って食事にでも行こう、ノンアルコールでな。

 では、またどこかで会えることを祈って。

 

 

 

日付:新暦74年3月16日

From:イオス・ティティア

To:クロノ・ハラオウン

件名:Re・フェイトの件 / イオス

 

 僕だ、じゃねぇよ、新手の詐欺師かお前は。

 密輸の摘発の件はアレだ、ハロルドがメガネ落として「眼鏡眼鏡」ってベタなことやって転んで割った壺の中から裏帳簿が出て来ただけだよ……何だアイツ、強運か。

 そしてヴェロッサ、アンタだけはダメだ。

 

 だからエリオとキャロに俺は会ったことがねぇんだって。

 つーかお前、それで怒られる理由がわからねぇってよっぽどだぞ……。

 エイミィも元気そうだな、アイツが2人の子持ちってまだピンと来ないけど。

 

 そうだな、それくらい経つか……ちなみに俺がお前の家を出て何に困ったかわかるか?

 リンディさんのお茶を飲めなくなったことだ。

 あればっかりは、本当にどうしようもねぇ……。

 あー、言ってたら何か飲みたくなったじゃねーか!

 

 

 ……懐かしいな、ホント。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

日付:新暦74年5月30日

From:高町なのは

To:イオス・ティティア

件名:近況報告

 

 イオスさん、お元気ですか? なのはです。

 私は最近、教導隊のお仕事でミッドチルダの航空隊の教導をすることが多くなりました。

 もちろん教導官の仕事の一部でしかありませんけど、空と地上を守るための技術を伝えるこの仕事が私は一番好きです。

 

 他の皆も、深刻な怪我も病気も無く元気です。

 フェイトちゃんは執務官として頑張ってるし、クロノ君やユーノ君、ヴォルケンズの皆さん、元『アースラ』のスタッフの人達も、今の自分の居場所で精一杯のことをやってると思います。

 特にはやてちゃんは、来年の春に新しい部隊を作れそうだって張りきってるみたいです。 

 はやてちゃんの昔からの目標だったから、私も嬉しいです。

 

 ただ、人事の都合であまり人の集まりが良くないみたいです。

 私やフェイトちゃんも出来る限り協力してるんですけど、どうしても後方担当とかが埋まらないらしくて。

 前線メンバーについても、困難に立ち向かう意志を持った心の強い若手って言う条件だとなかなか。

 どこか、良い人いないかなぁって頭を抱えてるそうです。

 

 えっと、私の方はそんな感じです。

 長々とごめんなさい、また連絡しますね。

 来週の査察官試験、頑張ってください。

 なのはより。

 

 P.S.

 最近、ユーノ君に良くご飯に誘われます。

 ユーノ君忙しいのに、私にお休みを合わせて誘ってくれてるみたいです。

 奢りは流石に悪いと思って、最近は無理矢理ワリカンにしてるんですけど……。

 ……ユーノ君、どうしたのかな?

 

 

 

日付:新暦74年5月31日

From:イオス・ティティア

To:高町なのは

件名:Re・近況報告

 

 久しぶりだな、俺は病気も負傷も無く元気だ。

 高町さんも元気そうで何よりだ、前のメッセージ見る限りは毎日忙しそうだな。

 教導隊のことはよくわからないが、エースオブエースの噂は『テレジア』でも聞いてるよ。

 

 他の連中も、特に問題が無いようで安心した。

 俺は今第111観測指定世界「ヌナブット」にいる、何でもロストロギアの密輸があったそうだ。

 しかも例のAMF装備の機械兵器が出たとかで、現場は大わらわだ。

 まぁでも、高町さんの言う通り来週には試験があるからミッドに一旦戻るよ。

 かなり久しぶりだな、もし時間が合えば飯でも行こう。

 

 そう言えばこの間、別の管理世界でフェイトに会ったよ。

 エリオとキャロのこととか、あと俺の試験のこととか心配してたたな。

 アイツは俺の母親か何かなのかと思った、あ、本人には言うなよ。

 

 新しい部隊の人事については、俺も聞いてる。

 俺も別に人に詳しいわけじゃないけど、知り合いの妹が訓練校首席卒業で災害担当って教えたくらいだ。

 どうなるかは俺にもわからん。

 

 そして俺の試験もどうなるかわからん、試験と聞くと執務官試験の思い出がブリ返して困る。

 でも応援ありがとう、何とかやってみるよ。

 ユーノについては……まぁ、あまり深く考えずに付き合ってやれば良いんじゃないのか?

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

日付:新暦74年7月5日

From:八神はやて

To:イオス・ティティア

件名:何かできること、ありますか?

 

 はやてです。

 この間は良い人材を紹介してくれてありがとう、おかげで助かったわ。

 本当に良い人材やね、相棒のティアナって子もええ感じや。

 一応なのはちゃんとも相談して、配置部隊の方に話を通して貰うことにしてます。

 

 新しい部隊は、いろんな人に助力して貰って、何とか発足まで漕ぎ着けられそうや。

 もちろんその中には、イオスさんも入ってるで。

 フォワードの子でええ人材を見つけられたんは、間違いなくイオスさんのおかげや。

 他にもリンディさんやクロノ君とか……私は本当に果報者やね。

 

 えっと、今日はそれだけ伝えたかったんよ。

 じゃあ、また。

 あ、リインが会いたがってたよ、また本局に寄ることがあったら第六技術部に来たってな。

 

 貴方の可愛い後輩、はやてより。

 

 

 

日付:新暦74年7月7日

From:イオス・ティティア

To:八神はやて

件名:気にすんな

 

 タイトルと内容が合ってねーぞ、変な気遣ってんじゃねぇよ後輩。

 そして、自分で可愛いってお前、いや可愛いけどよ。

 お前が気にすることは何もねーよ、だから言いたいこと隠してメッセージとか書くなよ。

 

 ……いや、悪ぃ、今のは八つ当たりっぽかったか?

 まぁ、査察官の考査に落ちたのは単純に俺の力が足りなかっただけだからよ。

 ホント、気にしないでくれ。

 また12月に受け直すから、何しろ俺は執務官試験に6回落ちた男だぜ?

 1度や2度の失敗でメゲる程、ヤワな神経してねーよ。

 

 人材についてのお礼もいらん、俺はただ聞いた話を教えただけだ。

 そいつが本当に優秀なのかは、流石にわからん。

 そしてまぁ、お前を助けてくれる人間は山程いるさ。

 リインは……まぁ、本局に行くことがあればな。

 

 超カッコ良い先輩より。

 ……笑ってんじゃね―よ。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

日付:新暦74年10月29日

From:フェイト・T・ハラオウン

To:イオス・ティティア

件名:どうしよう

 

 どうしよう義兄さ、じゃなく、イオス。

 エリオとキャロが局員になった話はもう聞いてるよね? 2人のことなんだけど。

 はやてが、2人を新しい部隊に呼びたいって言うんだ。

 私も目の届く範囲にいてくれるなら、それも良いかなって思うんだけど……。

 

 でも、はやての新しい部隊は対ロストロギアの部隊になりそうなんだ。

 私が見守って、そして守ってあげられる位置に来てくれるのは嬉しい。

 でもそのせいで、2人が危ない目に合ったり辛い目に合ったりするのは……。

 心配し過ぎだって、自分でもわかってるんだけど。

 ごめんなさい、いつも愚痴ばかりで。

 

 イオスだって大変な時期なのに、自分のことばかりで。

 でも1人で考えても悩むばかりで、アルフなんかは「2人のことを真剣に考えてるからだ」って言ってくれるんだけど……どうしたら良いのか、わからなくて。

 イオスの、義兄さんの意見を聞きたいです。

 

 親愛なる義兄さんへ、貴方のフェイトより。

 

 

 

日付:新暦74年10月30日

From:イオス・ティティア

To:フェイト・T・ハラオウン

件名:もちつけ

 

 じゃない、落ち着けフェイト、とにかく落ち着け。

 てか最初は言い直せたのに、何で最後に結局義兄さん呼びになってるんだ。

 いや、それも別に良いよこの際は。

 と言うか、メールなのに泣きながら書いてる様がありありとわかるんだが!

 

 えっと、まず深刻に考え過ぎだ。

 八神さんの部隊の詳細は俺も知らないけど、それでも他の部隊とそこまで危険度が違うってことは無いだろ。

 例えば俺やお前の次元航行艦勤務だって、ロストロギアやら次元犯罪者やらに遭遇する可能性のある危険極まりない仕事だけど、死亡率はそこまでじゃないだろ。

 怪我だって、最近はほとんど治せるわけで……例として挙げるのはどうかと思うが、高町さんだってカムバックしたろ。

 

 むしろ高町さんを見てそう思う部分もあるのかもしれないけど、エリオとキャロはお前の役に立ちたくて局員になったんじゃないのか?

 あの2人がどうするかは、月並みだが2人が決めることだしな。

 で、まぁ、どうしても嫌なら、そう2人に言うしかないと思う。

 それが出来ないから、悩んでんだろーけど……悪い、明確な解決策はやっぱ俺にもわからん。

 

 だけど愚痴ぐらいは聞けるし、一緒に悩むことぐらいは出来る、それが迷惑だと思ったことだってねーよ。

 年長の家族なんざ、そうやって使ってくれりゃ良いんだよ。

 それぐらいの気持ちで生きろ、うん。

 

 ……あ、でも名前の前に「貴方の」とかつけるのはやめてくれ、いやマジで。

 八神さんかエイミィあたりに教えられたか知らんが、絶対に使うなよ、特に男に対して。

 じゃ、また何かあれば遠慮無く言って来い。

 

 親愛なる妹分へ、兄貴分のイオスより。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

日付:新暦74年12月31日~新暦75年1月1日

From:高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやて、他多数。

To:イオス・ティティア

件名:おめでとう!!

添付:皆からのメッセージ

 

 査察官試験、合格おめでとう!!

 今年から査察官、お手柔らかにお願いします!

 

 いつかイオス査察官に査察され隊メンバー一同より!

 「「「本当におめでとう!」」」

 

 

 

日付:新暦75年1月1日

From:イオス・ティティア

To:八神はやて、リンディ・ハラオウン、クロノ・ハラオウン、他多数。

件名:ありがとう

 

 皆、お祝いありがとう。

 でも十数人のメッセージ映像を添付すんのやめろ、めちゃ恥ずいわ。

 まぁ、でも……ホント、ありがとよ。

 いろいろ心配かけたな、でもまぁ、うん。

 

 ……ありがとよ、皆。

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

日付:新暦75年2月28日

From:八神はやて

To:イオス・ティティア

件名:機動六課の件 / はやて

 

 こんにちは、イオスさん。はやてです。

 2月の14日にそっちに届くようバレンタインカード送ったんですけど、届きました?

 ミッドに引っ越してからはなのはちゃんとかに友チョコ贈るくらいやったんやけど、今年は遠方の人にも届くようにカードにしてみたんよ。

 あ、ちなみにバレンタインって言うのは第97管理外世界の風習で、こっちでも少しはあるんかな? とにかく、私の国では女の子が男の子に贈り物(主にチョコ)をするイベントなんよ。

 あはは、ドキドキした?

 

 まぁ、それはそれとして、本題や。

 4月に、私が部隊長で新しい部隊が発足するのはもう聞いてると思う。

 古代遺失物管理部機動六課、あるロストロギアを回収する専任部隊になる予定や。

 これに、査察官として所属して貰えへんやろうか?

 

 真面目な話、イオスさんに査察を担当して貰えたら心強いんよ。

 保有制限についての厳しさはあるけど、幸いイオスさんはランク試験は受けて無いし。

 なのはちゃんやフェイトちゃんもおるし、戦闘とかバックアップとかの人員についてはヴィータ達も含めて整いつつある。

 ただ全体的にどうしても新人が多くて、1人でも多くベテランが欲しいんよ。

 それで、役職的に席が空いてる専属査察官にイオスさんに入って貰えたら嬉しい。

 

 どうやろう、真剣に検討して貰えへんやろか。

 連絡待ってます。

 はやて。

 

 

 追伸:

 リイン用のデスクが無くて困ってるんよ、どこかにええの無いかなぁ?

 

 

 

日付:新暦75年3月2日

From:イオス・ティティア

To:八神はやて

件名:新部隊勧誘の件 / イオス・ティティア

 

 メッセージありがとう、イオスだ。

 バレンタインカードの件はサンキュー、何だかんだでいつも何かしか貰っている気もするけど、嬉しいよ。

 今度何かお返しするからな。

 

 新部隊勧誘の件だが、2つの理由でちょっと無理だな。

 まず一つ、俺の査察官ライセンスの交付が遅れてる。

 どうも月末一杯までかかりそうだ、なんで俺の査察官就任は4月になってからだから、ちょっと次の人事異動で新部隊を逆指名するのは無理だ。

 ただ研修が終わって『テレジア』から降りるのは確定だから、ミッドのどこかの部隊に配属になると思う。

 だからまぁ、出来る範囲で手伝うことぐらいは出来るよ。

 

 そしてもう一つ、これ以上身内を部隊に引き入れるのはやめた方が良いと思う。

 見た感じ、お前の周りを幼馴染と家族で固める形だから、嫌でも勘ぐる人間は出て来るだろうよ。

 正直、そこでまた身内の査察官を入れるのはあからさま過ぎる。

 遺族会や上層部の目もあるし、ちょっと現実的に無理だ。

 だから、悪いけど勧誘はお断りさせて貰う。

 

 お前が何をしたいのか、何をするつもりなのか、何を見ているのか、俺にはわからない。

 ただ、きっとそれはお前にとって必要なことなんだろうと思う。

 だから、あえて言う。

 

 頑張れ。

 

 応援する奴も支援してくれる奴もたくさんいるだろうけど、俺はお前を応援してる。

 だから頑張れ、俺も俺のやり方でなるべく頑張る。

 現実良く見て、ゆっくりやれよ。

 追い抜かれた先輩が言うんだから、間違いないって。

 それじゃ、またな。

 

 

 追伸:

 リインのデスク? まぁ、探しては見るよ。

 

 




最後までお読みいただきありがとうございます、竜華零です。
昨日の後書きで述べた通り、実験的にこんな形で空白の2年を描写(?)してみました。
余分と斬新の間でちょっと迷うところですが、まぁ、とりあえず宣言通りに掲載しました。

次回はStS編のプロローグになります、投稿は明日です。
現在鋭意頑張ってる所ですが、今の構想のままだと原作とは違う方向に行きそうな気がします。
では、またどうぞ。

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