真・恋姫✝無双 李厳伝   作:カンベエ

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第十四話:やってやんよ

中牟に到達した信たちであったが・・・・予想外の袁紹のバカぶりにあきれ果て軍議に色々と口出しした結果、江陵軍と平原軍が先陣を切らされる事になった。そしてあてつけのように両翼に陳留、秣陵軍が配備された。

 

「悪い、先陣押し付けられた」

「それで信様はどのような返事を?」

「『やってやんよ!m9っ`Д´)』って」

『バカですか(なん)!?』

「さーせん」

『ああん?』

 

適当な謝り方をしたら霞が応龍を、星が龍牙を、優衣が黒翼(大剣)を構えて凄んでいる。

 

「申し訳ありませんでした!(土下座)」

「でもご主人様らしいですよ、良いと思います」

「ですなぁ、ご主君らしい。それが宜しい」

「そうですね、信様は信様らしくしていれば宜しいかと」

 

と、フォローを入れられ安堵する。

 

「ともかく、だ。図らずとも黄巾の時と同じで俺、劉備、曹操、孫策ってぇ組み合わせになった」

「本当、偶然が過ぎますなぁそれは」

「でだ、出陣に入用だーっつって酒をかっぱらって来たんでこの後四軍合同で出陣前の飲み会だ」

『酒!?』

 

過敏に反応した者、三名(霞、涼紀、星)。

 

―夜―江陵、平原、陳留、秣陵四軍合同夜営

既にあちらこちらで飲み始めている各軍の兵士たち。一方首脳陣たちは中央に円陣を組んで集合していた。

 

信、霞、朱里、星、優衣、涼紀、稟ら江陵軍。

劉備、一刀、関羽、張飛、鳳統、徐庶、周倉ら平原軍。

曹操、夏侯惇、夏侯淵、曹休、荀彧、程昱、曹仁ら陳留軍。

孫策、周瑜、陸遜、呂蒙、周泰、甘寧、魯粛ら秣陵軍。

 

総勢28名がこの場に集い、それぞれに盃を持って座す。

 

「全く、因果なものだな。あの時の四軍が再び手を組む事になるとは」

「でもでも、皆さんと一緒だとすごく心強いですよ!」

「だな、あの時を思い出すよ」

「でもあの時とは違うわ、将も、兵も、皆が皆、少しづつ変わったわ」

「でも決定事項よ、私たちが明日の先鋒戦に勝つわ。これはその景気づけ」

 

ニヤリと笑い合い、全員が盃を掲げる。

 

『乾杯!!!』

 

あれから半刻がたつがかなりあちらこちらでできあがっている。

 

「成程、良いわ。その話を受けましょう」

「成立だな、劉備はどうする?」

「うーん・・・・分かりました、お受けします」

「おし、って訳でだ・・・・基本董卓陣営は優秀な連中が多い。方針としては可能な限り捕縛、各陣営に組み込んでくれ」

「ただし董卓と賈駆は譲らない、と」

「ああ、中央から離れている江陵だと身分を隠すにも楽だろうし個人的にもこっちにいてくれれば安心だ」

「ねぇ、董卓って可愛いのかしら?」

「・・・・おいコラ元中央官吏、何で同じ職場の人間の顔を知らねーんだよ」

 

不意に、真面目な顔でそんな事を問いかけてきた曹操にツッコミを入れる信。

 

「顔は知っているかもしれないわ、でもね・・・・名前と一致しないのよ」

「威張る事じゃねぇよ・・・・っつーかよく考えたら皇甫将軍とか朱儁とか出て来るんじゃねぇの?」

 

かつて黄巾の乱で指揮をとった中央の三老将、盧植は黄巾の乱後直ぐに引退したと聞いているので出てくるとすれば皇甫嵩と朱儁だけだ。

 

『飲めや歌えや騒げやぁあああああ!!!!!』

 

各陣営の武力担当筆頭(霞、張飛、夏侯惇、孫策)が既に大暴れし始めている、最早気がついたら話の方に混ざっているのは魯粛の方だ。

 

「・・・・あの阿呆は・・・・どうして他所の子と一緒になってはしゃぎ回るかな・・・・」

 

はぁ、とため息をつきながら頭を抱える魯粛、髪の毛が白いのだが・・・・孫策によるストレスが原因なんじゃないかと思いたくなってくる。

 

「それで、傭兵将軍に伺いたいのだけれども・・・・明日はどう攻めるつもり?」

「ああ・・・・選択肢は二つだな」

「二つ?」

「一つはあちらが虎牢関に篭った場合・・・・なんだが正直こうなったらお手上げだ」

「そうなのか?」

「まぁな、俺お得意の奇襲を仕掛けようにも両脇は断崖絶壁、軍を迂回させようにも日数がかかる上に迂回路はあちら(董卓軍)の本拠と洛陽を結ぶ道だ、当然あちらも警戒しているだろうしそれなりの人物を配置しているだろう・・・・軍師賈駆ならなおさら、な」

 

詠(賈駆)の軍略は派手さは無い、がその分裏で様々な手を回しているため細かなところでは他の軍師よりも上だと信は考えているのだ。

 

「まぁ其の辺はここに集っている頭脳労働担当たちに任せるとしようか、後は俺たちが現場で判断していけば良いわけだし」

「そうね、ところで李厳」

「?」

「あの娘は・・・・どこのどちらかしら?」

 

曹操が指差すのは劉埼。

 

「お前、本当に不良官吏だな。劉表の娘、劉埼だ。となりにいるのが世話係の伊籍」

「何故いるの?」

「かくかくしかじか」

「わかるわけないでしょうが」

「・・・・とにかくだ、話を戻すがあちらが僅かな確率でうって出てきた場合」

 

その言葉に、話を聞いていた朱里、稟、曹操、曹休、荀彧、周瑜、魯粛、劉備、一刀、鳳統、徐庶が一斉に首を傾げる。

 

「そもそもうって出てくる訳が無いでしょう」

 

曹操の言葉に、ほぼ全員が同意するが信は首を横に振る。

 

「有り得る、最前線に華雄がいた場合かなりの確率で」

「・・・・どういう人物なの?勇将、という話は聞いているけれど」

「そうだな・・・・」

 

チラリ、と孫策と夏侯惇を見る信。

 

「夏侯惇みたいな奴だと思ってくれれば良い」

『ああ・・・・』

 

宴会前の軍議で、夏侯惇は『このような戦、真っ向から敵を叩き伏せればいいのだ!!!』などと的はずれな事を言って曹操に窘められ荀彧に罵られ夏侯淵に叱られ曹休に叩かれていたのだ。

 

「恐らくちょっとした挑発でガマンできなくなって味方の静止すら振り切って突撃してくるだろう、そこが付け目だ。董卓たちを救出するには先ず洛陽前まで攻め込むのが前提条件だからな・・・・」

「李厳殿は董卓軍の陣容をご存知なのだな?」

 

魯粛の問いかけに肯く信。

 

「如何なる将がおられるか」

「んー・・・・軍師賈駆、飛将軍呂布に軍師陳宮、張繍に李儒、徐晃、高順、徐栄が主な将だな。俺の知らぬ間に増えている可能性もあるが・・・・」

「なら張繍、徐晃は欲しいわね」

「こちらは李儒、高順だな」

「うーん・・・・私たちは味方になってくれるなら誰でも・・・・」

「だよなぁ・・・・今はとにかく人手が欲しいし・・・・」

 

明日、虎牢関の戦いが幕を開ける・・・・・・・・


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